2019年11月の末日、東京世田谷の二子玉川ライズにて「PCデジタルフェア 2019」が開催されました。
これは毎年行われているリンクシェア主催のイベントで、大手パソコンメーカーの広報が一堂に会し、来場者に製品と企業のアピールを行っているものです。

そこで今回、各社の製品の特徴や、2019年度の傾向、2020年度に向けての方針などをうかがってきました。
お話を聞けたのは、「マウスコンピューター」、「HP」、「Dell」、「パソコン工房」、「富士通」、「VAIO」、「ASUS」、「マイクロソフト」の各社様。
それぞれがどんなコンセプトで製品を開発しているのか、その参考にして頂ければと思います。

昨年(2018年末)のレポートを、2019年末にお聞きした内容を元に修正したものです。
昨年は一般PCとゲーミングモデルの記事を分けていましたが、今年はまとめて記載しています。

PCデジタルフェア
※二子玉川ライズ iTSCOM STUDIO & HALL にて。

マウスコンピューター

家電メーカーではない、秋葉原を本拠地とするパソコン専門のメーカー。
以前はゲーミングモデル(G-Tune)で有名な、ややマイナーなメーカーだったが、業績の向上により拡大を続け、テレビCMを使った積極的なアピールにより知名度もアップ。
現在は一般モデルからクリエイターモデルまで幅広く扱う大手企業となっている。
日本のメーカーの中では一番の成長株で、長野県に大工場を持ち、国産のパソコンやモニターを送り出している。

デスクトップはBTOパソコン(Build To Order、受注生産。ユーザーによるパーツ選択、カスタマイズが可能なモデル)が主力で、相応のパーツ知識があれば、好みにあった構成で組み立ててもらうことができる。
構成に対しての価格も安く、コストパフォーマンスの良いメーカーだ。

ノートパソコンはBTOができない分、ニーズに合ったものを用意するべく、高画質や大型、ビデオカード搭載型、セキュリティ重視型など、固有の特徴を持つ多彩なバリエーションを用意しているとのこと。

マウスコンピューター展示
ノートパソコンとデスクトップ、双方に力を入れているマウスコンピューターのブース。乃木坂46のCMでおなじみ。
マウスのノートはそれぞれ何らかのコンセプトを持って作られている。

会場ではAMD社の新型CPU「Ryzen 3000」シリーズを使った、クリエイター向けのパソコン「DAIVicon」の新型を展示していた。
2019年は主流であるインテル社のCPU(Core シリーズなど)が品薄だったこともあり、各社ともこれまで注目度の低かったAMD社のCPUの製品を増やしている。

Ryzenは第二世代(Ryzen 2000、2018年発売)まではパーツ同士の相性問題が発生しやすく、やや扱いにくかったらしいのだが、第三世代(Ryzen 3000、2019年発売)でかなり良くなったそうだ。
性能も良好であったため、マウスコンピューターでは大量に入荷したとのこと。

まだ中心となっているのは安定性に定評のあるインテル社のCPUだが、AMD社のCPUはコストが安く、そもそも多くのユーザーはCPUの違いを気にしていないため、割安なAMDの製品の増加に伴い、シェアが伸びているらしい。

クリエイターモデルは写真や動画、CG作成などを行っている人向けのPCで、高額な製品が多いが、マウスコンピューターではややリーズナブルな、アマチュアやセミプロに向けた製品も用意している。

マウスコンピューター デスクトップ
AMD Ryzen 3000 シリーズを使ったデスクトップ PC の展示。
左はゲーミングモデルで、電源ユニットを上部に配置、CPU とビデオカードを中央にして、その冷却を重視した構成になっている。
右はクリエイターモデルで、収納ベイが多く、HDD や SSD を多数入れられる。また、取っ手とコロが付いている。
マウスコンピューターは BTO が可能なメーカーなので、デスクトップは大型でオーソドックスな、拡張性の高いモデルの方が人気があるようだ。

ゲーミングモデルは、インテル社のCPUの中に、AMD社のグラフィック機能を内蔵した「Core i7-8709G」を搭載する13型ノートパソコン「G-Tune P3icon」を強くアピールしていた。

通常、AMD社のグラフィック機能(Radeon)を使うのであれば、CPUもAMD社のもの(Ryzen)にした方が相性が良いが、Core i7-8709G はインテルとAMDの共同開発で、ライバル会社のシステムがひとつになったハイブリッド型になっている。

