• 2024年8月に登場した、最新型 AMD CPU 搭載のゲーミング デスクトップPC
  • Zen5 世代の Ryzen 7 と GeForce RTX 4070 搭載の最新高性能モデル
  • Ryzen の調整機能(PBOとCurve Optimizer)でより電力効率をアップできる
ドスパラ GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載

こんな人にオススメ!

  • 最新高性能のゲーミングパソコンが欲しい人
  • いま買うなら Zen5 でしょ! という人
  • 俺は AMD 派だ! という方
このレビューは実機の貸出を受けて作成しており、リンクにはアフィリエイトが含まれています。
(提供元:株式会社サードウェーブ)

Ryzen 7 9700X 搭載PC

2024年8月、AMDは最新設計「Zen5」で作られたデスクトップCPU「Ryzen 9000 シリーズ」を発売した。
初期生産品に問題があって再検査が実施されたりしたため、出回りが悪かったが、9月に入ってようやく日本でも普及が始まっている。

ドスパラはそんな Ryzen 9000 シリーズ搭載のパソコンを、日本で最速で発売したメーカーのひとつだ。

今回取り上げるのは、そのミドルクラスのゲーミングPCGALLERIA XA7R-R47 9700X搭載である。

ドスパラ GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載

実は Ryzen 9000 シリーズは、巷の評判はあまり良くない。
ピーク性能が高くなく、パソコンマニアが多いAMDファンが好むような、最高速重視のCPUではなかったからだ。

だが、電力効率が良く、少ない電力で高い性能を発揮できるようになっている。
温度管理もしやすく、扱いやすい製品になっており、低めの電力と温度で安定した性能を発揮できることは、ゲーミングモデルに要求される性能でもあるだろう。
詳細は後述するが、シングルコア性能が高まったので、ゲームにもより向いている。

ビデオカードは、今回の試用機は GeForce RTX 4070 を搭載している。
Zen5 の Ryzen 7 を搭載する GALLERIA は GeForce RTX 4060Ti ~ GeForce RTX 4080 SUPER を載せたものまで各種販売されているが、その中でも人気なりそうな構成だ。

価格は(9月時点で)税込284,980円と、30万円未満に抑えられている。

以下、注目のCPU性能からレビューをしていきたい。

パーツ性能

処理性能(CPU)

CPUは最新型の「Ryzen 7 9700X」が搭載されている。
AMDの新設計「Zen5」のデスクトップ用CPUで、Ryzen 9 ほど高額ではない、一般向けの上位モデルだ。

「X」は性能を調整できることを意味するが、Intel の Core シリーズのK付きモデルとは違い、標準的な製品であり、愛好家向けという訳ではない。
もっとも、デスクトップ用の Ryzen 自体がややマニア向けとは言えるが。

コア数は8、スレッド数は16。
すべて同じコアで、PコアとEコア(Zen5 と Zen5c)に分かれていたりはしない。

Ryzen 7 9700X, CPU-Z

デフォルト(基準)の TDP は 65W で、かなり低めの設定。
ただ、標準設定で動かしても投入電力は 80W を超えていたので、デフォルトの TDP にはほとんど意味はない。

CPU内蔵のグラフィック機能は備わってはいるが、性能は低いので、補助的なものに過ぎない。
ビデオカードとの併用が前提と言える。

以下はベンチマーク(性能測定)ソフト CINEBENCH の測定結果と、主流デスクトップ用CPUとの比較グラフだ。

Ryzen 7 9700X, GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載, CINEBENCH R23

Ryzen 7 9700X(10分測定)

Ryzen 7 9700X, GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載, CINEBENCH 2024

Cinebench 2024 での計測

・マルチコア性能(デスクトップ K付き含む)

Core i9-14900K:37800

Core i9-13900K:37000

Core i7-14700K:34000

Core i7-13700K:29000

Ryzen 9 7900X:29000

Core i9-12900K:25000

Core i7-12700K:22000

Ryzen 7 9700X:20700(本機)

Core i7-14700:19700

Ryzen 7 7700X:19000

Core i7-13700:17700

Core i5-14400:13750

Ryzen 7 5700X:13000

Core i3-13100:8900

Ryzen 5 4500:8850

・シングルコア性能(デスクトップCPU)

Core i9-14900K:2350

Core i9-13900K:2250

Ryzen 7 9700X:2210(本機)

