- 2024年1月に発売された ASUS の15.6型ゲーミング ノートパソコン
- 性能重視型の Core i7 と GeForce 4060 搭載で約19万円という良コスパモデル
- 独自の高度なチューニング機能を備え、モニターも発色と描画速度を両立
こんな人にオススメ!
- 20万円以下の高性能ゲームPCを探している人
- 多用途に使えるノートパソコンが欲しい人
- 高いのは困るけど、やっぱり Core i7 だ!という人
(提供元:ASUS JAPAN株式会社)
ASUSの技術とコスパの結晶
世界中にパソコンのパーツを供給している台湾の先端企業ASUS。
ゲーミング用パーツの開発元としても知られている、PCファンにはおなじみのメーカーだ。
そんなASUSは自前のPC販売も行っており、ゲーミングノートには上位型の ROG Strix、軽量型の ROG Zephyrus、コスパ型の TUF Gaming がある。
今回レビューする ASUS TUF Gaming F15 FX507VV (FX507VV-I7R4060S) は、2024年の年明けに登場したばかりの、価格と性能のバランスが取れた TUF モデルの最新型だ。
特徴的なデザインと、技術力を感じられるゲーム用のカスタマイズ、独自の冷却構造などを併せ持ち、名前の通り「タフ」、すなわち耐久性に優れているのも特徴だ。
本機はコストパフォーマンスを重視した、リーズナブルな構成となっている。
CPUは第13世代 Core の性能重視型でありながら、ちょっと安めの Core i7-13620H を使用。
これを独自のチューニングで Core i9 レベルの速度で動かしている。
ビデオカードは性能・価格・TDP(消費電力と発熱)のバランスが取れた GeForce RTX 4060 を搭載。
この Core i7 + GeForce 4060 の組み合わせで、価格は20万円を切る、税込189,800円。
モニターも高品質な、お得なモデルである。
ただしこの製品は、ASUS Store(ネット通販)の限定モデルなので注意して欲しい。
以下、その詳細をお伝えしていきたい。
外観
デザインとモバイル性能
ゲーミングらしい特徴的なデザインを持つ機種のため、まず外観からレビューしていこう。
メタリックグレーの天板には光の当たり具合で浮かび上がる TUF GAMING の文字と、エンボス(凸面)加工によるロゴマークが入っている。
また、ブラックの切り欠き部には閉じていても開いていても見られるデザイン化された動作ランプが付いており、装飾と実用性を兼ねている。
表面にはサラサラの梨地加工が施されており、指紋は全く付かない。
見ての通り、全体的に凝った作りであると同時に、黒を基調とした玄人感のある配色だ。
天板には透かし文字と浮かしロゴがある
このインジケーターは起動時にランプが回転する演出がありカッコいい
内部のキーボードもゲーミングらしいデザインだが、独立した音量&機能キー、横4桁のテンキーを持ち、実用性重視なのがわかる。
キーボードの上部に通気口があるのも珍しい。
全体的に「カッコ良さ」を感じるデザインで、アメリカの製品が持つ「近未来感」とは異なる雰囲気がある。
この辺は、アジアと欧米のデザインセンスの違いもあるように感じられる。
縦横のサイズは15.6型ノートPCの標準的な大きさ。
厚さはそれなりにあるが、重さは約2.2kgで、ゲーミングノートとしてはやや軽め。
ACアダプタは230Wの高出力で、重さはコード込みで約710g。
小型軽量とは言えないが、こちらも出力を考えると重い方ではない。
ゲーミングらしいキーボードが目を引く
A5とセミB5との大きさ比較。
横35.5cm、縦25.2cm、厚さ約24mm
特筆すべきなのは、米軍規格(MIL-STD 810H)の基準を満たす堅牢性を備えていることで、冒頭でも述べたように、文字通り「タフ」な製品であること。
ゲーミングノートは持ち運びをあまり考慮しないため、耐久面はそれほど重視されないが、一般ノートより大きくて重いので、どちらかと言うと壊れやすい。
本来なら耐久性も欲しい部類の製品なので、堅牢に作られているのはありがたい。
また、84枚のブレードを持つ独自のCPUファンを2基内蔵し、5本のヒートパイプで放熱を行っており、高度な冷却機構を持つ。
この辺のパーツを独自に用意できるのは、ASUSの強みと言える。
インターフェイス(接続端子)も最新で、Thunderbolt4 を含む2つのUSB-Cと、両側に1つずつのUSB(5Gbps)を備える。