CPU 内蔵のグラフィック機能としては現時点(2019/12)でトップの性能を持つようで、最新ゲームもそれなりに動き、ビデオカード非搭載のため(ゲーミングノートとしては)1.7kg という軽量、バッテリー持続時間も長めの(公称)10時間。
ゲームも可能なモバイルノートPCとして売り出されている。

マウスコンピューター G-Tune P3
ライバルの INTEL と AMD が手を組んで送り出した特殊 CPU を搭載するゲーミングノート「G-Tune P3」。
内蔵グラフィック機能(Radeon RX Vega M GH)の性能は、GeForce GTX 1050 Ti より上、GeForce GTX 1060 より下、といったぐらい。
昨今、グラフィック機能(ビデオカード)のシェア No.1 である「GeForce」を擁する NVIDIA 社が事業を拡大しているため、その対抗策なのでは? と言われているようだ。

マウスコンピューターの「G-Tuneicon」は老舗のゲーミングブランドで、ノウハウが豊富だ。
昨年、大きなモデルチェンジを行い、あまり派手ではない落ち着いたデザインに変化した。
eSportsで活躍するプロゲーマーチームとの提携も多く、そのフィードバックも得ているという。
サブカルチャーに力を入れているメーカーでもあり、近年は動画配信者との提携が多い。

来期の展望は今の時点ではわからなかったが、無理に何かのテコ入れが必要な状況ではないのだろう。
総合的に見て、やはり日本のPCメーカーとしては抜けている印象だ。

HP(ヒューレット・パッカード)

世界トップクラスのシェアを持つアメリカのコンピューター機器メーカー。
個人向けのノートパソコンから研究所で使われるスーパーコンピューターまで幅広く手がけている。
2018年以降、世界トップのシェアを持つのはレノボだが、これは巨大市場である中国をほぼ独占しているからで、欧米ではHPの方が優勢だ。

日本でも2019年にHPが躍進し、PC出荷台数で「レノボ/NEC/富士通グループ」に次ぐ2位。
このグループをバラして考えるとHPが首位となる。(NECは2011年、富士通は2018年、レノボ傘下となっている)
以下、デル、Dynabook(旧 東芝)、Apple と続く。

HPは法人向けのイメージが強い人も多いと思うが、個人向けのパソコンにもかなり力を入れており、特にデザインが重視されている。
パソコンを嗜好品と考え、高級感があり、個性的なものを作っていきたいと考えているそうだ。
今期は「本音で生きよう」をキャッチフレーズにしており、これも個性や見た目を強調したものとのこと。

企業向けのサーバーやスーパーコンピューターの開発で得た技術を、個人向けの PC 開発にもフィードバックしていて、他では扱えないような新技術を先取りしていることも多い。

HP 個人向けノート
パールホワイトの薄型ノートと、黒&金のゴージャスなノート。法人モデルもデザインに気を配っているという。

2019年もオシャレなノートパソコンが目立っていたが、一方で一般モデルは低価格化が進んでおり、10万円以下や5万円以下のリーズナブルなモデルも多数発売、人気になっている模様。
低価格でも強化アルミなどを使い、高い耐久性を持っているという。

変わったものとして、ケースの外側を「皮」にしたノートPCiconをアピールされていた。
皮製のノートPCカバーは普通に売られているが、これはPC自体が皮。
熱がこもりそうで心配になったが、発熱の少ない超低電圧のCPUを使っているとのこと。

開発力がありすぎて、思いついたモノを作れてしまう、HPらしい製品と言える。

HP OMEN ノート
こちらは会場で展示されていた2画面のノートパソコン。ノートでもマルチモニター環境を実現。
なお、皮のノートに続き、先日一部を木にしたノートiconも出てきた模様。もうなんでもアリ。

HPは昨年からゲーミングブランド「OMEN(オーメン)」をスタートさせ、ゲーミングモデルにも力を入れているが、2019年からはアピールの方向性を変えているそうだ。
プロゲーマー向けである一方で、作業にも使える多用途の高性能PCとして売り出している。

元々、OMENはHPの強みであるワークステーション(業務用PC)の技術を活かして開発されており、その性能を別のことにも使って欲しいという考えがあるという。
現在、デスクトップの上位型(Pavilion)を「Pavilion Gamingicon(パビリオンゲーミング)」や「OMENicon」としているため、仕事で使っている人から「ゲーミングとはなにごとだ」と言われたりするらしいのだが、HPとしては「ゲーミング=高性能モデル」という扱いらしい。

