Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。

ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。

CPUロードマップ(2024年7月)

5月末、Microsoft が第2世代のAI PCと言える新規格「Copilot+ PC」を発表。
その要件を満たす Qualcomm(クアルコム)のCPU「Snapdragon X Elite」を搭載するノートパソコンが Microsoft(Surface)、Dell、ASUS、Lenovo、HP などから発売されています。

6月はその Copilot+ PC が一斉に店頭に並んだ月でしたが、Snapdragon は ARMプロセッサ であるため、動作するソフトの少ない ARM版Windows を使わなければなりません。

この辺の詳細、実際に動くソフトウェアの検証、Snapdragon X Elite の性能については、以下の ASUS の Copilot+ PC のレビューで報告しています。
後発CPUだけあって、性能と電力効率は素晴らしいです。

実機レビュー Vivobook S 15 S5507QA

Note:Copilot+ PC と ARM版Windows について(初心者向け)

現在のパソコン市場は、ノートパソコンは Core Ultra(Meteor Lake)、第13世代 Core(Raptor Lake Refresh)、Ryzen 7040 / 8040(Zen4)、そして Snapdragon X(Arm系)が混在している状況です。

一方で、Intel の Lunar Lake、AMD の Ryzen AI 300 シリーズ(Zen5)が登場する直前の時期であるため、次世代機への移行前夜、という様相でもあります。

デスクトップパソコンの方は、ずっと第14世代 Core が中心の時代が続いています。
AMD が Zen5 のデスクトップ用CPUである Ryzen 9000 シリーズを発表していますが、まだ投入時期は不明です。

今後のCPUの予定ですが、6月4日~7日に台湾で Computex 2024 という大きなイベントが開かれた後であるため、大きな続報はありません。

ただ、日本のインテルが6月27日、Intel Tech Talk というメディア発表会を開催、その模様が マイナビITMedia などで報じられています。

Lunar Lake についてはほぼ既報の通りですが、性能についてより詳細に述べられています。

新型のPコアとEコアを4つずつ搭載し、ハイパースレッディングがないので合計8スレッド。
Core Ultra よりスレッド数が減っているためマルチコア性能は高くないと見られますが、シングルコア性能を重視しているようで、同じ電力でPコアは最大14%の性能向上、電力効率も18%アップ
Core Ultra にあったLP-Eコアはなくなりましたが、代わりにEコアの性能を向上し、消費電力も最大1/3に低下したとのこと。

キャッシュとは別に16GBか32GBの LPDDR5X メモリをCPUに内蔵しており、内蔵グラフィック(GPU)性能も Core Ultra に搭載されていた Xe の第2世代「Xe2」になります。
NPUの性能は今回、最大48TOPSとアピールされていたようです。
プロセスルールは TSMC 3nm。

なお、新型の内蔵GPU、いわゆる Intel Arc がドライバの不備やソフト側の対応の遅れで実力を発揮できない状況は、かなり改善されつつあるようです。
最新の Core Ultra 搭載機で検証したところ、春に測定したときよりも大幅に速度アップしていました。
(今月中に検証結果を含むレビューを公開したいと思います)

この調子なら、Lunar Lake の内蔵GPUにも期待できるかもしれませんが……
ただ、Lunar Lake は省電力重視のCPUなので、内蔵GPUに過度な期待はしない方が良いかもしれません。

Lunar Lake の製品名は Core Ultra 200V シリーズという名前がまことしやかに飛び交っていますが、まだ公式発表はありません。
投入日(搭載機の発売日)は一部の海外メディアで9月17日~24日になると報じられていますが、こちらも正式なものではありません。

ただ、Intel は9月24日~25日にカリフォルニアで Intel Innovation 2024 というイベントを開催するため、これに合わせて発売すると考えると、妥当な日程です。

Intel のデスクトップ用CPUの後継となる Arrow Lake は10月頃に登場するものと見られていますが、Raptor Lake Refresh(第14世代 Core)の時と同様、まずはK付きCPUから発売し、一般モデルの登場は来年以降になると思われます。
普及は来年の春あたりから、と考えた方が良さそうです。

