Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。
ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。
9月24日、Intel のノートPC用 最新CPU「Lunar Lake」こと「Core Ultra 200V シリーズ」の市場投入が始まりました。
9月27日に発売された Dell の XPS 13 を皮切りに、10月3日には ASUS が、10月4日に Lenovo が、続々と搭載機を発売します。
HP もアメリカでは Core Ultra 200V 搭載機を販売開始しており、さすがに投入ペースは Snapdragon X や Ryzen AI 300 を上回ります。
価格は Dell の XPS 13 は Core Ultra 5 搭載でも約26万円からと高額ですが、ASUS の Zenbook S 14 は約22万円からと、他の第二世代の AI PC より一回り安いです。
レノボの Yoga Slim 7i は約25万円から。
ただ、当初考えられていた「Ryzen AI はハイスペック機向け、Lunar Lake は低価格機向け」という形にはならなさそうで、この価格だとどちらもハイスペック機向けとなりそうです。
一方で、クアルコムが9月、Snapdragon X Plus の廉価型である X1P-46、X1P-42 を発売。
性能は初代の Core Ultra 7 と同等ですが、10万円台の搭載PCも登場しており、次世代 AI PC の低価格機を担おうとしています。
ただ、ARMプロセッサである Snapdragon X は ARM版Windows のため、動かせるソフトウェアが少ない難点があります。
よってノートパソコンの低価格帯のCPUは当面、初代の Core Ultra や、第13世代 Core、Ryzen 7000/8000 が、引き続き主流を務めそうです。
Core Ultra 200V(Lunar Lake)の概要については、先月の記事をご覧ください。
以下の画像はベンチマークソフト Geekbench のサイトに自動登録されていた、ASUS の新型 Core Ultra 7 搭載機の測定結果。
他のCPUのデータは こちら にあるので、比較の参考にして頂ければと思います。
Lunar Lake が無事に発売されたため、巷の話題は Intel の次期デスクトップ用CPUである「Arrow Lake」に移っていますが……
9月6日に「Arrow Lake に Intel 20A は適用されない」という正式な発表が行われたことで、これまでのスペックに関する情報は無意味となり、巷の噂などもすべて覆され、10月に発売されると言われているにも関わらず、詳細は不明になっています。
名前は Core Ultra 200 シリーズ(Vがない)になりそうです。
Arrow Lake は Meteor Lake のデスクトップ版と言われており、10月10日に詳細が発表され、10月24日に発売される、と今のところ言われています。
Intel 20A で導入される予定だった新技術は来年発売予定の Intel 18A に繰り越しとなり、Arrow Lake は TSMC の 3nm プロセスで生産される、既存技術の製品となりそうです。
ただ、それはそれで、新製品が抱えるトラブルの少ない安定したものになりそうです。
いずれにせよ、詳細が発表されると言われている10日は間近ですので、それを待ちたいところ。
なお、10月には愛好家向けのK付きモデルのみ発売され、一般向けは来年1月になると言われています。
これは過去のデスクトップ用CPUがそうだったので、今回も同様だと思われます。
AMD は、Ryzen AI 9 より上位のノート用CPUである Ryzen AI Max と Ryzen AI Max+ を開発しているという噂が流れています。
一方で、Ryzen AI 7 Pro 160 という名前がベンチマークソフト Geekbench の自動登録に見られ、Ryzen AI 7 の開発も進んでいることが伺えます。
Geekbench のテストはレノボの試作機で行われたようです。
マルチコアのスコア11800は、初代 Core Ultra 7 と同等。
シングルコアの2520は初代 Core Ultra はもちろん、Snapdragon X Elite を超えますが、Core Ultra 7 200V には届いていません。
もちろんまだ開発中なので、今後さらに伸びる可能性はあります。
AMDも10月10日にイベントを実施予定で、ここで新しい発表が行われるかもしれません。
