- 2024年秋に発売されたサードウェーブ(ドスパラ)の14型ノートパソコン
- 最新CPU「Lunar Lake」こと Core Ultra 7 258V(メモリ32GB)搭載
- 950g の軽さと第2世代 AI CPU の性能、長時間駆動を併せ持つ
こんな人にオススメ!
- 1kg以下で最新性能のモバイルノートが欲しい人
- 新型 Core Ultra(Lunar Lake)を体験したい! という人
- メモリ32GB、データ容量1TBは欲しい、という人
(提供元:株式会社サードウェーブ)
国内BTOメーカーの新世代機
2024年9月、Intel 社の最新ノート用CPU「Lunar Lake」こと Core Ultra シリーズ2 の発売が始まった。
第2世代の AI 機能(NPU)を持ち、高い省電力性能と、最新の処理能力を持っている。
そして早速、サードウェーブ(ドスパラ)も搭載ノートパソコンの発売を開始した。
その14型モデルが「THIRDWAVE F-14LN7LA」だ。
国内大手のBTOメーカーである、サードウェーブ(ドスパラ)、マウスコンピューター、ユニットコム(パソコン工房)が、それぞれ似たパソコンを発売しているが、少しずつ違いがある。
サードウェーブ(ドスパラ)はメモリ32GB、ストレージ1TBを標準で搭載しており、データ保存量に優れる。
マウスコンピューターはメモリ32GBだがストレージは500GB。Wi-Fi 7 を持ち、LTE(モバイル通信)を追加できるが、やや高い。
パソコン工房はメモリ16GB、ストレージも標準で500GBだが、Wi-Fi 7 で、価格が安め。
Wi-Fi 7 が無理に必要ないなら、サードウェーブがベターな選択と言えそうだ。
Dell や HP などの Lunar Lake(Core Ultra シリーズ2)搭載機は高級志向のため、多機能だが30万円近い高額PCとなっており、重量も1.3kgほど。
1.3kgでも重くはないが、今回のレビュー機は、なんと 1kg を切る 950g の軽さとなっている。
元々 Lunar Lake は最新性能を安めに、軽量機で届けたいというのがコンセプトだった。
それに合致したノートパソコンが、いよいよ登場したと言える。
価格は税込219,980円。
20万円は超えているが、最新ノート用CPU搭載機としては最安クラスである。
以下、本機の特徴をお伝えしていきたい。
外装とインターフェイス
デザインとキーボード
THIRDWAVE シリーズはビジネス向けのノートPCであるためか、外観はシンプルに黒一色。
小さめのロゴの刻印があり、全体的に丸みを帯びている。
一見地味だが、重量 950g であるため、持ったときのインパクトはかなりある。とにかく軽い。
箱から出す時点で、いや、外箱の時点で、ヒョイと持ち上げられるほどの軽さだ。
かなりの軽量だが、特殊素材が使われている訳ではないようで、樹脂のような触感。
指紋の付きにくい表面加工があり、サラサラしているが滑りにくい。
深い墨色のシンプルな本体
重厚な雰囲気に反してすごく軽い
軽くて薄いので華奢な印象を受けるが、衝撃・振動・落下の試験を含む、米軍規格の耐久テスト(MIL-STD 810H)を11項目でクリアしているとのことで、高い耐久性と信頼性があるとアピールされている。
実際、本体の側面や底面に通気口がなく、耐久性を優先している印象を受ける。
内部も黒一色で、ビジネス系らしい外観。
キーボードには印字が光るバックライトがあり、暗所でも作業しやすい。
キーには若干の丸みがあり、硬めで反発が強い。
キーストローク(深さ)が 1.2mm ほどと浅いため、やや板を叩いているような感触はあるが、違和感を感じるほどではなく、タイピングはしやすい。
タッチパッドは小さめだが、触感が良く、指も良く滑る。
もちろんジェスチャ操作にも対応している。
やや丸みのあるボタン型キーボード
キー表面に滑り止めがあるのがわかる
右 Shift キーが小さいが、その分カーソルキーが大きく、事務などで便利
モバイル性能(携帯性・端子等)
サイズは横31cm、縦22cmで、14インチノートPCの標準的なサイズ。若干小さめだ。
厚さは約18mmと、かなり薄型。
前述したように重さ 950g という超軽量なので、とても持ち運びしやすく、移動時の負担にならない。
付属の AC アダプタも 130g ほどしかなく、ポケットに入るほど小型軽量。
アダプタの出力は 65W で、USB-C で接続する。