Core i7-14700K:2150

Core i7-13700K:2100

Core i7-14700:2050

Core i7-13700:2020

Core i9-12900K:2000

Ryzen 9 7900X:2000

Ryzen 7 7700X:1950

Core i7-12700K:1920

Core i5-14400:1820

Core i3-13100:1730

Ryzen 7 5700X:1540

Ryzen 5 4500:1230

※近年の全CPUとの比較は こちら をご覧ください。

マルチコア性能の測定値は20700。さすが最新デスクトップ用CPUだけあって、2万を超える。
ただ、約2万というのは第14世代の Core i7 と大差なく、Zen4 の Ryzen 7(Ryzen 7 7700X)ともあまり差がないため、新型CPUとしてはインパクトに欠ける。

だが、シングルコア性能2210 と、かなり高いスコアを発揮した。
これは Zen4 の Ryzen 7 より 200 ほど高く、第14世代 Core 7 のK付きよりも高い。

よって Ryzen 9000 シリーズは、これまで Ryzen が強かったマルチコアは伸びておらず、これまで弱かったシングルコアが伸びたという、弱点を補強したCPUになっている。

CPU温度は(標準設定では)上限70℃になっており、投入電力は 88W
どちらもかなり余裕はあるが、動作音は結構大きく、測定中は 60db 前後の冷却ファンの回転音があった。

本機は「CPU温度が指定の温度(TjMAX)になるまでパワーを出す」という、温度を基準とした設定になっているため、冷却力がCPUの処理能力にダイレクトに反映される。
このため、標準のファンの回転数が少し高めの設定になっているのかもしれない。

以下は PCMark10 で測定した、様々な作業を行ったときの評価だ。

PCMark10, GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載

あらゆる作業の評価が高いが、特にアプリの起動速度は16000を超える。
後述するストレージ性能も影響していると思われるが、これは第14世代 Core i9 のK付きモデル搭載機に匹敵する非常に高い数値だ。

そして表計算は、なんと17000越え。私が測定した中では過去最高値
Ryzen は伝統的に表計算に強いのだが、その特性は Zen5 になっても健在だ。
書類作成も9500を超える非常に高い数値が出ている。

写真/画像加工も25000と、GeForce RTX 4070 としては非常に素晴らしい数値が出ている。
第13/14世代 Core i7+GeForce RTX 4070 だと 18000~21000 ぐらいの結果だったので、実働性能で二回りほど上回っている。

反面、3D描画のテストが(GeForce RTX 4070 としては)低めに出ているが、これは相性の問題だろうか?
動画編集は10000を超える過去最高のスコアが出ており、9000さえほとんど見たことがないので、驚きである。

AMDのアピールでは、Zen5 は分岐予測の改善、レイテンシ(遅延)の改善、より深い並列処理、演算エンジンの強化が行われていると言われていた。
その効果は実感しにくいが、実用環境に近いこのテストでは、その一部が反映されているものと思われる。

CPUのオーバー&アンダークロック

まず最初に言っておくが、CPUの性能を調整するオーバークロックなどの行為はメーカー保証外であり、自己責任となることを留意してほしい。
パソコン販売元のドスパラはもちろん、CPUメーカーのAMDも、以下の PBO による性能強化は保証範囲外としている。


さて…… ここまでは標準設定でCPUを動かした場合の話。

近年の Ryzen には、Precision Boost Overdrive(PBO)と呼ばれるブースト強化機能と、Curve Optimizer と呼ばれる電圧抑制機能がある。
これらによってコアの負荷を軽減しつつ、余力を高負荷のコアに回し、より高い性能を発揮することができる…… と、されている。

そして本機が搭載する ASRock 製マザーボードは、これを上限温度設定(TjMAX)と組み合わせて使うようになっている。
例えば「75℃ まで PBO で能力を高めつつ Curve Optimizer も使う」といった具合だ。

設定は簡単で、BIOS を起動(PC起動時に F2 か Delete を連打)し、OC Tweaker を選択。
一番上に Performance Preset という項目があるので、その右にある Auto のボタンを押し、任意の設定を選べば良い。

ASRock Phantom Gaming BIOS PBO

その後、Exit を選択して Save & Exit すれば、再起動後に適用される。

まずは「PBO, Tjmax = 85℃ and Curve Optimizer -20mV」で試してみた。
85℃が上限温度となるため、標準設定の70℃と比べると、15℃分のオーバークロックとなる。

