• 2023年9月末に発売されたドスパラの17.3インチ クリエイターノートPC
  • 4K解像度でAdobe RGB約100%の大画面高発色モニターを搭載
  • RAW現像や写真加工を快適に行える高性能CPUとビデオカードを持つ
ドスパラ raytrek R7-RL

こんな人にオススメ!

  • 写真家、及び写真撮影を趣味とする人
  • 出版や印刷に携わる方
  • 4K解像度&高発色を仕事や趣味で必要とする人
このレビューは実機の貸出を受けて作成しており、リンクにはアフィリエイトが含まれています。
(提供元:株式会社サードウェーブ)

写真や出版に必要な機能を

ドスパラ(サードウェーブ)のクリエイターモデル「raytrek」の中でも、プロ仕様のスペックを持つ大型ノートパソコン。
それが今回取り上げる「raytrek R7-RL」だ。

具体的には17.3インチの大型で、4K解像度の緻密さと、Adobe RGB比 約100%の発色を持つ、非常に高性能なモニターを搭載し、それを十分に動かせるスペックを持つ製品だ。

これらが必要な職業となると、写真・映像・印刷に携わる人になるだろう。
そうしたプロの方々が、出向先で使うのを想定しているノートだ。

ドスパラ raytrek R7-RL

CPUはノートPC用としては最高の処理性能を持つ Core i9-13900HX
ビデオカードは GeForce RTX 4070 Laptop 搭載する。

大型のため重量があり、その高性能のため高負荷時の動作音もかなり大きい。
携帯しやすいノートPCではないが、クリエイターが本格作業を行える機能を有しており、作業効率を最優先している。

価格はメモリ32GB搭載機で税込299,979円
ストレージは1TBだが、メモリも含め、カスタマイズで増量可能だ。

高画質でゲームをしたり、動画を見たりすることもできるが、趣味よりも仕事向け。
以下、その特長を紹介していきたい。

外観

デザインとモバイル性能

外観はブラック一色。 鈍い光沢のある漆黒だ。
プロフェッショナル感の漂う、シブい外観。

天板の表面には強めの梨地加工が施されており、サラサラした触り心地だ。
指紋は付かないが、やや手の跡は付きやすい。

内部も黒一色のシンプルなデザインだが、キーボードのバックライトの色は好みに変えられる。
写真や動画の撮影現場では暗がりで作業することもあるので、バックライトは必要だ。

raytrek R7-RL 天板

潔く真っ黒。raytrek のロゴがある

raytrek R7-RL 全景

黒い本体に4Kのモニターが映える

17.3インチの大型ノートパソコンであるため、横は約39cm、縦も26.3cmと大きい。
厚さも25~33mmあり、重量も2.9kgと、さすがに重い。

バッテリーは78Whの大型のものを搭載しているが、消費電力が大きいため、駆動時間は公称で4.2時間と、あまり長くはない。

基本的には出向先のホテルやスタジオで、コンセントに繋げて使うのがメインだろう。
ただ、消費電力を抑える省電力モードや静音モードが用意されているため、それらを上手く使えばバッテリー駆動でも相応に長く使えるはずだ。(詳しくは後述)

ACアダプタは出力280Wの大型のもので、重さは980gと、これだけで約1kgある。
だが高性能なCPUとビデオカードに加え、4K大型モニターの消費電力も考えると、このぐらいの出力は必要だろう。

raytrek R7-RL 大きさ比較

A4とセミB5のノートとの大きさ比較
A4ノートより横が9cmほど大きい

raytrek R7-RL ACアダプタ

ACアダプターはコード込みで約1kg
本体と合わせると約4kgほど

インターフェイス(接続端子)は豊富で、作業に必要なものが用意されている。

右側面には USB-C が2つあり、一方は Thunderbolt 4 で、40Gbpsの速度に加え、映像出力にも対応。
もうひとつの USB-C は10Gbps(USB3.1)だが、こちらも映像出力(USB-ALT)を行える。

