※6月4日~7日に台湾で開催された Computex Taipei 2024 で発表された内容を追記しました。

Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。

ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。

CPUロードマップ(2024年6月)

現在のパソコン市場は、ノートパソコンは Core Ultra 、第13世代 Core 、Ryzen(Zen4)の混在期と言えます。
デスクトップパソコンは第14世代 Core の時代です。

ノートパソコンはドスパラやパソコン工房といったBTOメーカーも Core Ultra(Meteor Lake)搭載機の発売を始めており、高額機の主流になりつつあります。
ただ、NECや富士通、マウスなど、まだ Core Ultra 未導入のメーカーも多く、また Core Ultra は値段が高いので、低価格機は依然として第13世代 Core(Raptor Lake)が中心です。
一方、基本性能の良い Zen4 の Ryzen も拡大傾向にあります。

デスクトップは、第14世代 Core(Raptor Lake Refresh)の対抗馬と言える製品がない状態が続いています。

今後の計画については、5月20日、Intel が次期ノートPC用CPU「Lunar Lake」についての発表を行いました。

Intel Client Roadmap, Lunar Lake
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先日まで、デスクトップ用の新CPUである Arrow Lake が先に発売され、Lunar Lake は年末に出ると見られていました。
しかし今回の発表で、Lunar Lake は2024年の第3四半期(7月~9月)に登場し、Arrow Lake は第4四半期(10月~12月)に発売されることが明らかになりました。

今年のクリスマスシーズンには、Lunar Lake 搭載のノートパソコンが20社以上から、80モデル以上登場するだろうと述べられています。

Lunar Lake は省電力性能を優先したCPUですが、新型のPコア&Eコアと、新しいGPU(グラフィック機能)のXe2コア、さらに Meteor Lake(Core Ultra)の3倍の能力を持つNPU(AI専用コア)を持つとのことです。

Lunar Lake Architecture
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マイクロソフトは次の Windows には 40TOPS 以上のAI処理性能が必要になると発表していますが、Core Ultra のNPUは11TOPS、Ryzen 8040 シリーズも16TOPS で、現行のCPUはNPU単独ではその条件を満たせません。

40TOPSが次期CPUのひとつの目安となっており、マイクロソフトは40TOPS以上のNPU、メモリ16GB以上、ストレージ256GB以上のノートパソコンを「Copilot+ PC」に認定すると発表しています。
ちなみに Copilot(コパイロット)とは Windows のAIアシスタントの名前です。

Lunar Lake は45TOPSのNPUを持つので、その条件を満たすことが可能。
また、XMXと呼ばれる、GPUをよりAIに活用しやすくなる機能が搭載され、内蔵グラフィック機能も含めたAI処理能力は100TOPSを超えるとのこと。

ただ、ビデオカード GeForce のAI処理能力は100~1300TOPSあるようなので、上位のビデオカードよりもAI生成が早い、ということはありません。
しかしノートPCで、低負荷で高性能なAIを使える時代が急速に近づいています。

省電力性能についても、Lunar Lake なら(オンライン会議中の)消費電力が Ryzen 7 7840U より30%、Arm プロセッサである Snapdragon 8cx Gen3 と比べても20%抑えられると述べられています。

Lunar Lake Power
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さらに、LPDDR5XのメモリをCPU内に直接組み込んでおり、より高速なメモリアクセスが可能になっています。

ただし、消費電力を抑えたCPUは能力も低めになります。
Lunar Lake はあくまで省電力型のCPUであり、ピーク性能を競うような性能重視型のCPUではないことに注意してください。

※以下、6月8日追記分。

性能については、6月4日に開催された Computex Taipei 2024 でより詳細に発表されました。

コア構成はPコア4、Eコアも4。
ハイパースレッディングが廃止されているためスレッド数は8。
シングルコア重視の性能で、マルチコア性能は高くないと見られます。

CPUに組み込まれるメモリは32GBのものと、16GBのものがある模様。
PCIe 5.0Bluetooth 5.4Wi-Fi 7 に対応するとのこと。

Lunar Lake Power
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プロセスルールについては、CPU・GPUNPU などを含む中心部のタイルは、TSMC の N3B と呼ばれる 3nm プロセスで製造されているようです。