-20mV というのは余力があるときに電圧を -20mV 下げるという意味で、他に -30mV と -40mV を選択できるが、どれがベストかは環境や冷却によって異なる。
とりあえず今回は -20mV で試している。

結果は以下の通りだ。

Ryzen 7 9700X, PBO Tjmax = 85℃ and Curve Optimizer -20mV

マルチコアのスコアは23000。標準だと20700だったので、2000以上アップ!
シングルコアは変わっていない。
投入電力は約120Wとなり、CPU温度は上限85℃の設定なので、当たり前だが85℃。

なかなか有意な性能アップを得られたが、測定中の動作音(冷却ファンの回転音)も 65db とさらにアップした。
かなり大きな音で、これで使うのは私的にはちょっと辛い。

続いて「PBO, Tjmax = 65℃ and Curve Optimizer -20mV」を試してみる。
標準設定が70℃なので、上限65℃だとアンダークロック(ダウンクロック)となる。
結果は以下の通り。

Ryzen 7 9700X, PBO Tjmax = 65℃ and Curve Optimizer -20mV

マルチコアのスコアは約21150。
標準設定が20700だったので…… 下がるどころか、むしろスコアが上がっている!
シングルコアはやはり変化なし。
投入電力は82W前後で、標準設定が88Wだったので、消費電力も低下。
そして温度は65℃以下になるのでファンの回転音が大幅に下がり、50db ほどになった。
普通のデスクトップパソコンと同じぐらいの動作音となる。

この結果は素晴らしい。全てにおいて改善されており、何も欠点がない。
アンダークロックも一応動作保証外の行為なので、これにしましょう! とは言えないが、私ならこの設定で使う。

ちなみに、過去に Core i7-13700 を 80W で動かした時のマルチコアのスコアは 19950 だったので、(PBO使用で)1200ほどのスコア差があり、ワットパフォーマンス(電力効率)も飛びぬけてという程ではないが、確かに良くなっている。

なお、前述したように PBO+TjMAX は「この温度になるまでパワーを上げる」という設定なので、冷却力が強ければ、より性能は高まるはずだ。
カスタマイズでブランド品のクーラーや水冷クーラーを選択したり、熱伝導率の高いCPUグリスを選べば、より良いスコアが出るかもしれない。

上限温度を設定する方法は、初心者でもわかりやすく、安全に扱える利点もある。
反面、温度に余裕があるときにファンの回転数だけ下げて、騒音を減らしつつ性能を維持する、といった設定はやり辛くなる。

ちなみに Ryzen 7 9700X 自体の TjMAX(これ以上は危険という温度)は 95℃ だ。

従来の投入電力を変えてオーバークロックする方法は、かなりわかり辛くなっていた。
Intel の第13/14世代 Core のK付きモデルが、マザーボードの電力無制限設定によって破損する問題があったためだろうか?
今後は温度で設定するのが主流になっていくのかもしれない。

グラフィック性能(ビデオカード)

冒頭でも述べたように GALLERIA XA7R シリーズには、GeForce RTX 4060Ti から GeForce RTX 4080 SUPER まで、各種のビデオカードを搭載するモデルが用意されている。

今回の試用機は GeForece RTX 4070 搭載機であり、主流の GeForce 4000 シリーズの中ではミドルクラスと言えるが、パーツの値段が高騰している昨今、RTX 4070 はやや高額な製品と言える。

そのぶん性能は十分で、先に結論を言ってしまうと、現行のゲームはほぼ全て、高画質で快適にプレイすることができる。

ビデオメモリも GDDR6X を 12GB 搭載しており、動画編集、高解像度映像、生成AIなどでも、高いパワーを発揮できる。
最新の GeForce 4000 シリーズなので、DLSS も最新の DLSS3 を使用可能だ。

以下は 3DMark:TimeSpy で測った3D描画性能と、他のデスクトップ用ビデオカードとの比較グラフだ。

GeForce RTX 4070, GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載, 3DMark TimeSpy
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。

・3D Mark: TimeSpy(デスクトップ用)

GeForce RTX 4080 SUPER:28500

GeForce RTX 4080:28000

GeForce RTX 4070Ti SUPER:24000

GeForce RTX 4070Ti:23000

GeForce RTX 4070 SUPER:20500

GeForce RTX 4070:17500(本機)