普通の USB がないのがやや残念だが、使いやすい右側にカメラやサブモニターを繋げられる USB-C の高速端子を2つ用意しているのは、作業重視と言えるだろうか。
右側にはデジカメで多用されるmicroSDカードリーダーもある。

左側面には普通のUSB(5Gbps)が2つに、オーディオ用のジャックが2つ。
背面には mini DisplayPortHDMI有線LAN、電源が備わっている。

raytrek R7-RL 左側面

左側面。普通のUSB3.0(5Gbps)が2つ

raytrek R7-RL 右側面

右側面。奥の USB-C が Thunderbolt 4

無線通信は最新規格の Wi-Fi 6E 対応、Bluetooth は 5.3 を装備。
有線LAN端子は最大2.5Gbの高速通信に対応だ。

前面には充電状態を示すランプがあり、閉じていても前からランプの色で充電量を把握することができる。

raytrek R7-RL 背面端子

背面端子部。電源はソケットが四角い

raytrek R7-RL バッテリーランプ

バッテリーランプ。オレンジだと充電中

モニター詳細 / カメラとサウンド

冒頭でも述べたように、本機は高発色の4K大型モニターを搭載するのが最大の特徴だ。

台湾 AUO 社の液晶パネルが使用されており、何度も述べているが、解像度は 3840x2160 の、いわゆる「4K」。
17.3インチの大型モニターで、細かい作業も行える表示サイズがある。

発色は、sRGB比 はもちろん100%。
Adobe RGB比 も約100%だが、NTSC とカバー率は 96% の模様。
ともあれ、Adobe RGB はほぼ網羅している。

知らない方のために補足すると…… Adobe RGB は印刷で使える色が増え、従来の基準では表現できない色が出てきたため、Adobe 社が独自に制定した色の範囲の規格だ。
Photoshop や Illustrator、InDesign などの Adobe 社のソフトウェアは、雑誌や写真集などの出版物の作成で常用されているため、それを仕事にする人にとって、Adobe RGB を約100%で表示できることは必須と言える。

なお、米映画団体や Apple が制定した、映像の色範囲 Display P3 / DCI-P3 は約88%の模様。
Adobe 基準のモニターなので、こちらのカバー率は若干狭まる。

本機にはディスプレイの色を基準値に調整する X-Rite Color Assistant というソフトウェアが備わっており、モニターの色の誤差をなくしてくれる。

raytrek R7-RL モニタ外観

今は2000万画素のデジカメも一般的。4Kの800万画素でも足りないぐらいだ

X-Rite Color Assistant

色が全て正確に表現できないと、印刷したものと違うということになり得る

最大輝度は明るめの 400nit、コントラスト比は 1200:1 で、こちらも高い数値。
視野角は全方位85度のようで、こちらも十分だ。

リフレッシュレートは一般的な60Hz(秒間60コマ)で、ゲーミングモデルではないので、特に描画が高速ということはない。
もし4Kで高リフレッシュレートだとグラフィック負荷や消費電力が大変なことになり、お値段も超高価になってしまう。
クリエイターモデルである本機は、発色と解像度が優先だ。

WEBカメラはフルHD画質(約200万画素)で、一般的なHD(約100万画素)より高画質だが、顔認証はない。
マイクを備え、WEB会議は普通に行えるが、セキュリティやWEB会議に関する機能は普通。

サウンドは老舗のPC音響システムである Sound Blaster のイコライザー(音声調整ソフト)が備わっている。
このイコライザーはどちらかと言うとゲーム向けで、本機に使われているのはちょっと意外。

ゲームごとの設定が用意されていたり、足音の方向を聞き取りやすくするモードを持つが、低音はやや弱めで、サラウンド(音の広がり)も少なめ。
調整してもあまり大きく音質を変えることはできない。

だが、オリジナルの音を自然かつ深みのあるサウンドに拡張してくれる。
スピーカーはそんなに良くないが、このイコライザーのおかげで音質は悪くはない。

Sound Blaster Studio Pro

Sound Blaster の設定画面。パワフルな音より、自然な音を重視している印象

Sound Blaster Acoustic Engine

細かい調整も可能。あまり大きく変えられないが、ヘンな音にもなりにくい

キーボード

大型ノートパソコンなのでキーボードには余裕があり、横4桁のテンキーを備えている。
数値の入力がしやすく、カーソルキーも標準サイズで、画像加工ソフトなどで使用する際に困らない。
ただカーソルキーが大きい分、右シフトキーは小さくなっている。

