- 2024年2月に発売された ASUS の14型ノートパソコン
- 新設計の最新CPU「Core Ultra」を搭載する最新鋭機
- 非常に美しい有機ELディスプレイも搭載し、軽くて、コスパも優れる
こんな人にオススメ!
- 最新の Core Ultra 搭載機が欲しい!という方
- 美しい画面を持つノートPCを求めている方
- 持ち出せる高性能機が欲しい、でも高いのは困る、という人
(提供元:ASUS JAPAN株式会社)
Core Ultra の時代到来
2024年、いよいよ Intel が送り出した最新のノートパソコン用CPU「Core Ultra」の普及が始まった。
多くの特徴を持つ全く新しい設計のCPUだが、簡単にまとめると、省電力性能に優れ、NPUと呼ばれるAI機能専用コアを持ち、内蔵グラフィック機能も新型になっている。
2024年3月時点では、まだ Dell や HP など世界規模のメーカーしか搭載機を発売していないが、PCパーツの大手 ASUS も、そんな Core Ultra 搭載機をいち早くリリースした。
それが今回取り上げる「Zenbook 14 OLED UX3405MA」だ。
CPUには Core Ultra 7 155H、及び Core Ultra 9 185H を搭載。
さらに3K解像度と120Hzの描画速度を併せ持つ、非常に美しい有機ELディスプレイを搭載し、1.2kgの軽量で、しかも公称駆動時間が21時間の大容量バッテリーを搭載するという、かなりの高性能機。
それでいて価格は(Core Ultra 7 モデルで)税込164,800円という、破格のコストパフォーマンスの製品。
高速充電や指向性マイクなど ASUS 独自の機能も豊富で、最新端子の Thunderbolt4、ブランド製の高音質スピーカーも備えるなど、とにかく多機能なマシンだ。
以下、そんな見どころが多い本機の詳細をお伝えしていきたい。
なお、本機はWEB直販限定の製品なので、その点は注意して欲しい。
外観
デザインとモバイル性能
本体の色は「ポンダーブルー」と命名された、黒に近い紺色。
日陰ではほぼブラックだが、光が当たると深みのあるダークブルーに見える。
天板は一見無地に見えるが、光の反射によって幾何学的なラインが浮かび上がる。
隅の方に ASUS Zenbook のロゴがあるが、ほとんど目立たない。
シックでシンプルだが、カッコ良さもある、ハイセンスなデザインだ。
表面にはきめ細かな梨地加工が施されており、サラサラの触り心地で、指紋は付かない。
微妙に黒ではない色と透かし模様が特徴
軽量で14.0インチなので扱いやすい
内部も黒に近い紺色の、落ち着いた配色。
キーの印字には細字のオシャレなフォントが使われている。
薄型軽量の本機は約1.2kgの軽さで、厚さも閉じた状態で約15mm(実測値)の薄さ。
使いやすさ、運びやすさを、持った瞬間に感じることができる。
薄くて軽量だと耐久性が気になるが、米軍規格(MIL-STD 810H)の耐久テストを複数の項目で満たしており、十分な堅牢性もアピールされている。
実際、硬度を感じるがっしりとした作りだ。
サイズは横幅が約31cmで、一般的な14型ノートより1cmほど短い。
縦幅も、モニターがやや縦長(縦横比16:10)にも関わらず一般的な22cmで、全体的にコンパクトに作られている。
A4とセミB5との大きさ比較。ほぼA4
ACアダプタは USB-C 接続で小型軽量
バッテリーは75Whの大容量のものを搭載しており、Core Ultra の省電力性能も相まって、公称バッテリー駆動時間は実に21時間。
しかも高速充電対応なのに加え、モバイルバッテリーでも充電可能だ。
ACアダプタの出力は65Wで、こちらもコンパクト。コード込みで220gの軽量だ。
本体と合わせても約1.4kgほどしかない。
インターフェイス(接続端子)も最新で、右側面に Thunderbolt4 仕様の2つの USB-C と、HDMI 2.1、マイク/イヤホン共用ジャックを備える。
左側面には普通のUSB(5Gbps)が1つあるだけだが、Core Ultra の新型モバイル機は接続端子が少ないものが多いので、普通のUSBが備わっているのはありがたい。
ただ、有線LAN やSDカードリーダーは備わっていない。
ACアダプタは USB-C に繋げるため、充電中はUSBが一つ減る。
