Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。

ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。

CPUロードマップ(2023年10月)

2023年10月時点の状況は、デスクトップパソコン用のCPUは第13世代 Core(Raptor Lake)の時代と言えます。
ただ、第14世代 Core(Raptor Lake Refresh)の発売が間近に迫っています。

ノートパソコンも第13世代 Core が中心ですが、レノボグループ(レノボ、NEC、富士通)の安価機の新製品は第12世代 Core がメイン、他のメーカーでも第12世代の新製品が見られ、第11世代 Core が使われた格安機もあり、混在気味と言えます。
また、安価機やモニター一体型には Zen3 の Ryzen も多く使われています。

今後についてですが、 Intel が9月19日と20日に大規模な発表会「Intel Innovation 2023」を実施、発売が迫っている Meteor Lake の詳細と、新しい開発計画を公表しています。

ノートパソコン用の新型CPUで「Core Ultra」という名前になる「Meteor Lake」の発売日は、12月14日になると発表されました。
各メーカーがいち早く搭載ノートPCを発売したいと思っているでしょうから、搭載機の登場は早いと思われます。

Intel は「AI 時代のCPUだ」とアピールしており、NPU と呼ばれる AI 用のコアが搭載され、AI による動作や電力の効率化が行われるとのこと。
顔分析や背景ぼかしなどのオンライン会議用の機能も AI 側で行えるようです。

Intel Innovation 2023 Core Ultra

また、チップレットと呼ばれる、異なるチップを組み合わせてひとつのCPUを作る手法が使われており、Intel 4(7nm)で生産される中心部、5nm で生産される Intel Arc ベースのGPU、6nmの SoC などが組み合わせられます。

チップレット形式だと、バラバラに製造できるので歩留まり(不良品率)を大幅に改善できる反面、チップとチップの繋ぎ目で生じる遅延が問題になりますが、土台のチップの上に各チップを載せる新技術(3Dパッケージング技術 Foveros)によって対処しているとのこと。

発表会で言及はありませんでしたが、起動時間の短縮やセキュリティのために使われる4次キャッシュ Adamantine cache(アダマンタイン キャッシュ)が搭載されているとの話もあります。

さらに、次のデスクトップ用CPUと見られる「Arrow Lake」と、より省電力化されると言われるノート用CPU「Lunar Lake」、そして公式には初登場となる「Panther Lake」の発表が行われています。

Intel Innovation 2023 new roadmap

Intel 20A」と呼ばれる新しい設計で作られる Arrow Lake は、チップの裏側から給電できる「PowerVia」という技術と、電気の流れを多方向から検知できる全周ゲート型トランジスタ「RibbonFET」という技術が採用される、新型CPUとなります。
これは試作チップの製造がすでに始まっていて、2024年内に市場に投入できるとのこと。

さらに、Intel 20A を改良し、Arm プロセッサ並みの省電力化を目指しているIntel 18Aを使った Lunar Lake の開発も順調に進んでおり、2024年後半の製造開始を目指している模様。
となると、市場投入は2025年の中盤あたりでしょうか。

Panther Lake については名前が出てきただけで特に言及はなく、どのようなCPUかは不明。
ただ、噂でしかなかった Panther Lake が公式発表に出てきただけでもニュースと言えます。

そして Intel は 18A のあと、さらに3つの開発計画を立てているようです。

Intel Innovation 2023 new nodes

一方、10月中に発売されると見られている第14世代 Core「Raptor Lake Refresh」については、まるで言及がなかったようで、会場の片隅に搭載機が置かれていた程度だったようです。
Raptor Lake Refresh は供給電力を調整する DLVR という機能が備わっており、性能と電力効率が良くなると言われていますが……

性能アップは微増のようで、やはりマイナーチェンジによる Arrow Lake までの繋ぎ、という位置付けなのかもしれません。

ともあれ、発売が間近なので注目ではあります。
まずは愛好家向けのK付きモデルから発売され、一般型は年末になると見られています。
このCPUは当面、デスクトップPC用です。