そのため、配色やデザインもあまりゲームらしいものではなく、ちょっと落ち着いた一般的なデザインにしているという。
昨年からHPのゲーミングモデル(特にPavilion Gaming)は他社より落ち着いたデザインだったが、さらに抑えたデザインにしたようだ。
とは言え、OMENは黒と赤の配色なので、それなりに派手ではあるが。

OMENは周辺機器iconも豊富で、10倍反応キーボードや、ボタンを付け替えられるマウス、耳がひんやりするヘッドセット、マウスが充電されるマウスパッドなどを用意しているが、パソコン本体にも動画配信機能を加えたという。
また、スキミング防止機能を備えたバッグなども展示していた。

HP OMENの周辺機器
左は OMEN ブランドの高性能マウス。 ボタンを取り外して付け替えることにより、左手用に変形させることが可能。
右は去年見て笑ってしまった、マシンではなく「人間を」冷やす、ひんやりヘッドセット。これもバージョンアップしたという。
他にもゲーミングチェアやゲーミングバッグなど、あらゆるものを最先端の謎技術で開発している。

2020年の展開としては、小学校でプログラミング教育の必修化が始まるのに向けて、子供が使えるPCを開発するとのこと。
ただし、富士通のような「子供向けパソコン」ではなく、ファミリー向けとして、お父さんやお母さんも一緒に使える製品を目指すそうだ。
まだ開発中だが、モニター一体型でタッチパネルを用いたものになるようで、HPはアメリカのメーカーだが、これは完全に日本に合わせていると思われる。

2019年は日本で好調だったHP、2020年も最先端でオシャレ、かつ個性的な製品が見られそうだ。

Dell(デル)

世界規模のシェアを持つアメリカの大手パソコンメーカー。
昨今はレノボとHPに抜かれているが、今でも法人向けを中心に大きなシェアを持つ大企業だ。

デルのパソコンはコストパフォーマンス、費用対性能の高さが魅力だ。 要するに「安い」。
ただ、今後は安さだけでなく、もっと「プレミアなブランド」として確立させたいと述べられていた。

デルのパソコンはどこにどの素材を使えば効率的に排熱できるか、耐久性が増すかなどを、細かく調整して作られている。
だが、そうした「こだわり」の部分はあまり知られていない。

アピールしていない訳ではないようだが、2~3万円、場合によっては1万円台になる安さのインパクトの前では注目度が薄れる。
安いものばかりでなく、もっと上位のモデルを推していきたいとのことだった。
ただ、これは今後の方針なので、実際にこうしたアピールが行われるのは2020年になってからだろう。

以前のデルは使い勝手優先で、デザインはそれほど重視していなかった印象があるが、2018年からデザインセンターを設置、本格的なデザイン研究も始めている。
画面の外枠が小さい「狭小ベゼル」をいち早く取り入れたのもデルだ。

デルの展示PC
デルの個人向け製品は「Inspiron」が安価な一般向け、「XPS」が上位モデル。
これは Inspiron のちょっと高いモデルだが、安い物なら2万円台もある。
でも安すぎる製品は、あまり素材や技術にこだわれない。その辺が悩みのタネのよう。

ゲーミングモデルである「エイリアンウェア」は、よりプロ仕様として進化しているとのこと。
キーの高速反応、同時押しへの対応、指が滑りにくい素材の使用といった物理的なもの以外に、プロゲーマーには動画配信者が多いので、動画機能の追加なども行われている。

ユニークだったのは「Tobii アイトラッキング」と呼ばれる、プレイヤーの視線を表示する機能。
「どこを見ているのか」を確認できる、プレイの研究や動画配信に使えるものだ。

eSportsが盛んなアメリカや中国でゲーミングPCのトップシェアを誇るデルには、「プロゲーミング技術の開拓者である」という自負があるそうで、今後もこうしたプレイ研究の機能を追求していくとのこと。