性能については Intel Tech Talk でも何も語られなかったようです。
噂は飛び交っていますが、Lunar Lake や Arrow Lake の巷の噂(リーク情報)はほとんど外れているので、まだそうしたものは鵜呑みにしない方が良いでしょう。

AMD の Ryzen AI 300 シリーズの登場は7月末から8月以降と言われていますが、まだ具体的な投入日(搭載機の発売日)はわかりません。
6月の Computex Taipei 2024 以後、AMDからの公式の続報はありませんが、Lunar Lake より早いと考える意見が多いようです。

ラインナップは Ryzen AI 9 HX 370 と Ryzen AI 9 365 の2種類になることがすでに公表されており、TDPは28W
HX 370 は12コア24スレッド、もう一つの 365 も10コア20スレッドとなります。

Lunar Lake のような省電力型ではないようですが、それでも従来のノート用標準型のCPUと同等TDPであり、AMDは従来の2倍の電力効率だと述べています。

NPUの性能は50TOPSで、内蔵GPUも RDNA3.5 となり、内蔵メモリも50%増加。
AMDいわく「前世代より映像用コアは33%増加、動画エンコードも速い」とのこと。
設計は最新の Zen5、プロセスルールは TSMC 4nm。

AMD の次期デスクトップ用CPUの Ryzen 9000 シリーズについては、続報はありません。
ただ、こちらもすでにラインナップは公開されています。詳しくは6月の記事をご覧ください。

以上、パソコンを買う際の参考にして頂ければと思います。
ただパソコンは、第14世代のCPUを待っていたら新型が発表され、新型が出た頃には次世代の話が出てくるというように、待っていたらキリがありませんが……


現在おすすめのパソコンは、ノートPCは こちら、ゲーミングPCは こちら をご覧ください。

CPU の基本説明は こちら、用語については こちら で解説しています。

CPUの性能一覧グラフは こちら、ビデオカードの性能一覧グラフは こちら です。

(以下は過去ログです)

※2024年6月1日版、6月8日追記

Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。

ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。

CPUロードマップ(2024年6月)

現在のパソコン市場は、ノートパソコンは Core Ultra 、第13世代 Core 、Ryzen(Zen4)の混在期と言えます。
デスクトップパソコンは第14世代 Core の時代です。

ノートパソコンはドスパラやパソコン工房といったBTOメーカーも Core Ultra(Meteor Lake)搭載機の発売を始めており、高額機の主流になりつつあります。
ただ、NECや富士通、マウスなど、まだ Core Ultra 未導入のメーカーも多く、また Core Ultra は値段が高いので、低価格機は依然として第13世代 Core(Raptor Lake)が中心です。
一方、基本性能の良い Zen4 の Ryzen も拡大傾向にあります。

デスクトップは、第14世代 Core(Raptor Lake Refresh)の対抗馬と言える製品がない状態が続いています。

今後の計画については、5月20日、Intel が次期ノートPC用CPU「Lunar Lake」についての発表を行いました。

Intel Client Roadmap, Lunar Lake
※画像クリックで拡大表示

先日まで、デスクトップ用の新CPUである Arrow Lake が先に発売され、Lunar Lake は年末に出ると見られていました。
しかし今回の発表で、Lunar Lake は2024年の第3四半期(7月~9月)に登場し、Arrow Lake は第4四半期(10月~12月)に発売されることが明らかになりました。

今年のクリスマスシーズンには、Lunar Lake 搭載のノートパソコンが20社以上から、80モデル以上登場するだろうと述べられています。

Lunar Lake は省電力性能を優先したCPUですが、新型のPコア&Eコアと、新しいGPU(グラフィック機能)のXe2コア、さらに Meteor Lake(Core Ultra)の3倍の能力を持つNPU(AI専用コア)を持つとのことです。

Lunar Lake Architecture
※画像クリックで拡大表示

マイクロソフトは次の Windows には 40TOPS 以上のAI処理性能が必要になると発表していますが、Core Ultra のNPUは11TOPS、Ryzen 8040 シリーズも16TOPS で、現行のCPUはNPU単独ではその条件を満たせません。

40TOPSが次期CPUのひとつの目安となっており、マイクロソフトは40TOPS以上のNPU、メモリ16GB以上、ストレージ256GB以上のノートパソコンを「Copilot+ PC」に認定すると発表しています。
ちなみに Copilot(コパイロット)とは Windows のAIアシスタントの名前です。

