- 2023年5月に発売されたASUSの13型、有機ELディスプレイ分離型2in1
- 美しい有機ELの画面をキーボードから分離、Windowsタブレットにもなる
- CPUは新型のファンレス向けCore i3、吸排気がなく無音で動作
こんな人にオススメ!
- 映画や動画を美しい画面で視聴したい人
- ファンレスの軽量ノートPCが欲しい人
- 割安のWindowsタブレットが欲しい人
- 子供騙しじゃない学習用PCを探している人
レビューは公正に、忖度なく行っております。
Windowsタブレットの新勢力となり得るか?
2023年の4月末、老舗PC機器メーカー ASUS が大量の新製品を発表した。
有機ELディスプレイを持ち、最新のCPUを搭載、数々の最先端機能を備えるものばかりで、大きな注目を集めている。
その中にあった変わり種、13型のノートパソコンだがモニターをキーボードから分離可能、Windows タブレットとしても活用できる製品。
それが ASUS Vivobook 13 Slate OLED T3304GA(2023年春夏モデル)だ。
高性能なタッチペンが付属しており、手書きメモやイラスト作成に向いた作りで、バッテリーも長時間駆動、大学などで使う学習用をメインに作られた機種のようだ。
だが、個人的には「Windows タブレットとして使えるか?」という点に興味があった。
Windows タブレット(分離型2in1含む)は低価格競争の末に大手が撤退し、もはや Microsoft の Surface(サーフェス)の独壇場となっている。
Surface は良い製品だが、価格は高い。(標準モデルはキーボード付きで20~25万円前後)
そんな中で登場した、高画質で高機能、ペンとキーボード付属で税込119,800円の2in1。
これは Windows タブレットの新たな一角となるのか?
使い勝手はどうなのか? 新型で新コンセプトのCPU(Core i3-N300)の性能はどうか?
以下、これらを詳細にレビューしていきたい。
外観
デザインと使い勝手
分離型(セパレート)の 2in1 なので、本体となるのはモニター側だけであり、カバーを兼ねるキーボードは付属品だ。
2in1 には折り返し型(コンパーチブル)もあり、こちらは分離できないが、キーボードを裏側まで折り返せる。
ただ、タブレットとして使うなら、外して軽量&薄型にできるセパレートの方が向いている。
なお、本機はコンパーチブルのように、キーボードを付けたまま折り返して使うこともできる。
色はブラックのみで、裏側にはシールが貼られており、オレンジ色の印字がある。
カメラ部分は出っ張っていない。
タブレット状態の外観
カバーを外している時の裏面の様子
キーボードはマグネットでくっ付くタイプ。
接続部に近付けるだけで強く引き合うので、着脱は簡単だ。
また、本体の裏面に貼り付けるカバーシートがあり、モニターを立てるスタンドを兼ねる。
キーボードを接続しているときの見た目は完全にノートパソコンだ。
カバーは革と布の中間のような触感で、指紋は付きにくい。
また、本体は9mmだが、キーボードは約6mmで、かなり薄い。
キーボードを付ければ完全にノートPC
裏面用マグネットカバーで画面を支える
サイズは横31cm、縦19cm。
11インチの iPad と比べると、縦は1.2cmの差だが、横は6cmほど大きい。
iPad など一般的なタブレットは 3:4(12:16)の縦横比だが、本機はノートパソコンと同じ 9:16 の比率であるためだ。
正直これは、タブレットとして使うには長すぎる。
持ちやすいとは言えないし、操作時に大きく指を動かす必要がある。
Twitter やウェブサイトを見たときも、表示できる量は多いが、視界に全部入らない。
もちろん大きい分、重さもある。
ただ、動画サイトや映画配信サービスの 16:9 の映像を、そのまま表示できる。
多くのタブレットは動画表示時に上下に黒帯ができ、映像は小さくなるが、本機はそれがなく、横幅が広いこともあって動画が他のタブレットより2回りほど大きく表示され、迫力がある。
詳しくは後述するが、有機ELの画面も非常に美しく、動画視聴向けのタブレットだ。
11インチのiPadとの大きさ比較
このように長辺がかなり長い
Twitterを表示したところ。超縦長
スタンドは縦向きでも立ちます
重量は(キーボードとカバーを外した状態で)820g。
近年の iPad は 470g 前後、13型 iPad Pro でも 680g なので、比較するとやはり重い。