また、六角形(ハニカム構造)の活用によってサイズを抑えながら強度を増すデザインが取り入れられており、デルはこれを「レジェンドデザイン」と呼称している。

エイリアンウェア Tobiiトラッキング
デルのゲーミングモデル「エイリアンウェア」のノートなのだが、もうこのモデルは見た目が一般PCと変わらなくなっている。
Tobii トラッキング技術でゲーム中
にどこを見ているか表示できるが、実は大会で優勝するようなトッププレイヤーは周辺視野が非常に広いため、視点を中央に固定したまま、あまり動かさないことが知られている。
キーボードの上に並んだ六角形のスピーカーが、ハニカム構造「レジェンドデザイン」を主張している。

なお、今回展示されていたエイリアンウェアのデスクトップパソコンは大きめのものばかりだった。
デルは2015年頃、小型なのに水冷でリーズナブルな、とても日本で売れそうなゲーミングモデルを発売しており、昨年も工夫を凝らしたコンパクトモデルを公開していた。
だが、今回はそうしたものが見られなかった。

これについて聞いてみたところ、アメリカやヨーロッパでは小型モデルはまったく人気がないそうだ。
むしろ「なんでこんなに小さくするの?」「これじゃ拡張しにくいじゃん」と言われてしまうらしい。
欧米の人はコンパクトなことのメリットを感じないそうで、デルはアメリカの会社なので、アメリカで人気がないものは作られなくなってしまうようだ。

エイリアンウェアのデスクトップ(2019)
エイリアンウェアのデスクトップは毎年、大幅に様変わりするのだが、今年のケースはコレ。 丸みを帯びたスマートなデザインになっている。
横にある曲面の大型ディスプレイもゲーミング仕様

結果、ゲーミングのデスクトップは大きめのケースに戻りつつある印象だ。
ただ、デザインは当初のようなゲームらしいものではなく、落ち着いた外観と配色に変わっている。
大きいのに加え、独自に設計された内部はスッキリまとまっており、手を入れやすいのは拡張を考えている人には嬉しいところだ。

パソコン工房

全国に店舗を持つ、日本のパソコン専門メーカー。
販売の中心はネット通販だが、サポートやアップグレードが必要な時に店舗に持ち込んで見てもらえるのがウリのひとつだ。
マウスコンピューターの傘下となっており、製造もマウスと同じ長野県の飯山工場で行われているが、運営や開発は別に行われている。

パソコン工房の特徴は新しいモデルをどんどん開発していること。
製品のサイクルが早く、お目当てのモデルが販売終了になっていることも多いが、ラインナップが豊富で、新技術を取り込んだ製品の登場が早い。

「初心者から上級者まで」をコンセプトとしており、豊富なBTO(ユーザーによるパーツ選択。カスタマイズ)と店舗サポート、国内組立であることがアピール点だ。

パソコン工房はクリエイターモデルに注力しており、プロからのフィードバックを得ながら、イラスト制作やCG、CAD、音楽制作やトレーディング(株取引)などに特化したパソコンを販売している。
それらに必要になるソフトウェアの開発メーカーと提携し、それを動かすのに最適なPCを作っているとのこと。

クリエイターモデルは高額な製品が多いが、昨今は安価なモデルも増やしているそうだ。
必要なソフトウェアが快適に動くのであれば、それ以上の性能は(用途にもよるが)必要ないため、最小限の構成に抑えたものもあるという。

パソコン工房ブース

パソコン工房はゲーミングモデルにも注力しており、特にeSportsチームやプロ選手との「コラボ」を積極的に行っている。
2017年頃から始まっているこの取り組みは、現在さらに強化しているとのことで、コラボモデルiconの売れ行きも好調なようだ。

この影響で、2019年はゲーミングモデルのハイスペック志向が急速に進んだという。
2017年頃は10万円前後の安価なモデルが人気だったが、最近は「パソコンは詳しくないけど、好きな選手や動画配信者が使っているものが欲しい」というユーザーが増えているそうで、16~20万円のハイスペックモデルが特に十代後半に人気とのこと。
パソコン工房は、この方面では特に強い。

ゲーミングモデルのハイスペック化はマウスコンピューターの方も言われており、プロも使っているような20万円以上の妥協のないものが、2020年も中心になりそうだ。

パソコン工房 ゲーミングモデル LEVEL∞
パソコン工房のゲーミングモデル「LEVEL」。上部の端子の間が広くて使いやすいが、全体的にオーソドックス。
ただ、パソコン工房は BTO が可能なので、大きくてオーソドックスな拡張性の高いモデルの方が好まれるようだ。

