- 2022年7月に発売された VAIO の高級モバイルノートパソコン
- 12.5型で1kgを切る軽量薄型のコンパクトノート
- 第12世代 Core だが上質な質感と豊富な機能を持ち、他とは一線を画している
こんな人にオススメ!
- 軽くて薄い、携帯性しやすいノートPCが必要な方
- 多少高くても美しく高級感のある製品が欲しい人
- 機能性に優れたビジネスや学業向けノートを求めている方
レビューは公正に、忖度なく行っております。
VAIO がさらに上質に
元はソニーのPCブランドだった「VAIO」。
現在はソニーから独立した VAIO 株式会社による開発が行われており、高級ビジネスモバイルをコンセプトとしている。
国産で同じコンセプトを持つノートPCにはパナソニックのレッツノートがあるが、VAIOはそちらよりデザインに優れ、高級感と気品にあふれている。
また、ビジネス以外の用途も考慮されている。
今回取り上げるのは、その12.5型モデル VAIO SX12(2022年7月モデル)だ。
6色のカラーがあるのだが、今回お借りしたのは真っ赤なモデル。
色鮮やかで美しい光沢のあるワインレッドの本体は見るからに美しく、高級な質感を感じる作りで、他のノートパソコンとは見るからに違う。
CPUは第12世代 Core の標準型で、処理性能を考えると割高なのは否めない。
だが、本機は高級な仕上がりに加え、24時間を超える長時間駆動、顔と指紋のダブル生体認証、離席オートロックや着席オートログインなどを持ち、オンライン会議用の機能も充実。
日本の大手メーカーのPCに備わっている様々な機能をまとめて盛り込んでいる。
そして12型のコンパクトなモデルは、開発力のある一部のメーカーしか用意できない。
定価は(Core i7、メモリ32GB、ストレージ512GBの構成で)税込344,500円。
ただ、2022年のモデルなこともあって割引対象となっており、さらに VAIO 株式会社のサイトでは新生活応援やキャッシュバックなどのキャンペーンが行われている。
それら込みなら26万円ほどで買えるので、安くはないが、高すぎるほどでもない。
以下、そんな本機の特徴をレビューしていきたい。
外観
デザインとモバイル性能
本機の特筆すべき点は、なんと言っても上質な質感だ。
立体成型カーボンの軽さと丈夫さを併せ持つ天板は、とても鮮やかで美しい。
側面の金具と VAIO のロゴはシルバーであしらわれている。
そして中はメタリックな光沢のある鮮やかなワインレッドのボディに黒いキー並んでおり、見た瞬間に「あっ、綺麗」と思える。
VAIO 社はこの色を と呼んでおり、「力強さと気品を兼ね備えながらも、日常使いしやすい色合い」と主張していて、実際に高級感と気品が伝わってくる。
天板は高価な軽量素材のカーボン製
内部には金属素材の質感と光沢がある
他の色はブラック、シルバー、ブロンズ、ホワイト、ローズ。
今回取り上げているレッドは VAIO ストア限定の色で、ソニーストアや一般の店舗では売られていないのでご注意を。
他に、全面真っ黒なオールブラックエディションがある。
デザインの良さに加え、VAIO はかなり強度の高い耐久試験を実施しており、壊れにくさもウリにしている。
壊れやすいと言われていたソニー時代の VAIO の風評を払しょくしたい思いがあるようで、国内最高レベルの試験を実施しているとのこと。
さらに、VAIO ストアでは落下や火災、水こぼしで破損しても無料で修理してくれる「あんしんサポート」を3年分も付属している。
(ソニーストアや店舗購入の場合は別)
12.5インチのノートパソコンなので、横28.8cm、縦20.5cm、厚さは15~18mm と小型。
A4サイズよりも若干小さく、とても携帯しやすい。
そして重さは 899~950g という軽量。
試用機は Core i7 搭載機だからか若干重めで、実測で 940g だったが、それでも軽い。
昨今、モバイルノートの重さは 1kg を切るかどうかが目安になっているが、950g を切る本機なら十分だ。
ACアダプタも非常に軽く、約160g。
65Wの低めの出力であることを加味してもかなり軽量で、今まで見た中で一番軽い。
A4とセミB5のノートとの大きさ比較
A4ノートよりも小さい
実測159g。ACアダプタ史上最軽量
差し込みはUSB-C。急速充電対応
バッテリー容量は53Whで、12.5型のノートPCであることを考えると大きめ。
駆動時間は実に公称24.8~26時間で、省電力設定での測定と思われるが、モバイルノートらしい超長時間駆動だ。
しかも1時間で約18.5時間分充電できる高速充電に対応。
インターフェース(接続端子)も小型ノートの割に一通りそろっている。