もちろん HDMI、有線LAN、マイク/イヤホン共用ジャックも完備。
そのほとんどが左側に集中しているが、右側にもUSBが1つあるので不便は感じない。
左側面。奥の USB-C が Thunderbolt4
それを示すシールが貼られていた
右側にはUSBがひとつだけ。でも、1つあればマウス等は繋げられる
無線通信は Wi-Fi 6 で、Wi-Fi 6E は未対応。Bluetooth も 5.1 と、通信関連は最新ではない。
それで困る人は少ないとは思うが、対応機器を持っている人は注意を。
バッテリー持続時間は公称11.8時間。
90Whという15.6型ノートとしては破格の大容量のバッテリーを搭載しており、ゲーミングモデルとしては、かなりの長時間駆動だ。
それでもフルパワーで動かしていると長くは持たないので、ゲームをするならコンセントに繋げておくのが基本だが……
本機には消費電力を抑えるサイレントモードと、ビデオカードへの給電を停止する機能があり、バッテリー駆動での活用も考慮されている。
テンキーもあるので、出先で作業用ノートとして使うこともできるだろう。
また、ASUS独自の高速充電技術を備えており、30分で50%の充電が可能になっている。
※こちらはパソコンが入っていた段ボールケース。なにやら二足歩行戦闘ロボが…… ASUSが侵攻されたらたぶんこいつが出撃します。
モニター / サウンド
15.6インチの画面には、台湾のメーカーAUO社の液晶パネルが使用されている。
解像度1920x1080の非光沢モニターだ。
sRGB比 100% の発色を持ちながら、144Hz のリフレッシュレートを持つ、高発色と高速描画を両立した製品で、このような高品質モニターが20万円以下のノートパソコンに使われているのは珍しい。
輝度は最大250nit、視野角は全方位85度、コントラスト比は800:1と、これらの数値は標準的だが、特に欠点もなく、高いレベルでまとまっている。
ゲームPCは描画速度を優先し、発色は妥協している製品が多いが、本機は異なる
ヒンジの角度は最大45度。耐久性重視だからかヒンジの作りが大きめ
フェイスカメラはHD(約100万画素)で、標準的な画質。
ただ、詳細なマイク設定を持ち、収音範囲やAIノイズキャンセリングのレベルを設定可能、ASUS 独自のWEB会議補助機能を備えている。
どちらかと言うと会議より、ゲーム時のボイスチャット用だろうか。
指紋認証や顔認証などのセキュリティ機能は備わっていない。
※一人で使うなら収音範囲を狭くすることで、音をより鮮明に拾うことができる。
サウンドは上位のイコライザー(音響ソフト)である Dolby Atmos が備わっている。
深い音質と高い音響効果を持ち、ドルビー対応ヘッドホンを使えばハイレゾや空間オーディオも体験可能だ。
ただ、本機のサウンドは他とはちょっと違っていた。
初期設定のままで非常に良い音が鳴っており、逆に自動調整である「ダイナミック」に変えると、チャカチャカした軽い音になってしまった。
他の機種ではダイナミックがベストである場合が多いのだが……
本機の Dolby の設定ソフトには「次のためのプロフェッショナルチューニング TUF GAMING」という表示が付いているので、事前に最適なチューニングが施されているのかもしれない。
ともあれ、サウンドは厚みがあって低音も響き、十分な音質だ。
※初期設定はミュージックのバランス。このままでゲームも曲も良い音になる。
キーボード
TUF GAMING のキーボードはかなり特徴的だ。 まず、ゲーミングらしい印字が目に付く。
電源ボタンも六角形で、見た目からしてサイバーな雰囲気。
そしてゲームに多用される WASD のキーは目立つ外観になっており、キーを光らせたときには、これらのキーだけ全面が光る。
音量調整とマイクミュートのボタンが独立して配置されているのも、扱いやすくて良い。
後述する性能調整用ソフトウェア「Armoury Crate」を起動するボタンも用意されている。
また、横4桁のテンキーが備わっているため、表計算などの事務作業でも活用しやすい。
そして TUF シリーズ独自の機能として、各キーが2000万回以上のキープレスに耐えられる構造になっており、キーボードも「タフ」に作られている。
目立つWASD、独立音量キーがゲーミングモデルとしての実用性を物語る
横4桁のテンキーで Office も使いやすい
上部の通気口は塞がないように!