Radeon RX 7700 XT:17000

GeForce RTX 4060Ti:13500

GeForce RTX 3070:13000

GeForce RTX 3060Ti:11500

Radeon RX 7600:10900

GeForce RTX 4060:10500

GeForce RTX 3060:8500

GeForce RTX 3050 8GB (2022):6200

GeForce GTX 1660 SUPER:6000

GeForce RTX 3050 6GB (2024):4800

GeForce GTX 1650:3600

Ryzen 7 8700G (CPU内蔵、RDNA3):3000

GeForce GTX 1050Ti:2500

Core i7-13700 (CPU内蔵、Intel UHD):800

※近年の全グラフィック機能との比較は こちら をご覧ください。

本機のグラフィックスコアは約17500
GeForce RTX 4070 の平均スコア通りの結果となった。

では、この3D描画性能で、最新のゲームはどのぐらい動くのか?

以下は実機で検証した、最新ゲームの動作速度の一覧だ。
※解像度は1920x1080。動画は実機で録画したものですが、再生速度は30fpsです。動画が止まっている場合は長押ししてください。

高画質の戦闘中で 130~200fps。バラつきが大きいのがやや気になるが、およそ 150~160fps で動作し、非常に快適にプレイできる。
160Hz クラスのゲーミングモニターの性能も十分活かせるだろう。
DLSS はこのレベルになるとほとんど違いが生じない。一部の表現が劣化するだけなので、使わない方が良い。

画質「非常に高い」でも DLSS なしで 120~150fps で動作する。
DLSS をバランスにして試してみたが、130~150fps で、ほとんど違いはなかった。
動作に合わせて画質を調整する動的解像度スケーリングは、もはや使う必要がない。

最高画質、DLSS なしの場合でも 140fps 以上で動作する。
それで十分と言えるが、DLSS をクオリティにすると 170fps の速度になる。
160Hz のゲーミングモニターをフル活用可能だ。

起動時のベンチマークスコアは662。画質は最高(描画スケール100)に設定される。
この状態で上限の60fpsを維持できるため、全く問題ない。

最高画質(HIGHEST)でも、もちろん上限の60fpsで動作する。
町を散策するシーンは100fpsから上限の120fpsで、100fpsを下回ることはほとんどない。


デスクトップの GeForce RTX 4070 だと、解像度 1920x1080 ではオーバースペックと言えるほどの性能だ。
現行のゲームはもちろん、今後数年先のゲームも高画質で快適にプレイできるだろう。

以下は4K解像度でテストを行う TimeSpy Extreme の結果だが、こちらでも平均50fpsが出ており、一般のゲームやソフトウェアは 4K 60fps 以上で動かせると思っていい。

GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載, GeForce RTX 4070, 3DMark Timespy Extreme

GeForce RTX 4070 が優秀すぎて、Zen5 の Ryzen だからどうこう、というのは感じられなかった。
ともあれゲーミングPCとして、申し分ない性能だ。
DirectX で動くものなら、3D CAD や3Dモデリングソフトなども快適に動作するだろう。

ストレージ(記録装置)とメモリ

本機はストレージのカスタマイズ性の高さも特徴と言える。
まず、標準のストレージは容量 1TB の NVMe SSD となっている。
高速な Gen4(PCIe 4.0)の製品で、これでも悪くはないのだが、より高速な製品や、2TB、4TB の大容量を選ぶこともできる。

そして、2本目の NVMe SSD の搭載が可能、さらに HDD や SSD の追加も可能で、加えて HDD はもう1つ追加することもできる。
つまり、注文時に合計4つのストレージを搭載してもらえる。

また、詳しくは後述するが、3本目の M.2 スロットと、4つのSATA端子、豊富なマウンタ(ストレージ固定場所)があり、注文時に4つのストレージを追加しても、まだ NVMe SSD 1本と、SSD 2つを(自力で)増設することが可能だ。

十分すぎる程の拡張性で、積みゲーマーはもちろん、写真や動画を撮り溜めることが多いクリエイターにも向いている。
また、古いパソコンのストレージも移植しやすい。

以下は標準搭載のストレージの速度を計測した結果だ。

GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載, Crystal Disk Mark, default

標準設定での測定

GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載, Crystal Disk Mark, NVMe SSD mode

NVMe SSD 設定の測定

※テスト結果は製品と異なる可能性があります。

使われていた製品は CFD Gaming というゲーム向けブランドの NVMe SSD。
フラッシュメモリ自体はキオクシア(旧 東芝)のものが使われている。

読み込み約5000MB/s、書き込み約3780MB/sという、Gen4 の NVMe SSD らしい数値。
公称値より書き込み速度が低いのが気になるが、悪くはない。