Lunar Lake は45TOPSのNPUを持つので、その条件を満たすことが可能。
また、XMXと呼ばれる、GPUをよりAIに活用しやすくなる機能が搭載され、内蔵グラフィック機能も含めたAI処理能力は100TOPSを超えるとのこと。

ただ、ビデオカード GeForce のAI処理能力は100~1300TOPSあるようなので、上位のビデオカードよりもAI生成が早い、ということはありません。
しかしノートPCで、低負荷で高性能なAIを使える時代が急速に近づいています。

省電力性能についても、Lunar Lake なら(オンライン会議中の)消費電力が Ryzen 7 7840U より30%、Arm プロセッサである Snapdragon 8cx Gen3 と比べても20%抑えられると述べられています。

Lunar Lake Power
※画像クリックで拡大表示

さらに、LPDDR5XのメモリをCPU内に直接組み込んでおり、より高速なメモリアクセスが可能になっています。

ただし、消費電力を抑えたCPUは能力も低めになります。
Lunar Lake はあくまで省電力型のCPUであり、ピーク性能を競うような性能重視型のCPUではないことに注意してください。

※以下、6月8日追記分。

性能については、6月4日に開催された Computex Taipei 2024 でより詳細に発表されました。

コア構成はPコア4、Eコアも4。
ハイパースレッディングが廃止されているためスレッド数は8。
シングルコア重視の性能で、マルチコア性能は高くないと見られます。

CPUに組み込まれるメモリは32GBのものと、16GBのものがある模様。
PCIe 5.0Bluetooth 5.4Wi-Fi 7 に対応するとのこと。

Lunar Lake Power
※画像クリックで拡大表示

プロセスルールについては、CPU・GPUNPU などを含む中心部のタイルは、TSMC の N3B と呼ばれる 3nm プロセスで製造されているようです。

あれだけ Intel のファウンドリー(自社生産)の発表会とかしてたのに TSMC 製なのかよ! とも思いますが、N3B は現行の生産ラインの中では最も微細化が進んでおり、最新の MacBook に使われている Apple M3、iPhone 15 Pro に使われている A17 Pro なども N3B です。

Apple が独占していると言われていたのですが、こっそり(?)Intel も確保していた模様。
昨年11月、TSMC が Lunar Lake 用の GPU やコントロールタイルの生産を始めたという報道があったのですが、CPU や NPU も含まれていたようですね。

以前 Lunar Lake に使われると言われていた設計「Intel 18A」は、来年 Lunar Lake の後継として発売される Panter Lake に使われるとのこと。

他にも Intel はサーバー用CPUの Xeon 6、AI アクセラレータの Gaudi 3 などを発表していますが、企業用の製品についてはここでは割愛します。

Intel の公式発表は Intel ニュースルーム をご覧ください。


続いて、AMD が Computex Taipei 2024 で発表した新設計「Zen5」と、それを使ったデスクトップ用の新CPU「Ryzen 9000 シリーズ」、ノートパソコン用の新CPU「Ryzen AI 300」について。

Zen5 の詳細はあまり述べられなかったのですが、内部処理の改善により(同クロックでの比較で)16%の性能向上、AI処理などで最大2倍の能力を実現しているとのこと。
CPUコアのプロセスルールTSMC 4nm

AMD Zen5

その Zen5 をコアに持つ Ryzen 9000 シリーズは、7月にまず以下の4種類が発売されます。

製品名 コア数
スレッド
クロック数 合計
キャッシュ
TDP
Ryzen 9 9950X 16コア
32スレッド
4.3~5.7GHz 80MB 170W
Ryzen 9 9900X 12コア
24スレッド
4.4~5.6GHz 76MB 120W
Ryzen 7 9700X 8コア
16スレッド
3.8~5.5GHz 40MB 65W
Ryzen 5 9600X 6コア
12スレッド
3.9~5.4GHz 38MB 65W

Socket AM5(Zen4以降対応のCPU取付部)のマザーボードが必要で、使用できる PCIe は 5.0 が24レーン
DDR5USB4Wi-Fi 7 に対応し、高性能ではありませんが内蔵グラフィック機能を持ちます。
以前のモデルより TDP が低いのが目立つ特徴。