さらに、キーストローク(深さ)を維持しつつ、キーが押されたのを早めに感知できるオーバーストローク技術によって、速いレスポンスと良好な打鍵感を両立している。
キーストロークはノートPCとしてはかなり深い1.7mmもあるようだ。
ゲーム時の反応速度を優先しているためか、キータッチはかなり柔らかめで、これだけのキーストロークがありながらも、強めに叩くと板を打っているような衝撃がある。
普段はソフトな打鍵を心がけた方が良いだろう。
力を入れなくても打てるし、タイプ中のミスや違和感はまったくなかったので、打ちやすいキーボードであることは確かだ。
また、先にも述べたが、本機にはキーボードと壁紙、さらに周辺機器を連動して光らせることができる Aura 機能も備わっている。
壁紙まで一緒に光っている様子は、いかにもゲーミングで良い。(もちろん OFF にもできる)
ゲーミングだから光る。壁紙も!
やや大きめのエンブレム入りパッド
指がよく滑って操作性良好
ロゴマークが刻印されているタッチパッドも、サラサラしていて使い勝手が良い。
従来比で26%大きくなったようで、タッチパッドは大きいほど指がはみ出にくくなり、指の置き直しの頻度も減るため、操作性が良くなる。
もちろんジェスチャ操作や、ボタン(押し込み)を使わない操作にも対応している。
カーソルキーは小さめだが、高いレベルで作り込まれていて海外特有の違和感もない、優れたキーボードという印象だ。
パーツ性能
性能調整アプリ Armoury Crate
CPUやビデオカードの性能報告の前に……
ASUSのゲーミングモデルに備わっているチューニングソフト「Armoury Crate」について解説しておきたい。
これは動作モードの切り替えや、ゲームごとの設定登録など、ゲーマーやコアPCユーザーに向けた、多くの機能を持つ専用ソフトウェアだ。
まさに本機のユーザーのための「武器箱」である。
動作モード(オペレーティングモード)は Turbo(ターボ)、パフォーマンス、サイレントの3種類と、カスタマイズ可能な「手動」が用意されている。
Windows という選択もあるが、これは Windows の電源モードに応じたものが選ばれる。
動作モードがターボだとフルパワーが発揮されるが、消費電力や動作音(冷却ファンの回転音)は大きい。
サイレントだと静かで省電力だが、性能は低くなる。パフォーマンスはその中間だ。
これを使えば、高負荷なゲームをやるときにフルパワーにしたり、逆にそこまでパワーが必要ないときに静かに動かしたりできる。
切り替えはすぐに行われ、再起動などは必要ない。
また、手動モードではCPUの投入電力(PL1/PL2)やビデオカードのオーバークロック、ファン速度などを、好みに設定することができる。
「ヘタに変えると危険」という警告が表示されるが、そんなにムチャな設定にはできないようになっているので、そこまで心配しなくても良いだろう。
最近のゲーミングノートは動作モードがあるのが一般的。各モードの詳細は後述
PCに詳しいなら手動設定も便利
強化よりもパワーセーブ向け
「GPUモード」の設定では、ビデオカードの使い方を決められる。
標準設定である「スタンダード」や「最適化」の場合、普段はビデオカードが OFF になって電力を節約し、ゲームなどグラフィック負荷が高いソフトを使う時だけ自動的に ON になる。
Ultimate の場合は常にビデオカードが使用され、エコモードだと常時 OFF となる。
このビデオカードの自動切り替え機能により、本機はゲーミングノートでありながら、かなり長時間のバッテリー駆動が可能だ。
必要なら持ち出して、その高性能をゲーム以外の用途で活用することもできるだろう。
ただ、切り替え時に数秒間パソコンが止まってしまうため、頻繁に切り替えが行われる状況だと煩わしい。
また、GPUモードの変更には再起動が必要になる。
ずっとコンセントに繋げて使うのであれば、GPUモードは Ultimate にしておくのを勧めたい。
他に、画面の色や明るさの設定、キーボードの設定も可能で、これらを動作モードと共にまとめた「プロファイル」を登録し、任意のゲームと結びつけることもできる。
これを行っておくと、ゲームを起動したとき、自動でその設定が適用されるようになる。
Armoury Crate はちょっと上級者向けで、パソコンに詳しくない人だと理解しづらい部分も多いが、使い方さえわかればとても便利だ。
その存在は ASUS のゲーミングモデルの大きな長所と言って良いだろう。
処理性能(CPU)
TUF Gaming FX507VV の CPU には、Core i7-13620H が使用されている。
ノート用 第13世代 Core の性能重視型(H)のCPUで、ノート用としては消費電力と発熱は大きいが、性能は高い。
コア構成はPコアが6、Eコアが4の、10コア16スレッド。
Core i7-13700H はPコアが6、Eコアが8なので、それよりEコアが4つ少ないが、そのぶん価格は安い。