A4とセミB5ノートとの比較
縦はほぼA4と同じ。横は若干長い
携帯用PCはACアダプタの軽さも大切だ
バッテリーは 54Wh で、14型サイズ相応だが、CPU の Lunar Lake(Core Ultra シリーズ2)が省電力なため、新基準(JEITA 3.0)でアイドル時16.3時間、動画再生時でも6.6時間という長時間駆動を誇る。
実際の駆動時間は使用状況によって変わるが、本機は CPU の投入電力の調整が可能で、静音(省電力)モードなら最大15Wのため、他の諸々の分を含めても高負荷で3時間は持つはずだ。
CPU性能と動作モードについての詳細は後述する。
インターフェイス(接続端子)は、一通りのものを備えている。
左側に USB-C が2つあり、1つは Thunderbolt 4、もう一方も 10Gbps で、モバイル充電(USB-PD)に対応している。
普通の USB も左右1つずつあり、 HDMI と micro SDカードリーダー 、イヤホン/マイク兼用ジャックも備える。
有線LAN は備わっていないが、今どきのノートパソコンとして不足はない。
左側面。USB-C の1つは充電用を兼ねる
右側面。左右に USB があるのが良い
無線通信は Wi-Fi 6E、Bluetooth は 5.3。
マウスコンピューターやパソコン工房の類似機は Wi-Fi 7 対応なので、ここは他社より劣る。
ただ、Wi-Fi 7 対応ルーターは高額で、まだ利用者は少ない。
ルーターを買い替える予定のない人は、Wi-Fi 6E でも問題ないだろう。
モニター / サウンド / カメラ
モニターは解像度 1920x1200 の非光沢液晶。
縦横比 が流行りの 16:10 で、やや縦長のため作業しやすく、サイズの割に少し広く感じる。
sRGB比 約100%の高発色で、コントラスト比も 1500:1 と液晶としては高い。
視野角 も全方位89度(178度)と広く、輝度 も 300nit と明るい方だ。
リフレッシュレート は一般的な 60Hz。
突出した点はないが、昨今の液晶モニターとして不足のない画質/性能と言える。
作業用向けの 16:10 非光沢液晶を搭載
発色も悪くないので多用途に使える
ヒンジは180度開くのでプレゼンに向く
通気口は本体とモニターの間のすき間に
カメラは500万画素の、ノートPC用としてはかなり高画質なものが備わっていた。
最大解像度は 2880x1800(16:10)となる。
ただし、動画は200万画素(FHD、1080p)の 30fps となる。
顔認証用の IR カメラが付いており、手軽で高セキュリティなログインが可能。
また、本機は「Copilot+ PC」に対応しているため、オンライン会議用のカメラ補正機能である Windows スタジオエフェクト など、様々な AI 機能も活用することができる。
まだ出来ることは多くないが、Copilot+ PC の機能は今後さらに拡張される予定だ。
本機なら、それらを遜色なく使うことができるだろう。
Copilot+ PC の機能についてはマイクロソフトの こちら のページで公開されている。
背景ぼかし等の映像補正を行える Windows スタジオエフェクトも Copilot+ の機能
AI PC の証 Copilot キー
検索の他に、画像や文章の生成も行える
ビジネス向けであるためか、スピーカーは普通で、イコライザー(音響調整ソフト)もない。
よって、サウンド面では弱い。
ダメと言うほどではなく、若干チャカチャカしているが普通に聞けるし、低音も全然響かないということはない。
特に気にしない人にとっては問題ないサウンドだろう。
ただ、イコライザーがないため、音の広がりや深みと言ったものは、やはりない。
音質を気にする人は音響機能を持つイヤホンやヘッドホンの利用を考えよう。
パーツ性能
処理性能(CPU)
本機(THIRDWAVE F-14LN7LA)は CPU に Core Ultra 7 258V を搭載している。
Intel 社の最新ノート用 CPU「Lunar Lake」の上位モデルで、32GBのメモリを内蔵する。
第2世代の AI CPU のひとつであり、AI 専用コア(NPU)の能力は 47TOPS。
Copilot+ PC に対応するには 40TOPS 以上の NPU が必要だが、本機なら問題ない。
Lunar Lake(ノート用 Core Ultra シリーズ2)の特徴は、ピーク性能よりも省電力性能を優先し、マルチコアよりもシングルコアを優先していること。