そして驚くべきなのがランダムアクセスで、同時処理ありの測定で、読み込み2500MB/s、書き込み3300MB/sを超える非常に高いスコアを叩き出した。
この製品はランダムアクセスは元々優れているのだが、それにしても高い。

ランダムアクセスにはマザーボードやCPUも影響するので、Zen5 のコントローラーが優秀なのかもしれない。

メモリは DDR5(DDR5-4800)を 32GB 搭載している。
16GBが2本付いており、データを分散して高速化するデュアルチャネルで動作。

質も量も十分だが、+4800円で少し速い DDR5-5600 にすることもできる。
64GB(32GBx2)に増量することも可能だが、写真家や動画編集者でないと、そこまでは必要ないだろう。

ケースと内部構造

ケースはゲーミングモデル GALLERIA の中型ケースが使用されている。
中型と言っても、ミドルタワーと呼ばれるサイズの中では他社よりも若干大きめ。
その分、中のスペースには余裕がある。

今回の試用機は以前からあるブラックとガンメタリックの配色だったが、最近ホワイトの GALLERIA ケースも登場しており、+5000円でそちらを選ぶこともできる。

外観の大きな特徴は前面の青いゲート型LEDライトで、重厚感のあるデザインだが、このライトが無骨さを和らげている。
天井が網になっているのも特徴で、本機は天井部にファンはないが、通気のため物は置かない方が良いだろう。

ボタンやUSB端子は前面上部に、ななめ上に向かって付いており、高さもあるため、床置きに向いた設計だ。

GALLERIA ケース外観

ブラック&メタルのガレリアケース
幅22cm x 高さ48cm x 奥行44cm

GALLERIA ケース ホワイト

ホワイトケース登場。グレー部分が白に

本機にはひとつ注意点があり、前面に4つのUSB端子があるが、左側2つは USB 5Gbps、右側の2つは USB2.0 になっている。
よって、USBメモリなどは左側の方に刺さないと速度が出ない。
右側はゲームコントローラーなどを繋げるものだと思っておこう。

見た目は全く同じなので、できれば色分けなどが欲しかった。

GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載, 前面USBの配置

左側はデータ通信が高速、右側は普通
USB-C は背面に備わっている

GALLERIA ケース のぞき窓

側面の窓。RGBライティング対応ファンを付けた場合は光る様子をのぞける

本機は ASRock のゲーミングマザーボード「B650 PG Lightning」を搭載しており、独自の機能をいくつか備えている。

まず、背面にライトニングゲーミングポートと称された、赤枠の黄色いUSB端子が付いている。
これは普通のUSB端子より少ない遅延でマウスやキーボードの操作をCPUに伝えられるもので、ゲーマー向けの、少しでも早い反応速度を実現するための端子だ。

GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載 バックパネル

背面には合計12ものUSB端子が並んでおり、不足することはまずないだろう。
1つある USB-C20Gbps の速度となっている。

オーディオ端子は3つだが、Nahimic のイコライザー(音響調整ソフト)が備わっており、音の広がりを強化するサラウンド技術や、低音強化のバスブースト、足音をクリアにしてゲームを有利にする高音強調などを活用できる。

ただ、デスクトップPC なので、実際のサウンドは接続するスピーカーにも大きく左右される。
オーディオチップは ALC 897。標準的な性能のチップだ。

Nahimic Audio

LAN端子2.5Gb の高速通信に対応。
映像出力はビデオカードのポートに HDMI が1つ、Display Port が3つ備わっており、GeForce RTX 4070 は4画面のモニタ―出力に対応している。

そして内部の様子は、以下のようになっている。

GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載 ケース内後部

後部側。CPUクーラーはサイドフロー
電源は下部配置でカバーで隔離されている

GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載 ケース内前部

前部には2つの14cm大型吸気ファン
その上に5インチベイが備わっている

大型のCPUクーラーとビデオカードが付いているが、中はそれほど窮屈ではない。

CPUの周囲には補助を含めて17基ものVRMフェーズ(CPU用の電圧変換回路)が並んでおり、高電力を安定して流せるようになっている。
Zen5 の Ryzen 7 はそこまで高電力ではないが、マザーボードはオーバークロック仕様だ。