ただ、このイベントは AI 関連のもので、企業向けの AI アクセラレーターやサーバー用CPUの発表が中心と思われ、個人向け製品の話は少ないと思われます。
以上、パソコンを買う際の参考にして頂ければと思います。
ただパソコンは、第14世代のCPUを待っていたら新型が発表され、新型が出た頃には次世代の話が出てくるというように、待っていたらキリがありませんが……
現在おすすめのパソコンは、ノートPCは こちら、ゲーミングPCは こちら をご覧ください。
CPU の基本説明は こちら、用語については こちら で解説しています。
CPUの性能一覧グラフは こちら、ビデオカードの性能一覧グラフは こちら です。
(以下は過去ログです)
※2024年9月1日、4日、6日版
Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。
ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。
8月、ようやくAMDの最新設計 Zen5 のノートパソコン用CPU「Ryzen AI 9 300 シリーズ」と、デスクトップ用CPU「Ryzen 9000 シリーズ」が市場投入されました。
9月初頭の時点では Ryzen AI 9 300 シリーズを搭載するノートパソコンは ASUS しか発売していませんが、機種は多いです。
その能力は素晴らしく、事前のアピール通り電力効率に優れており、低い電力で高い性能を発揮できます。
また、内蔵グラフィック機能も新型で、ビデオカードなしでも相応にゲーム等を動かせます。
詳しい検証データは 搭載機のレビュー の CPU と GPU の項目をご覧ください。
ただし、価格は高く、搭載機の多くは30万円以上で、当面は高級機向けと言えます。
まだ Ryzen AI 7 などの安価モデルの情報は出ていません。
デスクトップ用の Ryzen 9000 シリーズは初期出荷分の回収・再検査があった影響もあり、まだほとんど出回っていません。
また、巷の評判はあまり良くないようです。
ただ、電力効率は優れているようで、評判が良くないのはいち早く Ryzen 9000 を入手するような AMD ファンは自作マニアの方が多く、そうした方の多くはオーバークロック時のピーク性能を重視するため、ビーク性能よりも電力効率重視の Zen5 とはマッチしていない、というのがありそうです。
初期の基準TDP(投入電力)が低すぎたのもあったようです。
しかし一般ユーザーにとっては、低めの電力で静かに性能を出せる効率重視の方が良いはず。
ともあれ、日本ではまだ入手困難なので、それ以前の段階です。
主要メーカーで搭載機が出荷されるようになるのは、早くて9月中旬以降になると思われます。
このような状況のため、主要メーカーのラインナップは(ASUS 以外)あまり変わりません。
ノートパソコンは第13世代 Core と Ryzen 7000 & 8000(Zen3+ と Zen4)が中心。
ただ、Copilot+ PC 認定をほぼ独占している Snapdragon X 搭載機も増えています。
デスクトップパソコンは次世代(Ryzen 9000 と Arrow Lake)に移行する直前と言えます。
今後のCPUの開発・発売予定ですが……
【 9月4日 Lunar Lake について追記 】
インテルが現地時間9月3日、ドイツの消費者向け家電展示会 IFA 2024 で前講演を実施。
ここでノートパソコン用の新型CPU「Lunar Lake」こと Core Ultra 200V(シリーズ2)の発表を行いました。
まず講演の冒頭で、ロングバッテリー、低発熱で静音、高いセキュリティが大きな長所であるとアピールされていました。
この辺は以前からの発表通りと言えます。
コア構成は Pコア4、Eコア4 の 8スレッドで、ハイパースレッディングは廃止されており、シングルコア重視の設計であることが伺えます。
省電力メモリである LPDDR5x-8533 を一体化しており、より高速なメモリアクセスが可能。
これとは別に、8MB の「メモリーサイドキャッシュ」を持つ模様。
第一世代の Core Ultra と比較して、処理速度は18%高速、GPU(内蔵グラフィック機能)は30%強化、Eコアは50%省電力化、電力効率は2倍、AI性能は3倍になったとのこと。
コアごとの性能は、Pコアは電力効率が15%アップ、同クロックでの性能は14%アップ。
EコアはAIを活用した分岐予測や効率化がより広く、深くなったとのことで、なにやら抽象的ですが、それらも含めて+68%ほど性能が上がっているとアピールされています。
