- 2025年2月に発売された ASUS の14型ノートパソコン
- 900g を切る超軽量、モバイルノートに向いた Snapdragon X を搭載
- 陶器のような風合いを持つ、軽量高耐久の特殊素材を使用

こんな人にオススメ!
- とにかく軽いノートパソコンを求めている方
- 扱いやすいセカンドPCを探している人
- 渋い風合いのパソコンが欲しい人
※Snapdragon X(ARM版Windows)搭載機のため、動かないソフトウェアが多い点にご注意ください。詳しくは こちら を。
(提供元:ASUS JAPAN株式会社)
日本市場を重視した軽量機
PCパーツメーカーとして知られる ASUS は高性能・高機能なパソコンも多く販売しているが、一方で一般ユーザーを対象とした量販店向けのノートパソコンも多く出している。
そんな ASUS は2025年の新モデルの開発に際し、日本で市場調査を行ったらしい。
日本の都心部の通勤通学時間は平均1時間40分。
この時間ノートパソコンを持ち歩くとして、それでなくても周辺機器や文具等で重いカバンを、さらに重量と厚さで圧迫し、バッテリーも1日持たないようなパソコンは敬遠される。
しかしノートパソコンは薄くて軽いと大型バッテリーを載せられないので駆動時間は短くなる。
性能が高すぎても消費電力は増加し、冷却も必要になるので重量が増して厚みも増える。
これらをデータを基に、日本市場に適した軽量ノートパソコンを開発するに至った。
そうして完成したのが、今回取り上げる「ASUS Zenbook SORA」だという。
CPU は電力効率に優れ、やや安価で、AI PC の規格「Copilot+ PC」の機能もすべて利用できる Snapdragon X を搭載。
上位性能の Snapdragon X Elite 搭載機と、登場したばかりの廉価型 Snapdragon X(無印)を搭載した機種があり、Snapdragon X(無印)機なら重量は 899g。
900g 切りの超軽量ながら、ちゃんとメモリは16GB、ストレージも512GBを備える。
(上位機は980g、メモリ32GB、ストレージは512GBか1TB)
カラーは日本市場の調査結果に基づいたという、ベージュとグレーの渋く落ち着いた色だ。
モバイルノートは軽さが正義だが、Snapdragon X は携帯機に向いた特性を持つ反面、動くソフトウェアが少ない難点もあって、一長一短と言える。
さらに Snapdragon X(無印)は第2世代の AI PC(NPU性能40TOPS以上)の中では、最下位のグレードとなる。
ただ、Snapdragon 開発元のクアルコムは、「省電力型の Core シリーズ(Core 5 120U)と比較して、処理速度は1.6倍、電力効率は1.7倍」とアピールしており、最新のCPUらしい性能は備えているという。
その辺りも含め、本機の使い勝手と性能をレビューしていきたい。
価格は(899g モデルで Office なしなら)税込179,800円。
上位機はストレージが512GBだと約21.5万円、1TBだと約22.5万円となる。
外装とインターフェイス
デザインとキーボード
試用機のカラーはベージュだったが、独特な風合いがある。
一般的にベージュの製品と言うと、明るい茶色という感じだが、本機はくすんだ色。
素材はセラミック(陶器)とアルミニウムを融合させた「セラルミナム」と呼ばれる軽量素材で、硬度や耐摩耗性に優れるとのことだが、最大の特徴は陶器っぽい質感と肌触りだろう。
本当に、茶器のような落ち着いた色と手触りである。
これが日本の市場調査で決められた色なら、日本人は今でも「侘び寂び」なんだなぁと思う。
ともかく、今までにない質感のパソコンだ。
もちろん耐久性も高く、米軍規格(MIL-STD 840H)の耐久基準に適合している。

陶器+アルミの新素材セラルミナム
石っぽい質感がわかるだろうか?

ロゴプレートは鏡面加工
表面の触感はサラサラで少しザラザラ
手に持った感じは、とにかく軽い。重量は実測では 890g。
ヒョイと持ち上げられるのに加え、すごく軽い力で開けるので、とても扱いやすく感じる。
キーボード周辺も、やや陶器感のあるセラルミナムの独特の触感がある。
キータッチはソフトで、柔らかい打鍵感。
薄型ノートパソコンはキーストロークの浅さから来る指への衝撃をカバーするため、硬めのキータッチである場合が多いのだが、本機はあまり力を入れなくてもタイプでき、それでいて柔らかさとポチっという感触がある。
ストロークの浅さを感じることはなく、キータッチだけでも高級感というか、安物にはない作り込みを感じる。
もちろんキーボードにはバックライトが備わっており、暗所でも使いやすい。
ASUS のノートパソコンはファンクションキーが機能優先で、Fn キーとの併用で F5 や F6 の役割となるが、これは設定ソフト(MyASUS)で変更できる。