従来の省電力型に近い製品で、よって低発熱と長時間駆動をウリとしている。
必然的に、本機のような小型軽量モデルでの使用が想定されていたが、価格が安くないため、先行した Dell や HP などの外資系メーカーは高級機としての作りを優先した。
本機のような20万円台前半で買える搭載機は(12月時点では)少ない。
コア構成 は Pコア4、Eコア4 の、計8コア。
しかし1つのコアで複数の処理を行うハイパースレッディングが廃止されているため、スレッド数はコア数と同じ8。
よって、スレッド数が多いほど有利なマルチコア性能では不利である。
これについてインテルは、その分シングルコア性能の強化と、発熱の低減を計った、とコメントしている。
基準の TDP(電力の目安)は 17W となっているが、本機には3つの動作モードが用意されており、付属ソフトの Control Center で設定できる。
※Control Center の詳細は公式 FAQ の こちら で解説されています。
※動作モードは Fn+3 キー、もしくはタスクバーの Control Center アイコンからも変更できます。
本機はパフォーマンスモードだと最大30W、エンターテイメントモードだと 17W~25W、静音モードだと13W~15Wの電力が投入されるようになっていた。
電力が多ければパワーが上がるが、消費電力と発熱も増える。
では、各モードでどのぐらいの性能を発揮できるのか?
以下はベンチマーク(計測)結果と、他のノート用CPUとの比較グラフだ。
Core Ultra 7 258V(10分測定)
Cinebench 2024 での測定結果
マルチコア性能(Cinebench R23)
Core i9-14900HX(125W):24000
Ryzen AI 9 HX370 (65W):22900
Core i9-13900HX(100W):22000
Ryzen AI 9 HX370 (20-50W) 21100
Core i7-13700HX:20000
Ryzen 9 8945HS(75W):17000
Ryzen 7 7840HS(80W):16900
Core i9-13900H(45W):13700
Core i7-13700H:13500
Ryzen 7 8840U:12500
Core Ultra 7 155H (45W):12000
Core Ultra 5 125H:10500
Core Ultra 7 258V (30W):10200 (パフォーマンス)
Ryzen 5 6600H:9750
Core i7-1360P:9700
Ryzen 7 7730U:9600
Core Ultra 7 258V (17W-25W):7550 (エンター)
Core Ultra 7 258V (15W):7000 (静音)
Core i7-1355U:7000
Ryzen 3 7330U:4950
Intel U300:4050
Celeron N5100:1400
シングルコア性能(Cinebench R23)
Core i9-14900HX:2150
Ryzen AI 9 HX370:2020
Core i9-13900HX:2020
Core Ultra 7 258V:1900
Core i9-13900H:1900
Core i7-13700HX:1850
Core i7-13700H:1850
Core i7-1360P:1820
Ryzen 9 8945HS:1800
Core Ultra 7 155H:1760
Ryzen 7 7840HS/U:1760
Core Ultra 5 125H:1740
Core i7-1355U:1720
Intel U300:1560
Ryzen 5 6600H:1480
Ryzen 7 7730U:1430
Ryzen 3 7330U:1370
Celeron N5100:580
※近年の全CPUとの比較は こちら をご覧ください。
マルチコアの性能はパフォーマンスでも約10000と、初代 Core Ultra にも満たないスコア。
初代である Core Ultra 7 155H は16コア22スレッドだったので、8コア8スレッドになった Core Ultra 7 258V が、たとえ第2世代でも低くなるのは当然ではあるのだが……
やはりマルチコアは弱いんだなぁ、と思わずにはいられない。
一方、シングルコア は約1900と、高いスコアが出ている。
