パソコン用のゲームは、パソコンがあればできると思ったら大間違い。
最新のパソコンゲームをプレイするには、高い処理性能とグラフィック能力、そのための冷却と電源が必要で、一般のモデルでは動かせないか、動いても快適とは言えない状態となります。
このため、最新のゲームに対応した「ゲーミングモデル」と呼ばれるパソコンが販売されているのですが、ゲームPCに必要なノウハウはメーカーによって異なり、ゲーミングモデルがないメーカーも存在します。
このページでは「ゲーミングモデルが得意どうか」を重視して選んだパソコンのメーカーを、理由と共に紹介しています。
ゲーム向けPCメーカー 5選
- マウスコンピューター
- ゲーミングモデル名:G-Tune
:ゲームPCの老舗。いち早くゲーミングブランドを設立
:長年のノウハウを元に改良された本体
:ノート、デスクトップ、新パーツ対応など、開発面で強い
:ユーザーやプロチームからのフィードバックを重視
日本のゲーミングモデルの先駆者的なメーカーで、今でこそ規模が大きくなり、一般向けの多様なパソコンを販売していますが、元はゲーム用PCを主力としていたメーカーです。
単に「ケースの中に必要なパーツを入れただけ」ではなく、高負荷で長時間の駆動に耐えられるゲームのための設計を行っており、酷使される「ビデオカード」の冷却や、内部の通気性(エアフロー)の重視、それらを実現するためのケースの開発など、こだわりのPC作りが行われてきました。
ゲーム(およびゲーム実況やVRゴーグル等)に使用する接続端子を使いやすい場所に備えるなど、時代に合わせた改良を続けており、ゲームPCに関するノウハウが豊富なメーカーとしての強みを発揮しています。
プロゲーマー(e-sportsチーム)との提携も深いところです。
リーズナブルなモデルから、高額で高性能な製品、長時間駆動や高速描画のノートPCなど、多彩なゲーミングモデルを取りそろえており、特に安価でコストパフォーマンスの良い製品に人気が集まっています。
製品管理の体制が整っており、BTO(カスタマイズ)パソコンのメーカーとしては信頼性が高いのも長所です。
- ドスパラ(Dospara)
- ゲーミングモデル名:GALLERIA(ガレリア)
:ゲームPCの老舗。早期からゲーミングモデルに注力
:大型で性能重視のモデルが多め。独自入荷のパーツも
:多くのゲームメーカーと提携。ゲームの動作保証
:特定のゲームの推奨モデルが多い
今は多くのゲーミングモデルが各メーカーから登場していますが、日本では長らくマウスコンピューターの「G-Tune」と、このドスパラの「Galleria」が双璧でした。
母体がパソコンのパーツショップであり、独自の仕入れルートを持つドスパラは、新技術への早い対応が要求されるゲーミングモデルにおいて有利で、ゲームPCの定番メーカーとして成長していきます。
大型のケースの方がパーツを組み込みやすく、交換もしやすいため、デスクトップは今でも大型で、中に手を入れやすいものが中心です。
メンテナンスしやすい作りになっており、自分でパーツの交換などができる上級者の方にとっては扱いやすいパソコンでしょう。
また、ドスパラが独占契約しているメーカーのパーツが使われているなど、パーツショップの強みが活かされています。
ゲーミングノートも全体的に大きめで、携帯性より性能を重視しています。
特定のゲームの「推奨モデル」を数多く用意しているのが特徴で、多くのゲームメーカーと提携し、そのゲームが動くまでサポートを行っています。
発送の速さもウリとしており、性能に対する価格も安めです。
- DELL(デル)
- ゲーミングモデル名:ALIENWARE(エイリアンウェア)
:デルがアメリカのゲームPC会社を買収しブランド化
:コスト度外視でゲーム体験を重視。色々とアメリカン
:大手メーカーならではの技術力や素材
:特徴的な構造と装飾。モデルチェンジで大きく変わる
ビジネス用の安価モデルを主力としているデルですが・・・ ゲーミングモデルは正反対。
コスト度外視で最強を目指す、究極のゲーミングマシンと言える製品を開発しています。