セラルミナムの落ち着いた風合いが良い

キーの作りや感触にも高級感がある
タッチパッドの触感はしっとり系で、触り心地が良く、操作もしやすい。
枠ギリギリまである最大限の大きさとなっており、よって指の置き直しは少なくて済む。
そして特筆すべきはメディアコントロール機能が備わっていることで、右端を上下にスライドすることで画面の明るさを、左端をスライドすることで音量を、上部を左右にスライドすることで動画の早送り/巻き戻しをすることができる。
最近の ASUS のノートPCに備わっている、特に動画を見ているときに便利な機能だ。
モバイル性能(携帯性・バッテリー)
サイズは横が約31cm、縦は約21.4cm。14型のノートパソコンとしてはやや小さめ。
そして厚さはもっとも厚い部分でも16mmほどしかなく、かなりの薄型。
ただし、脚の部分を含めると2cmほどある。
重さはすでに述べたように公称 899g、実測では 890g で、非常に軽い。
ACアダプタもとても小型で、コード抜きだと実測でジャスト100g。
付属コード込みでも 175g の軽量だ。 USB-C で接続し、出力は 65W。

脚の高さは約4mm。これがないと底面から吸気できないので重要

小さなACアダプタはキリの良い重さ
長めの USB-C コードが付属している
バッテリーは 48Wh と、14型ノートの標準的なサイズだが、省電力設計により公称で23時間のロングバッテリーとなっている。
新基準(JEITA3.0)ではアイドル時20.7時間、動画再生時で16.2時間。
独自の高速充電に対応しており、49分で60%、約1.8時間でフル充電が可能とのこと。
なお、上位モデル(Snapdragon X Elite 搭載機)はバッテリーが大きく(70Wh)、公称29時間の駆動が可能だ。
インターフェイス(接続端子)はやや少なめで、右側には USB(10Gbps)が1つのみ。
左側には USB-C が2つあり、どちらも USB4 対応だが、普通の USB はない。
ACアダプタが USB-C 接続なので、充電中はそれで1つ埋まる。
他に、左側に HDMI とオーディオジャックがあるが、あえて端子は最小限という印象だ。

左側面。USB-C が2つ。イヤホンもこちら

右側面は奥に USB が1つのみ
1月にレビューした ASUS のビジネスモデルで、「右側の手前に端子があるとマウス操作の邪魔になるため、奥に1つだけにした」というコメントがあった。
本機もそれを踏襲していると思われる。
Wi-Fi は、上位モデルは Wi-Fi 7 対応だが、下位モデルは Wi-Fi 6E。
だが、Wi-Fi 7 ルーターはまだ高いし普及していないので、当面は 6E でも問題ないだろう。
Bluetooth のバージョンは上位モデルは 5.4、下位モデルは 5.3 だ。
モニター / サウンド / カメラ
モニターは、Snapdragon X Elite を搭載する上位モデルは OLED(有機ELディスプレイ)で、光沢(グレア)パネルを持つ。
Snapdragon X(無印)の下位モデルは普通の液晶モニターで、非光沢(アンチグレア)パネルとなっている。
最近の ASUS のノートPCと言えば、非常に美しい OLED 搭載で知られるが、OLED の高発色は光沢液晶でないと活かせないので、どうしても写り込みが生じる。
今回レビューしている下位モデルは非光沢なので写り込みがなく、ビジネスや学業にはこちらの方が向いているだろう。
どちらも解像度は 1920x1200 で、縦横比は今流行りの作業しやすい 16:10。
発色は sRGB比 で99%、コントラスト比は 1500:1 はあるようで、液晶パネルとしては最新で高性能だ。
リフレッシュレート は標準的な 60Hz。
特筆しておきたいのはヒンジで、軽い力でスッと開けられ、ピタッと止まる。
最近見たノートPCのヒンジの中では、使い心地が一番良い。