内蔵グラフィック機能も弱いのだが、そこはビデオカードを搭載しているため影響はない。
しかも本機は独自の動かし方により、Core i7-13700H はもちろん、上位の Core i9-13900H の標準スコアも越えるほどの性能を発揮させている。
TDP は45Wとなっているが、実際の投入電力は動作モードにより変化する。
本機の場合、ターボで90~115W、パフォーマンスで90~105W、サイレントで55~60Wになっていた。
サイレントでも定格(45W)より上の設定である。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフト Cinebench R23 の結果と、他のノート用CPUとの比較グラフだ。
Core i7-13620H(Turbo モード)
Cinebench 2024 の測定結果
・マルチコア性能(Cinebench R23、10分測定)
Core i7-13700HX:20000
Ryzen 7 7840HS:15500
Core i7-13620H:15300(本機、ターボ)
Core i7-13620H:14600(パフォーマンス)
Core i9-13900H:13700
Core i7-13700H:13500
Core i7-13620H:13000(サイレント)
Core Ultra 7 155H:12000
Core i5-13500H:12000
Core Ultra 5 125H:10500
Core i7-1360P:9700
Ryzen 7 7730U:9600
Core i7-1355U:7000
Ryzen 3 7330U:4950
Celeron N5100:1400
Celeron N4100:950
・シングルコア性能(Cinebench R23)
Core i9-13900H:1900
Core i7-13700HX:1850
Core i7-13700H:1850
Core i7-13620H:1840(ターボ、パフォ)
Core i7-1360P:1820
Core i5-13500H:1780
Core Ultra 7 155H:1760
Ryzen 7 7840HS:1760
Core Ultra 5 125H:1740
Core i7-1355U:1720
Core i7-13620H:1680(サイレント)
Ryzen 7 7730U:1430
Ryzen 3 7330U:1370
Celeron N5100:580
Celeron N4100:380
※近年の全CPUとの比較は こちら をご覧ください。
マルチコアの測定結果は約15300。
これは前述した通り、(標準設定の)Core i9-13900H を越えるほどのスコアである。
シングルコア性能は約1840で、こちらは第13世代 Core i7 の標準的なスコアだが、これも十分に高い。
本機のCPUの動かし方はちょっと独特で、90℃を目標温度と設定し、常にその温度を保つように電力を投入していた。
そのためずっと緩めのブーストがかかっていた感じで、CPUの温まり具合に応じて徐々にパワーは下がっていったが、ブーストが終わると途端に性能が落ちる、といったことはなかった。
結果として非常に高いマルチコア性能を発揮している。
ただ、動作音は大きく、55db ほどのノイズが発生していた。
パフォーマンスモードの場合も、90℃を目標温度にして動くのは変わらない。
ただ、こちらはファンの回転速度が制限されており、そのぶん冷却力が落ちていてパワーの低下は早かったが、動作音は 45db 前後まで減っていた。
マルチコアのスコアは約14600と、それほど差はなく、シングルコア性能も変わらないため、普段はパフォーマンスで使うのが良いだろう。
サイレントモードは投入電力が最大60Wに制限されており、CPU温度は測定序盤は80℃、開始から3分で65℃まで低下。
発熱が低い分、音は静かで、無音と言うほどではないが 45db 以下に抑えられていた。
性能はマルチコア13000、シングルコア1680と、特にシングルコアが下がっているが、一般用途には困らない性能だ。
また、低負荷時にはほぼ無音となる。
以下は定番のパソコン測定ソフト PCMark10 の結果だ
ターボでの測定はビデオカードON、サイレントの測定はビデオカードOFFにしている。
ターボ+ビデオカードON
サイレント+ビデオカードOFF
アプリの起動速度やウェブサイトの閲覧といった、基本の処理はサイレントでも高速だ。
ただ、シングルコア性能が落ちるためか、表計算の処理では結構な差が出た。
とは言え、サイレントでも普通にこなせる速度ではある。
画像加工と3D描画は、サイレント側はビデオカードをOFFにしたため、内蔵グラフィック機能相応の速度となっている。
ターボ側は画像加工が16000を越えており、さすが GeForce RTX 4060 搭載機と言える。