当初の「エイリアンウェア」はデカくて重くてハデな、日本の住宅事情にまったくそぐわないマシンが多かったのですが・・・
現在は改良が進み、小型化されたモデルも増え、価格も下がっています。
それでも安いとは言えず、他社の同クラスの製品と比べると割高なのですが、しかし奇抜とさえ言える独自の設計は「この性能で最大限の冷却と拡張性を考えたもの」となっており、世界的な企業の開発力が注ぎ込まれているのを感じます。
また、効率的に冷却できるフレーム素材や、操作ミスを防ぐための指が滑らないキーボード素材など、独自の材料も使われており、これも大企業ならではと言えます。
パソコン全体を作り込んでいるためモデルチェンジが遅く、最新技術に対応していない場合があるのが短所です。
しかし世界的に見ると、エイリアンウェアはゲーミングモデルのトップシェアであり、多くのプロゲーマーからの意見も取り入れています。
価格より質を求めるのであれば、日本でも有力な選択肢と言えるでしょう。
安価なモデルとして、エイリアンウェアではないゲーミングPC(Dell Gシリーズ)も用意されています。
- パソコン工房
- ゲーミングモデル名:LEVEL∞(インフィニティ)
:グッドウィルやフェイス等のPCショップを子会社化
:プロゲーマーとのコラボを重視
:コラボモデルはパーツ構成例として参考になる
:プロゲーマーチームとの提携に力を入れている
パソコン工房(ユニットコム)はその成長の過程で、「グッドウィル」や「フェイス」、「TWO TOP」といったパソコンメーカーとの合併を繰り返しています。
これらのメーカーの中にはゲーミングモデルを主力としていたところも多く、結果としてパソコン工房もそれを引き継いでいます。
大きな特徴は、プロゲーマー(e-sports)チームや選手、著名なゲーム実況配信者などと提携し、その「コラボモデル」を用意していること。
人気選手や Youtuber の「コラボゲーミングPC」は、彼らの意見を元に構成されているため、コストパフォーマンスや動作性能に優れているものが多いです。
ゲーム実況者とのコラボなら、配信に必要な機材がセットになっていたりします。
デスクトップのゲーミングモデルはオーソドックスで、あまり目立った特徴はありません。
安価なモデルだと一般PCと同じケースが使われていることもあります。
ただ、オーソドックスな方がパーツの増設や交換は行いやすいので、慣れた人には扱いやすいケースでもあります。
一方、ゲーミングノートは大きめながら、最新パーツや技術を取り入れた、高性能なモデルが多いです。
パソコン工房は他の製品も含め、新パーツの導入が早いメーカーで、どんどん新モデルに変わっていくのも特徴です。
コラボモデルは理に適った構成のものが多いので、選択の際には参考になるでしょう。
- 日本HP
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- ゲーミングモデル名:OMEN、Victus、Pavilion Gaming
:ゲーミングモデルの本格展開は2017年から
:統一したデザインと作り込んだ設計
:大手メーカーならではの技術力と開発
:周辺機器まで含めた製品展開
HPが本格的にゲーミングモデルを展開し始めたのは2017年からですが、それ以前からゲームも可能な高性能PCを販売しており、高い評価を得ていました。
2014年末に一度展開に失敗していますが、二度目のスタートの力の入れ具合はかなりのもので、世界的企業の本気を感じます。
HPはデザインを重視しており、プロゲーミングモデルの OMEN(オーメン)も赤と黒で統一した、際立った装飾のものが多いです。
デスクトップは巨大なものからスリム型まであり、形状も様々。
一方で、「ゲームはやるけど、そこまでコアゲーマーじゃないし、ハデなのは恥ずかしい」という人のために、「Pavilion Gaming」という中間的な製品群も用意されています。
こちらはその高性能を、業務や一般用途にも活用して欲しいという考えがあるようです。