左側面は普通のUSB(3.0)とイヤホンのみだが、右側面にはUSB、2つのUSB-C、HDMI、有線LAN端子を備える。
両側にUSBがあるので使い勝手がよく、小型ノートでは省かれがちな有線LANもちゃんとある。
また、2つの USB-C はどちらもデータ転送が高速で、映像出力と充電もできる Thunderbolt 4 端子だ。
左側面。イヤホンジャックはこちら側
右側面。USB-C は充電にも使用する
ただ、左側面に通気口があり、本機の排気はすべてこの左側から出てくる。
本体が薄いこともあって、高負荷なときにはここから結構な勢いで温風が噴き出すため注意して欲しい。
だからと言って、熱暴走するので排気を邪魔したりしないように。
無線通信は最新の Wi-Fi 6E に適合。
Wi-Fi 6E とは、従来の 2.4GHz と 5GHz に加え、6GHz 以上の新しい電波を利用できる通信のこと。
速度は Wi-Fi 6 と同じだが混線しにくく、2022年9月に総務省が許可したばかりの新規格だ。
ただし、利用するには Wi-Fi 6E 対応のルーターも必要になる。
また、約5万円高くなるが、5G対応の無線WANモジュール(4G LTE の 5G版)を追加することもできる。
VAIO ストアでは SIM カードの割引も行っているので、LTE が必要な方は注目だ。
モニター / カメラ / サウンド
モニターはフルHD解像度(1920x1080)の非光沢液晶。
台湾の液晶メーカー Innolux のパネルが使われている。
発色を示す sRGB カバー率は99%と高く、Adobe RGB カバー率は69%ほど。
輝度もかなり高く 380nit ほどあり、モバイルPCらしく、日光の下で使うことも想定しているようだ。
コントラスト比は不明だが、視野角は全方位89度あり、角度による画質の劣化は少ない。
リフレッシュレートは60Hzと一般的だが、応答速度は 11~14ms と早く、残像は生じない。
美しい、ハイスペックなモニターと言って良いだろう。
発色、視野角、輝度に優れた液晶画面
横の枠幅(ベゼル幅)は約5mm
ヒンジを開くと奥の方が高くなる
電源ボタンは指紋センサーを内蔵
ヒンジはキーボードに傾斜をつけるタイプで、結構な高さまで持ち上がる。
キーを打ちやすくすると同時に、底からの吸気を行いやすくしているようだ。
そしてヒンジは180度、平らになるまで開くことができる。
ミーティングやプレゼンテーションのときに相手に見せやすいよう、画面を上下反転できるビジネスモバイルらしい機能も付いている。
もちろん好きな角度で使えるのも良い。
カメラも本機の特徴のひとつだ。
約200万画素の高品質なものが付いており、顔認証を搭載している。
ペタンと平らにすることが可能
机の中央に置けばみんなでのぞきこめる
モニター上部にはカメラ、マイク、人感センサー、顔認証が詰め込まれている
そして本機には豊富なカメラ設定が用意されており、背景ぼかし、自動フレーミング(顔を中心にする)、顔優先AE(顔を明るく鮮明にする)、逆光補正といった、豊富なオンライン会議用の補助機能が用意されている。
さらに本機は指紋認証も搭載しており、顔と指紋のダブル生体認証となっている。
顔認証はマスクを付けていると利用できない欠点があるが、指紋認証もあればそちらでログインできて便利。
指紋センサーは電源ボタンに付いているため、電源を入れれば指紋も読み取ってくれる。
ボタンが小さいのでちょっと心配になったが、しっかり反応してくれた。
マイクのAIノイズキャンセリング機能も搭載しており、周囲の雑音をカットして、鮮明に音声だけを伝えることもできる。
これらは Youtube に公式のデモ動画が上げられているので、それを見るのがわかりやすい。
また、人感センサーを内蔵しており、離席を検知して自動でロックする機能や、着席時にオートでログインする機能もある。
これら認証機能とセンサーを利用した本機のシステムは「 」と名づけられている。
他に重要な機能として、CPUとファンの動作モード設定があるのだが、これについてはCPUの解説で取り上げる。
サウンドは音響システムの定番
イコライザーの中でも上位のもので、音楽用や映画用の音色はもちろん、オンライン会議用の音声重視の設定や、音が聞こえる方向を重視するゲーム用の設定も用意されている。
ドルビー対応のヘッドホンや音響機器を使えば、高度な立体音響を楽しむことも可能だ。
ただスピーカーで聴く場合、ドルビーの割には、ちょっと音の広がりや重厚さが少なく感じた。
低音はそれなりに響くし、決して悪い音質ではないのだが、私的には及第点と言った印象だ。