あれだけ Intel のファウンドリー(自社生産)の発表会とかしてたのに TSMC 製なのかよ! とも思いますが、N3B は現行の生産ラインの中では最も微細化が進んでおり、最新の MacBook に使われている Apple M3、iPhone 15 Pro に使われている A17 Pro なども N3B です。

Apple が独占していると言われていたのですが、こっそり(?)Intel も確保していた模様。
昨年11月、TSMC が Lunar Lake 用の GPU やコントロールタイルの生産を始めたという報道があったのですが、CPU や NPU も含まれていたようですね。

以前 Lunar Lake に使われると言われていた設計「Intel 18A」は、来年 Lunar Lake の後継として発売される Panter Lake に使われるとのこと。

他にも Intel はサーバー用CPUの Xeon 6、AI アクセラレータの Gaudi 3 などを発表していますが、企業用の製品についてはここでは割愛します。

Intel の公式発表は Intel ニュースルーム をご覧ください。


続いて、AMD が Computex Taipei 2024 で発表した新設計「Zen5」と、それを使ったデスクトップ用の新CPU「Ryzen 9000 シリーズ」、ノートパソコン用の新CPU「Ryzen AI 300」について。

Zen5 の詳細はあまり述べられなかったのですが、内部処理の改善により(同クロックでの比較で)16%の性能向上、AI処理などで最大2倍の能力を実現しているとのこと。
CPUコアのプロセスルールTSMC 4nm

AMD Zen5

その Zen5 をコアに持つ Ryzen 9000 シリーズは、7月にまず以下の4種類が発売されます。

製品名 コア数
スレッド
クロック数 合計
キャッシュ
TDP
Ryzen 9 9950X 16コア
32スレッド
4.3~5.7GHz 80MB 170W
Ryzen 9 9900X 12コア
24スレッド
4.4~5.6GHz 76MB 120W
Ryzen 7 9700X 8コア
16スレッド
3.8~5.5GHz 40MB 65W
Ryzen 5 9600X 6コア
12スレッド
3.9~5.4GHz 38MB 65W

Socket AM5(Zen4以降対応のCPU取付部)のマザーボードが必要で、使用できる PCIe は 5.0 が24レーン
DDR5USB4Wi-Fi 7 に対応し、高性能ではありませんが内蔵グラフィック機能を持ちます。
以前のモデルより TDP が低いのが目立つ特徴。

これでようやく、第14世代 Core のライバルと言えるデスクトップ用CPUが登場することになりそうです。

そして力を入れてアピールしていたノート用のCPU、Ryzen AI 300 シリーズは以下の2つ。

製品名 コア数
スレッド
クロック数 合計
キャッシュ
GPU NPU TDP
Ryzen AI 9 HX 370 Zen5 4コア
Zen5c 8コア
24スレッド
2.0~5.1GHz 36MB RDNA 3.5
Radeon 890M
XDNA 2
50TOPS
28W
(15~54W)
Ryzen AI 9 365 Zen5 4コア
Zen5c 6コア
20スレッド
2.0~5.0GHz 34MB RDNA 3.5
Radeon 880M
XDNA 2
50TOPS
28W
(15~54W)

AMD Ryzen AI 300 Series

PCIe は 4.0 で16レーン、DDR5 と LPDDR5x に対応。もちろん USB4 にも対応。

NPU は50TOPSで、Lunar Lake より少し上。
内蔵グラフィック機能(GPU)も Zen4 の改良型で、RDNA3.5 と呼ばれているものになり、より高いゲーミング性能を持つとのこと。

12コア、及び10コアのCPUなので、8コアの Lunar Lake より基本性能は高そうですが、TDP 28Wなので省電力型というわけではなさそう。
まあ、Ryzen AI 9 ですからね。一般向けと言える Ryzen AI 7 の登場は、少しあとになりそうです。

Intel の Lunar Lake は「クリスマスまでに80以上の搭載機が登場する!」とのことですが、Ryzen AI も ASUS、HP、Lenovo、Acer、MSI などが搭載機を準備しているようで、特に ASUS が多くの機種で採用する模様。