動画編集も早く、創作作業でも十分に活用できるだろう。
グラフィック機能(ゲーミング性能)
TUF Gaming FX507VV は GeForce RTX 4060 Laptop を搭載している。
最新のビデオカード GeForce 4000 シリーズのひとつであり、高い性能はもちろん、DLSS 3 などの最新技術を利用可能。
電力効率に優れ、性能の割に消費電力と発熱が低めなのも特徴だ。
ビデオメモリは GDDR6 が 8GB。
また、TUF Gaming シリーズにはメモリとストレージにビデオカードの信号を直接出力できるという独自チップ「MUX スイッチ」が導入されており、ASUS曰く「ワンランク上の性能で、快適なゲーム環境を実現している」という。
以下はターボモードで実行した性能測定ソフト 3D Mark:TimeSpy の結果と、他のノートPC用グラフィック機能との比較グラフだ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
・3D Mark: TimeSpy(ノート用GPU)
GeForce RTX 4080 Laptop:19000
GeForce RTX 4070 Laptop:12000
GeForce RTX 3080 (mobile):12000
GeForce RTX 4060 Laptop:10600(本機)
GeForce RTX 3070 (mobile):10400
GeForce RTX 4050 Laptop:8500
GeForce RTX 3060 (mobile):8350
GeForce GTX 1660Ti (mobile):5550
GeForce RTX 3050 (mobile):4850
Core Ultra 7 155H(CPU内蔵、Arc A):3550
GeForce GTX 1650 (mobile):3400
Ryzen 7 7840HS(CPU内蔵、RDNA3):2500
第13世代 Core i7(CPU内蔵、Iris Xe):1800
Ryzen 7 7730U(CPU内蔵、Vega 8):1200
Ryzen 3 7330U(CPU内蔵、Vega 6):580
ターボモードでの計測で、グラフィックスコアは約10600。
ノート用 GeForce RTX 4060 のスコアとしては若干良い。
パフォーマンスモードだとスコア10000、サイレントモードはスコア8200となっていた。
サイレントでも GeForce RTX 4050 や 3060 を普通に動かしたときと同等のグラフィック性能を発揮できるようだ。
動作音はターボだとかなり大きく、ヘッドホンがないと厳しい印象だが、パフォーマンスだとゲーミングノートとしてはマシな方。
サイレントだと、相応の動作音はするが、あまり気にならないレベルまで下がる。
ちなみにGPU温度は、ターボやパフォーマンスは75℃、サイレントだと60℃だった。
TimeSpy パフォーマンスモード
TimeSpy サイレントモード
では、実際にゲームがどのぐらい動くのか?
以下は各モードで測定した、最新ゲームの動作速度の一覧だ。
※解像度は1920x1080。動画は検証機で録画したものですが、再生速度は30fpsです。
・モンスターハンターライズ
高画質の戦闘中で、ターボだと 135~150fps。
かなり快適で、本機のモニターのリフレッシュレート 144Hz も十分に活かすことができる。
パフォーマンスだと 110~125fps で、サイレントでも同様。動作音はだいぶ減る。
なお、DLSS は水面の表現などが大きく劣化するため、使わない方がいい。
・パルワールド
最高画質で DLSS なしだと、ターボでも 75fps 前後。
しかし DLSS ありならターボで 95~110fps で動く。
パフォーマンスで DLSS ありだと 85~100fps、サイレント+DLSS なら 65~95fps となる。
DLSS を効かせればサイレントでも 60fps を越えるのは嬉しい。
・龍が如く8
最高画質で DLSS なしだと、ターボで 60~90fps。
しかしこのゲームは DLSS の効果が大きく、ON にすれば 90~130fps の速度が出る。
パフォーマンス+DLSS だと 90~120fps、サイレント+DLSS で 90~110fps だ。
しかも近々、GeForce 4000 シリーズで利用できる最新の DLSS 3 に対応することが告知されており、さらに描画速度が上がることが予想される。
・鉄拳8
ターボの場合、起動時のベンチマークスコアは420、画質は「高」に設定される。
だが、画質を「最高」に変えても上限の 59~60fps で動いたので、最高画質で問題なさそう。
パフォーマンスとサイレントの場合はスコア410で、画質はやはり高になったが、最高にしてもターボと同様に60fpsで動いていた。