無線通信は Wi-Fi 6E に対応、Bluetooth は 5.3 で、この辺りも最新仕様だ。
左側面。普通の(四角い)USB端子がある
右側面に USB-C 2つ。充電もこれを使う
モニター / カメラ / サウンド
昨今の ASUS のノートPCは OLED(有機ELディスプレイ)を備えるモデルが中心となっており、人気になっている。
その美しさは格別で、OLED を扱うための技術でも ASUS は抜きん出ている。
本機にはサムスンの有機ELパネルが使用されていた。
前述した通りアスペクト比(縦横比)は 16:10、解像度は 2880x1800 の3K高画質。
そして発色は DCI-P3 基準で100%(sRGB 換算133%)。
さらに超高発色にも関わらず、リフレッシュレートは 120Hz で高速描画に対応。
視野角は全方位85度(170度)だが、元がクッキリした画質だからか、角度があっても普通の液晶より綺麗に見える。
応答速度は 1ms で残像は発生せず、コントラスト比は 100万:1 で液晶の比ではない。
輝度は可変で、周囲の明るさや有機ELの状態に合わせて調整されるうえに、一部だけ輝度を変えるといったことも可能だ。
さらにモニター表面は、高い透明度と耐久性で知られるゴリラガラスで保護されている。
要するに、すごく美しくて動きも滑らかで高機能。 素人でも一目で違いが判る映像美だ。
※入手した方は、ぜひ高画質の動画や映画を見て映像美を体験して欲しい。
OLED(有機EL)にも色々と弱点はあるが、焼け付きやすい問題は見えないレベルで表示を動かすピクセルシフトと、独自のスクリーンセーバーで対応している。
青みが強い問題は米PANTON社による色調整で対処されており、低輝度でちらつきやすい難点は自動で輝度調整するフリッカーフリーディミングという機能で解消されている。
これらの技術で短所を克服した有機ELを ASUS は「ASUS Lumina OLED」と呼んでいる。
光沢モニターであるため写り込みはあるのだが、非光沢にしてOLEDの高発色を落としてしまうのは本末転倒なので、ここは妥協したい。
もう一つ、OLEDには消費電力が大きいという難点もあるが、大容量バッテリーを搭載し、公称駆動時間が20時間を超える本機は、ここも対処できていると言って良さそうだ。
非アクティブのウィンドウの輝度を下げたり、電源接続の有無に合わせて描画速度を変えるといった、細かい省電力機能も備わっている。
有機ELは弱点も多い。克服できるノウハウがメーカーには要求される
ヒンジは180度、平らになるまで開けるため、ミーティングにも活用しやすい
フェイスカメラは約200万画素の高画質なもので、顔認証用のIRカメラも装備。
さらにマイクが高機能で、AIノイズキャンセリングはもちろん、収音範囲を前面に集中し、周囲からのノイズを減らす指向性録音モードが備わっている。
この指向性録音モードはキーひとつで ON/OFF できるようになっており、ON の時にはランプが灯るので一目で判別可能。
マイクのミュートもキーで簡単に切り替えられ、こちらにも確認ランプが付いている。
細かいマイクの設定でWEB会議をサポート
このランプのおかげでマイクの状態を一目で把握できる
サウンドも Harman / Kardon(ハーマン・カードン)のスピーカーを搭載しており、クリアでクッキリした音を聴かせてくれる。
低音もよく響いており、Dolby Atmos のイコライザー(音質調整ソフト)が備わっているが、調整などしなくても、とても良い音が鳴っていた。
ドルビー対応のヘッドホンを使えば、ハイレゾや空間オーディオも体験できる。
※本体に貼られているシールと刻印。本機の長所が書かれており、harman / kardon の名も見える。
キーボード
キーボードは見た目や機能キーに特徴があるが、使い勝手は良い意味で「何も感じない」。
硬いとか柔らかいとか、打ち辛いとかキーが浅いとか、そういった印象を全く受けない、すべてがちょうど良い感じのキーボードだ。
若干、反発は強めだろうか。感触はポチポチ系。
キーの印字には前述した通り、細字のオシャレなフォントが使われている。
センスの良い外観で、細字の割には見にくさはない。
キートップは中央が少し凹んでおり、指によくフィットする。
14型ノートなのでテンキーはなく、カーソルキーも小さめ。