シングル重視ならもうちょっと欲しかった気もするが…… それでも 30W や 15W という低電力であることを考えると、電力効率の高さが伺える。
エンターテイメントモードで測定した場合、ブースト中は 25W、非ブースト中は 17W で動いていたが、以前のような「最初だけブーストし、その後は非ブースト」という形ではなく、非ブースト状態になっても CPU 温度が落ちてきたら、再びブーストがかかっていた。
よって、高い性能を長く維持できるようになっている。
ただ、CPU 温度が上がったり下がったりを繰り返すため、冷却ファンの音は大きめ。
高負荷時にはパフォーマンスモードやエンターテイメントモードだと、「シュー」という大きめの音が鳴り続けた。(パフォーマンスで55db、エンターテイメントで50dbほど)
CPU温度はパフォーマンスで80℃前後、エンターテイメントだとブースト時で70℃、非ブースト時60℃台といったところ。
一方、静音モードにすると 13~15W、ほぼ 15W で動くようになるので、温度は60℃以下まで落ちる。
必然的に冷却ファンの回転数は下がり、無音ではないが、かなり静かになる(40db)。
それでいて測定スコアはエンターテイメントモードと大差なかったので、私的には静音モードをメインに使うのを勧めたい。
消費電力が下がるので、バッテリーも長持ちするはずだ。
※静音モードの Cinebench R23 測定結果
なお、CPU の性能はマルチコア/シングルコアのスコアだけでは判断できない。
Lunar Lake は分岐予測や処理効率が強化されており、メモリを内蔵したことによってデータアクセスも高速化している。
では、この性能で実際の作業がどのぐらいの速度で動くのか?
以下はパソコンの作業速度測定ソフト PCMark10 の結果だ。
パフォーマンスモードと静音モード、それぞれで測定している。
パフォーマンスモード(30W)
静音モード(15W)
アプリの起動速度やウェブサイトの閲覧といった基本の処理は、近年のCPUはどれも大差ない。
スレッド数が8しかない第2世代の Core Ultra 7(Lunar Lake)でも、その辺は変わらない。
8スレッドあれば、一般用途で困ることはまずないだろう。
表計算は14000と、かなり優秀だ。
以前のインテルの CPU はここが苦手で、7000~8000 ぐらいしか出なかったのだが、初代の Core Ultra で改善されて 12000 以上が出るようになり、今回さらに上がっている。
表計算はライバルの Ryzen が得意としているが、第2世代の Core Ultra 7 なら Ryzen AI 9 とほぼ互角だ。
書類作成は以前から 7000~8000 だったので、若干上がっているが大差はない。
画像加工は意外と健闘している。
マルチコアが影響する作業なので弱いかなと思ったが、初代 Core Ultra より一回り高いスコアが出た。
内蔵グラフィック機能の強化が影響しているのだろうか? Ryzen AI 9 にも負けていない。
ただし、ビデオカード搭載機よりは低めのスコアとなる。
動画編集は初代 Core Ultra や第13世代 Core の頃と変わっていない。
マルチコアが直に影響するため、Ryzen AI 9 のスコアと比べると 1000 ほど低い。
全体的に、前世代と比べて大きなパワーアップと言うほどではない。
だが、マルチコア性能を大きく下げているにも関わらず、実働速度は下がっていない。
そして、パフォーマンスでも 30W、静音モードなら 15W という低発熱・低消費電力で動く。
結果として、高価な素材を用いなくても高い性能を 1kg を切る軽量機で実現できており、コンセプトに沿った、次世代に相応しい CPU になっていると言えそうだ。
追記として、ライバルである他のノート用 第2世代 AI CPU(Ryzen AI 9、Snapdragon X)との比較グラフを掲載しておこう。
・マルチコア性能(Cinebench 2024)
Ryzen AI 9 HX370(65W):1200
Snapdragon X Elite X1-E78:1070
Snapdragon X Plus X1-P64:845
Snapdragon X Plus X1-P42:630
Core Ultra 7 258V(30W):625
Core Ultra 7 258V(15W):415
・シングルコア性能(Cinebench 2024)
