- 2022年11月末に発売されたドスパラの15.6型ゲーミングノートパソコン
- ドスパラとインテルが共同開発。インテルの最新PCキットを使った特別機
- 高処理性能の Core i7-12700H を搭載、ビデオカードは Intel Arc を使用
こんな人にオススメ!
- 10万円台のコスパの良いゲーミングノートが欲しい方
- 動画編集に優れたノートPCを求めている方
- Intel Arc に挑んでみたい人
レビューは公正に、忖度なく行っております。
インテル Arc 入ってる
ドスパラ(サードウェーブ)とインテルはゲーミングノートの共同設計を行っており、インテルが提供するノートPCキット「ガレリア」のノートパソコンが、過去にも2度登場している。
」シリーズを使用したゲーミングモデル「そして今回取り上げる「GALLERIA UL7C-AA2」は、そのドスパラ&インテルコラボの第3弾、GALLERIA U シリーズ最新型だ。
ただ、必然というかなんというか、ビデオカードが新製品の「Intel Arc」になっている。
個人向けパソコンのビデオカードは長年、NVIDIA 社の GeForce と、AMD / ATI 社の Radeon の2つが競ってきたが、2022年に現れた第3の新勢力が Intel 社の Intel Arc だ。
ただ、ビデオカードの能力はソフトウェア側の対応にも左右される。
新製品と言うことは、まだソフト側の対応は十分にできていないわけで、どんなにハードが優れていてもパワーを存分に発揮できるとは限らない。
加えて Intel Arc は新製品らしく新技術に焦点を合わせているため、ちょっと古いハードやソフトは苦手とする側面がある。
このため巷の評価は分かれており、地雷扱いする人もいる。
だが、新製品ならではの長所も、もちろんある。
また、本機は Intel 社が提供する「 」というPCキットをベースに作られており、CPU やマザーボードはもちろん、通信機器もすべてインテルのパーツで構成されている。
つまり、パソコンの新パーツによくある「相性問題」の心配がない。
他にもキーボードやタッチパッドの使い心地など、細かいところで他のドスパラのノートPCとは異なる点が見られる。
以下、そんな本機の特徴をレビューしていきたい。
なお、本機には上位モデルの「UL7C-AA2」と、下位モデルの「UL7C-AA3」がある。
今回レビューしているのは GALLERIA UL7C-AA2 の方で、価格は税込185,980円だ。
※1月25日に値下げされ 税込169,980円 になっている。
(UL7C-AA3 は 159,980円。違いはレビュー内で解説している)
パーツ性能
グラフィック性能(GPU)
今回は Intel Arc 搭載機ということで、いきなりグラフィック(ビデオカード)性能から取り上げていきたい。
本機(GALLERIA UL7C-AA2)が搭載するビデオカードは「Intel Arc A730M」。
ノートPC向けの Intel Arc には A770M、A730M、A550M、A370M、A350M の5つがあるが、上から2番目。
一番上の A770M は(2023年1月時点で)ノートPCにはほとんど使われていないため、いまのところ A730M がノート用 Arc の最上位と言える。
下位モデルの GALLERIA UL7C-AA3 は A550M を搭載している。
Intel Arc の登場は2022年の秋。
まだ搭載するパソコンは少なく、A730M を使っているのは国内では本機が初のようだ。
Intel Arc は新しい製品だが、ベースとなっているのは第11世代 Core からおなじみの CPU 内蔵グラフィック機能「
」であり、その意味では既存システムの拡張であって、完全に新しいものより信頼性や安心感はある。実行ユニットは Iris Xe が96だったのに対し、Intel Arc A730M は384。
ビデオメモリは12GBで、ノートパソコン向けとしてはかなりの大容量。
公称の TDP(電力と発熱の目安)は 80W~120W。
GeForce RTX 3060 が170W、RTX 3050 でも130Wなので、120Wならなかなか省電力だ。
以下はベンチマーク(性能計測)ソフト 3D Mark:TimeSpy の結果と、他のノートPC用ビデオカードとの比較グラフだ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