打鍵感はポチポチ系で、ボタンを押すような感触。
やや硬めのキーだが反発は強く、指への衝撃も少なめで、慣れればリズミカルなタイピングを行えるだろう。
打鍵ミスを防ぐため、キーとキーのすき間は広めになっている。

raytrek R7-RL キーボード

キーボード外観。キーのすき間が広いので、やや縦長のキーになっている

raytrek R7-RL テンキー周辺

4桁テンキーとカーソルキー周辺。ワーキングノートにテンキーは必須だ

キーボードバックライトが備わっており、好みの色に変更することもできるが、ゲーミングではないので、キーごとに色を変えたり、七色に輝かせたりすることはできない。
ともあれ、暗がりで作業するときでもキーは確認しやすい。

そして大きな特徴は、タッチパッドが巨大なこと。
17インチの本体に合わせた最大限のサイズのものが備わっていて、縦にも横にも広い。

タッチパッドは大きいほど指の置き直しをしなくて済むので、操作性が良くなる。
指を大きく動かす操作で困りにくく、滑りも良いため、とても扱いやすい。
もちろん押し込まなくてもいい操作やジェスチャ操作にも対応しており、実用性が高い。

raytrek R7-RL タッチパッド

サイズ一杯までパッドを大きくしているのは本機の特徴の一つだ

raytrek R7-RL バックライト調整

ゲーミングPCほどではないが、キーボードライトの色は好みに変えられる

パーツ性能

処理性能(CPU)

raytrek R7-RL は CPUCore i9-13900HX が使用されている。
ノート用の第13世代 Core の最上位であり、現時点でノートPC最高の処理能力を誇る。
デジカメのRAW現像や写真加工のスピードはCPUに左右されるため、もちろん重要だ。

ただ、Core i9-13900HX は消費電力と発熱が非常に大きいため、高負荷時のバッテリーの消耗はかなり早く、冷却ファンの動作音も大きい。

本機には パフォーマンス、エンターテイメント、省電力、静音 という4つの動作モードが用意されており、出力の調整を行えるので、利用状況に合わせてモードを使い分けると良いだろう。
この切り替えは「Control Center」というソフトで行い、Fn + ESC キーで起動する。

raytrek Control Center
※Control Center の公式マニュアルは こちら を。

以下は Core i9-13900HX の基本仕様だ。

Core i9-13900HX, CPU-Z

コア構成は性能重視のPコアが8、効率重視のEコアが16の、24コア32スレッド
ノートPC用のCPUとしては最多スレッド(同時処理数)を誇る。

スレッド数は Photoshop や Lightroom による写真の加工、動画の編集(エンコード)の速度に関わるため、クリエイターモデルにはとても重要だ。

基準のTDP(電力と発熱の目安)は55Wとなっているが、実際の投入電力は前述した動作モードにより変化する。

以下はパフォーマンスモードでベンチマーク(性能測定)を行った結果と、他の主流のノート用CPUとの比較グラフだ。
グラフにはエンターテイメントモード、省電力モード、静音モードの結果も含めている。

Core i9-13900HX, CINEBENCH R23, raytrek R7-RL, パフォーマンスモード

Core i9-13900HX(パフォーマンス)

Core i9-13900HX, CINEBENCH 2024, raytrek R7-RL, パフォーマンスモード

Cinebench 2024 の測定結果

・マルチコア性能(Cinebench R23、10分測定)

Core i9-13900HX:24850 (パフォーマンス)

Core i9-13900HX:20500 (エンターテイメント)

Core i7-13700HX:20000

Core i9-13900HX:17500 (省電力)

Ryzen 7 7840HS:15600

Core i9-13900HX:15500 (静音)