NVMe SSD を取り付ける M.2 スロットは3つあるが、2つ目はビデオカードの裏側にあるので、着脱時にはビデオカードを外す必要がある。
ちなみにビデオカードの裏には無線通信カードを付ける M.2 スロットもあり、カスタマイズで Wi-Fi 6+ のカードを付けて貰うこともできる。

3つ目の M.2 スロットは触りやすい場所にあるが、Gen4x2 なので NVMe SSD を付けても速度は半分。
それでも SSD や HDD より速いし、3つ目を付けられるのは嬉しい。

下部には電源ユニットの入ったカバーがあるが、その上に2つの3.5インチベイ(HDD/SSD 設置場所)があり、手軽な増設が可能だ。

GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載 ビデオカード下

ビデオカードの下。3本目のM.2がある。PCIe x1は通気を気にせず使えそう

GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載 SATA周辺

SATAは計4つ。隠れておらず使いやすい。HDDはネジなしで固定可能

さらに、ちょっと気付きにくいが、裏面(右側面)にも SSD を2つネジで固定できる金具が付いている。
5インチベイもあるので、必要なら光学(DVD/Blue-ray)ドライブも内蔵可能。カスタマイズでの追加も可能だ。
PCIe スロットにも空きがあるし、前述したように拡張性は非常に高い。

電源ユニットは出力750Wで 80PLUS GOLD の製品が付いていた。
これで問題ないとは思うが、経年劣化とストレージの増設を考慮すると、800Wあった方が安心はできる。
カスタマイズで 800W の 80PLUS TITANIUM の高品質品を+8900円で選べるので、余裕がある人はこちらがお勧め。

なお、本機の電源ユニットはケースの底から吸気を行っており、底面にホコリを防ぐメッシュ(網)がある。
簡単に外せるようになっているので、たまに掃除しておこう。

GALLERIA ケース 底面

底からの電源の吸気は重要なので、フカフカ絨毯の上などに置くのは避けよう

GALLERIA ケース 裏面 2.5インチマウンタ

裏面の SSD 固定金具。コードは裏に回せるようになっている

総評

AMDファン待望の Ryzen 9000 シリーズだが、発売後はトーンダウンしている。
彼らが求めた、ベンチマークで Intel 第14世代 Core をぶち抜くような性能はなく、良くも悪くもない控えめな速度のCPUだったからだ。

だが、今回の検証で実働性能の高さを実感できたし、懸念だったシングルコア性能も改善され、温度管理もしやすくなった。
走り屋向けの製品を作ってきたAMDが、シェアの拡大に伴って大衆向けの製品に舵を切ったのが Zen5 であり、それは多くの一般ユーザーにとって悪いことではないだろう。

ゲームにはシングルコアの方が重要なため、これまでの「ゲーミングと言いながら一部の専用CPU以外、実はゲームでは弱かった」という状況も払しょくされた。
「高い性能は欲しいけど、K付きのようなじゃじゃ馬や、X3Dのような高価で標準性能を犠牲にしたCPUは嫌だ」という人にとって、Zen5 の一般モデルは最適な選択となる。

ビデオカードは、最近情報が公開されたモンスターハンターの最新作(ワイルズ)が「中画質で GeForce RTX 4060 以上推奨」としていたのが話題になっている。
つまり、高画質で楽しみたいなら 4060 では足りない。

今回の試用機は GeForce RTX 4070 を搭載していたが、このぐらいが必要になる時代が来ようとしている。

本機の構成は最新ハイスペックと言えるが、実のところ、今のゲーミングモデルとしてもっともベターな構成かもしれない。

ドスパラ GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載

GALLERIA XA7R-R47 9700X搭載

ケース:デスクトップ(ミドルタワー)
CPU:Ryzen 7 9700X(Zen5、8コア16スレッド)
クーラー:サイドフロー空冷クーラー
GPU:GeForce RTX 4070(12GB)
メモリ:32GB(DDR5-4800、16GBx2)
ストレージ:1TB NVMe SSD(Gen4、5000MB/s)
電源:750W(80PLUS GOLD)
拡張:M.2スロット x3(空き2)、SATA端子4つ、空きPCIe x16 x1 各1本、3.5インチベイ x2、2.5インチマウンタ x2、5インチベイあり
その他:ゲームポート(低遅延USB)x2、Nahimic のイコライザー、2.5Gb LAN
価格:税込284,980円

※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
※Zen4/Zen5(Ryzen 7000/9000シリーズ)搭載 GALLERIA の一覧こちら をご覧ください。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。