・3D Mark: TimeSpy(全てノート用)
GeForce RTX 3080:12000
GeForce RTX 3070:10000
GeForce RTX 3060:8300
Intel Arc A730M:6850
GeForce RTX 1660 SUPER:5500
GeForce RTX 3050:5000
Intel Arc A550M:4500
GeForce GTX 1650:3300
Iris Xe(12世代CPU内蔵):1700
Iris Xe(11世代CPU内蔵):1400
本機(Intel Arc A730M)のグラフィックスコアは約6850。
これは GeForce RTX 3050 や GeForce GTX 1660 以上、GeForce RTX 3060 以下である。
ただし、実際にゲームを動かしてみたところ、このスコアだけでは語れない挙動を見せた。
まず「エーペックスレジェンズ」は解像度 1920x1080 の高画質設定で、150fps~180fps(秒間150~180コマ)という動きを見せた。
と思ったら、2分後にいきなり動作が鈍り 60fps~80fps まで低下。
なんで? と思っていたら、いつの間にか 100~110fps に戻り、さらに 120~130fps に上がっていった。
すべて同じシーン(トレーニング)での確認で、大きな負荷の増減があった訳ではない。
非常に不可解な挙動だが、Intel Arc には AI によるサンプリング(キャラの境界のギザギザを軽減する機能)といった、独自の分析機能が備わっている。
そのあたりの機能で挙動に修正が加えられているのかもしれない。
まあ、AI サンプリングは GeForce や Radeon にも独自のものが備わっていて、そちらはこんな不安定な挙動は見せないのだが……
「モンスターハンターライズ」も解像度 1920x1080 の高画質の戦闘で 80~90fps で動いていたが、やはり急に 50~60fps に低下、さらに徐々に戻っていき 70~80fps で動いていた。
エーペックスと似たような挙動だが、とりあえず平均 60fps 以上は出るのでプレイに支障はなく、GeForce GTX 1650 が 50~60fps なので、それ以上の性能があることは確認できる。
「エルデンリング」も 1920x1080 の高画質で 40~60fps、最高画質でも 30~50fps で動作。
画質を下げれば 60fps で安定して遊ぶことができる。
ただ、山の表面の一部がチラつく場合があるなど、描画がおかしくなる点も若干見られた。
これは Intel Arc に限らず、まだ対応が進んでいない新パーツでよくみられる症状だ。
エーペックスは60fps以上出るので遊ぶ上で問題はないが、妙にfpsが上下する
たまに起こるエルデンリングのチラつき
今後のドライバ更新での改善に期待
大きな難点は、Intel Arc は最新グラフィックシステム「DirectX 12 Ultimate」の完全サポートをウリとしている反面、DirectX 11 世代のゲームでは弱いと言われていること。
検証でもそれをはっきり確認できた。
グラフィックは高度だが DirectX 11 世代のゲームである「ファイナルファンタジー15」のベンチマークは測定開始時から少し重めで、しかも1分半ほど経つと例の性能低下が発症。
動きはガクガク、スコアも停止、10秒ほどで元に戻っていったがそのロスが大きく、解像度 1920x1080 の高画質測定でスコアは約3300となった。
これは GeForce GTX 1650 のスコア3500よりも下であり、つまり FF15 での評価は GeForce GTX 1650 以下である。
同様に DirectX 11 世代のゲームであるファイナルファンタジー14(暁月のフィナーレ)でも、最高画質の測定でスコア10400。
ゲームの動作は全く問題ないが、GeForce GTX 1650 のスコア9200と大差なく、GeForce RTX 3050 や GeForce GTX 1660 SUPER は16000を超えるので、これ以下となる。
つまり、少し古い3Dゲームでの Intel Arc A730M は GeForce 1650 と同等で、得手不得手のあるビデオカードと言える。