アンチグレアの高発色液晶パネルを搭載

ヒンジは軽くて使いやすさ抜群!
ASUS は EasyLift と呼んでいる
スピーカーは初期設定だとこもったような音質で、ちょっと驚いた。
本体が半分陶器だからだろうか?
これはこれで味のある音ではあるのだが、クリアな音質の方が良い人は、設定アプリ MyASUS でサウンドモードを「ダイナミック」に変えてみよう。
Dolby Atmos のイコライザー(音響調整ソフト)が備わっており、音の広がりや深さ、低音の響きは十分にある。
また、ドルビー対応のヘッドホンなどを使うことで、立体音響を楽しむこともできる。
※初期設定はミュージック。本機はここの設定を変えると、かなり音が変化する。
Webカメラは約200万画素で、顔認証用のIRカメラを内蔵。
性能としては一般的だが、Snapdragon X 搭載機であるため、Windows スタジオエフェクトと呼ばれるWEB会議用の映像補正機能を、フルで活用できる。
この Windows スタジオエフェクトは最新の AI PC に提供されている「Copilot+ PC」の機能のひとつなのだが、マイクロソフトが自社製品と Snapdragon X 搭載機以外には、一部の機能しか解禁していない。
しかし本機なら、背景ぼかしはもちろん、映像をアニメーション風にして綺麗にするクリエイティブフィルターや、明るさを自動補正するポートレートライトを含め、全機能を使用できる。
※マイクロソフトが限定公開をしているので、Windows スタジオエフェクトを含む Copilot+ PC の機能をフルで使える機種は、実はかなり少ない。
また、本機には ASUS が独自に開発した AI アルバム「StoryCube」も搭載されている。
スマホと連動して写真を取り込み、AI が判別して分類、スライドショーなどの自動作成も行ってくれる。
動画の編集なども可能で、SNS 利用時にも便利に活用できるだろう。
※ASUSはAIを活用したソフトウェアを独自に開発しており、製品に盛り込んでいる。
パーツ性能
処理性能(CPU)
ASUS Zenbook SORA は、「Snapdragon X Elite - X1E-78-100」を搭載した上位機(UX3407RA)と、「Snapdragon X X1-26-100」搭載の廉価機(UX3407QA)がある。
今回の試用機は Snapdragon X X1-26-100 搭載で、Snapdragon X の中では最下位のグレードだが、2025年1月に行われた発表会でお披露目されたばかりの最新CPUだ。
TDP15W クラスの省電力CPUで、Snapdragon X は元々省電力だが、さらに安価で省エネ、低発熱なタイプ。
開発元のクアルコムはインテルの現行の省電力CPUより、速度も電力効率も上だと述べている。
ただ難点は、ARMプロセッサであるため、動くソフトウェアが少ない ARM版Windows を使わなければならないこと。
詳しくは こちら で解説しているので、ご存じない方は目を通しておいて欲しい。
8コアのCPUで、スレッド数も8。AIの処理を行うNPUは上位モデルと同じ45TOPS。
Snapdragon は TDP(電力の目安)を公開していないが、X1-26-100 という名前からして基準のTDPは26Wだろう。
本機は最大28Wで動くようで、主に 15W~28W で動作するものと思われる。
なお、本機のCPUの動作速度は「ファンモード」で変化する。
本機にはフルスピード、パフォーマンスモード、スタンダードモード、ウィスパーモードの4種類が用意されていて、Fn+F キーで簡単に切り替えられる。
ファンの回転数(冷却力と騒音)が変わるだけでなく、CPUの性能と消費電力が変化するモードもあるので、状況に応じて使い分けよう。
以下はフルスピードモードで測定したベンチマークソフト Cinebench 2024 の結果と、主要なノートPC用CPUとの比較グラフだ。