だが(特に日本の)ビジネスモバイルは、サウンドを軽視したものが多い。
その点、ドルビーサウンドを持つ本機は趣味で音楽を楽しむのにも活用できる。
※ドルビーのデモ画面。細かい設定も可能だが、とりあえず自動調整の「ダイナミック」で良い。
重低音や空間オーディオが欲しいならドルビー対応イヤホンやヘッドホンの入手を考えよう。
キーボード / カバー
本機のキーボードは「心地よい打鍵感」にこだわっているとアピールされている。
12.5型のコンパクトな本体ながら、端ギリギリまでキーを配置しており、19mmのキーピッチ(キー間隔)を確保。
さらに薄型機ながらキーストローク(キーの深さ)も1.5mmあり、板を叩いているような感じはない。
押した感触がかなり強く伝わってくるボタン型キーボードだが、そこまで硬さはなく、ポチポチという小気味良い打鍵感だ。
バックライトも備わっており、初心者が暗がりで使うときでもキーの位置をすぐ確認できる。
また前述したように、開くとキーボードに傾斜が付くため、この点でも打ちやすさがある。
キーボード全景。12.5型でもキーは広く、エンターキーも大きい
キートップは中央が若干へこんでいて、指にフィットする形状
本機には豊富な機能があるが、付属ソフトのファンクションキー設定で、それらを Fn+F8~F12 キーですぐ呼び出せるようになっている。
画面の上下反転、ノイズキャンセリングやプレゼンテーション機能(スリープ禁止)の切り替え、後述する動作モードの変更などを、素早く実行できる。
タッチパッドはザラザラ+しっとりといった触感で、指がよく滑り、触り心地も悪くない。
本体が小さめなのでタッチパッドも小型だが、操作感は良い。
最近は珍しいタッチパッドの下にクリックボタンが付いている形式だが、ボタンなしのパッドと同じ操作も行える。
初心者だとボタンがある方がわかりやすいし、国産らしさがある。
なお、パームレスト(タッチパッドの左右の手を置くスペース)はひんやりしていて、とても気持ちが良い。
光沢によるグラデーションも美しく、とにかく全体が上質だ。
タッチパッドはボタン付き。もちろん高精度パッドでカスタマイズに対応
光の差し方で生じる美しいグラデーション。ぜひ実機で見て欲しいところ
なお、今回の試用機には専用のレザーPCケースが付いていたので、これについても少し触れておきたい。
伝統工芸のなめし革を使ったバズハウス デザインの高級レザーで、品質保証書が付いている。
元々タブレットやスマホのレザーカバーを作って人気になっていたところで、VAIO SX12 専用に手作業であつらえているとのこと。
約1万8千円とカバーとしては高額だが、本機を求める高級志向の人にマッチしている一品だ。
いかにも大人向けな高級レザーカバー
中は触り心地の良いフェルト生地
パーツ性能
処理性能(CPU)
2022年7月モデルの VAIO SX12 に搭載できる CPU は Core i7-1260P、Core i5-1240P、Core i3-1215U、Celeron 7305 の4種類。
試用機には一番上のモデルとなる「 」が搭載されていた。
もちろん上位ほど価格は高くなるが、高級機である VAIO で Core i3 や Celeron を選ぶのは、私的にはあり得ない。
それでいいなら、もっと安くて相応しい機種がたくさんある。
ここは Core i7-1260P をオススメしたい。
Core i7-1260P は第12世代 Core の標準的なノートパソコン用 CPU で、処理性能と消費電力のバランスが取れたタイプ。
性能重視のPコアを4つ、効率重視のEコアを8つ搭載しており、Pコアは2つの処理(スレッド)を同時に実行できるため、12コア16スレッドのCPUとなる。
TDP(発熱と消費電力の目安)は 28W となっているが、本機には3つの動作モードがあり、実際の投入電力はそれによって変化する。
「パフォーマンス優先」のモードだと本来の 28W で動作するが、「標準」や「静かさ優先」だとそれより低くなる。
また、本機には「
」と称された独自のチューニングが施されており、動き方に特徴がある。以下はパフォーマンス優先でベンチマーク(性能測定)を行った結果と、他のノート用CPUとの性能比較グラフだ。
パフォマンス優先モードで測定
測定中(非ブースト時 開始8~18秒)
・マルチコア性能(Cinebench R23)
Core i7-12700H:12500
Core i7-11800H:10800
Core i7-1260P:8700(本機)
Core i5-1240P:8400
Core i5-11400H:8250
Ryzen 5 5625U:8050
Core i7-1165G7:5800