Core i9-13900H:13700

Core i7-13700H:13500

Core i7-12700H:12500

Core i7-11800H:10800

Ryzen 5 7535HS:10500

Ryzen 5 6600H:9750

Core i7-1360P:9700

Ryzen 7 7730U:9600

Core i7-1260P:8700

Core i7-1355U:7000

Core i5-1335U:6000

Core i7-1165G7:5800

Core i3-1215U:5500

Ryzen 3 7330U:4950

Celeron N5100:1400

・シングルコア性能(Cinebench R23)

Core i9-13900HX:2010 (パフォーマンス)

Core i9-13900HX:1950 (エンターテイメント)

Core i9-13900HX:1900 (省電力/静音)

Core i9-13900H:1900

Core i7-13700H/HX:1850

Core i7-1360P:1820

Core i7-12700H:1810

Ryzen 7 7840HS:1760

Core i7-1260P:1735

Core i7-1355U:1735

Core i5-1335U:1670

Core i3-1215U:1550

Core i7-11800H:1520

Core i7-1165G7:1500

Ryzen 7 7840HS:1480

Ryzen 5 6600H:1480

Ryzen 7 7730U:1430

Ryzen 3 7330U:1370

Celeron N5100:580

マルチコア性能の測定結果は約24850という、非常に高い数値が出た。
私が測定したノートパソコンの中では最高値で、デスクトップパソコンの標準型CPUよりも上、K付きCPUに迫る数値だ。
シングルコア性能約2010で、デスクトップCPUのレベル。

創作や出版物の作業で多用される Adobe 社のソフトや、事務作業で多用される Office はマルチコアに最適化されており、マルチとシングルの双方の性能が影響する。
そして本機はマルチコアもシングルコアもノートPCとしてはトップクラスなので、速度については文句の付けようがない。

ただし、本機のパフォーマンスモードは高負荷をかけると最大135Wという非常に高い電力で動き続ける。
ずっとブーストが続いているような状態で、コア温度は95℃以上まで上がり、動作音は60db前後と非常に大きくなる。
高パフォーマンスが欲しい時だけ利用するモードと思った方が良いかもしれない。

エンターテイメントモードはブースト中で最大115W。ブースト持続時間は150秒ほどとかなり長いが、ブーストが終わると65Wでの動作となる。
高い性能を発揮しつつ、非ブースト時のファンの音は控えめになるため、普段はこのモードで使うのが良いだろう。

また、本機のエンターテイメントモードには「ノイズレス」という設定があって、これにするとブースト時間が短くなるようだ。
エンターテイメントでも騒音が気になるなら、こちらにした方が良いかもしれない。

省電力モードビデオカードへの給電を OFF にする、特殊なモードだ。
文章作成などの軽作業だけやりたい場合に、バッテリーを長持ちさせて騒音も減らすことができるが、ビデオカードが働かないと写真加工や映像編集などの速度は大きく落ちてしまう。
4K解像度だと画面表示だけでも相応の負荷があるし、本機の用途を考えると、あまり有用ではないかもしれない。

静音モードはブーストが約10秒ほどしか続かず、高温になる前に終わる。
そして普段は45Wでの動作となるため、処理性能は落ちるが、とても静かに動き、コア温度も60℃前後と低くなる。
一方でビデオカードは普通に動くので、写真加工などは割と行える。

45Wの静音でもマルチコアで15000以上、シングルコアも約1900と高い性能を発揮しており、24コア32スレッドのCPUであることは変わらないので、動作は快適だ。
静音モードで常用するのも、本機なら良いだろう。

以下はパフォーマンスモードと静音モードで行った、測定ソフト PCMark10 の結果だ。

raytrek R7-RL, PCMark10, パフォーマンスモード

PCMark10 パフォーマンスモード

raytrek R7-RL, PCMark10, 静音モード

PCMark10 静音モード

もちろん全項目が高い数値。 一般用途や軽作業に関しては誤差程度の差しかない。

写真/画像加工はパフォーマンスで約17200、静音モードだと約15800となっている。
静音だとややスコアが落ちているが、15000以上あれば十分に快適だ。

グラフィック性能(GPU)