ただ、Surface Pro は約 880g なので、Windows タブレットとしては特別重いという程ではなく、男性ならタブレットとして使えるだろう。
カバーとキーボードは軽く作られているが、それでも両方付けた状態だと 1.38kg になり、昨今の13型ノートPCとしては軽い方ではない。
ただ、強度はあるようで、本体も米軍の耐久規格(MIL-STD-810H)に適合している。
約800gはWinタブとしては軽い方
でもタブレットとしてはやはり重め
ノートPC形体だと約1.35kg
耐久性のためある程度の重さは必要か…
インターフェイス(接続端子)は、上部と左側面に USB-C が計2つ。
他にイヤホン/マイクジャックと Micro SD カードリーダーがある。
右側面に端子はないが、タブレット(着脱型 2in1)なので右側に音量ボタンが付いており、右上には電源ボタンがある。
ノートパソコンとして考えると、普通の USB がなく、接続端子も少ないのが難点。
しかしタブレットとして考えると、USB-C が2つあるのが嬉しく、カードリーダーもあって利便性は高い。
一方の USB で充電しながら、もう一方で USB メモリなどを使える。
キーボード側に電源ボタンはないが、タブレット兼用なので、普段の電源オフはシャットダウンではなくスリープとなる。
よってキーを押せば、即座にスリープから復帰できる。
普通の Windows PC のような起動と終了の遅さはない。
ACアダプタは USB-C での接続で、重さは約220gと、ノートPCと考えればかなり軽量。
バッテリー容量は 50Wh のようで、CPUが省電力なため、公称で約14時間の長時間駆動だ。
通信は Wi-Fi 6 で Bluetooth ももちろん内蔵している。
モニター(有機ELディスプレイ)/ ペン
モニターには有機ELディスプレイ(OLED)を使用しており、その画質は圧倒的。
解像度は一般的な 1920x1080 だが、DCI-P3(アメリカの映画団体が定めた色の範囲)で100%の超高発色。
一般的な目安の sRGB に換算すると実に133%となる。
コントラスト比は 1,000,000:1 という驚きの数値で、一般的な 1000:1 とは桁が違う。
輝度も 550nit で、日光の下でも使える明るさを備える。
リフレッシュレートは標準的な60Hzだが、応答速度は0.2msと超高速で、残像は生じない。
第三者機関の認証を受けたブルーライト軽減機能も利用可能。
さらにモニターは高い透明度と耐久性を持つ Corning Gollira Glass NBT(ゴリラガラス)で保護されており、ますます映像が美しい。
光沢ガラスなので写り込みがあるが、色あせる非光沢は高発色の有機ELには用いられない。
出来れば実機で、この美しい色彩を見て頂きたいところですが……
この通り 16:9 の映画やYoutube動画を、帯なしフルサイズで視聴できます
有機ELディスプレイ(OLED)にも難点はあるが、青みが強い問題は米PANTON社が監修する色調整機能で対応。
焼け付きが生じやすい問題は独自のスクリーンセーバーと、見えないレベルで表示を動かすピクセルシフト機能で防止している。
ちらつきを抑える OLED フリッカーフリーディミング機能も備え、これらを含めた独自の有機ELモニターは「 」と称されている。
実際、これで動画を見てみたが、とても色鮮やかでクッキリしており、一見して違いが判る。
Amazon Prime Video など映画配信サービスのHDR表示にも対応しており、細部までハッキリと映る。
OLEDの弱点を最新ソフト技術でカバー
アマプラやネトフリの高画質表示に対応
学習用PCとしては、モニターがタッチパネルで、ペンが付属している点も注目だ。
改めて言うが、「付属」である。
キーボードカバーもペンも、別途購入する必要はない。
付属ペン(ASUS Pen 2.0 SA203H)は4096段階の筆圧感知に対応、タッチサンプリングレート(1秒あたりの反応回数)は266Hzという、かなりの高性能。
モニター側のリフレッシュレート(1秒あたりの描画回数)が60Hzなので、266fpsで描けるわけではないが、反応が悪いと感じることはないだろう。
私は絵心がないので、ペンの性能を詳しく判定することはできないが、お絵描きタブレットとしても使える印象。
もちろん書いている最中に手が画面に触れても、そのまま書き続けることができる。
「ジャーナル」というASUS独自の使いやすい手書きメモアプリも入っていて、書き取りに不便はない。
ペンやキーボードが別売りではない!