Core i3-1215U:5500
Core i5-1135G7:3850
Core i3-1115G4:2600
Celeron N4100:950
・シングルコア性能(Cinebench R23)
Core i7-12700H:1810
Core i7-1260P:1735(本機)
Core i5-1240P:1680
Core i3-1215U:1550
Core i7-11800H:1520
Core i7-1165G7:1500
Core i5-11400H:1480
Ryzen 5 5625U:1400
Core i5-1135G7:1350
Core i3-1115G4:1300
Celeron N4100:380
マルチコア(並列処理)のスコアは約8700。
標準型の CPU(末尾がP)であるため、処理性能重視型(末尾がH)よりは低いが、ノートパソコン用としては十分な能力だ。
シングルコア(単一処理)のスコアも1700を越えており、ノートPC用としてはトップクラスである。
どちらも優れているため、マルチコア性能が影響する Windows の起動速度や、Photoshop、Office などの動作、さらにシングルコア性能に左右される一般のソフトウェアの動作、どの分野でも不得手はない。
一通りの作業を快適に行うことができるだろう。
標準型の CPU は高負荷がかかったときに「ターボブースト」によって一時的に性能が引き上げられ、高温になるか一定時間が経つと普段の動作に戻るのだが、本機はその変化がゆっくり行われる特徴がある。
普通はブーストが終わったらその途端に性能が標準値に戻るのだが、本機は徐々に低下していき、長く負荷がかかっている状態だと、さらに標準以下までゆっくり性能を落としていく。
おそらくこれが「VAIO True Performance」の効果なのだと思われる。
性能を上げているというより、冷却の難しい薄型軽量の機種でも、できる限り高い処理能力を維持しようとしている、といった印象だ。
このため、長時間(10分測定)でのベンチマークのスコアは標準よりちょっと低い。
(本機はマルチコア8700だが、一般的な Core i7-1260P のスコアは約9000)
しかし12.5型で1kg切りの機種で省電力型ではないCPUを搭載し、大きな機種とそれほど変わらないスコアを出しているのは、評価されるべきだろう。
さらに薄型機なのに、フルパワーでもキーボード表面はほとんど熱くならなかった。
少し温くなる程度で、キーボード側の遮熱もしっかり行われているようだ。
ただ、パフォーマンス優先モードでフルパワーを出していると、冷却のための吸排気が多くなるため、騒音は大きくなる。
本体が薄く、排気が1ヵ所に集中しているためか、高負荷になると結構「シュー」という空気の吹き出す音がする。
家電メーカー系のノートパソコンとしては動作音は大きい方だ。
だが、CPUとファンの動作モードを「
そのぶん処理能力や冷却能力も下がるが、状況に合わせた使い分けを行うことができる。
「VAIOの設定」の「電源・バッテリー」に動作モードの設定がある
「入力デバイス」のファンクションキー設定を使えばモード切り替えがラクになる
以下は「標準」と「静かさ優先」モードの処理性能の測定結果と、それぞれのモードで CPU がどのように動いていたかの一覧表だ。
標準モードの測定結果
静かさ優先の測定結果
モード | 測定中の 投入電力とコア温度と速度目安 |
高負荷時の 動作音 |
パフォーマンス | ブースト中:約45W、約90℃、3.2GHz 30秒後:約35W、約85℃、2.8GHz 90秒後:約20W、約78℃、2.2GHz シングルコア測定:4.4~4.7GHz |
45~50db シューと聴こえる |
標準 | ブースト中:約42W、約90℃、3.2GHz 30秒後:約25W、約77℃、2.4GHz 90秒後:約15W、約67℃、1.7GHz シングルコア測定:4.3~4.7GHz |
40~45db けっこう聴こえる |
静かさ優先 | ブースト中:約40W、約90℃、3.2GHz 30秒後:約17W、約73℃、2.3GHz 90秒後:約10W、約67℃、1.3GHz シングルコア測定:3.9~4.4GHz |
35~40db かなり小さめ 無音ではない |
どのモードでもブーストはかかるので、負荷が上がれば音はする。
ただ、静かさ優先ならかなり控えめとなり、非ブースト時はオフィスや図書館で使っても問題ないぐらいの小ささになる。
投入電力は 10W まで下がるが、意外とスコアは高めで、これも VAIO True Performance によるチューニングの効果だろうか?