通信はもちろん Wi-Fi 7 に対応、Bluetooth も最新の 5.4。
PCIe 5.0 にも対応しています。
GPU(内蔵グラフィック機能)については、先行している Snapdragon X Elite や Ryzen AI 9 HX370 との比較を交えた、対抗心にあふれる発表となっていました。
GPUの設計は「Xe2」と呼ばれる新型で、引き続き Intel Arc をベースとしたものになります。
レイトレーシングと XeSS、さらに XMX エンジンと言う GPU を AI に活用しやすくする機能が含まれており、これにより GPU だけで 67TOPS のAI性能を発揮できるとのこと。
NPU は48TOPS なので、合わせて約120TOPSになると述べられています。
また、VVC という新しいビデオコーデックに対応します。
ゲーミング性能は Ryzen AI 9 HX370 や Snapdragon X Elite との比較プレイ動画が流され、ゲーム Dota 2 で Snapdragon が57W前後で約70fps、Ryzen AI 9 が42W前後で約77fpsだったのに対し、新型 Core Ultra 9 は約80fpsを30Wで出しています。
GPUの電力効率は Ryzen AI 9 HX370 より35%高く、Snapdragon X Elite より2倍以上高いとされています。
もちろんゲームにもよると思いますし、動作速度の平均のアベレージでは Ryzen AI 9 HX370 との比較で+16%であったとのこと。
発表されたグラフをよく見たところ、日本でメジャーな作品は以下のようになっていました。
- Ghost of Tsushima
Core Ultra 155H:27fps、Ryzen AI 9 HX370:30fps、Core Ultra 9 288V:37fps、Core Ultra 9 288V+Xess:49fps
(当方で計測:Ryzen AI 9 HX370+FSR3:40~45fps) - 龍が如く8
Core Ultra 155H:31fps、Ryzen AI 9 HX370:32fps、Core Ultra 9 288V:43fps、Core Ultra 9 288V+Xess:70fps
(当方で計測:Ryzen AI 9 HX370+FSR3:60fps) - ファイナルファンタジー14
Ryzen AI 9 HX370:45fps、Core Ultra 9 288V:68fps - マインクラフト
Ryzen AI 9 HX370:111fps、Core Ultra 9 288V:92fps - GTA V
Ryzen AI 9 HX370:141fps、Core Ultra 9 288V:137fps
Ryzen AI が勝るタイトルもあるのですが、Core Ultra 200V が一回り高いタイトルが多いようです。
さらにゲーム以外でも、多くのソフトウェアが最適化されており、AI 機能も快適に動作すると述べられています。
これは、多くのソフトウェアが動作しない ARM プロセッサの Snapdragon X に対する優位性アピールですね。
ソフトウェア使用時のバッテリー駆動時間でも、Ryzen AI 9 HX370 や Snapdragon X Elite に勝るとされています。
今回の講演で印象的だったのは Microsoft、Google、Dell、HP、Lenovo 等、名だたるメーカー関係者がこぞって登壇していたこと。
特に Microsoft は「これで Copilot+ PC がさらに便利になる!」といったアピールをしており、それは性能は十分なのにいまだに Copilot+ PC 認定を貰えない AMD Ryzen との、交渉力の差のようなものを感じてしまいます。
ともあれ、Core Ultra 200V シリーズ搭載機は普通に Copilot+ PC の認定を受けられるようで、それは Copilot+ PC 用に用意された新機能を利用できることを意味します。
「Core Ultra 200V シリーズなら AI 性能で MacBook Air M3 に2.5倍の差をつける!」みたいなコメントもありました。
発売日は9月24日。
これは中止されてしまったインテルのイベント Intel Innovation 2024 の開催日。
やはりこのイベントに合わせて発売する予定で、それはイベントが中止になっても変わっていないようです。
ラインナップは以下のようになっています。
製品名 | Pコア クロック数 |
Eコア クロック数 |