Core Ultra 7 258V:120
Ryzen AI 9 HX370:115
Snapdragon X Elite X1-E78/P64/P42:108
ご覧の通り、マルチコアで最弱、シングルコアで最強である。
Windows の起動速度や、Office や Photoshop といったマルチコアに最適化されているソフトの動作では、やや不利だと思われる。
しかしワットパフォーマンス(電力効率)では、おそらくトップだろう。
グラフィック機能(GPU)
本機(THIRDWAVE F-14LN7LA)はビデオカードを搭載しないため、グラフィック機能は CPU の Core Ultra 7 258V 内蔵のものが使われる。
Lunar Lake(ノート用 Core Ultra シリーズ2)は、内蔵グラフィック機能も強化されている。
Meteor Lake(初代 Core Ultra)の Xe-LPG を改良した「Xe2」になっており、能力や電力効率が向上、動画をより省電力で再生でき、新しい動画圧縮規格の VVC にも対応している。
ただ問題は、Intel Arc と呼ばれる新型のグラフィックシステムが用いられていることで、新型であるが故にソフトウェア側の対応が進んでおらず、特にゲーム(3D描画)で実力を発揮できないことも多い。
しかし夏に Intel Arc のドライバの大幅な改修が行われており、軽快に動作するソフトウェアは確実に増えている。
以下はパフォーマンスモードで実行した、ベンチマークソフト 3D Mark:TimeSpy の結果だ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
・3D Mark: TimeSpy(下位/内蔵ノート用GPU)
GeForce RTX 4050 Laptop:8500
GeForce RTX 3060 mobile:8350
GeForce GTX 1660Ti mobile:5550
GeForce RTX 3050 4GB mobile:4850
Core Ultra 7 258V(CPU内蔵、Xe2):3600
Ryzen AI 9 HX370(CPU内蔵、Zen5):3500
Core Ultra 7 155H(CPU内蔵、Xe-LPG):3500
GeForce GTX 1650 mobile:3400
Ryzen 9 8945HS (CPU内蔵、Zen4 後期):2750
Ryzen 7 7840HS (CPU内蔵、Zen4):2500
第13世代 Core i7(CPU内蔵、Iris Xe):1800
Ryzen 7 7730U(CPU内蔵、Zen3):1200
Ryzen 3 7330U(CPU内蔵、Zen3):580
※近年の全GPUとの比較は こちら をご覧ください。
グラフィックスコアは(パフォーマンスモードで)約3600。
これはビデオカードの GeForce GTX 1650 や GTX 970 に相当し、Ryzen AI 9 HX370 が 3500 なので、それよりも若干高い。
ただ、初代 Core Ultra(Core Ultra 7 155H)も 3500 だったので、+100 しか上がっておらず、少なくともこのベンチマークでは、あまり変わっていない。
本機の場合、エンターテイメントモードにすると 3350、静音モードにすると 3000 となった。
パフォーマンスとの性能比はエンターテイメント93%、静音モード83%。
ただ、静音モードにすると高負荷なソフトウェアでも静かに動かせるので、80%程度の能力でも十分なのであれば、静音で使うのも良い。
以下は Snapdragon X も含めた、最新 AI CPU 中心の比較グラフだ。
・3D Mark: Wild Life Extreme(CPU内蔵GPU)
Core Ultra 7 258V:42fps(本機)
Ryzen AI 9 HX370:42fps
Snapdragon X Elite X1-E78-100:39fps
Core Ultra 7 155H(ドライバ更新後):39fps
Core Ultra 7 155H(登場当初):34fps
Ryzen 7840U(Zen4):27fps
Core i7-1360P(Iris Xe):24fps
こちらの測定では Ryzen AI 9 と互角。
Snapdragon X Elite より上位である。
では、このグラフィック機能で、実際にソフトウェアがどのぐらい動くのか?