FF15ベンチはチョコボが出ると発作が。原因になりそうなものは特にないが…
龍が如く系も DirectX 11 世代なのであまり得意でない。高画質で25~50fps
ただ、ベンチマークでは低スコアになるものの、安定してからの動作だけで見れば GeForce RTX 3060 に届かないながらも、3D Mark のスコアに沿った程度の性能は出る印象だ。
3D Mark のテストではこの発作がでないので、ソフトウェア側の対応やドライバの改善で解消される可能性はある。
(テストは2023年1月17日時点の最新ドライバで行っている)
ウリである DirectX 12 Ultimate への対応は、反射や陰影の表現を行うレイトレーシングや、見えない部分をうまく省いて負荷を軽減する各種機能が最新になっていることを意味する。
実感するのは難しいが、3D Mark でこれらのテストを行った結果は以下の通りだ。
DirectX 12 Ultimate テスト
リアルタイム レイトレーシング テスト
DirectX 12 Ultimate 世代のテストである Speed Way のスコアは約1600。
リアルタイムレイトレーシングのテストである Port Royal は約4000。
GeForce RTX 3060(ノート用)だと Speed Way は平均1900、Port Royal は約5000なので、それには及ばないのだが、Speed Way は VRAM(ビデオメモリ)6GB 以上の新型ビデオカードでしか動かせないもので、完走できている時点でミドルクラスと言える。
Port Royal も GeForce RTX 3050 ではほとんどスコアが出ず、GTX 1660 は対象外だ。
また、Intel Arc は映像編集(エンコード)に強いとアピールされている。
以下は PC Mark 10 で測定したパソコンの標準機能のスコアだが、動画編集は約6000。
このスコアは CPU 込みのものだが、GeForce RTX 3060(ノート用)の平均のスコアは 4500~5500 なので、この分野に関しては Intel Arc A730M が優っている。
また、Intel Arc は「AV1」という新しい動画形式のハードウェアエンコードに対応している。
AV1 はまだメジャーではないが、従来より高画質、しかも主流の HEVC/H.265 という形式がライセンス料を要求しているため、急速に普及している。
Youtube や Netflix、Zoom などの動画サービスはすでに対応済み。
GeForce 4000 シリーズも AV1 に対応しているのだが、こちらはまだノートパソコン用は登場していない。
現時点でノートPCで AV1 を利用できるのは Intel Arc 搭載機だけだ。
本機はゲーミングモデルだが、こうした特徴から、クリエイターモデルに Arc が使われるケースが多いようだ。
なお、本機のグラフィック負荷が高いときの動作音は、やはり大きい。
ちょっと無視できない音(50dbほど)がするので、ゲームはイヤホンやヘッドホンを付けてのプレイをお勧めする。
キーボードの表面の温度も高負荷時には結構上がるが、「温い」というレベルで、「熱い」まではいかないのでご安心を。
処理性能(CPU)
GALLERIA UL7C-AA2 と AA3、共に CPU には「 」が使用されている。
ノートPC用CPUの最新型である第12世代 Core の上位型だ。
しかも「H」は処理性能を重視したタイプで、標準型の「P」、省電力型の「U」より高い性能を発揮する。
第12世代 Core は高性能な「Pコア」と消費電力&発熱の少ない「Eコア」の複合構成となっているが、Core i7-12700H はPコア6、Eコア8の14コア構成。
Pコアは2つの作業(スレッド)を同時に行えるため、14コア20スレッドのCPUとなっている。
また、本機には「パフォーマンス」「バランス化」「バッテリー節電機能」の3つの動作モードがあり、さらにファンの速度もそれぞれ「パフォーマンス」「スタンダード」「静か」の3種類から選べる。
これによりパワーと動作音は任意にコントロールすることができる。
本機には「
このソフトウェアはバッテリー、キーボードのライトアップ、画面や音質の調整を行うこともでき、すべての情報が1つの画面にまとめられているので一目で状況を把握できる。
ただ、動作モードの切り替えをキーで行うことはできないので、そこはちょっと不便だ。