一般モデルも種類を増やしており、17インチの大型ノートPCiconをアピールされていた。
他のメーカーも2019年から17インチの大型ノートを扱い始めており、小型軽量極薄のトレンドに対する反動が来ている印象がある。

パソコン工房は大型ノートを2018年から売り出していて、求める人が流れ着いていた。
ビデオカードを搭載した高性能なものから、5万円台のリーズナブルなものまで用意しているとのこと。

パソコン工房 展示ノート
左は写真家向けの4K解像度クリエイターモデル。右は人気だという17インチの大型モデル。
一昔前の17型ノートは5kgぐらいあったが、これは2kg台に収まっている。ビデオカード搭載型だと4kg。

高齢者の方だと小さいパソコンは文字が見え辛いし、大きい画面に慣れると小さな画面には戻りづらい。
デスクトップにしても良いのだが、ノートがいい、配線が解らない、という人も少なからずいる。
パソコン工房は他にも、手のひらサイズのデスクトップ「NUC ミニPC」などを扱っており、種類の豊富さは魅力だ。

富士通

日本のコンピューター機器メーカーの大手であり老舗。
電子機器の売上げではNECや東芝、パナソニックより上にあり、国内ではトップクラス、世界的にも上位だ。

正確には、富士通のパソコン部門(富士通クライアントコンピューティング)は2018年に中国のレノボに買収されているのだが、日本で開発・製造されたパソコンを販売するメーカーで、そのことをウリとしている。

富士通の特徴のひとつは、ユーザーの年齢層が高めで、高齢者を考慮した設計にしていること。
50代以上を想定した丁寧でわかりやすいサポートと、大人向けの落ち着いたデザインを備えている。
ただ、2018年からもっと若い年齢層にも主張していこうという方針になり、カラーのバリエーションを増やしている。

富士通FMV 展示ノート
富士通のノートパソコン。左は有機ELディスプレイを使った15インチの新型ノート。その美しさは画像では伝わりにくいですが……。
また、このノートは左右の端ギリギリまでキーを配置しており、この大きさのパソコンとしては最大限のキーサイズと、テンキーの配置を実現している。

富士通はノートパソコンの軽量化でNECと競っており、毎年「世界最軽量」をうたう製品を発売している。
2019年度は13インチで重さ698g、厚さ1.55cmの超軽量極薄ノートiconを出しており、文字では伝えづらいのだが、持ったときの軽さのインパクトはすごい。思わず笑ってしまう。

これだけ薄いと耐久性が心配になるが、加圧試験や落下試験を繰り返し、この薄さで最大限の耐久性を実現しているという。
また、本体を薄くしながら、キーストローク(キーの深さ)は以前より深くしたという。

一方で、新たに17インチの大型ノートPCiconの販売も始めたとのこと。
大画面を活かすため、WEB通販ならテレビ機能あり(テレビチューナー内蔵)のモデルも選べるようだ。
こうした大型テレビノートは富士通やNECが10年ぐらい前に売っていたので、正確には「復活」と言えるだろうか。
昔は東芝(現dynabook)の十八番だったのだが…… そちらは現在、モバイルノート重視に変わっている。

会場では有機ELディスプレイ(OLED)を搭載したパソコンも展示されていた。
OLEDのノートPCはマウスやデルなども発売していて、富士通だけではないのだが、まだ数は少ない。そして美しい。
富士通のものはBlu-rayドライブとオンキヨーのスピーカーを搭載した、AVパソコンといった趣だ。

富士通 超軽量ノートPC
ついに13インチで700gを切ってしまった極薄最軽量ノート。画像では伝わらないが、その軽さは本当に笑う。片手でひょいと持てる
薄すぎても打鍵感が悪くならないよう、キーボードにはかなりこだわっているとのこと。

2019年、富士通はゲーミングモデル(デスクトップiconのミニタワー型)の販売も開始していた。
そのイメージがなかったので驚いたのだが、スペックに対する価格が他社のゲーミングモデルよりかなり高く、「これでは厳しいだろうな……」と思ったのが本音だ。

この点について聞いてみたが、ワークステーションをベースに開発しており、信頼性が高く、構成の割に省スペースに作ってあるため、あまり値段は下げられなかったとのこと。
あまり量産できないことや、ノウハウが足りないと言ったところもあるのだろう。

私的には、富士通は大型で高画質・高音響のテレビパソコンを発売しているので、そちらにビデオカードを入れてくれれば良いのに、とも思ったのだが、そちらはあくまでテレビ用とのこと。
ただ、今後の案として外付けGPU(外部グラフィック機能)の開発を検討しているようなので、それと組み合わせればあるいは……?