以下はパフォーマンスモードで検証した、人気ゲームを実際に動かしてみた動作速度の一覧だ。
※動画は検証機で録画したものですが再生速度は30fpsです。止まっている場合は長押しして下さい。
・モンスターハンターライズ
※解像度 実質1920x1080。中画質。
高画質だと戦闘中で 35~50fps。普通に遊べるが、若干速度が安定しない。
中画質だと 60fps 前後で動くので快適に動作する。
本機はリフレッシュレートが 60Hz なので、60fps あれば最速描画となる。
なお、静音モードでも中画質なら 55fps ほどで動くので、静かに遊びたいならお勧め。
・Ghost of Tsushima
※解像度 1920x1200。中画質+XeSS。
高画質だと厳しいが、中画質で XeSS を適用すると 35fps で動作する。
30fps は越えているのでプレイは可能。低画質だと 40fps。
速度に合わせて画質を変える動的解像度スケーリングを用いてもあまり変化はなかった。
なお、Intel Arc の XeSS は、GeForce の DLSS に相当する技術である。
・龍が如く8
※解像度 実質1920x1200。中画質+XeSS。
高画質の場合、XeSS なしで 20~25fps、XeSS バランスの適用で 40~45fps。
中画質の場合、XeSS なしで 25~30fps、XeSS バランスの適用で 45~50fps。
60fps に満たないが、XeSS を用いれば高画質でも遊べるレベルだ。
・鉄拳8
※解像度 1920x1200。低画質+XeSS。40fps。
起動時のベンチマークスコアは183。描画スケールは35(低画質)に設定される。
XeSS バランスを適用すると 40fps で動くが、このゲームは 60fps ないと動きが遅くなってしまうので、実質まともに遊べなかった。
解像度を 1440x900 に下げて、XeSS をパフォーマンス重視にしても 50fps 程度。
・ストリートファイター6
※解像度 1920x1080。画質 LOWEST 相当。
画質が LOW(低)だと 50~60fps だが安定しない。60fps ないと動きがスローになる。
画質を LOWEST(最低)にして解像度だけ 1920x1080 に戻した場合は 60fps で動く。
町を散策するシーンは 50fps ほどで、プレイは一応可能だが「WTのバトルを30フレーム固定」の設定にしないとバトルシーンで遅くなる。
厳しいゲームもあるが、画質設定次第では、最新のものを一通り動かすことができる。
ただ、ライバルと言える Ryzen AI 9 HX370 だと、今回検証したタイトルすべてで、一回り高い速度が出る。
モンスターハンターライズは Core Ulrta 7 258V では中画質 60fps だが、Ryzen AI 9 HX370 は中画質なら 80fps。
龍が如く8 は Core Ulrta 7 258V だと高画質の XeSS 使用で 40fps だが、Ryzen AI 9 HX370 は FSR3 使用で 60fps が出る。
やはり Intel Arc はソフトウェアやドライバの最適化が、老舗の GeForce や Radeon(Ryzen)には、まだ及ばないようだ。
この辺の最適化は 3D モデリングソフトなど、一般の(3D描画のある)作業用ソフトウェアでも同様のはずだ。
ただ、今回検証したタイトルのうち、モンスターハンターライズは初代 Core Ultra だと高画質で 30fps だったのが、夏のドライバ更新後に 40fps になり、今回の Lunar Lake で 45fps ほどになったので、確実に良くなっている。
Ghost of Tsushima は夏はバグって動かなかったのだが、今回は普通に遊べた。
Intel Arc も日進月歩で良くなっているので、また時間が経てば改良されるであろうことは追記しておきたい。
ともあれ、1kg以下のビデオカードなしの省電力な軽量機で、これだけ最新のゲームが動くというのは、技術の進歩を感じずにはいられない。
ストレージ(記録装置)とメモリ
ストレージ(データ記録装置)には容量1TBの NVMe SSD が使われている。