だから別売りの機種より、さらに割安
ASUSの多機能メモアプリ付属
学習やイラスト描きなど色々使えます
唯一の難点は、ペンを置くところがないことか。
マグネットで本体にくっついたり、カバーに装着できたりはしない。
カメラ / サウンド
Windows タブレットにもなる本機には、オンライン会議などに使う約200万画素のインカメラに加え、約1300万画素のアウトカメラが備わっている。
2023年春時点の最新iPadのアウトカメラが約1200万画素なので、それより一回り高い。
もちろんオートフォーカスやHDR(複数の写真を撮影して自然な色に合成する機能)もある。
ただし広角レンズではなく、縦長(16:9)で撮影するときは約800万画素となる。
1300万画素で撮影できるのは4:3のみ。
また、ビデオ撮影は30fps(秒間30コマ)までとなる。
インカメラには顔認証が付いており、簡単にログインできてセキュリティも安心だ。
スマホや iPad よりインカメラの画素数が低いが、これは Zoom や Teams、Google Meet などのオンライン会議用ソフトが高くても200万画素までで、それ以上は非推奨なためだ。
スマホのようなSNS用の撮影を想定したものではない。
Windows タブレットとしては、インもアウトも現行トップクラスのカメラ性能と言える。
アウトカメラの拡大(カバーなし時)
突起がないのは置きやすくて良い
写真も撮れるが、タブレットなのでアウトカメラもWEB配信向けの性能だ
また、2つのマイクが付いていて、ASUS独自のAIノイズキャンセリングも備わっており、雑音を消して音声をはっきりと送ることができる。
ただし、上位機(ASUS Zenbook 14X OLED など)に付いているWEB会議用の補助機能(背景ぼかし、照明やカメラの調整など)は、本機には備わっていない。
スピーカーは4基も内蔵されており、イコライザー(音響調整ソフト)としておなじみの も備わっていて、良い音を出してくれる。
さらに ASUS Audio Booster と呼ばれるスマートアンプが搭載されており、タブレットとは思えない迫力あるサウンドを鳴らすことができ、音に迫力がある。
このサウンドからも、本機が動画視聴を重視しているのが見て取れる。
※ドルビーアトモスの設定画面。専用設定ソフト MyASUS からもサウンドモードの切り替えを行える。
ただ、高画質の映画を見ていた時、ブツブツとノイズが入ることがあった。
こうしたノイズはCPUの処理やメモリが不足したときに起こりがちで、本機は搭載メモリが8GBのため、その影響と思われる。
価格や性能、タブレットであることを考えると8GBは少ないわけではないが、本機が備えている高機能を考えると、やや不足気味の印象もある。
なお、本機には画像加工ソフト「Photo Director」、映像編集ソフト「Power Director」が備わっている。
体験版なので全機能を使えるわけではないが、画像や映像の簡単な編集はこれで可能だ。
ASUSが運営している、スマホやタブレットをサブモニターにできる「GlideX」、連結したスマホやパソコンとファイルをやり取りできる「Link to MyASUS」といった機能も利用可能だ。
キーボード / タッチパッド
分離型 2in1 なのでキーボードは着脱可能な付属品であり、装着時はカバーを兼ねる。
とても薄く、軽く、一見華奢だが、曲げてみると相応の硬度は感じる。
キーピッチは標準的な19mmで、キートップ(キーの表面)は少しザラザラした触感。
キーの中央が若干(0.2mm)へこんでいて指にフィットしやすい。
キーストローク(深さ)は1.4mmと公表されているが、キーボードに厚みがないこともあってかなり浅く感じ、打鍵感は軽く、テーブルが硬いと相応に指に衝撃は来る。
ただ、力を入れなくても打てるキーボードで、小気味良いポチポチとした反発もあり、これはこれでサクサク打てる。
打鍵中にキー配置が気になったことはなく、違和感なくキータイプできた。
付属キーボード。キー周辺は革+布カバーの触感。ESCキーだけ赤い
この通りキーボードはかなり薄い
軽めにタッチした方が良いだろう
ファンクションキー(F1~F12キー)は機能優先で、ただ押しただけだと音量や明るさの調整、タッチパッドの ON/OFF などが優先される。
普通のファンクションキーとして使いたい場合は設定ソフトの「 」を起動し、「カスタマイゼーション」の「ファンクションキーロック」を「通常」にしよう。
なお、MyASUS は F12(Fn+F12)を押しても起動できる。
タッチパッドはかなり横長で、13型の割にはサイズが大きい。
パッドは大きいほど指の置き直しが少なくて済むので、操作性は増す。
少ししっとりした触れ心地も良く、指も良く滑る、扱いやすいパッドだ。