また、これは将来の話ですが、CPUの基板をガラス製にする計画が発表されています。
ガラスは熱に強く、変形しにくい安定した素材であり、すでに電子機器で利用されています。
2020年代後半の採用を目指しているとのことなので、まだしばらく先ですが、これによってムーアの法則(半導体の性能は18ヶ月で倍になる、性能が高まり続けるという予測)を維持できるとしています。

他に、Thunderbolt 4 の後継となる「Thunderbolt 5」を発表。
USB4 や Thunderbolt4 の4倍となる最大120Gbpsのデータ転送速度によって、クリエイターやゲーマーが求める速度を出せる、とアピールされています。
なお、「USB4 Version 2.0」という最大80GbpsのUSB規格も進行中で、これを含む、他の接続端子との互換性も維持されるとのこと。
ただし、登場時期についての言及はありません。

Intel Innovation 2023 では他に、サーバー用CPU「Xeon」の新モデルの発表、AI開発ツール「OpenVINO」の発表などがありましたが、企業向けについてはここでは割愛します。

ただ、企業向けの「チップレット技術の標準規格を作ろう。基本技術はうちが提供するよ」という「UCIe」という取り組みの発表があり、これは今後かなり影響するかもしれません。
異なるメーカーのチップを混合しやすくなり、独自チップの開発ハードルもかなり下がると言われています。

Intel のライバルと言える AMD や Arm を含め、TSMC、Google、マイクロソフト、サムスン、クアルコムなどが参加しており、NVIDIA と中国のアリババも遅れて参入しました。
対 Apple 戦略との見方もあります。

なお、AMD については目立った動きはありません。
新しい Ryzen Threadripper の噂が出たりしていますが、公式発表はありません。

以上、パソコンをいつ買うかの参考にして頂ければと思います。
ただ、パソコンは第13世代のCPUを待っていたら第14世代の話が出てきて、第14世代を待っていたら第15世代が発表されるというように、待っていたらキリがありませんが……


現在おすすめのパソコンは、ノートPCは こちら、ゲーミングPCは こちら をご覧ください。

CPU の基本説明は こちら、用語については こちら で解説しています。
メモリなど、他のパーツについては カスタマイズについて のページをご覧ください。

(以下は過去ログです)

※2023年9月2日版

Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。

ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。

CPUロードマップ(2023年9月)

2023年9月時点の状況は、デスクトップパソコン用のCPUは第13世代 Core(Raptor Lake)の時代と言えます。

一方、ノートパソコンのCPUは、第13世代 Core の時代と言いたいところですが……
レノボ・NEC・富士通のこの夏の新製品は第12世代 Core を使用したものが多く、上位モデルは第13世代 Core ですが、一般向けや下位モデルは第12世代 Core(Alder Lake)で、使い分けられています。
さらに、第11世代 Core の新製品もちらほら見られます。

dynabook や HP など、他のメーカーでも第12世代 Core の新製品が見られるため、現在は再び第13世代 Core と第12世代 Core の混在期に戻った、という印象があります。

AMD(Ryzen)は相変わらず Zen4 が少なく、Zen3 や Zen2 が低価格の製品で使用されている状態。
全体的に、パーツが高騰する一方で、パソコン市場全体が安価モデルに移行しているように見受けられます。

新CPUに関する発表は、Intel も AMD も特にありません。
8月末にCPUの新技術発表会があったのですが、企業向けのサーバーコンピューターの技術が中心で、個人向け製品への言及はありませんでした。

Intel は9月19~20日に大規模なイベントを実施するため、10月に登場予定のデスクトップ用の新CPU「Raptor Lake Refresh」と、年内登場のノートパソコン用の新CPU「Meteor Lake」の公式発表は、そこで行われるものと見られます。

噂話として、第14世代 Core となる Raptor Lake Refresh の Core i7 は、Eコアが4つ増える(8P+8E が 8P+12E になる)のでマルチコア性能がアップしているが、Core i9 と Core i5 はコアが変わらず、第13世代と性能に大差はない、とか言われています。
ともあれ、正確なところは9月20日にわかるでしょう。

また、8月に Intel のマレーシア工場が説明会を行っており、「Intel 4(Meteor Lake の中身)は、すでに発売開始に必要な分がそろっている」というコメントがあったようです。
ノートパソコン用のCPUは、それを使った製品が突発的に出てくるので登場時期を予想することは難しいのですが、準備は万端な模様。