これでようやく、第14世代 Core のライバルと言えるデスクトップ用CPUが登場することになりそうです。

そして力を入れてアピールしていたノート用のCPU、Ryzen AI 300 シリーズは以下の2つ。

製品名 コア数
スレッド
クロック数 合計
キャッシュ
GPU NPU TDP
Ryzen AI 9 HX 370 Zen5 4コア
Zen5c 8コア
24スレッド
2.0~5.1GHz 36MB RDNA 3.5
Radeon 890M
XDNA 2
50TOPS
28W
(15~54W)
Ryzen AI 9 365 Zen5 4コア
Zen5c 6コア
20スレッド
2.0~5.0GHz 34MB RDNA 3.5
Radeon 880M
XDNA 2
50TOPS
28W
(15~54W)

AMD Ryzen AI 300 Series

PCIe は 4.0 で16レーン、DDR5 と LPDDR5x に対応。もちろん USB4 にも対応。

NPU は50TOPSで、Lunar Lake より少し上。
内蔵グラフィック機能(GPU)も Zen4 の改良型で、RDNA3.5 と呼ばれているものになり、より高いゲーミング性能を持つとのこと。

12コア、及び10コアのCPUなので、8コアの Lunar Lake より基本性能は高そうですが、TDP 28Wなので省電力型というわけではなさそう。
まあ、Ryzen AI 9 ですからね。一般向けと言える Ryzen AI 7 の登場は、少しあとになりそうです。

Intel の Lunar Lake は「クリスマスまでに80以上の搭載機が登場する!」とのことですが、Ryzen AI も ASUS、HP、Lenovo、Acer、MSI などが搭載機を準備しているようで、特に ASUS が多くの機種で採用する模様。

また、新設計のCPUではないのですが、旧来のマザーボード(AM4)でも使える Zen3 のデスクトップ用CPUも2つ発表しています。

製品名 コア数
スレッド
クロック数 合計
キャッシュ
TDP
Ryzen 9 5900XT 16コア
32スレッド
3.3~4.8GHz 72MB 105W
Ryzen 7 5800XT 8コア
16スレッド
3.8~4.8GHz 36MB 105W

使える PCIe は 4.0 で20レーン、メモリは DDR4。USBは10Gbps(Gen2)まで。

以前からあるパソコンのCPUを新しくできるため、自作派の人は喜びそうですが、「最新だけどハード的には古い」というパソコンが依然として存在することになるので、初心者にとってわかり辛い状況が続くのも否めません。
ともあれ、AMD らしいです。

他に AMD は、サーバー用AIアクセラレータの新型 Instinct MI325X なども発表しています。
AMD の公式発表は こちら を、CPUの詳細は こちら をご覧ください。


さらに、Intel の Lunar Lake や AMD の Zen5 よりも早く Copilot+ PC の要件「40TOPS以上のNPU」を満たした、Snapdragon X Elite を開発した米企業 Qualcomm(クアルコム)も、そのアピールを行っています。

Snapdragon X Elite は5月末に続々と搭載機が発売されていて、もう市場投入されています。

Snapdragon(スナップドラゴン)はARMプロセッサのひとつで、低消費電力と低発熱がウリ
スマホのCPU(SoC)として知られていますが、X Elite は最新ノートPC用に作られています。

Snapdragon X Elite
※画像クリックで拡大表示

12コアのCPUで、合計キャッシュは42MB、プロセスルールは 4nm
NPUは45TOPSの性能を持ち、省電力性能とAI処理性能が特にアピールされています。

また、元がスマホのCPUのため、モダンスタンバイ(スマホのように電源を完全に切らない使い方)を想定しており、スリープからの復帰が早く、常時ネットワークに繋がっているのを前提とするのも特徴です。

ただ、このCPUはARMプロセッサなので、ARM版Windows を使わなければなりません。

ARM版Windows は動くソフトウェアが非常に少なく、Office や Photoshop は対応版が出ていますが、他の多くの市販ソフトはゲームも含め、ほとんど使えません。