Snapdragon X1-26 フルスピードモード

Snapdragon X1-26 ウィスパーモード
マルチコア性能(Cinebench 2024)
Core i9-13900HX(135W):1485
Ryzen AI 9 HX370(65W):1200
Snapdragon X Elite X1-E78-100:1070
Ryzen 9 8945HS(75W):950
Ryzen 7 7840HS(80W):945
Core i7-13620H(85W):880
Snapdragon X Plus X1-P64-100:845
Snapdragon X X1-26-100:709 (本機)
Core Ultra 7 155H(45W):670
Snapdragon X X1-26-100:640 (ウィスパー)
Snapdragon X Plus X1-P42-100:630
Core Ultra 7 258V(30W):625
Core i7-1360P:545
Core i5-1335U:435
Core 5 120U(20W):420
Core Ultra 7 258V(15W):415
Core Ultra 7 155U(20W):380
シングルコア性能(Cinebench 2024)
Core Ultra 7 258V:120
Core i9-13900HX:118
Ryzen AI 9 HX370:115
Core i7-13620H:110
Snapdragon X Elite X1-E78-100:108
Snapdragon X Plus X1-P64-100:108
Snapdragon X Plus X1-P42-100:108
Core 5 120U:107
Core Ultra 7 155H:105
Core i7-1360P:105
Core i5-1335U:105
Ryzen 9 8945HS:103
Ryzen 7 7840HS:103
Snapdragon X X1-26-100:96(本機)
Core Ultra 7 155U:95
※近年の全CPUとの比較は こちら をご覧ください。
マルチコアのスコアはフルパワーモードで709。
驚いたことに、Snapdragon X Plus X1-P42-100 より高い結果が出た。
最新型の X1-26-100 の方が最適化が進んでいるのだろうか?
もちろん、本機(Zenbook SORA)の作りが良い可能性もある。
(ただし、ARMプロセッサの測定によく使われる Geekbench 6 の測定 では、Snapdragon X Plus の方がスコアが上だった)
他のCPUと比べると、マルチコアなら初代 Core Ultra(Meteor Lake)はもちろん、Core Ultra 200V(Lunar Lake)と比べても同格。
省電力CPUでこの結果は素晴らしい。
クアルコムは「Core 5 120U の1.6倍の性能」とアピールしていたが、確かに同じぐらいの投入電力なら、スコア差は1.6倍ほどになるようだ。
一方、シングルコアのスコアは96と低めだった。
ここはグレード相応と言えるが、初代 Core Ultra の省電力型よりは上となっている。
本機はファンモードをパフォーマンスモードやスタンダードモードにしても、フルスピードのときと測定結果が同じだった。
本機のパフォーマンスモードとスタンダードモードは、高負荷時のピーク性能には違いがないようだ。
動作音もあまり変化がなく、高負荷時には 45db 前後の「シュー」という音が聞こえる。
一方、ウィスパーモードはマルチコアのスコアが90%ほどに落ちるが、かなり静かになり、高負荷時でも動作音は 40db 以下でほぼ気にならなくなる。
体感できる性能にはそれほど違いはないと思うので、普段はウィスパーモードで使うのをお勧めしたい。
省電力CPUとしては明らかに上位の性能なので、事務や学業、SNSなどに使うぐらいなら、快適に動作することだろう。
グラフィック機能(GPU)
Zenbook SORA はビデオカードを搭載していないため、グラフィック機能(GPU)は CPU に内蔵されたものが使われる。
Snapdragon X の内蔵GPU自体は、動くソフトウェアならスペック通りに動かすことができる。
Core Ultra に内蔵されているGPU(Intel Arc)が対応に苦慮していることを考えると、なかなか優秀だ。
とは言え、ARMプロセッサなので最新のソフトやゲームに動かないものが多く、性能云々の話ではない、というのも実情である。
普段使いには問題ない性能があり、動画視聴や簡単な画像編集、ウェブページなどで使われている簡易な3Dモデルの表示などは、遜色なく行える。
また、Office や Photoshop などは正式にARM対応しているため、本機でも利用できる。
以下はフルスピードモードで実行した、ARMプロセッサでも正常測定できるベンチマークソフト 3D Mark: Wild Life Extreme の結果だ。
・3D Mark: Wild Life Extreme
Core Ultra 7 258V(12月以降):44fps
Ryzen AI 9 HX370(Zen5):42fps
Core Ultra 7 258V(Intel Arc):42fps
Snapdragon X Elite X1-E78-100:39fps
Core Ultra 7 155H(2024年 夏以降):39fps
Core Ultra 7 155H(Intel Arc):34fps
Ryzen 7840U(Zen4):27fps
Core i7-1360P(Iris Xe):24fps
Snapdragon X Plus X1-P42-100:19fps
Snapdragon X X1-26-100:19fps(本機)
※近年の全GPUとの比較は こちら をご覧ください。
比較データが最新CPUのものしかないため、下位グレードである Snapdragon X X1-26-100 のスコアは最下位になってしまうが……
内蔵GPUに関しては、Snapdragon X Plus の X1-P42-100 と同じものであるようだ。
Zenbook SORA の上位モデルに搭載されている Snapdragon X Elite X1-E78-100 なら、Core Ultra 7 や Ryzen AI 9 に匹敵する性能を持つ。
検証機(X1-26-100 搭載機)で、ARM プロセッサでも動作する「ストリートファイター6」を動かしてみたが、画質を最低の LOWEST にして、解像度が 1280x720 なら、通常のバトルならなんとか遊べる…… といったところ。
さすがに最新ゲームは厳しい。
※動画は実機で録画したものです。止まっている場合は長押ししてください。
DirectX11世代のゲームである「ファイナルファンタジー15」も「動作困難」の評価。
Apex Legends や Fortnite、モンスターハンターライズなどは ARM 非対応なので動作しない。
ただ、「ファイナルファンタジー14」ならノートPC用の標準画質で「普通」の評価となる。
ARMに対応している「マインクラフト」、2D(平面画像)ゲームであるテラリアやスターデューバレーなど、動作が軽く、やや古めのゲームなら動かせる。