VAIO

ソニーの「VAIO」(バイオ)は、かつて日本のメジャーなPCブランドだった。
しかし割高で、耐久性や安定性の評価も低く、外資系や新興メーカーの製品が台頭すると苦戦、2014年にソニーから別の会社に譲渡されてしまった。
現在も商標はソニーが持っているが、運営は「VAIO株式会社」が行っている。

そんなVAIOは移管後にBtoB(企業向け)のビジネス用ノートパソコンとして再出発、地道な活動と「ソニー」「バイオ」のブランド力で販路を拡大していた。
そして2018年からはBtoC(個人向けのモデル)の販売も開始している。

現在のVAIOはかつてのイメージの払拭のためか、耐久性とセキュリティ、安定性を重視しているという。
例えば、新モデルは90cmの落下試験、150kgの加圧試験を実施しており、国内最高クラスの強度だという。
ソニー時代のVAIOのように、Windowsに独自に手を入れて不安定になっていた、といったこともない。

VAIO 展示ブース

そんなVAIOで、今回最初に紹介されたのは…… コウペンちゃんiconだった。
おしゃべりするペンギンのぬいぐるみで、予想外すぎてコメントのしようがない……。

VAIOはソニーのブランドだったので、AIBOに関連しているのかと思ったが、そういう訳ではなく、独自開発らしい。
コウペンちゃんが「出勤してエライ!」とか、日々なぐさめてくれる。
VAIO社員って疲れてるのか……?

クラウド(ネットワーク接続)によるアップデートで、おしゃべりの内容はどんどん増えていくらしい。

おしゃべりコウペンちゃんとVAIOノート
見切れてて申し訳ないですが、左下にいるのが例の「コウペンちゃん」。
きっと布団の中から出たくない日に「さむい! さむい!」と連呼してくれる。

肝心のパソコンだが、2019年から安価なモデルが大学生に人気になっているらしい。
10万円台で買えるモデル(SX12iconS13icon)がそれで、急に人気になった理由はよくわからないそうだが、新VAIOは高耐久なのに加えてキーボード防水を備えており、水をこぼしても壊れない。
ノートPCの故障原因の1位は飲み物をこぼすことなので、安心感がある。

また、VAIO公式ストアからの購入だと上位サポートが3年間付属しており、落下や火災の他に、液晶割れなどのハデな故障でも期間内なら無料で修理してくれるという。
学生だと荒く使って壊す人が多く、丈夫な製品が求められている…… のだろうか?

なお、元がビジネスモデルなのでセキュリティも高く、指紋認証やTPMセキュリティ(データの暗号化技術)を搭載できる。
通信はVAIO公式ストアからの購入だと、1年間無料のオリジナルSIMが付属される(回線はドコモ)。

展示VAIOの端子説明
VAIO の端子の豊富さを説明されているところ。 最新の USB-C と古いモニター用の D-Sub 15pin の両方を用意しているところが、日本のビジネスシーンを物語っている。
つまんで持っているが、12.5型で約900g、13型でも1kgしかない。キーボードも左右ギリギリまで配置されている。
なお、ソニーのサイトや店頭販売品だと上位保証は有料で、SIMも携帯電話会社のものになるが、LTEなし(Wi-Fiのみ)を選べるとのこと。

昨年聞いたときは「40代以上が中心」「高価なモデルの方が売れている」とのお話だったが、事情が変わっているようだ。
確かに今はキーボード防水があるモデルはパナソニックのレッツノートか、VAIOぐらいしかない。だが、レッツノートは高スペックなぶん、かなり高い。
こちらの方が薄くて軽量なのもあり、その辺も人気が出た理由かもしれない。

「ソニーだから」「日本製だから」という理由で高齢の方にも人気なようで、VAIOのシェアは着実に拡大しているようだ。

ASUS

ASUS(エイスース)はパソコンのパーツメーカーとしてよく知られている台湾の企業だ。
2018年の春、東京の赤坂に直営店をオープンし、日本での本格的なPC販売にも乗り出している。