なお、DLSS の設定項目はないが、DLSS 2 に対応していることが発表されている。
・ストリートファイター6(ベンチマーク)
最高画質(HIGHEST)で、ターボはもちろん、パフォーマンスやサイレントでも最高値の 60fps で動作した。
負荷に余裕があるためか、騒音もやや小さめだ。
もちろん評価スコアは100点満点で、プレイに全く支障はない。
DLSS は対応していないゲームでは使えないが、最近は日本のゲームでも、公開当初から対応していることが多くなってきた。
以前は画質の乱れや劣化が目立つことも多かったが、今はなくなりつつあり、GeForce シリーズ搭載機を使うなら、対応ゲームは DLSS 適用時の速度を基準と考えても良いだろう。
GeForce 4000 シリーズで使える最新の DLSS 3 は、まだ対応しているゲームは少ない。
だが、DLSS 3 にはフレーム生成技術が盛り込まれているため、対応していれば描画速度は大幅に向上するだろう。
ストレージ(記録装置)とメモリ
ストレージ(データ記録装置)には容量1TBの NVMe SSD が使用されている。
小型で高速なストレージで、より速い第4世代(Gen4)の製品を使用。
購入時のカスタマイズはできないが、1TB ならノートPCとしては大容量と言える。
検証機に搭載されていたのは米ウエスタンデジタル(WD)社の SN560 という製品だが、市販品ではなく、他に使われている機種もないので、ASUS の特注品かもしれない。
実機でのベンチマーク(性能測定)の結果は以下の通り。
標準設定での測定
NVMe SSD 設定の測定
読み込みは約5000MB/s、書き込みは約3500MB/s。
Gen4 の NVMe SSD としては標準と言ったところだが、読み込み速度に優れる。
ランダムアクセスも NVMe SSD 用の測定で読み込み650MB/sと、高めの数値を誇る。
すごく優秀という程ではないが、平均以上の速度があり、一般作業はもちろん、ゲーム用途としても十分な能力だ。
メモリは DDR5(DDR5-5200)が 16GB 搭載されている。
どうやら 16GB メモリ1本のようで、2本のメモリにデータを分散して処理を高速化するデュアルチャネルが働いていないのが気になるが……
DDR5は内部でデュアルチャネルに近い処理を行っているので、DDR4のデュアルチャネルよりも遅いということはないはずだ。
容量は 16GB あれば特に問題はないだろう。
ただ、空きのメモリスロットが1本あるにも関わらず、購入時のカスタマイズに対応していないのは、若干不満点ではある。
総評
各メーカーにマザーボードやゲーミングパーツを供給している ASUS の自前のゲーミングPCなのだから、悪いわけがない。
全体的に、技術レベルが他の製品より上の印象だ。
特に細かい調整が行える Armoury Crate は、ゲーミングPCを使うことの楽しさを、より高めてくれる。
初心者だと理解しづらいところもあるので、やや中級者以上向けのマシンと言う印象もあるが、詳しい人なら、見れば見るほど良く作られているのがわかるだろう。
デザインも、こういう表現は何だが、しっかりお金をかけている印象。
ゲーマーやマニアが好みそうなカッコいい装飾を施しつつ、奇抜すぎない見た目になっていて、そのバランスが良い。
Core i7 の性能重視型と GeForce 4060 搭載で、20万円を切るのも大きな魅力だ。
Core はシングルコア性能が高いのでゲーム向きでもあり、Intel 派の人にとっては嬉しい。
しかもモニターの品質が高く、バッテリーも大容量で、安くても妥協はない。
コスパの良いミドルクラスのゲーミングPCとして、特におすすめできるマシンだ。
(2024年1月モデル、FX507VV-I7R4060S)
形式:15.6インチ ノートパソコン
CPU:Core i7-13620H(Pコア6/Eコア4)
グラフィックス:GeForce RTX 4060 Laptop 8GB
メモリ:16GB / 32GB(DDR5)
ストレージ:1TB NVMe SSD(Gen4)
モニター:sRGB 約100%、リフレッシュレート144Hz
サウンド:Dolby Atmos のイコライザー
通信:Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
モバイル性能:約2.2kg、バッテリー90Wh、公称11.3時間
その他:性能調整ソフト(Armoury Crate)、高耐久の本体とキーボード、3+1の動作モード、Thunderbolt4、高速充電、ビデオカード給電OFF機能、AIノイズキャンセリング
定価:税込189,800円
※詳細は ASUS 公式ストア もご覧下さい。
※このモデルは直販(WEB販売)限定です。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。