また、新設計のCPUではないのですが、旧来のマザーボード(AM4)でも使える Zen3 のデスクトップ用CPUも2つ発表しています。

製品名 コア数
スレッド
クロック数 合計
キャッシュ
TDP
Ryzen 9 5900XT 16コア
32スレッド
3.3~4.8GHz 72MB 105W
Ryzen 7 5800XT 8コア
16スレッド
3.8~4.8GHz 36MB 105W

使える PCIe は 4.0 で20レーン、メモリは DDR4。USBは10Gbps(Gen2)まで。

以前からあるパソコンのCPUを新しくできるため、自作派の人は喜びそうですが、「最新だけどハード的には古い」というパソコンが依然として存在することになるので、初心者にとってわかり辛い状況が続くのも否めません。
ともあれ、AMD らしいです。

他に AMD は、サーバー用AIアクセラレータの新型 Instinct MI325X なども発表しています。
AMD の公式発表は こちら を、CPUの詳細は こちら をご覧ください。


さらに、Intel の Lunar Lake や AMD の Zen5 よりも早く Copilot+ PC の要件「40TOPS以上のNPU」を満たした、Snapdragon X Elite を開発した米企業 Qualcomm(クアルコム)も、そのアピールを行っています。

Snapdragon X Elite は5月末に続々と搭載機が発売されていて、もう市場投入されています。

Snapdragon(スナップドラゴン)はARMプロセッサのひとつで、低消費電力と低発熱がウリ
スマホのCPU(SoC)として知られていますが、X Elite は最新ノートPC用に作られています。

Snapdragon X Elite
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12コアのCPUで、合計キャッシュは42MB、プロセスルールは 4nm
NPUは45TOPSの性能を持ち、省電力性能とAI処理性能が特にアピールされています。

また、元がスマホのCPUのため、モダンスタンバイ(スマホのように電源を完全に切らない使い方)を想定しており、スリープからの復帰が早く、常時ネットワークに繋がっているのを前提とするのも特徴です。

ただ、このCPUはARMプロセッサなので、ARM版Windows を使わなければなりません。

ARM版Windows は動くソフトウェアが非常に少なく、Office や Photoshop は対応版が出ていますが、他の多くの市販ソフトはゲームも含め、ほとんど使えません。

低消費電力だけど市販ソフトはほぼ使えない」という点で Apple の Mac に似ており、実際にPC用 Snapdragon はライバルを Apple のMシリーズと位置付けていて、「Snapdragon X Elite は Apple M2 よりも高性能!」というアピールを行っています。
Apple M3 と比較しても、マルチスレッド性能や省電力性能で勝る模様。

クセのあるCPUですが、初の Copilot+ PC が Snapdragon になったからか、マイクロソフトが ARM版Windows の改修に意欲的になっており、Adobe も Photoshop に続き、作画ソフト Illustrator や動画編集ソフト Premiere のARM版を開発中。
これらが整えば、ARM版Windows機もビジネスPCとして注目されるかもしれません。

なお、ARM社は Computex の会場で「2030年にはARMプロセッサが、Windows PC で支配的な存在になるだろう!」とコメントしています。
さすがに今の時点では、とてもそうなるとは思えませんが……

Qualcomm の公式発表については こちら をご覧ください。


さらに、CPUではありませんが、絶好調の NVIDIA も発表を行っています。

ビデオカード(GeForce)のメーカーとして有名な NVIDIA ですが、現在はサーバー用AIアクセラレータで独占的なシェアを築いており、Computex でもそれに関する発表がほとんどでした。

ただ、現在開発中の Blackwell、来年登場予定の Blackwell Ultra の次の計画として、Rubin というものが発表されています。

Blackwell は生成AIに特化しているサーバーコンピューター向きの設計なので、Rubin が次期 GeForce シリーズのコアになるのではないかと予想されています。
ただ、Rubin が登場するのは2026年ですから、Blackwell を使った GeForce も出るという「噂」もあります。

NVIDIA ロードマップ
※画像クリックで拡大表示

GeForce 5000 シリーズに関する話は Computex ではありませんでしたが、RTX AI PC という取り組みを発表。
そのひとつとして、AI機能を使ってゲーム中に攻略情報を表示する Project G-Assist という機能が公開されています。