ただ、排気口の狭さのためか、常にシューという音はしており、無音と言えるレベルにはならなかった。
初期設定でもある標準モードは、負荷がかかったときの音はパフォーマンスと大差ない印象。
スコアも大差ないが、音が小さくなるのがパフォーマンスより早いかな、という感じだ。
静かさ優先でも割と性能を発揮でき、バッテリーも長持ちするので、普段は静かさ優先で使うのが良さそうだ。
作業速度を高めたいときは、他のモードに切り替えよう。
グラフィック性能(GPU)
CPU の Core i7-1260P や Core i5-1240P には、「グラフィック機能が内蔵されている。
専用パーツであるビデオカードには及ばないが、CPU内蔵型としては優れた3D描画性能を持つ、インテル社自慢の機能だ。
3D描画性能は主にゲームの動作に影響する。
第11世代 Core の頃から導入されているが、第12世代 Core の方が性能は高い。
以下は 3D Mark(Time Spy)で調べた本機のグラフィック性能だ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
本機のグラフィックスコアは1670。総合だと1900。
第12世代 Core i7 の Iris Xe のグラフィックスコアは MAX1700 ぐらいなので、順当な測定結果と言える。
ちなみに第12世代の Core i5 だと 1350~1400 ぐらいになる。
実際にゲームを動かしてみたところ、「モンスターハンターライズ」は解像度1920x1080の高画質だと 20~25fps(秒間20~25コマ)で、ちょっと動きが荒かったが、中画質なら 40~50fps で動くので、快適に遊ぶことができる。
「エルデンリング」は解像度1920x1080の高画質で 30fps 前後で動き、普通にプレイ可能。
「龍が如く」系は解像度1920x1080の高画質だと 20~25fps なのでやや重い。
中画質なら 30~35fps 前後になるのでプレイは可能だ。
「ファイナルファンタジー15」のベンチマークは軽量画質で「やや重い」の評価(スコア2900)となった。
モンハンライズは第12世代 Core の Iris Xe ならプレイ可能
エルデンリングも意外に行ける
高画質でも 30fps 辺りで動作可能だ
ゲームや動画編集、3D設計など、娯楽やクリエイティブな用途での性能を重視するなら、ゲーミングPCやクリエイターPCを選んだ方が良い。
ただ、そうしたグラフィック性能重視のノートパソコンは大きくて重く、バッテリーも長持ちしない。
12.5型の軽量薄型モバイルノートであることを考えると、これだけ動けば十分だろう。
もちろん映像再生やオンライン会議、ウェブコンテンツの表示などは問題なく行える。
ストレージ(記録装置)とメモリ
ストレージ(データ記録装置)には が使用されている。
VAIO のサイトでは「スタンダードSSD」と「第四世代 ハイスピードSSD」と表記されているが、どちらも NVMe SSD で、ハイスピードの方は第四世代(Gen4)ということだ。
スタンダードは第三世代(Gen3)のようで、こちらでも十分早いが、第四世代はさらに速い。
標準だとスタンダードの 128GB が選ばれているが、さすがに少ない。
せめて 256GB、できれば3万円ほど高くなるが 512GB を搭載するのを勧める。
無理に第四世代でなくても良いが、せっかくの高級機なので良いものを搭載したいのはある。
容量は 1TB あれば余裕があるが、+7万円以上もするため、正直高すぎる。
試用機には第四世代で 512GB の NVMe SSD が搭載されていた。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフトで測った、検証機の SSD の性能だ。
標準設定での測定
NVMe SSD 設定の測定