以下はパワーとファン速度を共に「パフォーマンス」に設定した場合の、ベンチマークソフト Cinebench R23 による性能測定結果と、他のノート用主流CPUとの比較グラフだ。
パフォーマンスの測定結果
動作再現(非ブースト時)
・マルチコア性能(Cinebench R23)
Core i7-12700H:12800 (本機 パフォーマンス)
Core i7-11800H:10800
Core i7-1260P:8640
Core i5-11400H:8250
Core i7-1165G7:5800
Core i5-1235U:5000
Core i5-1135G7:3850
Core i7-1165G7:3600(15W)
Core i5-10210U:3100
Core i3-1115G4:2600
Celeron N4100:950
・シングルコア性能(Cinebench R23)
Core i7-12700H (本機 パフォーマンス):1750
Core i7-1260P:1540
Core i7-11800H:1520
Core i7-1165G7:1500
Core i5-11400H:1480
Core i5-1135G7:1350
Core i5-1235U:1340
Core i7-1165G7:1300(15W)
Core i3-1115G4:1300
Core i5-10210U:1050
Celeron N4100:380
見ての通り Core i7-12700H の処理性能は、ノートパソコン用としては突出している。
デスクトップパソコン用の第11世代 Core(標準型)より高い。
Windows の起動や映像編集、Office や Photoshop 等の動作に影響するマルチコア性能と、一般のソフトウェアやゲームの動作に影響するシングルコア性能、共にトップクラスの能力を持つため、不得意な分野はなく、どんな作業でも快適に使える。
何度見てもこの CPU の性能は素晴らしい。
ただ、「パフォーマンス」設定だと動作音は大きい。
ベンチマーク中は「シュー」という空気が漏れるような音が鳴り続ける。
だが前述した動作モードによって、速度とファンの回転を制御することで動作音を軽減することができる。
以下の表はそれぞれのモードでCPUがどのように動いたかの一覧だ。
動作設定 | ブースト時 動作状況 |
非ブースト時 動作状況 |
測定時 動作速度 |
騒音目安 |
パフォーマンス + パフォーマンス |
約25秒 80W~100W 88℃~93℃ |
38W~50W 61℃~70℃ |
マルチブースト 3.8GHz マルチ通常 2.8GHz シングル 4.7GHz |
40~45db 大きい |
バランス化 + スタンダード |
約15秒 70W~90W 75℃~90℃ |
30W~40W 58℃~65℃ |
マルチブースト 3.7GHz マルチ通常 2.5GHz シングル 4.5GHz |
30~45db 最初は大きめ 徐々に静かに |
バッテリー節電 + 静か |
約25秒 60W~75W 64℃~80℃ |
28W~38W 56℃~64℃ |
マルチブースト 3.2GHz マルチ通常 2.4GHz シングル 3.5GHz |
30~40db 最初だけ音 ほぼ静か |
どのモードでもターボブースト(負荷が高い時に一時的に性能が引き上げられる機能)が働くと音はする。
ただ、ファンの設定が「静か」だと、かなり抑えた音になり、そしてブーストが終わるとほとんど動作音は聞こえなくなる。
ファン設定が「スタンダード」でもパフォーマンスと比べるとかなり小さめで、非ブースト時はかなり静かだ。
一方、処理速度は「パフォーマンス」でも「バランス化」でもあまり違わない。
マルチコアのスコアはパフォーマンスモードで 12800 だったが、バランス化モードでも 11380 と、体感できる差ではない。
バランス化モードの測定結果
バッテリー節電モードの測定結果
バッテリー節電モードでもマルチコアは1万を超えているが、こちらはシングルコア性能が顕著に下がる。
バランス化だとシングルコアも大差なく、バランス化+スタンダードでコア温度も安定、高負荷をかけない限り音も静かなので、私的にはこの設定で使うのを勧めたい。
なお、動作モードはグラフィック性能にも影響する。