なお、ボタンなしタッチパッドの(最近の)操作方法は こちら で解説している。
分離時の様子。マグネットなので着脱はとても簡単だ
タッチパッドはすごく横長、縦もギリギリ端まである。操作感は良好
パーツ性能
処理性能(CPU)
2023年春夏モデルの Vivobook 13 Slate OLED(T3304GA)には、CPUが搭載されている。
Core i3 は Intel 社の Core シリーズの下位モデルだが、「Core Nシリーズ」は最近登場した、新コンセプトの製品だ。
第12世代 Core 以降、Core シリーズには性能重視の「Pコア」と、効率重視の「Eコア」という、2種類のコアが搭載されるようになった。
Pコアがメイン、Eコアが補助と言えるのだが…… Core NシリーズにはPコアがない。
Eコアの性能が向上し、Pコアよりサイズも小さいため、「じゃあEコアだけをたくさん積んだ、電力効率重視で多コアのCPUを作ろうぜ」という話になったようだ。
このクラスとしては最多の8コアを持つが、全部Eコアなので作業数もそのまま8。
8コア8スレッドのCPUである。
TDP(電力と発熱の目安)は7Wしかなく、これは最下位のCPUである Celeron の6Wに匹敵する低さだ。
この発熱の低さのため、本機はファンレス(冷却ファンなし)であり、完全に無音。
吸排気を気にする必要はなく、バッテリーもかなり長持ちする。
それでも性能が Celeron クラスだと、単なる低発熱というだけで終わってしまうが……
ベンチマーク(性能測定)ソフトによる計測結果と、他のノート用CPUとの比較グラフは以下の通りだ。
Core i3-N300
測定中の再現(開始8~18秒)
・マルチコア性能(Cinebench R23)
Core i9-13900H:13700
Core i7-12700H:12500
Core i7-11800H:10800
Core i7-1360P:9700
Core i5-1340P:9500
Core i7-1260P:8700
Core i5-1240P:8400
Core i7-1255U:8300
Core i5-11400H:8250
Ryzen 5 5625U:8050
Core i5-1235U:7500
Core i7-1165G7:5800
Core i3-1215U:5500
Ryzen 3 7330U:4950
Core i3-N300:4100
Core i5-1135G7:3850
Core i3-1115G4:2600
Celeron N5100:1400
Celeron N4100:950
・シングルコア性能(Cinebench R23)
Core i9-13900H:1900
Core i7-1360P:1820
Core i7-12700H:1810
Core i7-1260P:1735
Core i7-1255U:1730
Core i5-1340P:1720
Core i5-1240P:1680
Core i5-1235U:1650
Core i3-1215U:1550
Core i7-11800H:1520
Core i7-1165G7:1500
Core i5-11400H:1480
Ryzen 5 5625U:1400
Ryzen 3 7330U:1370
Core i5-1135G7:1350
Core i3-1115G4:1300
Core i3-N300:980
Celeron N5100:580
Celeron N4100:380
測定結果は、いかにも「Eコアだけ満載」というNシリーズらしいものとなった。
マルチコア性能は4000を少し超えたぐらいで、決して高いとは言えないが、第11世代の Core i5 を凌ぐ結果を出している。
TDP 7W の超省電力ファンレスCPUであることを考えると、さすがは8コアと言える数字だ。
一方で、シングルコア性能は約1000といったところ。
Celeron よりはだいぶマシだが、普通の Core i3 と比べると、まだ11世代にも及ばない。
やはりEコアだけなので、コア単体で勝負するとまだ弱い。
性能としては、得手不得手があるCPUという感じだろう。
マルチコア性能が影響する起動速度や並行作業、マルチコアに最適化されている Photoshop や Office などの処理は標準的にこなせるが、シングルコアが影響する一般的なソフトウェアの動作はやや劣る、といったところか。
それでもシングルコア性能で Celeron の倍なので、それほどもたつかない。
実際に使っていても、ウェブサイトやSNSの閲覧、動画サイトの利用などで不便に感じることがないため、タブレットとして普通に使える。
もちろん書類作成などの軽作業も問題ない。
ソフトウェアを起動したときに動き始めるまで少しかかる、といったぐらいだ。