低消費電力だけど市販ソフトはほぼ使えない」という点で Apple の Mac に似ており、実際にPC用 Snapdragon はライバルを Apple のMシリーズと位置付けていて、「Snapdragon X Elite は Apple M2 よりも高性能!」というアピールを行っています。
Apple M3 と比較しても、マルチスレッド性能や省電力性能で勝る模様。

クセのあるCPUですが、初の Copilot+ PC が Snapdragon になったからか、マイクロソフトが ARM版Windows の改修に意欲的になっており、Adobe も Photoshop に続き、作画ソフト Illustrator や動画編集ソフト Premiere のARM版を開発中。
これらが整えば、ARM版Windows機もビジネスPCとして注目されるかもしれません。

なお、ARM社は Computex の会場で「2030年にはARMプロセッサが、Windows PC で支配的な存在になるだろう!」とコメントしています。
さすがに今の時点では、とてもそうなるとは思えませんが……

Qualcomm の公式発表については こちら をご覧ください。


さらに、CPUではありませんが、絶好調の NVIDIA も発表を行っています。

ビデオカード(GeForce)のメーカーとして有名な NVIDIA ですが、現在はサーバー用AIアクセラレータで独占的なシェアを築いており、Computex でもそれに関する発表がほとんどでした。

ただ、現在開発中の Blackwell、来年登場予定の Blackwell Ultra の次の計画として、Rubin というものが発表されています。

Blackwell は生成AIに特化しているサーバーコンピューター向きの設計なので、Rubin が次期 GeForce シリーズのコアになるのではないかと予想されています。
ただ、Rubin が登場するのは2026年ですから、Blackwell を使った GeForce も出るという「噂」もあります。

NVIDIA ロードマップ
※画像クリックで拡大表示

GeForce 5000 シリーズに関する話は Computex ではありませんでしたが、RTX AI PC という取り組みを発表。
そのひとつとして、AI機能を使ってゲーム中に攻略情報を表示する Project G-Assist という機能が公開されています。

RTX AI PC は専用の開発キットを提供し、ビデオカードのAI利用をより促していくもので、Adobe がコメントを寄せており、既存の生成AI機能はもちろん、画像加工や動画編集のソフトでもビデオカードがより影響しそうです。

Windows の Copilot をCPU内のNPUではなく、GeForce RTX 側でAI処理させる計画も進んでいる模様。

こうした、GeForce 搭載機がよりAIに向いたパソコンであることのアピールとして RTX AI PC の名を使うようですが、ビデオカードを搭載しているということは、ノートPCの場合はゲーミングモデルやクリエイターモデルなどの重量級ノートになるため、軽めのノートPCも対象とした Microsoft の Copilot+ PC とは、ちょっと意味合いが違うものになりそうです。

Project G-Assist は、映像を見た感じでは、ゲーム中に呼び出せるゲーム特化の Copilot という感じ。

NVIDIA Project G-Assist

そこまでAIがやっちゃうのってどうなの? とも思いますが、これも時代でしょうか。

ちなみに、G-Assist は2017年に NVIDIA が公開したエイプリルフールネタが元のようです。
ネタ動画の方は攻略情報どころか、AIがボスを倒したりしていましたが……
その内容は、今こそ強い風刺を感じますね。

NVIDIA の公式発表は こちら、RTX AI PC については こちら をご覧ください。

また、メモリのメーカーである Micron(マイクロン)が、次期ビデオカード用メモリ GDDR7 のサンプルを展示していたようです。

ビデオメモリはゲームはもちろん、AIでも重要なので、今後さらに需要が増すと思われます。
マイクロンの資料によると、ゲームで30%以上のFPSの改善、AIで20%の処理の高速化が見込めるとのこと。
GDDR7 の試作品は SK Hynix 社も展示していたようです。

Micron の発表は こちら をご覧ください。


※2024年5月1日版

Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。

ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。

CPUロードマップ(2024年5月)

いよいよ日本国内のメーカーも Core Ultra(Meteor Lake)などの新CPUを搭載するノートパソコンを販売開始。
パナソニック(レッツノート)や Dynabook を皮切りに、ドスパラやパソコン工房といったBTOメーカーも搭載機を発売、新世代機への移行が本格化しています。

ただ、第14世代 Core(Raptor Lake Refresh)のノート用CPUが出そろっていないため、安価なノートPCは引き続き第13世代 Core(Raptor Lake)が中心です。