また、電源ボタンが右上のひとつ内側(Delete キーの左)にある海外スタイルで、日本のノートパソコンしか知らない人だと「電源ボタンがない!?」となりがちなので注意。
お洒落で使いやすいキーボード。中央が凹んでいるのが肉眼でわかる
もちろんバックライトも完備。電源ボタンは画像の矢印の場所にある
ファンクションキーは機能優先になっていて、Fn キーと一緒に押すことで F1~F12 として機能する。
これは専用ソフト MyASUS のファンクションキー設定で切り替えられるので覚えておきたい。
そして機能キーに、MyASUS の起動、指向性マイクの ON/OFF、マイクミュート、絵文字があるのが特徴だ。
絵文字キーは絵文字入力パネルを呼び出すもので、Windows キー+「.」でも表示されるのだが、キーひとつで出せるのはとても便利。
令和の時代のパソコンだなぁと感じる。
パソコンにも Emoji キーがあるご時世
タッチパッドは触感が気持ちいい
タッチパッドはちょっとしっとり感のある、触り心地が良いタイプ。
指も良く滑り、サイズも14インチとしては大型で、特に横幅があって指がはみ出づらく、操作性も良好。
ボタンのないタイプで、押し込みの硬さも適度だ。
もちろん押し込まない操作で使うこともできる。
パーツ性能
処理性能(CPU)
Zenbook 14 OLED の2024年モデルには、Core Ultra 7 155H と Core Ultra 9 185H を搭載するモデルがある。
今回の試用機には「Core Ultra 7 155H」が搭載されていた。
全く新しいコンセプトのCPUであり、私も試すのは初めてだったので、ワクワクしながら検証させてもらった。
Core Ultra の特徴を箇条書きにすると、以下のようになる。
- 微細化の進んだ、最新の処理能力(Intel 4)
- Pコア、Eコアに加え、より省電力な LP Eコア の搭載
- AI 機能専用の処理装置 NPU の搭載
- 最新の内蔵グラフィック機能 Intel Arc の搭載
- 複数のパーツを組み合わせて作るチップレット方式
どちらかと言うとピーク性能より、省電力性能を重視したCPUだ。
他にも細かいところでは、最新の動画エンコード(AV1)に対応していたり、PCIe レーン数が多かったりする。
上記の表では TDP は28Wとなっているが、Core Ultra は設定できる電力の幅が広く、20W~65Wの間で決められる。
そして ASUS Zenbook には「ファンモード」という設定があり、これを変えるとファンの速度だけでなく、CPUの投入電力(PL1 / PL2)も変化する。
つまりファンモードはファンだけでなく、CPUの動作モードの変更でもある。
高負荷の作業をするときはパフォーマンスモードにしてパワーを出し、外出時は電力を節約できて静かに動くウィスパーモードにすると言ったように、用途に合わせて使い分けができる。
切り替えは Fn+F キーでも行うことができるので、所持している人は必ず覚えておこう。
ただし、パフォーマンスモードはバッテリー駆動時には使えない。
以下はパフォーマンスモードで測定したベンチマーク(性能測定)ソフト Cinebench R23 の結果だ。
他のCPUとの比較グラフには、スタンダードモード、ウィスパーモードの結果も含めている。
Core Ultra 7 155H(44W)
Cinebench 2024 の測定結果
・マルチコア性能(ノート用CPU、10分測定)
Core i7-13700HX:20000
Ryzen 7 7840HS:15500
Core i9-13900H:13700
Core i7-13700H:13500
Core i7-12700H:12500
Core i5-13500H:12000
Core Ultra 7 155H:11870 (パフォーマンス、44W)
Core Ultra 5 125H:10500
Core Ultra 7 155H:10190 (スタンダード、36W)
Core i7-1360P:9700
Ryzen 7 7730U:9600
Core i7-1260P:8700
Core Ultra 7 155H:8340 (ウィスパー、30W)
Core i7-1355U:7000
Ryzen 3 7330U:4950
Celeron N5100:1400
Celeron N4100:950
・シングルコア性能(ノート用CPU)
Core i9-13900H:1900