※パソコン測定ソフト PCMark10 の結果。アプリの起動速度やウェブサイト閲覧、オンライン会議などは問題ないスコアが出ている(4100以上推奨とされる)。表計算と文章作成は何とか及第点。画像の加工はこなせる性能だが、3D描画と動画編集は辛い。
ここまでの表記は、ノートパソコンとしての評価。
では、他のタブレットやファンレス機と比較するとどうなのか?
スマホやタブレットも対象にできる Geekbench 5 でのCPU測定結果は以下の通りだ。
・マルチコア性能(Geekbench 5)
iPad Pro 12.9″ 6th(Apple M2)8450
iPad Air 5th(Apple M1)7200
Surface Pro 9 5G (Snapdragon 8cx Gen3) 5700
iPad mini 6th(Apple A15)4400
iPad 10th(Apple A14)4200
Vivobook 13 Slate(Core i3-N300)4150
iPad 9th(Apple A13)3400
HP Elite Folio (Snapdragon 8cx Gen2) 3150
Galaxy Tab S8(Snapdragon 8 Gen1)3000
Core i5-10210U:2400
iPad 8th(Apple A12)2400
iPad Pro 10.5″(Apple A10X)2300
LAVIE T11 T1195(Snapdragon 730G)1780
Surface Go 3(Core i3-10100Y)1600
arrows Tab WQ2(Celeron N5100)1500
Core M3-8100Y:1300
Celeron N4100:1300
Galaxy Tab A 2019(Snapdragon 429)550
・シングルコア性能(Geekbench 5)
iPad Pro 12.9″ 6th(Apple M2)1850
iPad Air 5th(Apple M1)1700
iPad mini 6th(Apple A15)1580
iPad 10th(Apple A14)1570
iPad 9th(Apple A13)1320
Galaxy Tab S8(Snapdragon 8 Gen1)1180
iPad 8th(Apple A12)1100
Surface Pro 9 5G (Snapdragon 8cx Gen3) 1100
Vivobook 13 Slate(Core i3-N300)1050
Surface Go 3(Core i3-10100Y)980
iPad Pro 10.5″(Apple A10X)840
HP Elite Folio (Snapdragon 8cx Gen2) 800
Core i5-10210U:800
Core M3-8100Y:700
arrows Tab WQ2(Celeron N5100)600
LAVIE T11 T1195(Snapdragon 730G)580
Celeron N4100:380
Galaxy Tab A 2019(Snapdragon 429)230
Windows も Android も iOS もごっちゃにしたグラフだが…… 了承の上で見て欲しい。
実際の速度はOSによって異なる。
超省電力CPUの性能を比べると、やはり Apple が素晴らしい。iPad が上位を独占してしまう。
とは言え、Apple は Apple なので、Windows 機のように多用途には使えない。
Galaxy のような Android タブレットも、パソコンとして使うことを想定していないのでノートPCとしては不便が多い。
見ての通り、Vivobook 13 Slate OLED はファンレスの Windows タブレットとしては、現時点(2023年春夏)の上位の性能となる。
もっと上に Surface Pro 9 5G があるが、これはキーボード+ペン込みで25万円の高額機なうえに、ARM版Windows なので色々と難点がある。
ファンレス以外も含めれば Surface の Core i5/i7 搭載機があるが、もちろん音がするし通気が必要で、重さもある。
Vivobook 13 Slate OLED もタブレットとしては持ちやすいサイズではないが、2in1 として優れているのがわかるだろう。
グラフィック性能(GPU)
本機のCPU「グラフィック機能が備わっている。
とは言え、性能の高い Iris Xe ではなく、今となっては下位の Intel UHD なので、性能は期待できない。
3D描画のあるゲームやソフトウェアの使用は厳しい。
以下は 3D Mark : Time Spy で調べた、本機のグラフィック性能だ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