2024年秋に発売された、サードウェーブ(ドスパラ)、マウスコンピューター、パソコン工房の Lunar Lake(ノート用 Core Ultra シリーズ2)搭載ノートPCの中で、標準で 1TB のストレージを持つのはサードウェーブのみであり、本機の長所となっている。
マウスコンピューターとパソコン工房のものは標準で 500GB。
カスタマイズすれば増量できるが、(2024年12月時点で)マウス製は 1TB で +15400円。
パソコン工房製は 1TB で +8000円、2TB で +20900円。
サードウェーブ(ドスパラ)製は標準 1TB で、2TB でも +11000円。
高性能な NVMe SSD を選ぶこともでき、容量とカスタマイズの両面で秀でている。
正直、500GB では心許ないので、最初から 1TB あるのはありがたい。
今回、ストレージの速度をうっかり計測し忘れてしまったのだが……
試用機に使われていたのは Solidigm 社の P41 Plus という製品だった。
信頼性に定評があった Intel のストレージ技術を引き継ぐメーカーで、安価なのもあって人気になっている製品だ。
公称の読み込み速度は 4125MB/s、書き込み速度は 2950MB/s。
Gen4 の NVMe SSD としては、読み込み速度は標準、書き込み速度は遅めといったところ。
NVMe SSD なので速度は十分ではあるが、+6600 円でウエスタンデジタル製の高性能品にして貰えるので、気になる人はそちらを選ぶといいだろう。
容量を 2TB にしても書き込み速度は上がる。
なお、本機は空きの M.2 スロット はないので、NVMe SSD の追加はできない。
メモリは LPDDR5x の 32GB が、CPU(Core Ultra 7 258V)と一体化している。
これは Lunar Lake の特徴で、マザーボード上にあるよりも、メモリアクセスが高速化される。
消費電力も減り、メモリが小さくなるため、パソコンの小型軽量化にも繋がるようだ。
ただ、CPUと一緒になっているため、メモリだけ交換するということはできない。
いずれにせよ、32GB あれば十分で、速度も申し分ない。
総評
日本の BTO メーカーから、割安な Lunar Lake 搭載機が登場するのを、私も待ち望んでいたのだが……
まさか 950g という軽さで出てくるとは思わなかった。
14型以下のモバイルノートは軽さと長時間駆動が特に重要だが、その両方を高いレベルで備えており、処理性能も次世代機に相応しいレベルである。
ピーク性能で言えばもっと上位の CPU もあるが、Lunar Lake は元々、高い電力効率と低発熱の省電力CPUとして開発されており、思ったほど安くなかったというのはあるが、パソコンの小型軽量化を新しいステージに進める役割を果たしている。
20万円は越えるが、そもそも軽量ノートは高級素材を使っている場合が多いので安くはない。
1kg 切りのノートとしてはむしろリーズナブルで、第2世代の AI PC としても安い。
他社の類似機よりメモリとストレージが多いのも嬉しく、次世代ノートPCが欲しい人にとって、有力な選択肢となる製品だ。
形式:14インチ ノートパソコン
CPU:Core Ultra 7 258V(Lunar Lake)
NPU:47TOPS(第2世代)
グラフィックス:CPU内蔵(Intel Arc 140V)
メモリ:32GB(LPDDR5x、CPU内蔵)
ストレージ:1TB NVMe SSD(Gen4)
モニター:縦横比16:10、解像度1920x1200
通信:Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
重量:約950kg、ACアダプタ約130g(65W)
バッテリー:54Wh
その他:3つの動作モード、顔認証、Thunderbolt 4
定価:219,980円(税込)
※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
※16インチモデルや、Core Ultra 5 搭載モデルもあります。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。