Core i7-13700HX:1850
Core i7-13700H:1850
Core i7-1360P:1820
Core i7-12700H:1810
Core i5-13500H:1780
Core Ultra 7 155H:1760(本機)
Ryzen 7 7840HS:1760
Core Ultra 5 125H:1740
Core i7-1260P:1735
Core i7-1355U:1720
Ryzen 7 7730U:1430
Ryzen 3 7330U:1370
Celeron N5100:580
Celeron N4100:380
※近年の全CPUとの比較は こちら をご覧ください。
ファンモードが「パフォーマンス」の場合、普段の最大電力(PL1)は 44W、ブースト時の最大電力(PL2)は 64W となっていた。
これは従来の Core i7 の性能重視型(H)と同じぐらいだ。
このモードだとマルチコアの測定スコアは約11800。
これはノート用CPUとしては高い数値だが、第13世代 Core や第12世代 Core の性能重視型(Core i7-13700H や Core i7-12700H)より低い。
Core Ultra は最新型ではあるが、ピーク性能は従来の性能重視型には及ばない。
測定開始から25秒はターボブーストが働いており、短時間(約1分)の測定ならスコアは14000ほどになる。
ただ、ブースト中のコア温度は90℃以上まで上がっており、Core Ultra でもブースト時はやはり高熱になるようだ。
ブースト終了後は80℃まで下がり、安定して動いていたが、冷却ファンの動作音は大きく、50dbほどのノイズが発生していた。
シングルコア性能は約1760で、こちらは第12世代 Core と第13世代 Core の中間ぐらいだ。
ファンモードが「スタンダード」の場合、普段の最大電力(PL1)は 36W、ブースト時の最大電力(PL2)は 64W となる。
このモードだとマルチコアのスコアは約10200まで落ちたが、この程度ならそれほど気にならないだろう。
ブーストは15秒ほどに短くなり、ブースト後のコア温度は65℃まで下がる。
動作音はかなり減り、シャーと言う音は聞こえるが、ノイズは40db程度まで減少した。
シングルコア性能には差はないので、スタンダードの名の通り、普段はこのモードで使うのが良さそうだ。
ファンモードが「ウィスパー」の場合、普段の最大電力(PL1)は 30W、ブースト時の最大電力(PL2)は 44W となる。
これは従来の Core i7 の標準型(P)と同程度の電力設定である。
このモードでのマルチコアのスコアは約8300で、やはり第13世代 Core や第12世代 Core の標準型には満たなかったが、大きな差はない。
そしてコア温度はブースト中でも70℃、それ以後は60℃以下まで下がっており、動作音はかなり静かになる。 低負荷時なら、ほぼ無音。
やはりシングルコア性能は、他のモードとほとんど変わらなかった。
以下はパソコン測定ソフト PCMark10 の、パフォーマンスモードとウィスパーモードの結果だ。
パフォーマンスモード
ウィスパーモード
アプリの起動速度やウェブサイトの閲覧といった基本の処理は、パフォーマンスでもウィスパーでも誤差程度の違いしかない。
注目は表計算の処理で、13000という高スコア、しかもパフォーマンスとウィスパーで、こちらもわずかな差しか出なかった。
Cinebench の結果を考えると、ウィスパーモードでこのスコアが出るのは驚きで、Core Ultra は表計算の処理が改善されているのかもしれない。
Core は Ryzen より表計算の評価が低めだったが、Core Ultra はそうではないようだ。
また、内蔵グラフィック機能が新型になっているため、写真/画像加工のスコアは非常に高い。
ビデオカード非搭載ノートPCとしては、私が見た中でトップだ。
しかも、写真/画像加工にはマルチコア性能も大きく関わるはずだが、マルチコアのスコアが低かったウィスパーモードでも13000近いスコアを出している。
この PCMark10 の結果を見ると、Core Ultra は Cinebench のスコア以上のパフォーマンスを、各作業で発揮している印象を受ける。
LP Eコアなど、省電力・低発熱で動く設計がうまく機能しているためだろうか?