FF14 なら標準画質で遊ぶことが可能
最新ゲームも高負荷でないなら動かせる
よってゲームや市販ソフトが全部ダメと言うわけではないが……
どれが動くのかの判別が難しいため、ARMプロセッサ搭載機はあまりあれこれやろうとしない方が良いだろう。
Snapdragon X Elite を搭載する上位機種での動作状況は、同じ CPU を搭載している こちらの製品の動作報告 を参考にして欲しい。
ストレージ(記録装置)とメモリ
Zenbook SORA の下位モデル(UX3407QA)のストレージは、512GB の NVMe SSD が使用されている。
上位モデル(UX3407RA)は 1TB と 512GB のモデルがある。
もちろん Gen4 の高速なストレージだ。
今回の検証機が搭載していたのは Micron 2500 という製品。
1つのセル(格納庫)に4ビットのデータを詰め込む QLC という方式のもので、以前の QLC は速度も信頼性も低かったのだが、技術の進歩により2024年から高品質な製品が登場。
今は各社が QLC の SSD の販売を行っている。
実機でのベンチマーク結果は以下の通りだ。

標準設定での測定

NVMe SSD 設定の測定
読み込みは約6700MB/s、書き込みは約3600MB/s。
メーカー公称値とほぼ同じで、特に読み込み速度は Gen4 の NVMe SSD の中でも上位。
書き込み速度も悪くなく、QLC でも十分な性能だ。
また、ランダムアクセス の読み込みが 1300MB/s を超えており、こちらも優秀。
近年の省電力ノートは節電のためか、ランダムアクセスが低い場合が多いのだが、本機にはそうした傾向が見られなかった。
ちなみに、容量1TBだとメーカー公称値で読み込み7100MB/s、書き込み5800MB/s になるので、上位機の1TBモデルはより高速だと思われる。
メモリは16GB搭載で、最新の LPDDR5X-8448 が使用されている。上位機だと32GB。
用途を考えると、速度も容量も十分だろう。
総評
1kgを切る軽さの製品は多くないが、日本を含むアジア圏では「モバイルノートは1kg以下」というのが目安のひとつとなっている。
本機はさらに900gを切るレベルだが、800g台のノートPCは、さすがに数えるほどしかない。
このレベルの軽量機は13型が普通だが、本機は14型で約900gというのが特徴だ。
さらに最新性能を持つもの(第二世代 AI PC)となると、本機ぐらいしかない。
Snapdragon X(無印)の性能と、使えないソフトウェアが多い点を考えると、コストパフォーマンスは良くない。
だが、超軽量ノートは高価な特殊素材を用い、高度な技術を駆使して作る必要があり、どうしても高くなる。
それを考慮すると、バランスの良い性能と価格になっていると言える。
個人的には、この陶器のような落ち着いた風合いが、とても好みだ。
職場や学校に持ち出すセカンドPCに適した、使い勝手と機動性重視の最新AIノートPCである。

形式:14インチ ノートパソコン
CPU:Snapdragon X X1-26-100(ARM)
NPU:45TOPS(第2世代)
グラフィックス:CPU内蔵(Adreno GPU)
メモリ:16GB(LPDDR5X)
ストレージ:512GB NVMe SSD(Gen4)
モニター:縦横比16:10、sRGB 約100%
通信:Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
カメラ:200万画素、Windows スタジオエフェクト利用可
サウンド:Dolby Atmos 搭載
重量:約899kg、ACアダプタ 約170g(65W)
バッテリー:48Wh、公称23時間駆動
その他:4つの動作モード、顔認証、独自のAIアルバム、メディアコントロール付きパッド、USB4 x2
定価:179,800円(税込)
※詳細は ASUS 公式ページ もご覧下さい。
※上位機も含む Amazon の SORA 特設販売ページは こちら です。
※Snapdragon X(ARMプロセッサ、ARM版Windows)の注意点は こちら をご覧ください。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。