RTX AI PC は専用の開発キットを提供し、ビデオカードのAI利用をより促していくもので、Adobe がコメントを寄せており、既存の生成AI機能はもちろん、画像加工や動画編集のソフトでもビデオカードがより影響しそうです。

Windows の Copilot をCPU内のNPUではなく、GeForce RTX 側でAI処理させる計画も進んでいる模様。

こうした、GeForce 搭載機がよりAIに向いたパソコンであることのアピールとして RTX AI PC の名を使うようですが、ビデオカードを搭載しているということは、ノートPCの場合はゲーミングモデルやクリエイターモデルなどの重量級ノートになるため、軽めのノートPCも対象とした Microsoft の Copilot+ PC とは、ちょっと意味合いが違うものになりそうです。

Project G-Assist は、映像を見た感じでは、ゲーム中に呼び出せるゲーム特化の Copilot という感じ。

NVIDIA Project G-Assist

そこまでAIがやっちゃうのってどうなの? とも思いますが、これも時代でしょうか。

ちなみに、G-Assist は2017年に NVIDIA が公開したエイプリルフールネタが元のようです。
ネタ動画の方は攻略情報どころか、AIがボスを倒したりしていましたが……
その内容は、今こそ強い風刺を感じますね。

NVIDIA の公式発表は こちら、RTX AI PC については こちら をご覧ください。

また、メモリのメーカーである Micron(マイクロン)が、次期ビデオカード用メモリ GDDR7 のサンプルを展示していたようです。

ビデオメモリはゲームはもちろん、AIでも重要なので、今後さらに需要が増すと思われます。
マイクロンの資料によると、ゲームで30%以上のFPSの改善、AIで20%の処理の高速化が見込めるとのこと。
GDDR7 の試作品は SK Hynix 社も展示していたようです。

Micron の発表は こちら をご覧ください。

以上、パソコンを買う際の参考にして頂ければと思います。
ただパソコンは、第14世代のCPUを待っていたら新型が発表され、新型が出た頃には次世代の話が出てくるというように、待っていたらキリがありませんが……


現在おすすめのパソコンは、ノートPCは こちら、ゲーミングPCは こちら をご覧ください。

CPU の基本説明は こちら、用語については こちら で解説しています。

CPUの性能一覧グラフは こちら、ビデオカードの性能一覧グラフは こちら です。

(以下は過去ログです)

※2024年5月1日版

Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。

ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。

CPUロードマップ(2024年5月)

いよいよ日本国内のメーカーも Core Ultra(Meteor Lake)などの新CPUを搭載するノートパソコンを販売開始。
パナソニック(レッツノート)や Dynabook を皮切りに、ドスパラやパソコン工房といったBTOメーカーも搭載機を発売、新世代機への移行が本格化しています。

ただ、第14世代 Core(Raptor Lake Refresh)のノート用CPUが出そろっていないため、安価なノートPCは引き続き第13世代 Core(Raptor Lake)が中心です。

Core Ultra のピーク性能がそれほどではなく、内蔵グラフィック機能も真価を発揮できていないため、Ryzen(Zen4)を搭載するノートパソコンも拡大傾向にあり、Ryzen 7040 シリーズと Ryzen 8040 シリーズの新型機も増えています。

よって現在のノートパソコン市場は、どれが主流とは言えない混在状態
一方、デスクトップパソコンは完全に第14世代 Core の時代となりました。

今後については、Intel も AMD も AI 事業に集中しており、個人向けの製品については情報がないというか、アピールが見られません。
Intel はファウンドリ事業(CPU生産)にも注力していて、企業向けのアピールが増えていますが、個人向けは二の次といった雰囲気。

4月8日、Intel は「Intel Vision 2024」というイベントを開催、データセンター向けのAI用GPU「Gaudi 3」の発表や、サーバー向けCPU「Xeon」の新型(第6世代)を発表しましたが、いずれも企業向けです。