※2022年、Pavilion Gaming は白を基調とした Victus というモデルに置き換わる予定です。
また、キーボードやヘッドセット、マウスやモニターなど、ゲーミング用の周辺機器にも注力しています。
これらは超高速反応や、特殊素材によって耳がひんやりするなど、ゲームのサポートに特化したユニークな機能を持ちます。
作り込んでいるぶんモデルチェンジは遅めですが、世界トップクラスの技術を持つだけに、他社ではまだ活用できていないテクノロジーを導入してくることもあります。
「ゲーム」と言っても色々あって、将棋やトランプのようなクラシックなものや、平面のイラストしか出てこないゲームには、高い性能は必要ありません。
こうしたパソコンへの負荷の低いゲームは、ゲーミングモデルでなくても動かせます。
しかし3Dのコンピューターグラフィックスが使われた、リアルな風景と立体的なキャラクターが現れる最新のゲームを遊ぶには、対応したパソコンが必要になります。
「PUBG」や「Call of Duty」などの「FPS」と呼ばれるガンシューティング、「Final Fantasy 14」などの美しい映像が出てくるオンラインRPGなどは、ゲーミングモデルが必須となり、その性能が高いほど快適になります。

FPSを快適にプレイするには
ゲーミングモデルが必要。

ノートのゲーミングモデルは
薄さや軽さは妥協して下さい。
そのパソコンで最新ゲームを遊べるかどうかは、主にビデオカード(グラフィックカード、グラフィックボード)と呼ばれるパーツがあるかどうかで決まります。
しかしビデオカードはサイズが大きく、電力消費が多く、発熱も高く、価格も高いため、一般のパソコンには大抵備わっていません。
他にもCPUの性能、メモリの量、高負荷で長時間の駆動に耐えられる冷却とエアフロー(通気性)、電源出力なども要求されますが、ゲーミングモデルであればこれらは一通り考慮されています。
ノートパソコン(ゲーミングノート)の場合、操作性を重視したキーボードや、高速描画に対応したディスプレイ(画面)も備わっていて欲しいところです。
上記に挙げたメーカー以外のゲーミングモデルは、以下のようになっています。
- NEC、Dynabook(東芝/シャープ)、パナソニック、VAIO、マイクロソフト(Surface) には、ゲーミングモデル、及び最新のゲームがプレイ可能なモデルはありません。
快適にゲームを遊びたい方は、これらのメーカーは選ぶべきではありません。 - 富士通
は2019年からWEB通販限定で、デスクトップのビデオカード搭載PC(ESPRIMO DH ミニタワー型)の販売を開始しました。
ただ、価格はかなり割高で、種類も少なく、力を入れているようには見えません。
(2021年以降、モデルチェンジも行われていません) レノボ は「Legion」と呼ばれるゲーミングモデルを販売しています。
ただ、日本での本格展開は2019年からで、それ以前は販売ページが英語表記のままなど、やる気を感じられませんでした。
元々ビジネスモデルを専門とするメーカーで、ゲームには力を入れておらず、お膝元の中国でもデルのエイリアンウェアに押されています。- ASUS
はビデオカードやゲーム用マザーボード(基板)を開発するメーカーであり、ゲーミングモデルを主力としています。名称は「ROG」。
ただ、サポートなどが十分に整っているとは言えず、カスタマイズ(BTO)にも未対応です。 - Apple(Mac)は対応しているゲーム自体が少なく、問題外です。

家電メーカーのパソコンはゲームは
期待しない方が良いです。

ゲーミングモデルはハデで独特な
装飾の製品も多め。
近年、レノボや ASUS などの中華系メーカーも日本でゲーミングPCの販売を始めていますが、「ゲーム」を意識しすぎた独特なデザインの本体が多く、好みは分かれそうです。
ただ、ASUS はゲームPC用パーツの老舗なので、製品自体は良いはずです。
ゲーミングモデルに必須となる「ビデオカード」については こちら で詳しく説明しています。
用語については こちら をご覧ください。