本機が搭載する ビデオカードGeForce RTX 4070 Laptop
上位のビデオカードであり、高いグラフィック処理能力を持つ。ビデオメモリは8GB。

最新の GeForce 4000 シリーズであるため、グラフィック関連の最新技術に対応。
4K画質でも高い圧縮率を誇る動画コーデック「AV1」も利用できる。
色表現も、現行の GeForce はすべて10bitカラー(約10億色)に対応済み。

ビデオカードは3D描画(ゲームや設計)のためのものだと思っている人もいるかもしれないが、写真などの平面画像の処理にも大きな影響がある。

なお、本機は動作モードを変えても(ビデオカードへの給電を切る省電力モード以外は)ビデオカードの性能は変わらない。
動作モードによる写真加工等への影響を抑えるためだと思われる。

以下はベンチマーク(性能計測)ソフト 3DMark:TimeSpy で測定した本機の3D描画性能と、他の主流ビデオカードとの比較だ。

raytrek R7-RL, GeForce RTX 4070 Laptop, 3Dmark TimeSpy
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。

・3D Mark: TimeSpy(ノート用GPU)

GeForce RTX 4090 Laptop:21900

GeForce RTX 4080 Laptop:19000

GeForce RTX 4070 Laptop:12600

GeForce RTX 3080 (note):12000

GeForce RTX 3070 (note):10400

GeForce RTX 4060 Laptop:10300

GeForce RTX 4050 Laptop:8500

GeForce RTX 3060(note):8350

GeForce RTX 1660Ti(note):5550

GeForce RTX 3050(note):4850

GeForce GTX 1650(note):3400

Iris Xe(第13世代 Core 内蔵):1800

Iris Xe(第11世代 Core 内蔵):1400

Core i3-1115G4 (CPU内蔵、Intel UHD):700

グラフィックスコアは約12600。 平均値より少し良い結果が出た。
一般的な解像度(1920x1080)でゲーム等を動かす分には、十分な性能である。

しかし、本機は4Kモニター搭載機だ。
4K(3840x2160)でどれだけ動かせるのかを考えないと、宝の持ち腐れと言える。

という訳で、人気のゲームを4Kで試してみたのだが……

「モンスターハンターライズ」 は高画質の戦闘時で 50~60fps となった。
60fps(秒間60コマ)に満たないが、快適にプレイできるレベルである。

一方、「エルデンリング」は4Kの最高画質だと 35fps と、遊べるギリギリといったところ。
「アーマードコア6」も 40~50fps で、普通に遊べるが 60fps には満たない。

「ストリートファイター6」も最高画質(HIGHEST)の4Kだと 55fps と、60fps にギリギリ届かないので、画質を少し下げる必要がある。

アーマードコア6

アーマードコアのメカのモデリングが緻密
4Kでもプレイは可能だ

エルデンリング

4Kのエルデンリングは風景がとても美しいが、快適動作とは言い難い

特筆したい結果が出たのは「龍が如く 7 外伝」で、4Kの最高画質だと 30~35fps ぐらい。
しかし DLSS を効かせることで、一気に 80fps まで速度が上がる。
元々 DLSS は高解像度でも滑らかに描画できるようにするためのものなので、4Kで最大の効果を発揮する。

DLSS 対応をうたっているタイトルなら、GeForce RTX 4070 Laptop クラスの性能があれば、4Kでも快適に動くと思って良いだろう。
DLSS 対応でないものは、4Kで60fps以上を出すには、GeForce RTX 4080 Laptop クラスが必要になるようだ。

なお、言うまでもないが、4Kの映像はとても緻密で美しく、自然であった。

FF15ベンチ 4K測定, raytrek R7-RL

4K解像度でのFF15ベンチマークの結果
「やや快適」ぐらいに留まる

しかしDLSS対応のゲームなら一変、高画質で4Kでも滑らかに動く

本機はクリエイターモデルであり、ゲーミングモデルではないが、高負荷の3Dのゲームが動くなら(DirectX 対応の)3D CAD やキャラクター造形ソフトなども動くので、目安となるはずだ。