実用面において、Core Ultra は確かに進化していることを感じられる。
なお、Core Ultra には「NPU」という AI 機能を専門に処理するコアが入っていて、AI 時代のCPUとして大きくアピールされているのだが、これについてはまだ効果を実感できない。
既存の 生成AI の多くはGPU(グラフィック機能)を流用して処理を行っていて、NPU への対応はこれからだし、他の AI 関連機能は開発中の段階だ。
だが、Microsoft の Office や、Adobe 社の Photoshop、Illustrator など、多くの定番ソフトウェアが AI を利用した機能の追加を進めている。
それらが公開されれば、Core Ultra の利便性はより高まるだろう。
グラフィック機能(内蔵GPU)
本機はビデオカードを搭載していないため、グラフィック機能は Core Ultra 7 155H に内蔵されているものが使用される。
だが、Core Ultra は新型のグラフィック機能 Intel Arc を搭載しており、従来の内蔵グラフィック機能よりも大幅に高い性能を持つ。
下位のビデオカードに匹敵し、「もう安いノート用ビデオカードは不要なのでは?」という話が出るほどの性能だ。
一方で、Intel Arc は新型であるがゆえに、技術やドライバなどが発展途上で、ソフトウェア側の対応も整っていない現状がある。
そのため性能を発揮できないケースも多く、むしろ Arc であることは懸念材料ともされる。
では、実際のところはどうなのか?
まずは性能測定ソフト 3D Mark:TimeSpy の結果と、他のノートPC用グラフィック機能との比較グラフから見て欲しい。
※従来と異なるGPUなので、パフォーマンス予測はおそらくアテになりません。Ultra は最高画質設定を意味します。
・3D Mark: TimeSpy(ノート用 下位/内蔵GPU)
GeForce RTX 4060 Laptop:10300
GeForce RTX 4050 Laptop:8500
GeForce RTX 3060 (mobile):8350
GeForce GTX 1660Ti (mobile):5550
GeForce RTX 3050 (mobile):4850
Core Ultra 7 155H (CPU内蔵、Arc):3590 (本機)
GeForce GTX 1650 (mobile):3400
Ryzen 7 7840HS(CPU内蔵、RDNA3):2500
第13世代 Core i7(CPU内蔵、Iris Xe):1800
第12世代 Core i7(CPU内蔵、Iris Xe):1700
Ryzen 7 7730U(CPU内蔵、Vega 8):1200
Ryzen 3 7330U(CPU内蔵、Vega 6):580
ファンモードがパフォーマンスの計測で、グラフィックスコアは約3590。
Core Ultra 7 の内蔵GPUの測定結果は、およそ3500前後のスコアが出るようだ。
3500というスコアは、ノートPC用のビデオカード GeForce GTX 1650 とほぼ同じ。
ライバルである AMD の Ryzen 7040 シリーズより上となる。
ちなみに、スタンダードモードでも結果はほぼ同じ。 ウィスパーモードだと3250ほどだった。
では、実際にソフトウェアはどのぐらい動くのか?
以下は3D描画のある最新ゲームを動かしてみた際の結果一覧だ。
※動画は検証機で録画したものですが、再生速度は30fpsです。
・モンスターハンターライズ
※解像度1920x1200(実質1920x1080)、高画質
解像度 1920x1200 の高画質だと、戦闘中は 28~35fps でちょっと厳しい。
しかし中画質なら50~60fps なので滑らかな表示となる。
また、解像度 2880x1800 でも中画質で 35~45fps となり、プレイは可能。
ただ、第13世代 Core i7 の Iris Xe(TimeSpy スコア1800)でも同程度で動作するので、TimeSpy スコア3500でこの速度では、物足りないのは否めない。
また、GeForce GTX 1650 だと 1920x1080 の高画質で 50fps、中画質なら 110fps 出るため、比較するとだいぶ劣る。
・パルワールド
※解像度640x360、最低画質
1920x1080 の低画質にしても 20~30fps 程度の動作になるため、かなり無理がある。
最低画質で 640x360 にしても場所によっては 20fps 程度になり、見た目も簡素に。
いずれにせよ、このゲームは GeForce RTX 1650 クラスではまともに動かない。
・龍が如く8
※解像度1920x1200、高画質、XeSS ON
1920x1200 の解像度でグラフィック品質が「高」なら 30~45fps でプレイできる。
これは Intel の DLSS と言える XeSS が効いているからで、XeSS を OFF にすると 20fps ぐらいになる。