メモリ | キャッシュ | GPU | AI | TDP |
Core Ultra 9 288V | 3.3~5.1GHz | 3.3~3.7GHz | 32GB | 12MB | Intel Arc 140V 8コア 2.05GHz |
NPU 48TOPS GPU 67TOPS |
17W~30W (Max37W) |
Core Ultra 7 268V | 2.2~5GHz | 2.2~3.7GHz | 32GB | 12MB | Intel Arc 140V 8コア 2GHz |
NPU 48TOPS GPU 66TOPS |
8W~17W (Max37W) |
Core Ultra 7 266V | 2.2~5GHz | 2.2~3.7GHz | 16GB | 12MB | Intel Arc 140V 8コア 2GHz |
NPU 48TOPS GPU 66TOPS |
8W~17W (Max37W) |
Core Ultra 7 258V | 2.2~4.8GHz | 2.2~3.7GHz | 32GB | 12MB | Intel Arc 140V 8コア 1.95GHz |
NPU 47TOPS GPU 64TOPS |
8W~17W (Max37W) |
Core Ultra 7 256V | 2.2~4.8GHz | 2.2~3.7GHz | 16GB | 12MB | Intel Arc 140V 8コア 1.95GHz |
NPU 47TOPS GPU 64TOPS |
8W~17W (Max37W) |
Core Ultra 5 238V | 2.1~4.7GHz | 2.1~3.5GHz | 32GB | 8MB | Intel Arc 130V 7コア 1.85GHz |
NPU 40TOPS GPU 53TOPS |
8W~17W (Max37W) |
Core Ultra 5 236V | 2.1~4.7GHz | 2.1~3.5GHz | 16GB | 8MB | Intel Arc 130V 7コア 1.85GHz |
NPU 40TOPS GPU 53TOPS |
8W~17W (Max37W) |
Core Ultra 5 228V | 2.1~4.5GHz | 2.1~3.5GHz | 32GB | 8MB | Intel Arc 130V 7コア 1.85GHz |
NPU 40TOPS GPU 53TOPS |
8W~17W (Max37W) |
Core Ultra 5 226V | 2.1~4.5GHz | 2.1~3.5GHz | 16GB | 8MB | Intel Arc 130V 7コア 1.85GHz |
NPU 40TOPS GPU 53TOPS |
8W~17W (Max37W) |
コア数は前述した通り、すべて Pコア4、Eコア4 の8スレッドです。
CPUコアのプロセスルールは TSMC の 3nm(N3B)。
型番の下一桁が8だとメモリ32GB、6だとメモリ16GBの模様
Core Ultra 7 と Core Ultra 5 の違いはキャッシュとGPUのコア数です。
TDP は Core Ultra 9 以外 8W~17W で、従来の省電力型(U)に相当するレベル。
Core Ultra 9 でも 30W ですから、第一世代 Core Ultra の標準型ぐらいであり、前評判に違わない省電力CPUですが、それでどのぐらいの実性能を出せるのか、興味深いところです。
そして一番気になるのは…… 価格ですね。
性能が優れていても、あまりに高いようだと手を出せません。
省電力重視のタイプなので、あまり高価ではないと思いたいですが……
これはばかりは発売日が近づかないと、わかりませんね。
今回の講演の模様は Youtube の こちら のページで公開されています。
Intel のニュースリリースは
こちら、日本語の公式 Core Ultra(シリーズ2)概要ページは こちら をご覧ください。
次期デスクトップ用CPU「Arrow Lake」についての話は伝わってこないので、講演では言及はなかったようです。
巷では Arrow Lake は10月に登場するという見方が有力です。
【 9月6日 Arrow Lake について追記 】
9月5日、インテルは Arrow Lake に Intel 20A は適用されないことを発表しました。
これは噂ではなく、すでに公式発表です。
Intel 20A はインテルの新しいCPUの設計(プロセスルール)になる予定でした。
市場ではこの発表を昨今のインテルの株価暴落に結びつけており、インテルの更なる凋落として報じられています。