ただし、4Kでゲーム等を動かしているとビデオカードの負荷が非常に高くなるため、冷却ファンの騒音は非常に大きかった。
作業用ならこれでも良いかもしれないが、ゲームには辛いかなと思う。
4Kでのゲームプレイに使いたいのであれば、ヘッドホンなどを併用したい。

写真加工の補助としては、十分すぎるほどの性能だ。
ただ、4K解像度の動画編集となると、GeForce RTX 4070 Laptop の性能で、ちょうど必要量といったぐらいだろう。

ストレージ(記録装置)とメモリ

ストレージ(データ記録装置)には第4世代(Gen4)の NVMe SSD が使用されている。

データ容量は 1TB で、クリエイターモデルとしては多いとは言えないが、カスタマイズに対応。
2TB や 4TB の NVMe SSD に変更したり、2本目の NVMe SSD を増設して貰うことができる。

販売ページのストレージ表記に「追加ストレージ 無し」と書かれているが、追加できないという意味ではないので注意して欲しい。

以下は試用機に使われていたストレージのベンチマーク結果だ。

raytrek R7-RL, Micron 3400, Crystal Disk Mark, default

標準設定での測定

raytrek R7-RL, Micron 3400, Crystal Disk Mark, NVMe SSD mode

NVMe SSD 設定の測定

読み込み約6700MB/s、書き込み約4900MB/sという、かなり優秀な数値が出ている。
ランダムアクセスも読み込み2800MB/s、書き込み2600MB/sと高い数値が出ていて、非の打ち所がない。

搭載されている製品は Micron 3400 という、ドスパラでよく使われているもの。
すべての面で安定した高性能を誇る製品で、他のメーカーのものに変更することもできるが、その必要はないだろう。

メモリは最新の DDR5 メモリ(DDR5-4800 / PC5-38400)を 32GB、標準搭載している。
2本のメモリにデータを分散して高速化するデュアルチャネルで動いており、性能的には十分だ。

ただ、メモリの量は創作作業において、影響が大きい。
例えば、高解像度の写真をたくさん開いたり、ファイルサイズの大きい動画の編集を行おうとすると、メモリ不足による異常が生じがちである。

32GBは相応の量ではあるが、本機のスペックと用途を考えると、64GBすることも考慮した方が良いだろう。

総評

クリエイター、特に写真家に必要となる、大画面・4K解像度・Adobe RGB基準の高発色・RAW現像に必要な処理能力を備え、必要なビデオカードを搭載したマシン。
プロの写真家に向けたノートパソコンとしては、これが「答え」だろう。

CPUの性能はここまで高くなくても良い気もするが、プロ向けとして処理速度で妥協しないなら、やはり Core i9 の HX(最上位型)になるだろうか。

通常、このレベルのスペックになると「だったらデスクトップで良いのでは?」という話になるが、撮影のため各地を飛び回る写真家向けとなると、重くてもノートでなければならない。

ただ、消費電力が大きくてバッテリーがあまり持たないので、基本的にはホテルなどで使うことになるだろう。
アウトドアで使うにはポータブル電源を用意するか、消費電力に配慮した使い方が必要になる。
幸い、本機の静音モードはその助けとなる。

写真家や、写真の愛好家にとって、実用に足る製品だ。

ドスパラ raytrek R7-RL

raytrek R7-RL

形式:17.3インチ ノートパソコン
CPU:Core i9-13900HX(第13世代 Core 最上位型)
グラフィックス:GeForce RTX 4070 Laptop 16GB
メモリ:32GB(DDR5-4800、16GBx2)
ストレージ:1TB NVMe SSD(Gen4)
モニター:解像度 4K(3840x2160)、Adobe RGB比 100%(カバー率96%)
サウンド:Sound Blaster のイコライザー
通信:Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
モバイル性能:約2.9kg、バッテリー78Wh、公称4.2時間
その他:4つの動作モード、4桁テンキー、280W大型ACアダプタ、ビデオカード給電OFFモード、NVMe SSD 追加可能、Thunderbolt 4、色調整ソフト付属
定価:税込299,979円

※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。