本機のグラフィックスコアは約600。
良いとは言えないが、思ったよりは高かった。
CPU内蔵グラフィック機能はメインメモリの一部をビデオメモリとして転用するが、本機は新型の高速メモリ LPDDR5 を搭載しているため、その好影響が出ていると思われる。
とは言え、最新のゲームや 3D CAD(設計ソフト)を満足に動かせるレベルではない。
「エルデンリング」や「龍が如く」といった3D描画のあるゲームはまともに動作しない。
ファイナルファンタジー15のベンチマークは軽画質でも「動作困難」の評価(スコア1250)。
このレベルだとファイナルファンタジー14も画質を下げないと厳しいだろう。
最新ゲームの中では比較的動きやすい「モンスターハンターライズ」も中画質だと20~30fps(秒間20~30コマ)で厳しい。
低画質だと30~40fpsで動くので遊べないことはないが、低画質だと見た目は辛い。
だが、マインクラフトのような軽いものや、テラリアのような3D描画のないものなら動かせる。
シングルコア性能が弱いCPUなのでゲームには不向きだが、大抵の2Dゲームは問題ないだろう。
モンハンライズは低画質なら動く。13型なので荒さはやや軽減される
PCソフトの多くはタッチ操作に未対応なので、タブレット時はそこに注意
PCソフトを動かす Windows 機のグラフィック性能を Android や iPad と比べても、あまり意味はないのだが……
他のタブレットとのグラフィック性能の比較グラフは、以下の通りだ。
・グラフィック性能(3D Mark: Wild Life Extreme)
iPad Pro 12.9″ (Apple M2) 6800
iPad Air 5th (Apple M1) 5000
Surface Pro 9 5G (Snapdragon 8cx Gen3) 3000
iPad mini 6th (Apple A15) 2750
Surface Pro 9 (Core i5-1245U) 2300
iPad 10th (Apple A14) 2250
Galaxy Tab S8 (Snapdragon 8 gen1) 2200
iPad 9th (Apple A13) 1950
iPad 8th (Apple A12) 1500
Vivobook 13 Slate(Core i3-N300)1380
iPad Pro 10.5″ (Apple A10X) 1350
Lenovo Tab P11 Pro (Kompanio 1300T) 1250
LaVie Tab T12 (Snapdragon 870) 1200
Surface Go 3 (Core i3-10100Y) 580
Lavie Tab T11 (Snapdragon 730G) 300
Galaxy Tab A 2021 (Tiger T618) 185
ここでも省電力CPUとしては Apple の iPad が優秀なのだが、Apple 機で遊べるPCゲームは限られており、設計で使える程でもないので、そのグラフィック能力は画像や映像の編集ぐらいでしか活用できない。
現行の Windows タブレットとしては、Vivobook 13 Slate(Core i3-N300)の3D描画性能は中間クラスと言える。
ウェブコンテンツの表示、動画の視聴、WEB会議などは問題なく行うことができ、一般の用途で困ることはないだろう。
ストレージ(記録装置)とメモリ
ストレージ(データ記録装置)には UFS が使われている。
聞き覚えがない方も多いと思うが、スマホやタブレットで使われている eMMC というストレージの後継と言えるものだ。
SSD より速度は劣るが、HDD より速く、消費電力と発熱が非常に少ない。
容量は 256GB で、ノートパソコンとしては少なめだが、タブレットとしては多め。
増量はできないが、micro SDカードスロットや速度20Gbpsの USB-C 端子があるので、SDカードや外付けストレージでデータ保存を補助できる。
もちろんオンラインストレージを使ってもいい。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフトで測った速度性能だ。
標準設定での測定
NVMe SSD 設定(同時処理あり)
結果は読み込み 1090MB/s、書き込み 560MB/s となった。
先ほど「SSDより速度は劣る」と言ったが、いきなり前言撤回する。SSDより速かった。
SSDは読み書き共に 500MB/s 前後なので、読み込み速度2倍、書き込みもSSDと変わらなくなっている。
2年前に見たUFSは読み書き共に 500MB/s 以下だったのだが…… 発展途上の技術であるため、進化が早いようだ。
それともASUS独自の調整があるのだろうか?