さらに、Intel 3(サーバー向けCPU用)の生産を今年度中に開始、2024年の前半には Intel 20A(Arrow Lake)、2024年の後半には Intel 18A(Lunar Lake)の生産が始まる計画で、予定通りに進行しているとのこと。

生産が始まって数がそろうまで半年から1年弱ほどの期間が必要で、それから数ヶ月後に販売開始となるのが通例なので、となると遅れがなければ Arrow Lake は2024年後期から2025年初頭、Lunar Lake は早ければ2025年の夏ごろの登場になるのではないかと思われます。
なお、Lunar Lake はノートパソコン用の省電力CPUになると言われています。

ちなみにビデオカードの方も、先月は目立った動きはありません。
NVIDIA が決算発表を行っており、生成AI需要で絶好調だったようですが、まだ発売されていないデスクトップ用の GeForce 4050 の話は特になし。
今後しばらくは企業向けの生成AI用の製品に注力するようです。

ドライバのアップデートで DLSS 3 が 3.5 になる、という発表が行われましたが、ゲーム側が対応しないと利用できません。
画質が若干良くなるようですが、パフォーマンス(速度)は変わらない模様。
DLSS は未対応のゲームや、表示が劣化するゲームが多いので、過剰な期待はしない方が良いでしょう。

参考までに、GeForce RTX 4060 で「モンスターハンターライズ」を DLSS ON で動かした場合の状況を こちら でレビューしています。

AMD は9月に Radeon の上位型となる Radeon RX 7700XT7800XT を出すと発表。
7700 は GeForce 4060Ti、7800 は GeForce 4070 と同クラスになるようです。
GeForce のシェアが圧倒的な現状、どこまで需要があるかはわかりませんが、価格次第では対抗馬になるかもしれません。


※2023年8月2日版

Intel(インテル)と AMD が発表している、今後の CPU の発売予定です。
つまり、パソコンの「世代」が変わる予定表でもあります。

ただし、あくまで予定であって、実際にこの通りに進むとは限りません。

CPUロードマップ(2023年8月)

2023年8月時点の状況は、第13世代 Core(Raptor Lake)の時代と言えます。

デスクトップパソコンは完全に第13世代 Core が中心。
ノートパソコンは、あえて第12世代 Core(Alder Lake)を使った安価なモデルもありますが、新製品の多くは第13世代 Core になっています。

ただし、NECは新製品でも第11世代や第12世代が中心、富士通も第12世代の新製品が多め。
マイクロソフト(Surface)は第12世代のままモデルチェンジされていません。

ここに来て Ryzen 搭載の新モデルも増えている印象ですが、やはり Zen4 は少なく、最新インターフェイスに対応させた Zen3 か Zen2 を、安価な製品に使っているケースが多いです。

いよいよ10月と言われている Raptor Lake Refresh、年末と言われている Meteor Lake の発売日が迫っており、さまざまな噂が飛び交っていますが、目立った公式の情報はありません。

Intel は7月末に決算発表を行い、そこで改めて Raptor Lake Refresh、Meteor Lake の開発が順調なことをアピールしました。
来年発売される Arrow Lake も試作段階に入った模様。
決算も好調だったようで、一般向けの製品が大きな収益を上げたようですが、企業(サーバー)向けの製品では AMD に苦戦しています。

改めてまとめておくと、第14世代 Core になると言われている Raptor Lake Refresh は第13世代 Core である Raptor Lake の改修型。
デスクトップPC用とノートPC用の双方が登場すると見られており、マイナーチェンジなので大きな性能向上はないと思われますが、供給電力を調整する DLVR という機能によって性能と電力効率が良くなると言われています。

なお、Intel は「○○世代という言い方はもうやめる」とコメントしていますが、巷では今後もそう呼ばれると思われます。

Meteor Lake は今年度中に発売される予定のノートパソコン用CPUで、Core Ultla という製品名になる模様。
Intel 47nm)で生産され、高効率コア(Eコア)が増加、AI用のNPUというコアも追加され、WEB会議用の顔認識などは内蔵AIで処理可能。
GPU は5nmで生産される Intel Arc ベースのものになり、さらに6nmの SoC と、セキュリティや起動短縮に使われる4次キャッシュ Adamantine Cache を搭載する、新設計の製品です。