ただ、Intel 20A は今年2月のロードマップの発表で出てきて以降、まったく続報がなく、インテル自身も来年発売される予定の Intel 18A ばかりアピールしていたので、本当に Arrow Lake が Intel 20A で作られるのか? そもそも Intel 20A の計画は進んでいるのか? というのは疑問に思われていました。
ですから Intel 20A のキャンセルはそれほど意外ではないのですが、しかし 18A へと続く新設計のCPUとしての Arrow Lake の魅力が薄れたのは確かで、残念に思わずにはいられません。
とは言え、新設計の製品というのはトラブルの塊だったりもするので、既存技術の延長で作るというのは、それはそれで安心感はありますが。
インテルの説明では、Intel 18A の開発が順調なので、Intel 20A にリソースを割くのは賢明ではないと判断したとしており、妥当な話ではあります。
Arrow Lake は Meteor Lake のデスクトップ版で、Microsoft が Copilot+ PC や次期 Windows で要求している NPU 40TOPS はどのみち達成できないから、との説も出てきています。
Ryzen 9000 シリーズも NPU はありませんし、考えられる話です。
Intel 20A で導入される予定だった、全周検知が可能なトランジスタ RibbonFET、基板の裏から給電を行える技術 PowerVia は、Intel 18A に反映されるとのことです。
巷ではこの発表を、決算の赤字を受けての支出削減計画のひとつだと見ています。
なお、インテルの企業向けの取り組みについては、IBM がインテルのAIアクセラレータ(Gaudi 3)を導入する、ファウンドリ(半導体製造部門)の分社化および売却を検討する、といった話が出ています。
ただ、ファウンドリ売却の噂は出所の信憑性が疑問なので(ブルームバーグの匿名の関係者の話)、まだ鵜呑みにしない方が良いでしょう。
AMD は、CPUに「Sinkclose」と呼ばれる脆弱性があると指摘され、話題になっていました。
これは2006年以降に発売されたすべての AMD の CPU に影響するセキュリティの問題です。
悪用するのは困難な脆弱性で、個人のレベルで気にするようなものではないのですが、企業では懸念されています。
これに対するマザーボードの修正パッチは、一部のメーカーで公開がすでに始まっています。
当初は Ryzen 3000 シリーズは修正対象外とされていたのですが、のちに対象になることが発表されました。
AMD は Zen5 を発売したばかりですから、他にはこれと言った公式発表や噂はありません。
個人向けCPUの話ではないのですが…… 8月末、ビデオカードのメーカー NVIDIA が決算発表を行いました。
2024年の第2四半期(5月~7月)の総売上は約300億ドル、純利益は実に約166億ドルと、共に市場予測を上回る、非常に好調なものとなっています。
セグメント(業種)別の前期からの売上推移は以下の通りです。
データセンター向け製品:Q1 226億ドル → Q2 263億ドル
ゲーミング&個人向け製品:Q1 26億ドル → Q2 29億ドル
プロクリエイター向け製品:Q1 4.3億ドル → Q2 4.5億ドル
自動車&ロボット分野:Q1 3.3億ドル → Q2 3.5億ドル
先月お伝えした通り、インテルの総売上は127億ドル、AMDは55億ドル。
NVIDIAはデータセンター向けのAIアクセラレータだけで260億ドルを超えているので、いかに今のAI分野が大きいか、半導体産業がAIに傾倒しているかが伺えます。
個人PCユーザーとしては、NVIDIA はビデオカード GeForce のメーカーだったのですが、今やその売り上げはAIの9分の1に……
もう完全に企業向けAIの会社になったんだなぁ、と感じます。
ただ、次期データセンター向けAIアクセラレータ「Blackwell」の登場が遅れるようで、来季の予測が芳しくないため、好決算でありながら株価は下落しています。
次の GeForce も Blackwell がベースになると言われているので、それが遅れるということは、GeForce 5000 シリーズの登場も遅くなるかもしれません。
NVIDIA公式の決算報告は こちら をご覧ください。
※2024年8月1日版
Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。
ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。