Core Ultra のピーク性能がそれほどではなく、内蔵グラフィック機能も真価を発揮できていないため、Ryzen(Zen4)を搭載するノートパソコンも拡大傾向にあり、Ryzen 7040 シリーズと Ryzen 8040 シリーズの新型機も増えています。

よって現在のノートパソコン市場は、どれが主流とは言えない混在状態
一方、デスクトップパソコンは完全に第14世代 Core の時代となりました。

今後については、Intel も AMD も AI 事業に集中しており、個人向けの製品については情報がないというか、アピールが見られません。
Intel はファウンドリ事業(CPU生産)にも注力していて、企業向けのアピールが増えていますが、個人向けは二の次といった雰囲気。

4月8日、Intel は「Intel Vision 2024」というイベントを開催、データセンター向けのAI用GPU「Gaudi 3」の発表や、サーバー向けCPU「Xeon」の新型(第6世代)を発表しましたが、いずれも企業向けです。

4月2日にファウンドリ事業に関するレポートも公開していますが、今後のCPUの開発計画については、2月に発表されたものと変わりはありません。

Drive Forward Moores Law Beyond 5 Nodes in 4 Years

Path Back to Leadership
Intel IR Calender より。画像クリックで拡大表示

今回の発表ではオランダの ASML から購入した新型製造装置(High NA EUV 露光装置)が公開されており、それを使って生産される Intel 14A を特にアピールしています。

これまでの情報によると、今年後半に Intel 20A の設計でデスクトップ用の Core Ultra となる「Arrow Lake」が登場し、さらに年末にノート用の省電力CPU「Lunar Lake」が発売され、2025年に Intel 18A の設計で「Panter Lake」が登場。
High NA EUV で製造される Intel 14A の製品(Nova Lake?)は、そのあとに出てくるものと見られます。

なお、Intel がファウンドリ事業のアピールを盛んに行っているためか、台湾の TSMC も今後の計画を発表していて、TSMC A16 や、価格を安くした TSMC N4C などを発表しました。

AMD が今年発売する予定の「Zen5」の Ryzen や、NVIDIA のAI用 新型GPU「Blackwell」は TSMC N4P という 4nm のプロセスルールで製造されるようですが、N4C はそれを小型化(ダイシュリンク)して安くしたもの。
2nm 世代の TSMC A16 は、名前からして Intel 18A の対抗版といった感じです。

2025年に出てくる予定の Zen6 は、TSMC A16 の 2nm CPU になる…… かもしれませんが、Apple などの競合他社も TSMC の製造ラインを使うので、どうなるかは交渉次第と言ったところでしょうか。

なお、ASML は High NA EUV 露光装置の2台目を出荷したと発表したのですが、1台目の Intel 向けとは異なり、どこに送ったのか明らかにしていません。
TSMCだ、サムスンだ、実は日本のラピダスだ、とか噂が飛び交っていますが、まだ不明です。

他の話題として、Intel の第13世代 Core と第14世代 Core のK付きCPUで、不安定になったり、エラーを出すなどのトラブルが続発、4月に問題になっていました。
ただ、これは行き過ぎたオーバークロック(OC)が原因だったようです。

最近のOC仕様のマザーボードは速度アップを優先するあまり、安全機能を無効化したり、投入電力を無制限にするのが常態化していたようです。
それらに加え、最新のOC技術と強力な新型クーラーを駆使すれば、規格外の大電力で長時間動かすことが可能だったようで、でもCPUはそれに耐えられず、寿命が超速で縮んでいった、ということだった模様。

「OC用のCPUでOCしたら壊れるのはおかしい」という意見もありますが、Intel はこれを不具合とは認めておらず、むしろ ASRock や ASUS などのマザーボードメーカーに「お前らいい加減にしろ! 電力無制限とかヤメロ!」と通達を出しています。
(すでに BIOS 更新での対応を開始)

なまじOC耐性があるが故に…… ということでしょうか。 まあ、やり過ぎたらこうなりますね。
普通の使い方をしている人には関係のない話です。


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CPU の基本説明は こちら、用語については こちら で解説しています。
メモリなど、他のパーツについては カスタマイズについて のページをご覧ください。