バッテリー節電モードにすると 3D Mark:TimeSpy のスコアが 6850 から 5600 まで下がったので、3D描画のあるゲームは節電モード以外でプレイしよう。(バランス化は大差なし)
ストレージ(記録装置)とメモリ
ストレージ(データ記録装置)には が使用されている。
スティック型の小さく高速なSSDで、昨今の主流だ。
Gen4 は第4世代の PCI Express(PCIe 4.0)に対応していることを表しており、第3世代よりもさらに高速にデータを処理できる。
容量は(GALLERIA UL7C-AA2 なら)1TB だが、下位モデルの GALLERIA UL7C-AA3 だと 512GB となる。
ゲーミングモデルで 512GB はちょっと少ないので、データ容量の点でも AA2 を勧めたい。
本機はハードのカスマイズは一切できず、SSDの増量や変更はできない。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフト Crystal Disk Mark で測った本機の NVMe SSD の性能だ。
標準設定での測定
NVMe SSD 設定の測定
使用されていたのはサムスン社の PM9A1 というOEM(企業納入用)製品。
読み込み 6700MB/s、書き込み 4900MB/s という性能で、かなり優秀な数値だ。
ただ、サムスンのSSDはシーケンシャル速度(大きなデータの読み書き)に優れるが、ランダムアクセス(小さなデータの読み書き)はそうでもない。
今回の測定でもランダムアクセス(3段目)の結果は Gen4 の NVMe SSD としては良い方ではなく、そしてゲームはランダムアクセスの方が影響するため、ちょっとゲーミングモデル向きではない印象もある。
だが総合して考えれば、高い性能とは言える。
メモリは最新の DDR5(DDR5-4800 / PC5-38400)が搭載されている。
8GBが2本の16GB構成で、2本のメモリにデータを分散し高速化するデュアルチャネルで動作。
ゲームは DDR5 の恩恵が少ないと言われているが、最新メモリであることは(価格以外は)メリットしかない。
また、動画のエンコードや Photoshop 等(Adobe 社のソフト)の作業が早くなるため、ビデオカード(Intel Arc)の特徴、後述するモニターの性能も含め、創作作業においてはかなり強いノートPCと言えそうだ。
外観
デザインとモバイル性能
天板はグレーで梨地加工が強めに施されており、少しザラザラした触感。
ガレリアのロゴである大きめの鷹のエンブレムが付いており、インテルとの共同設計機だが、従来機とデザイン面での差はない。
ただ、角の部分が少しナナメにカットされており、そこに青色の光沢を持つアルマイト処理が施されている。
これはデスクトップのガレリアに備わっている、青いゲート型ライトの装飾をイメージしているようだ。
グレーにホワイトロゴのガレリア天板
ライトブルーに輝くエッジがアクセント
中もグレーとブラックの暗めのカラーリングだが、キーボードのLEDライトが虹色に輝くため、これをONにしている場合はゲーミングPCらしい派手さがある。
サイズは横が約36cm、縦は約23.5cm、厚さは約22mm。
標準的な15.6インチのノートパソコンのサイズで、ゲーミングモデルだからと言って特に大きめと言うことはない。
重量はほぼ2kgピタリで、ビデオカードを内蔵するゲーミングモデルとしては、やや軽い方。
持ち上げるときに少しズシっとくるが、屋内での移動は苦にならない重さだ。
全体的にクラシカルな配色とデザイン
ゲーミングたる者、光らねばならない
ただ、消費電力の影響か、ACアダプタは大きめの高出力(230W)のもので、そのぶん重い。
コード込みで650gあったので、合わせて持ち運ぶと相応の重量になる。
バッテリーの持続時間は公称で約6時間。
長い方ではないが、ゲーミングモデルだと短いというほどでもない。
屋内でコンセントに繋げて使用するのであれば問題はないだろう。
バッテリーのサイズは約62Whで、これも標準的なゲーミングノートのサイズと言える。
なお、本機は標準(最適)のバッテリー設定だと65%までしか充電されない。
満充電したい場合は付属ソフト(インテル NUC ソフトウェアスタジオ)での変更が必要なので注意して欲しい。
A4とセミB5のノートとの大きさ比較
やや大型のノートPCだ
ACアダプタはデカくて重め
持ち出すことはあまり考慮されていない