7月はAMDの最新設計 Zen5 のノートパソコン用CPU「Ryzen AI 9 300 シリーズ」と、デスクトップ用の最新CPU「Ryzen 9000 シリーズ」が登場するはずだったのですが……
どちらもまだ、市場投入されていません。
ノート用の Ryzen AI 9 300 シリーズは公開日が7月15日から28日に延期。
また、16型ゲーミングノート(TUF Gaming A16、Zephyrus G16)や13型クリエイターノート(ProArt PX13)の発売を予定している ASUS は発売日を8月中と発表しており、HPもビジネス向けの搭載機(OmniBook Ultra [PR])を発表しましたが、9月発売の予定。
Dell、レノボ、Acer も搭載機を出す予定ですがまだ発表はなく、よって実際の投入日は8月以降となります。
価格はやはり高く、HP の OmniBook Ultra 14 は最安モデルでも約30万円で、Snapdragon X Elite 搭載の同型機が約25万円なことを考えると、割高感はあります。
ただ、Snapdragon X は動かないソフトウェアが多いため、そうした短所のない Copilot+ PC(次世代AIノート)対応CPUとしては最初の製品となります。
性能重視のCPUであるため、今のところゲーミングノートやクリエイターノート、高級ビジネスモデルに使われています。
Zen5 のデスクトップ用CPU「Ryzen 9000 シリーズ」も7月末に発売される予定だったのですが、初期ロットの品質に問題があった(基準を満たさないものがあった)とのことで、初期生産品の全回収と再検査のため、発売日は8月上旬から中旬以降に延期されました。
Ryzen 5 / Ryzen 7 は8月8日、Ryzen 9 は8月15日に発売すると述べられていますが、この調子だと初期の製品数は少なめになりそうです。
We appreciate the excitement around Ryzen 9000 series processors. During final checks, we found the initial production units that were shipped to our channel partners did not meet our full quality expectations. Out of an abundance of caution and to maintain the highest quality…
— Jack Huynh (@JackMHuynh) July 24, 2024
日本に入ってくるのは海外で発売されたあとなので、出回るのは9月以降になるかもしれません。
性能に関しては「Zen5 は Zen4 より同クロックで最大16%性能が向上している」と述べられており、Ryzen 9000 シリーズのリーク情報でも約10%アップというベンチマーク結果が出ている模様。
ただ、Ryzen 9000 はどちらかと言うと電力効率の向上が注目で、従来より低い電力で高い性能を発揮できるようになっています。
低電力なら発熱も低いと思われますが…… この辺は実際の製品で確認したいところ。
価格は Ryzen 7000X シリーズより安くなると言われていますが、円安の影響があるため、日本での実売価格がどうなるかはまだわかりません。
結果、新しいCPUは7月中に登場しなかったため、現在のパソコン市場は依然、ノートパソコンは第13世代 Core と Zen3+ & Zen4 の Ryzen が中心、デスクトップパソコンは第14世代 Core が中心です。
ただ、新CPU登場前夜という状況であり、Copilot+ PC は Snapdragon X の独占状態です。
Intel は、Raptor Lake(第13/14世代 Core)のデスクトップ用K付きCPUがオーバークロック時に故障することがある問題について、発表を行いました。
CPUを動かすプログラム(マイクロコード)にバグがあり、誤った高電圧が流れることがあったのが原因と述べられており、修正パッチを8月中旬に提供するとしています。
多少の高電圧が流れてもすぐ壊れたりすることはありませんが、K付きCPUで限界までオーバークロックしている場合、この高電圧で限界を超えることがあったようで、それがK付きCPUや、電力設定が無制限の場合に問題が発生していた理由であったようです。
修正パッチはK付きだけでなく、すべての第13/14世代 Core に対して行われるようです。
ただ、一般的な状態で使っているCPUで、この問題が発生することはまずありません。
巷にはかなり扇動的な話が流れていたりしますが、惑わされないようにしましょう。