4月2日にファウンドリ事業に関するレポートも公開していますが、今後のCPUの開発計画については、2月に発表されたものと変わりはありません。

Drive Forward Moores Law Beyond 5 Nodes in 4 Years

Path Back to Leadership
Intel IR Calender より。画像クリックで拡大表示

今回の発表ではオランダの ASML から購入した新型製造装置(High NA EUV 露光装置)が公開されており、それを使って生産される Intel 14A を特にアピールしています。

これまでの情報によると、今年後半に Intel 20A の設計でデスクトップ用の Core Ultra となる「Arrow Lake」が登場し、さらに年末にノート用の省電力CPU「Lunar Lake」が発売され、2025年に Intel 18A の設計で「Panter Lake」が登場。
High NA EUV で製造される Intel 14A の製品(Nova Lake?)は、そのあとに出てくるものと見られます。

なお、Intel がファウンドリ事業のアピールを盛んに行っているためか、台湾の TSMC も今後の計画を発表していて、TSMC A16 や、価格を安くした TSMC N4C などを発表しました。

AMD が今年発売する予定の「Zen5」の Ryzen や、NVIDIA のAI用 新型GPU「Blackwell」は TSMC N4P という 4nm のプロセスルールで製造されるようですが、N4C はそれを小型化(ダイシュリンク)して安くしたもの。
2nm 世代の TSMC A16 は、名前からして Intel 18A の対抗版といった感じです。

2025年に出てくる予定の Zen6 は、TSMC A16 の 2nm CPU になる…… かもしれませんが、Apple などの競合他社も TSMC の製造ラインを使うので、どうなるかは交渉次第と言ったところでしょうか。

なお、ASML は High NA EUV 露光装置の2台目を出荷したと発表したのですが、1台目の Intel 向けとは異なり、どこに送ったのか明らかにしていません。
TSMCだ、サムスンだ、実は日本のラピダスだ、とか噂が飛び交っていますが、まだ不明です。

他の話題として、Intel の第13世代 Core と第14世代 Core のK付きCPUで、不安定になったり、エラーを出すなどのトラブルが続発、4月に問題になっていました。
ただ、これは行き過ぎたオーバークロック(OC)が原因だったようです。

最近のOC仕様のマザーボードは速度アップを優先するあまり、安全機能を無効化したり、投入電力を無制限にするのが常態化していたようです。
それらに加え、最新のOC技術と強力な新型クーラーを駆使すれば、規格外の大電力で長時間動かすことが可能だったようで、でもCPUはそれに耐えられず、寿命が超速で縮んでいった、ということだった模様。

「OC用のCPUでOCしたら壊れるのはおかしい」という意見もありますが、Intel はこれを不具合とは認めておらず、むしろ ASRock や ASUS などのマザーボードメーカーに「お前らいい加減にしろ! 電力無制限とかヤメロ!」と通達を出しています。
(すでに BIOS 更新での対応を開始)

なまじOC耐性があるが故に…… ということでしょうか。 まあ、やり過ぎたらこうなりますね。
普通の使い方をしている人には関係のない話です。

以上、パソコンを買う際の参考にして頂ければと思います。
ただ、パソコンは第14世代のCPUを待っていたら新型が発表され、新型が出た頃には次世代の話が出てくるというように、待っていたらキリがありませんが……


※2024年4月8日版

Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。

ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。

CPUロードマップ(2024年4月)

3月に入り、DELL、HP、レノボ、ASUS などの大手各社が続々と Core Ultra(Meteor Lake)搭載の新型ノートPCを発売しています。
さらに、AMDの新型ノート用CPUである Ryzen 8040 シリーズ(Zen4 Hawk Point)を搭載する製品も出始めました。

国内のメーカーも、パナソニック(レッツノート)が Core Ultra 搭載機を発売。
dynabook も Core Ultra 搭載機を発表しており(発売は4月下旬)、新CPUへの移行の兆しが見えています。

デスクトップパソコンは、すでに第14世代 Core(Raptor Lake Refresh)が主力。
現在のパソコン市場は、これら新CPUへの移行期にあります。

とは言え、第13世代 Core のノートパソコンの新製品も登場しており、安価機を中心に、こちらもまだまだ使われ続けそうです。
ここに来て Ryzen 7040 シリーズ(Zen4 Phoenix)の新型もちらほら見られます。