ASUSのパソコンのウリは「一貫性」とのこと。
パーツメーカーであるため自社のパーツを使って組み立てており、よってパーツの相性の心配が少ない。
パーツの調達費が安いためコストの面でも有利で、ノートPCは3万円台から用意されている。

パソコンの特徴についてお聞きしたところ、一言「とがってます」との回答が。
キーボード上部にサブモニターを備えた2画面のノートPCが展示されており、ゲーミングモデルもプロ仕様で、外観もゲームらしさを押し出したハデなデザイン。

また、高速処理と高反応画面、冷却ファンを備えたゲーミングAndroidスマホ「ROG Phoneicon」を販売しており、スマホゲームのeSports選手の御用達となっている。
ゲーミングスマホはRazerというメーカーのものが知られているが、日本での直販はない。

ASUSマルチモニターノート
キーボード上部をサブモニターが占める独創的なノート。このサブモニターは左右2分割可能で、脅威の3画面にできる。しかも有機EL。
もちろんお値段は高く36万円から。キーボードは窮屈な印象だが、トラックパッドは仮想テンキーになる。

ASUS ゲーミングスマホ ROG Phone
ASUSがウリとしているプロゲーマー仕様のスマホ。上下に付いているのは台座ではなく、専用の冷却ファン装着パーツで、内部も通気を考慮した設計。
リフレッシュレート120Hz対応で、ゲーミングモデル用PCパーツの開発技術が活かされている。

PC販売は始めたばかりなので、日本での修理は委託、電話サポートは中国の大連になる(日本語通話は可能)。
まだ不得手なところはあるとのことだが、ASUSのパーツは定番であり、製品自体は優れているはずだ。

なお、ASUSはかつてはタブレットを多く販売していたのだが、これは完全にやめたとのこと。
Androidタブレットは価格競争が激しすぎて利益が出ないそうだ。
今はタブレットではファーウェイが強い、とのことだが…… ファーウェイはセキュリティ面での不信感が拭えない。
ただ、Chromeタブレットは今も開発を続けている。

マイクロソフト

WindowsやOfficeといった、パソコンを使う上で必須のソフトウェアを開発しているメーカー。
キーボードを付けるとノートパソコンとして使え、画面を外すとタブレットになる「2in1」のパソコン「Surface(サーフェス)」を扱っている。
専用のタッチペンを使うことで文字通り「ノート」として使うことができ、学生や若手社会人に人気だ。

大きな長所はWindowsやOfficeとの親和性で、エクセルやワードなどの定番ソフトウェアをトラブルなく使うことができる。
本体はタブレットなのでスペックは低めだが、処理性能が高めの上位モデル「Surface Book」も販売している。
ただし、専用の周辺機器も含めて、性能に対する価格は高い。

Surface Pro(2019)
最新の Surface Pro 7icon。CPU にいち早く第10世代 Core を使用。
中間モデルの Surface Laptop には 15 型モデルが登場した。

Surface Studio 展示
でっかい Surface !? Surface Studio という製品のようで、クリエイター用らしい。 お値段は65万円からと超高額。

2019年の展開としては、やや大型の15インチのモデルiconを出したとのこと。
また、トラックパッドを改善して少しサイズを拡大、USB-Cにも対応している。

ただ、従来モデルに大きな変化はなく、「見た目も変わらないよね」「区別できないよね」とのこと。
モニター一体型の大型製品(Surface Studio)を展示していて目を引いたのだが、「フラグシップモデル(技術アピールの製品)です。すごく高いから誰も買わないよね。売る気ないね」と言われてしまった。
安さで話題になった「Surface Go」も「なにも変わってないです」とのこと。

もうちょっとこう、セールストークというものはないのか……。
しかしSurfaceは人気製品であり、来年も注目されるだろう。


以上が今回、お話をお聞きできたパソコンメーカーです。

パソコン選びは、自分に必要な分野を得意とするメーカーから選ぶのが大事。
その際の参考になれば幸いです。

なお、今回の展示会はAMDの協賛となっていて、AMDのミニセミナーも行われていました。
これに関するコラム「AMD vs INTEL 2019」は こちら で公開しています。

今年はDynabook(旧 東芝)の方は参加していなかったため、お話を聞くことはできませんでした。
それらを含む、2018年末の展示会の模様は こちら をご覧下さい。
各メーカーの特徴をもっと簡潔に、短くまとめたものは こちら になります。

会場でお話をして下さった各メーカーの担当者の皆さん、ありがとうございました。