一部でノートパソコンでも発生したといった噂が流れていますが、もし本当だったとしても、そうした例は極少数だと思われます。
(ただしノート用のK付きと言えるHXモデルで過度なオーバークロックをしていれば、発生しても不思議ではなさそうです)
9月に発売されると言われているノート用CPUの Lunar Lake や、10月登場予定と言われているデスクトップ用CPUの Arrow Lake についての新しい話は、特にありません。
ただ、Lunar Lake の詳細は9月3日に、ドイツで開催される IFA 2024 というイベントの前講演で発表されるとのことです。
また、Intel は9月24~25日にカリフォルニアで Intel Innovation 2024 というイベントを実施予定で、Lunar Lake はその直前に搭載機が発売、Arrow Lake はそのイベントで詳細が発表されるものと見られています。
【 8月3日 追記】
7月末から8月初頭にかけて、インテルやAMDなどの半導体メーカーの第2四半期の決算が発表されています。
そしてこれにより、インテルの株価が約半世紀ぶりという大暴落となり、報道や各メディアで大きく報じられています。
売上高は第1四半期(1月~3月)が約127億ドル、第2四半期(4月~6月)が約128億ドルと、ほとんど変わっていないのですが、収支は第1四半期が約4億4千万ドルの赤字だったのに対し、今期は約16億ドルの赤字と、2期連続赤字なうえに、収支は一気に悪化。
これを受け、インテルは15%の人員削減、設備投資や営業経費の削減、さらに株式の配当なしなどの支出削減計画を発表。
しかし市場予測を大きく超える赤字だったうえに「無配」となったため、インテルの株は一気に売られ、稀に見る大暴落となってしまったようです。
巷ではインテルショックなどと呼ばれており、それでなくても中国への半導体輸出規制の強化によって半導体関連の株が軟調であったため、市場全体への余波が懸念されているようです。
なお、セグメント(業種)別の売上推移は以下の通りです。
・個人向けコンピューター:Q1 75億ドル → Q2 74億ドル
・データセンターとAI:Q1 30億ドル → Q2 30億ドル
・ネットワーク関連:Q1 14億ドル → Q2 13億ドル
・ファウンドリ(半導体製造):Q1 44億ドル → Q2 43億ドル
個人向けコンピューター(Core シリーズ)は前年比9%アップで好調なのですが、いま注目されているデータセンターとAI部門の売り上げが延びていない模様。
そして高価な製造装置(高NA EUV露光装置)の導入など、強く推進しているファウンドリ部門が、まだ設備投資の段階なので仕方ないのですが、支出の割に利益を出せておらず、収支の足を引っ張っています。
ただ、将来のことを考えれば半導体工場の拡張は必要だと思うので、人員や設備投資の削減でそれらの動きが鈍ってしまわないか心配ですね。
一方、AMDの決算は、かなり好意的に受け止められています。
売上高は第1四半期(1月~3月)が約55億ドル、第2四半期(4月~6月)が約58億ドルで、収支は第1四半期が3600万ドルの黒字に対し、今期は2億6500万ドルの黒字となっています。
セグメント(業種)別の売上推移は以下の通り。
・個人向けコンピューター:Q1 14億ドル → Q2 15億ドル
・データセンターとAI:Q1 23億ドル → Q2 28億ドル
・ゲーミング関連:Q1 9億ドル → Q2 6.5億ドル
・組み込み機器:Q1 8.5億ドル → Q2 8.6億ドル
データセンター向けのCPU「EPYC」のセールスが好調なようで、AIアクセラレーターの販売数も急増しているとのこと。
個人向け(Ryzen)は横ばい、ゲーミング部門は下がっていますが、いま投資家はAIに大注目しているので、その点で成長著しいのが印象の良い理由のようです。
堅実に黒字を出しているのも堅調な理由でしょう。
とは言え、半導体企業の株全体が下落傾向にあり、インテルだけでなく Arm やマイクロソフトも大きく下げているため、その余波で AMD や TSMC など決算が良かった企業の株価も軒並み沈んでいます。
これらが今後の各企業の運営や開発に影響を及ぼさないか心配です。
インテル公式の決算報告は こちら を、AMD公式の決算報告は こちら をご覧ください。
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CPU の基本説明は こちら、用語については こちら で解説しています。
メモリなど、他のパーツについては カスタマイズについて のページをご覧ください。