NVMe SSD のような同時処理はできないようだが、ランダムアクセスも前より高速化していて、そこそこのSSDと変わらなくなりつつある。
ストレージの速度については、NVMe SSD ほど速くはないが、使用していて遅く感じるレベルではないだろう。
メモリは最新の省電力メモリ LPDDR5(LPDDR5-4800)が使用されている。
LPDDR4X より1.5倍速いデータ転送速度を持ち、電力効率もさらに向上しているという、新世代のものだ。
搭載量は8GBで、タブレットとしては一般的だが、Windows PC としては少なめ。
1本しか搭載されていないため、2本セットで使って高速化するデュアルチャネルではない。
ただ、Core i3-N300 はそもそもデュアルチャネルに対応していない。
LPDDR5 や DDR5 は内部で分散処理を行うため、1本でも従来のデュアルチャネルに近い処理は行われる。
できれば 16GB 欲しかったが、分離型 2in1 で価格も考えると難しいところか。
総評
Windows の分離型 2in1 としては、コストパフォーマンスも含めた評価で、2023年夏の最良機と言って良いだろう。
約12万円という価格でキーボード+高性能ペンがセット、ファンレスならではの使い勝手の良さがあり、処理能力も超省電力CPUとしては優秀で、バッテリーも長持ちだ。
優れた学習向きPCで、子供はもちろん、高校生や大学生が使うのにも向いている。
そして有機ELディスプレイの破格の美しさと、縦横比そのままでフルサイズで動画を映せるサイズ、迫力のあるサウンドは、ベッドで映画やYoutubeを楽しんでいる層にはピッタリだ。
個人的に期待していた Windows タブレットとしての使い勝手は、画面比率が16:9の13インチというのがネックになる。
重さは慣れるとしても、ちょっとデカすぎる。
だが、この価格帯(10万円台前半)の分離型 2in1 は他にほとんどなく、あっても性能が低い。
購入しやすい Windows 2in1 が欲しいなら、当面はこれがベストと言えるだろう。
・ASUS Vivobook 13 Slate OLED T3304GA
形式:13.3インチ 分離型 2in1(ノート+タブレット)
OS:Windows 11
CPU:Core i3-N300(第12世代ベースの特殊型)
グラフィックス:CPU内蔵(Intel UHD)
メモリ:8GB(LPDDR5-4800)
ストレージ:256GB UFS
モニター:有機ELディスプレイ、タッチパネル、解像度1920x1080、DCI-P3 100%(sRGB133%)、550nit、光沢
サウンド:4ch、ドルビーアトモスのイコライザー
通信:Wi-Fi 6、Bluetooth 5
インカメラ:約200万画素、顔認証
アウトカメラ:約1300万画素
モバイル性能:本体のみ820g、カバー+キーボード装着時1.38kg、バッテリー公称14時間
その他:ペン付属(筆圧4096)、キーボード+カバー付属、手書きメモアプリ付属、AIノイズキャンセラー、ブルーライト軽減、特殊強化ガラス
価格:税込119,800円
※詳細は ASUS Store をご覧ください。
※本製品は直販限定(直営店とWEB販売のみ)です。
※Office 付属モデル(+2万円)もあります。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。