XeSS の設定をパフォーマンス重視にすると 40~55fps まで上がる。
XeSS は描画の一部を省略する機能だが、見た目が劣化している印象はない。
ソフト側がきちんと Intel Arc に対応していれば、このぐらいのパワーを出せる。
・鉄拳8
※解像度1920x1200、描画スケール25(低画質以下)
起動時のベンチマークスコアは207。描画スケールは低(50)よりも低い、25に設定される。
解像度2880x1800の場合、45fps 前後となり、バトルがスローになってしまう。(このゲームは 60fps ないと動きが遅くなる)
解像度1920x1200で描画スケール25なら、ほぼ 55~60fps でプレイできるが、キャラクターの表現がかなり劣化するため、無理があると言わざるを得ない。
ちなみに GeForce GTX 1650 の場合、低画質(スケール50)で 60fps、中画質(スケール70)で 55~60fps となる。
・ストリートファイター6
※解像度1280x720、画質LOWEST
ベンチマークは途中でエラーが出て止まってしまうが、製品版ならプレイ可能。
画質LOWの解像度1920x1080で、普通の対戦なら 55~60fps で動くが、街中を巡るシーンでは 40fps まで落ちて、バトルがスローになる。
画質を最低のLOWESTにして、解像度も1280x720まで落とせば遊べるが、見た目は簡素だ。
多くのタイトルで、まだ本来の性能通りの速度を出せていない。
素の能力があるため、Iris Xe(第11~13世代 Core の内蔵グラフィック機能)と比べれば同等か、若干良い結果だが、GeForce GTX 1650 と比べると厳しいと言わざるを得ない。
CPU内蔵機能としては悪くないが、もっと良い結果を出せるはずなので、Core Ultra の普及が進み、ドライバの改善とソフトウェア側の最適化が進んでいくことを期待したい。
「龍が如く8」で見せているように、最適化さえ行われていれば、ビデオカード搭載機クラスのパフォーマンスを発揮できることは確認できた。
Intel Arc にはもうひとつ、古いゲームを苦手とする問題がある。
Intel Arc は DirectX12 という最新規格に最適化されているため、DirectX11 以前のゲームでは速度が落ちることがある。
DirectX12 の公開は2015年で、およそ2015~2017年以前に作られた3D描画のあるソフトウェアが該当する。
そこで、DirectX11世代のゲームであるファイナルファンタジー14と15のベンチマークも行ってみたのだが…… 結果は以下の通りだ。
FF14。スコア11667、とても快適
FF15の軽量測定。遊べるレベルではある
FF14のベンチマーク(ノートPC標準画質、1920x1080)のスコアは11660。
GeForce GTX 1650 で11000なので、同等の結果であり、つまり性能通りの速度が出ている。
FF14に関しては、苦手としている印象はない。
一方、FF15のベンチマーク(軽量画質、1920x1080)のスコアは4000。
第13世代 Core i7 の Iris Xe
で約3500、GeForce GTX 1650 だと6000~7000ぐらいなので、こちらは性能に見合ったスコアを出せていない。
だが、初期の Intel Arc はどちらも苦手としていたので、タイトルによっては改善していることが見受けられる。
初期の頃はFF15のベンチマークでチョコボが出ると発作を起こしたり、エルデンリングで山や壁のテクスチャ(絵)がチラついたりしたのだが、そういった症状もなくなっていた。
着実に改良が進んでいることは確かだ。
なお、動画の再生や映像配信など、一般の用途においては十分な能力を持つ。
また、Core Ultra は超省電力の「LP Eコア」により、動画を従来の75%の電力で再生でき、WEB会議も35%省電力化されるとアピールされている。
ただ、3D CAD(設計ソフト)や映像編集ソフトなどは、ゲーム以上に Intel Arc への対応が進んでいないだろうから、当面は注意が必要だろう。
ストレージ(記録装置)とメモリ
ストレージ(データ記録装置)には容量1TBの NVMe SSD が使用されている。
より速い第4世代(Gen4)の製品で、カスタマイズはできないが、1TB ならノートPCとしては大容量と言える。
使われていたのは Micron 2400 という製品で、省電力性能に優れているようだ。
実機でのベンチマーク(性能測定)の結果は以下の通り。
標準設定での測定
NVMe SSD 設定の測定
読み込みは約5000MB/s、書き込みは約3550MB/s。
公称の読み込み速度は4500MB/sなので、それより速い結果が出ている。
ただ、ランダムアクセスが妙に遅く、200MB/s台しかない。普通は450MB/s前後になる。
Micron 2400 はもっと速度が出るはずの製品なので、Core Ultra のコントローラーが消費電力や発熱を抑えているのだろうか?