インターフェイス(接続端子)は不足なくそろっている。
右側面に普通の USB と USB-C が1つずつ、さらにHDMI端子と電源端子が。
左側面には USB 2つとイヤホン/マイクジャック、さらに有線LAN端子を備える。
普通の USB はすべて速度5Gbps(USB3.0)だ。
左右の両方にUSBがあり、数も多いので使い勝手は良い。
USB-Cはデータ転送速度40Gbpsを誇る になっている。
(ただし Thunderbolt4 なのに充電には非対応の模様。映像出力は可能)
最近省略されることがある有線LAN端子が備わっているのも良く、しかも2.5Gbpsの高速回線に対応している。
左側面の接続端子。有線LANポートはこちら側にある
電源とUSB-Cは右側。表面があらく見えるのは梨地加工のため
通信は Wi-Fi 6(ax)と Bluetooth 5 に対応。
マザーボードも通信機器もすべてインテル製で、相性の心配はないだろう。
特にインテルの無線通信カード(Intel AX201 NGW)は評判が良いようだ。
モニター / カメラ / サウンド
モニターは15.6インチ、フルHD解像度(1920x1080)の非光沢液晶。
中国の大手メーカー BOE 社の高性能液晶パネルが使われている。
最大の特徴はリフレッシュレートが144Hzあり、とても滑らかに映像を表示できること。
ゲーミングノートには特に求められる性能だ。
以下は秒あたりのコマ数(fps)の違いによる動きのサンプルだ。
60FPS
30FPS
15FPS
あまり違いを感じない人もいるかもしれない。
実際、Youtube 動画は 24~30fps だし、専門ゲーム機のゲームも大半は 30fps。
そのぐらいあれば普通に遊べるので、60fps との差を感じない人は多い。
しかし集中して見ている細かい部分、例えばカーソルの動きの滑らかさなどは、多くの人が 100fps 以上での差を感じられる。
特に銃で撃ち合う3D視点のゲーム(FPS/TPS)において、狙いの付けやすさに影響する。
一般の作業においても、滑らかなカーソルの方が作業はしやすい。
モニターの発色を示す sRGB カバー率は約95%、Adobe RGB も約73%と高発色。
視野角は全方位89度で、ほぼ180度をカバー。コントラスト比も 1200:1 とかなり高い。
輝度も 300nit と必要十分な明るさだ。
応答速度は 3.8~9ms で、リフレッシュレートが144Hzでも7ms以下なら残像は生じない。
この速度なら、ほぼ認識できる残像が生じることはないだろう。
高発色で高コントラストながら速度にも優れる高品質液晶を搭載
ヒンジの角度は最大140度で、標準的な開き具合。左右の枠幅は6mmほど。
モニターの上部にはHD画質(約92万画素、720p)のカメラと2つのマイクが付いている。
カメラは顔認証に対応しており、手軽なログインが可能で、セキュリティ面でも安心。
マスクを着けていると認証されない難点はあるが、屋内使用なら問題はないだろう。
サウンドは Intel 独自のイコライザーが搭載されている。
音響メーカーのものではないが音質は良く、本機の設定ソフト「インテル NUC ソフトウェア・スタジオ」でいつでも設定の変更が可能。
最初は「音楽」というモードになっており、ちょっと高音が軽めだが、低音は良く響く。
重厚な音の方が好きな人はムービーやゲームのモードを試してみよう。
クラシックやロックなど曲に合わせた調整もあり、音が聞こえる方向も判別しやすい。
独自の設定にすることも可能だが、かなり大きく音質を変えられるので、ヘタな調整をするとむしろおかしくなる。
すぐ元に戻せるが、用意された設定を選ぶだけでも好みの音にできるはずだ。
キーボード
本機はキーボードに光学式センサーが採用されている。
通常のメンブレン(ゴム押し式)キーボードより正確かつ高速なキー入力が可能で、ゲームにはうってつけだ。
押した感触はゴムっぽく、メカニカルキーボードのようなカチャカチャした感じではない。
これはこれで打鍵時の衝撃がやわらぎ、適度な抵抗と反発も得られるので悪くはない。
メンブレンとメカニカルの良いとこ取りな印象があり、ドスパラ曰く「メカニカル式と同等の打鍵感と光学式センサーによる超高耐久を両立している」とのこと。
キーピッチは標準的な19mmが確保されており、キーストロークもノートPCとしては深い印象で、打っていて違和感はない。