Raptor Lake Refresh は10月下旬に、まずK付きCPUから登場すると見られています。
デスクトップ用の普及は早いと思われますが、日本で製品が出回るのは11月以降で、一般型(無印)の投入と普及は来年になると思われます。
噂話(リーク情報)では、Core i9 以外はコアが増えると言われていますが、正確なところは9月に行われる Intel のイベントでの発表待ち。

Meteor Lake はまだ発売日や普及時期はわかりません。
Raptor Lake-P(ノート用 第13世代 Core)は Dell が抜け駆け的に製品を登場させ、レノボがそれに続き、他のメーカーは出し抜かれた形になったので、急に出てくる可能性もあります。

2024年後期に登場すると見られる Arrow Lake は Intel 20A(5nm)で生産され、Raptor Lake Refresh の後継のデスクトップ用CPUになると思われますが、まだ詳細は不明。
開発が難航しているとの噂もありますが、このCPUで導入される PowerVia という基板の裏から電源を供給する技術は、実装試験の成功が報告されています。

2025年以降になると思われる Lunar Lake はノートパソコン用で、20A を改良した Intel 18A で生産ARMプロセッサを超える省電力化を目指しているとのこと。

AMD は目立った発表がありませんが、新製品はいくつか出しています。
まず、デスクトップ用 Zen4 の安価なCPU、Ryzen 5 7500F を発売しており、今は Ryzen はもっぱら安価機が主戦場なので、そこに Zen4 が加わるのはPCメーカーにとっては朗報でしょう。
ただし、安価と言っても「少し安い」ぐらいなので、やっぱり微妙かも。

また、ゲーム用の最強プロセッサをうたう Ryzen X3D シリーズに、ノートパソコン用の Ryzen 9 7945HX3D を追加しています。
X3D はキャッシュメモリを縦に積み、共有キャッシュを増大させたもので、デスクトップ用は Zen4 の最新型がいくつか登場しています。
ただ、ゲームの動作に与える影響はビデオカードより少なく、ゲーム以外だったら普通のCPUの方が速いので、ニッチな製品と言えます。

公式発表ではありませんが、8月中にAMD用マザーボードのBIOSアップデートが公開されるという話があり、これにより内蔵グラフィック機能が大幅に強化された新型コア「Phoenix」に対応できるようになる模様。
よって Phoenix の新型 Ryzen は、9月~10月頃に登場するのではないかと言われています。

CPUではありませんが…… ビデオカードは、GeForce RTX 4060Ti のビデオメモリ16GB搭載モデルが発売されました。
しかし、4060Ti の処理能力なら普通のゲームは8GBあれば問題なく、バス幅はそのままなので、高解像度に弱いのが改善されるわけでもありません。
ゲームへの恩恵は大きくなく、生成AIを見込んだ製品とも言われています。
生成AIは処理中にビデオメモリが足りなくなると空くまで止まってしまうため、ビデオメモリの搭載量がかなり影響します。

なお、生成AIの人気によって、マイニングのときほどではありませんが NVIDIA のビデオカードの需要が高まっているようです。
特に売れているのはデータセンター用や業務用の製品ですが、GeForce シリーズの生成AI目当ての個人需要も増しています。
いくつかのメーカーは生成AI向けをうたうパソコンの販売も始めました。

Radeon は NVIDIA 製品ほど AI に有効ではないため、この影響はありません。
AMD も生成AI向け製品の開発を進めていますが、個人向けではありません。

ちなみに余談ですが、アメリカが中国に半導体、特にAI関連機器の輸出規制をかけたため、NVIDIA の企業向け製品が中国でとんでもなく高騰しているようです。

以上、パソコンをいつ買うかの参考にして頂ければと思います。
ただ、パソコンは第12世代のCPUを待っていたら第13世代の話が出てきて、第13世代を待っていたら第14世代が発表されるというように、待っていたらキリがありませんが……


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CPU の基本説明は こちら、用語については こちら で解説しています。
メモリなど、他のパーツについては カスタマイズについて のページをご覧ください。