2in1 やタブレットで見るような測定値だ。
この辺は他の Core Ultra 搭載機も検証してみないとわからないが……
ともあれ、読み込みが5000MB/sを超えているし、NVMe SSD の性能自体は悪くはない。
メモリは LPDDR5X(LPDDR5X-7467)が 16GB 搭載されている。
増設や交換ができないようなので、基板に直付けのオンボードメモリのようだ。
最新の LPDDR で、性能は文句なし。
メモリの本数がよく解らなかったが、DDR5 世代のメモリは内部でデュアルチャネルに近い処理を行っているので、仮に1本だとしても遅くはないはず。
容量は 16GB あれば問題ないだろう。
ちなみに、Core Ultra 9 搭載モデルだと 32GB になる。
総評
新時代のノートパソコンに求められる特性と技術が盛り込んだCPU「Core Ultra」。
今後の一般ノートPCの上位機種は、これを搭載するものが主流となるだろう。
Core Ultra はやや高価で、搭載機の多くは高額だが、本機は非常に美しい有機ELディスプレイも持ちながら、約16万5千円と言う価格に抑えられている。
これは驚くべきコストパフォーマンスで、自らパーツを開発・販売している ASUS でないと無理なレベルだ。
しかも大容量バッテリーで、軽いと来ているのだから、おすすめでない訳がない。
さらにスピーカーも音響メーカー製で、接続端子やマイクなども高機能、技術的にも高レベルで、14型ノートPCとして非の打ち所がない。
去年発売された Zenbook Pro 14X と比べると、タッチパネルや付属ペン、抗菌やテンキーパッドなどが省略されているが、必須でないものを省き、ほぼ同価格で Core Ultra に対応させた機種と言える。
Core Ultra の AI 機能(NPU)や、内蔵グラフィック機能(Intel Arc)については、まだ真価を発揮できる状況ではない。
だが、生成 AI はもちろん、Office や Photoshop などの主要なソフトウェアが NPU 対応を進めており、Intel Arc に最適化したソフトも増えてくるだろう。
Core Ultra 搭載機ならハードウェアの更新なしで、いずれその恩恵を受けられるようになる。
それはそんなに先のことではないはずだ。
今回の検証で、Core Ultra の処理効率の良さも確認することができた。
省電力モードで動かしても実働性能があまり落ちていないのは、動作モードの切り替えが一般的になっている現代のノートパソコンにマッチしている。
最先端の技術を割安で体験できる、一押しの製品だ。
・ASUS Zenbook 14 OLED UX3405MA
(2024年2月モデル、UX3405MA-U7161W)
形式:14インチ ノートパソコン
CPU:Core Ultra 7 155H(Pコア6 / Eコア4 / LPEコア2)
グラフィックス:Intel Arc A(CPU内蔵)
メモリ:16GB(LPDDR5X)
ストレージ:1TB NVMe SSD(Gen4)
モニター:OLED(有機EL)、縦横比16:10、解像度2880x1800、DCI-P3 100%(sRGB比 約133%)、リフレッシュレート120Hz
サウンド:Harman / Kardon のスピーカー、Dolby Atmos のイコライザー
通信:Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
モバイル性能:約1.2kg、バッテリー75Wh、公称21時間
その他:各種OLED対応機能、AIノイズキャンセラーと指向性マイク、カメラ200万画素、顔認証、高耐久試験、3つの動作モード、Thunderbolt4 x2、高速充電、180度ヒンジ
定価:税込164,800円
※詳細は ASUS 公式ストア もご覧下さい。
※このモデルは直販(WEB販売)限定です。
※Core Ultra 9 搭載モデルもあります。そちらはメモリ32GBで約20万円です。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。