ノートPC用の第14世代 Core HX シリーズは、DELLのエイリアンウェアの新型が搭載。
安価な省電力CPUの Core U シリーズ1 も、DELLの安価ノートで選択可能になっています。
ただ、4月初頭時点では、他のメーカーではまだ見られません。
昨年に続き、DELLは新CPUの搭載が非常に速いです。

今後についてですが、噂は飛び交っているものの、確証のある新情報はありません。

Intel は今年中にデスクトップ用の Core Ultra になると見られる Arrow Lake と、省電力性能に優れたノート用CPUの Lunar Lake を投入すると見られていますが、Arrow Lake についてはここに来て噂が二転三転しています。

設計が Intel 3 になるのか Intel 20A になるのか、裏面給電などの新技術が採用されるのかどうか、不透明な状況です。
ハイパースレッディングが廃止されるという話もありますが、まだ噂の段階。
そろそろ生産に入る時期ですが、まだ最終決定していないのかもしれません。

Lunar Lake はメモリをCPU内に同梱するという話が出ています。
これによりメモリの交換ができなくなりますが、データの転送速度が向上するとのこと。
Intel 18A という設計で作られると言われていましたが、まだ確定はできません。

Intel はこのひと月、公式発表がなく、各所で「AI PC」をアピールするイベントを開催して Core Ultra の販促に力を入れていますが、それ以外に目立った動きはありません。

ただ、3月20日に米政府が85億ドル(日本で約1.3兆円)の追加支援を Intel に行うというニュースがあり、CPUの開発もより進むものと期待されています。

一方で、オハイオ州で建設中の Intel の新工場と、アリゾナで建設中の TSMC の新工場は、補助金がなかなか来ないとか、人材が足りないとかで、建設が大幅に遅れています。
また、昨年のファウンドリ(CPU生産)事業が大幅な赤字となったことが明らかになり、株価が急落しています。

なお、Intel は Core Ultra の製品リストに Core Ultra 5 115U という、性能が低めのモデルをこっそり加えています。
実質 Core Ultra 3 と言える性能ですが、Core Ultra に 3 はないと明言されていたためか、名前は 5 になるようです……
(詳細は こちらのリスト に加えています)

AMD は、中国で行われた「AI PC Summit 北京 2024」というイベントに出席。
2024年度中に Zen5 を公開し、Ryzen AI の強化(XDNA2)と、CPU内蔵グラフィック機能の強化(RDNA3+)を行うとコメントしました。
目新しい発表ではありませんが、スケジュールに変更がないことを確認できます。

Zen5 の登場は今年の後半から年末になると見られています。

Zen CPU Core Roadmap
AMD中国より。画像クリックで拡大表示

ただ、このイベント後に中国政府はAMDの製品を政府機関の機器から排除することを発表、株価の急落を招いています。
急に中国からはしごを外された格好ですが、どういう事情かはわかりません……

そして2024年3月に入り、昨年末に発表されたノートPC用の新型CPU「Ryzen 8040 シリーズ」の普及がようやく始まっています。

Ryzen 8040 シリーズのラインナップは以下の通りです。

製品名 コア数
スレッド
クロック数 TDP L2
キャッシュ
共有(L3)
キャッシュ
内蔵GPU NPU
Ryzen 9 8945HS 8コア
16スレッド
4.0~5.2GHz 45W
35~54W
8MB 16MB Radeon 780M
12コア 2.8GHz
16 TOPS
Ryzen 7 8845HS 8コア
16スレッド
3.8~5.1GHz 45W
35~54W
8MB 16MB Radeon 780M
12コア 2.7GHz
16 TOPS
Ryzen 7 8840HS 8コア
16スレッド
3.3~5.1GHz 28W
20~30W
8MB 16MB Radeon 780M
12コア 2.7GHz
16 TOPS
Ryzen 7 8840U 8コア
16スレッド
3.3~5.1GHz 28W
15~30W
8MB 16MB Radeon 780M
12コア 2.7GHz
16 TOPS
Ryzen 5 8645HS 6コア
12スレッド
4.3~5.0GHz 45W
35~54W
6MB 16MB Radeon 760M
8コア 2.7GHz
16 TOPS
Ryzen 5 8640HS 6コア
12スレッド
3.5~4.9GHz 28W
20~30W
6MB 16MB Radeon 760M
8コア 2.6GHz
16 TOPS
Ryzen 5 8640U 6コア
12スレッド
3.5~4.9GHz 28W
15~30W
6MB 16MB Radeon 760M
8コア 2.6GHz
16 TOPS
Ryzen 5 8540U 6コア
12スレッド
3.2~4.9GHz 28W
15~30W
6MB 16MB Radeon 740M
4コア
なし
Ryzen 3 8440U 4コア
8スレッド
3.0~4.0GHz 28W
15~30W
4MB 8MB Radeon 740M
4コア
なし