反発がかなり強めで、最初はちょっとタイプミスしたが、すぐ反発を利用したリズミカルなキータイプができるようになった。
ただ、本機は15.6型のノートパソコンなのにテンキーが備わっていない。
これはドスパラとインテルの共同設計機(Intel NUC ベース機)がずっと持っている特徴だ。
メインキーボードが中央に来るため、テンキーを省いているゲーミングノートは海外には割とあるのだが、表計算などの数値入力を伴う作業には向いていない。
どうしても必要なら外付けのものを用意する必要がある。
キーボード全景。キー表面の触れ心地、押したときの感触が上質
エンターキーは細めだが、使っていて気にはならなかった。カーソルキーも小型
前モデルのようなメカニカルキーボードではなくなったので、キー単位で色を変えることはできなくなったが、キーボードバックライトは自由にカラーを設定可能で、ゲーミングらしく七色に輝かせることもできる。
もちろん光るのが嫌な人は OFF にもできる。
個人的には動作モードをキーで変更できないのが難点だが、モバイル機ではないのでバッテリーを気にして動作モードを小まめに変える、ということは少ないだろうか。
タッチパッドは大きく、そしてとても触感が良い。
しっとりとサラサラが融合したような、とても理想的な触り心地で、操作感も良好。
押し込みの硬さも適度で、ジェスチャ操作のカスタマイズ(高精度タッチパッド)にも対応している。
加えて左上にランプがあり、ここをポンポンと叩くことで簡単にパッドの ON/OFF が可能。
OFF のときにはランプが付くので一目で判別できる。
最近見たノートパソコンの中では、パッドの使用感はトップクラスだ。
タッチパッド表面の触り心地が本当にいい。ON/OFF ボタン兼用ランプも完備
キーボードカラーの設定画面。色が変わっていくレインボーか、指定の色で固定か
総評
まだ登場したばかりで得手不得手があり、クセも強い Intel Arc のゲーミングノートPCという、パソコンファンなら大注目であるけれども、買うかと言われると難しい一品。
しかし GeForce 3050 と 3060 の中間的なグラフィック性能で、CPU は高い処理応力を持つ Core i7-12700H、メモリが DDR5 で、ストレージも 1TB あるマシンを10万円台で買えるのはお得だ。
高発色で高リフレッシュレートのモニター、光学式キーボードといった、ユーザーインターフェースに優れている点も見逃せない。
以前からドスパラ&インテルの共同設計機は性能の割に安かったが、そのコストパフォーマンスの良さは今回も変わらない。
ちょっと古い(DirectX11世代の)3Dゲームにやや弱く、起動数分後に描画速度が一時的に落ちる、テンキーがないといった、あまり軽視できない問題も散見されるが、細かい描画速度にこだわらなければ普通に使っていけるマシンだろう。
インテル謹製のパソコンなので、新製品の Intel Arc でも相性問題の心配がないのは良い。
変わったものを使ってみたい、Intel Arc で動画編集したいなど、Arc 搭載機を求めている人にとっては、おそらく Arc がもっとも安定して動くパソコンなのでお勧めだ。
形式:15.6インチ ノートパソコン
CPU:Core i7-12700H(第12世代 Core)
グラフィックス:Intel Arc A730M 12GB
メモリ:16GB(DDR5-4800、8GBx2)
ストレージ:1TB NVMe SSD(Gen4)
モニター:解像度1920x1080、リフレッシュレート144Hz
サウンド:Intel NUC 専用イコライザー
通信:Wi-Fi 6、Bluetooth 5
モバイル性能:2kg、バッテリー公称6.1時間、顔認証
その他:3つの動作モード、光学式センサーキーボード、Thunderbolt 4、2.5Gb LAN、虹色キーボードライト
ベース機:Intel NUC X15 ノートPCキット(LAPAC71H)
価格:税込169,980円
※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
※下位モデルの UL7C-AA3 はグラフィックスが Intel Arc A550M、ストレージが512GBです。価格は1万円安いです。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。
執筆:2023年1月25日