使われていたのはサムスンの 企業納入向けSSD。
第四世代だけあって読み込み約6800MB/s、書き込み約4900MB/sと非常に高速。
さらに、サムスンの SSD はランダムアクセス(バラバラのデータの処理)が弱いことが多いのだが、今回のテストではランダムアクセスでも(同時処理ありで)読み込みは約3400MB/s、書き込みも約2800MB/sという非常に高いスコアを記録した。
以前に同じ SSD を見たときはここまで速くなかったので、何かの調整が加えられているのか、それともVAIO独自のマザーボードとの相性なのか……
とにかく、素晴らしい結果となった。
メモリはCPUとセットで選択する必要があり、Core i7 だと 16GB か 32GB のどちらかとなる。
Core i5 だと 16GB か 8GB だ。
多いほど安定するが、16GB あれば一般用途としては十分だろう。
使用されているメモリは
のようで、8GB の場合も含め、2本のメモリを使って高速化するデュアルチャネルで動作している。LPDDR4X は省電力メモリの上位型だが、オンボード(基板に直付け)のようなので、VAIO 独自のものかもしれない。
ともあれ、性能としては問題ないはずだ。
総評
何度も述べているが、とにかく他とは違う高級感がある。
ファインレッドのボディは本当に鮮やかで、細部まで凝った作りなのが見ていてわかる。
機能性も素晴らしく、12.5型で1kg以下という時点で扱いやすいのに、180度開閉、ノイズキャンセリングや高画質カメラ、ダブル生体認証、人感センサー連動機能、最新の通信と接続端子など、一通りそろっている。
それぞれの特徴を備えているマシンは他にもあるが、ここまで「全部入り」の機種は初めてだ。
処理性能やグラフィック性能で言うと割高なのは否めないが、上質を求めるユーザーに向けた、大人のノートPCという印象。
例えば自動車で言うと、公道を走るのにそこまでの高級さは必要なくても、クラウンやハリアーを買う人はいる。
高級レザーカバーの存在も、そうしたユーザーへの希求に応えたものだろう。
VAIO は高齢者のユーザーが多いようだが、そこをターゲットにしているのが見て取れる。
一方で、大学生のユーザーも少なくないようで、今回取り上げた真っ赤なカラーはどちらかと言うと若者向けと思われる。
小型軽量機が欲しい人はもちろん、高くても質感の良いもの、エレガントなものを求める人にお勧めだ。
※以下のスペックは Core i7 / Core i5 選択時のものです
形式:12.5インチ ノートパソコン
CPU:Core i7-1260P、Core i5-1240P(第12世代)
グラフィックス:CPU内蔵(Iris Xe)
メモリ:8GB~32GB(LPDDR4X-2133、交換増設不可)
ストレージ:128GB~2TB NVMe SSD(Gen3 / Gen4)
モニター:解像度1920x1080
サウンド:ドルビーアトモス搭載
通信:Wi-Fi 6E、Bluetooth 5
カメラ:約200万画素、顔認証、WEB会議補助機能
モバイル性能:899~950g、バッテリー公称24.8~26時間
その他:カラー6色、3段階の動作モード、AIノイズキャンセラー、人感センサー機能、180度開閉ヒンジ、顔と指紋の生体認証、Thunderbolt 4、軽量ACアダプタ、5G LTE搭載可
価格:(Core i7、ストレージ512GBで)税込 約30万円
※詳細は VAIO ストア の VAIO SX12 ページをご覧下さい。
※本稿で扱っているレッドの本体は VAIO ストア限定カラーです。ソニーストア、店舗販売では選べません。
※実際の購入価格は構成やキャンペーン割引で変わります。
※3年分の「あんしん保証」は VAIO ストアのみの特典です。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。
執筆:2023年4月8日