設計(アーキテクチャ)はすべて最新の Zen4 Hawk Point
製造プロセスは 4nm、使用するメモリは DDR5 か LPDDR5x。PCIe は 4.0 です。

昨年発売された Zen4 Phoenix のマイナーチェンジであり、Ryzen 9 8945HS を検証してみましたが、Intel Core と比べてマルチコアで勝り、シングルコアで劣る、いつも通りの関係。
省電力性能に優れており、LP-Eコア のある Core Ultra に勝るとも劣りません。

Ryzen 7 8840 の HS と U、Ryzen 5 8640 の HS と U はほとんど同じに見えますが、U には温度に余裕があるときに投入電力を引き上げる Precision Boost Overdrive(PBO)という機能がありません。
よって(冷却が十分なら)高負荷時のパワーには差が生じます。

内蔵グラフィック機能は、Intel Arc のため実力を発揮できていない Core Ultra より、現時点で明らかに勝ります。
詳しい検証結果は こちら の搭載機のレビューをご覧ください。

また、AMDは3月末に新しいモバイル向けCPUをこっそり発売して話題になっています。
Ryzen 7 7435HS と H、さらに Ryzen 5 7235HS と H の4種類で、すべて設計(アーキテクチャ)は Zen3+。

製品名 コア数
スレッド
クロック数 TDP L2
キャッシュ
共有(L3)
キャッシュ
内蔵GPU NPU
Ryzen 7 7435HS/H 8コア
16スレッド
3.1~4.5GHz 45W
35~54W
4MB 16MB なし なし
Ryzen 5 7235HS/H 4コア
8スレッド
3.2~4.2GHz 45W
35~54W
4MB 8MB なし なし

下位の安価モデルのようで、内蔵グラフィック機能がなくなっています。
また、昨年発売の Ryzen 7 や Ryzen 5 よりクロック数が少し低く、Ryzen 5 7235HS/H はコアも6つから4つに減少、キャッシュも減っています。

ただ、話題になっている理由は性能ではなく、その型番。
AMDは型番の千の位を発売年度(2024年なら8)、百の位をグレード(Ryzen 5なら5)と決めていたのですが、このCPUは2024年発売の Ryzen 5 でも 7235 というルール無視のナンバーになっていて、自ら命名規則を破っています。

とは言え、Ryzen の型番が変則的なのは前からだし、規則通りに 8535 にしたら下位なのに 7535 の新型みたいに見えて、また「初心者騙し」と思われかねないので、はっきり下位だとわかる数字にしたのは良心的なのかな、とも思います……

H と HS の違いは、H がオーバークロック対応版、HS は非対応版というのみ。
基本性能に違いはありません。
ビデオカードが必須なので、安価なゲーミング/クリエイターノート向けの製品と思われます。

ちなみに、CPUとは直接関係ないのですが、AMDはソニーと自動車用センサーの開発で協業することを発表しています。

なお、4月3日の朝、台湾で震度6強の大きな地震があり、TSMC の従業員が一時的に避難していましたが、工場などに大きな被害はなかった模様。
台湾には TSMC の他に、PCメーカーの Acer、液晶メーカーの AUO や Innolux、半導体生産の UMC など、多くのPC関連企業がありますが、生産への影響は少ないと思われます。


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CPU の基本説明は こちら、用語については こちら で解説しています。
メモリなど、他のパーツについては カスタマイズについて のページをご覧ください。