- 2023年6月に発売されたドスパラの15.6型ゲーミングノートパソコン
- 安価なCPUとビデオカードで、ゲームができる最低限の構成
- 全体的に安さが追求されているが、多用途に活用できる性能を持つ
こんな人にオススメ!
- PCゲームがしたいけどお金がない人
- できるだけ安いゲーミングモデルを探している人
- 低価格で色々できるノートPCが欲しい人
レビューは公正に、忖度なく行っております。
安値とゲーム性能の最適解
半導体不足によりパソコンの価格が高騰し、まったく下がる気配のない昨今……
新品でも10万円ほどで買えてしまう、とことん安さを追求したゲーミングノートが登場した。
ドスパラ(サードウェーブ)の「GALLERIA RL5R-G165」だ。
悪く言えば、必要最低限のゲーミング能力を残し、他を削ぎ落したコストダウンモデルである。
だが、CPU の Ryzen 5 6600H は後期設計の Zen3+ で、廉価機にありがちな Zen2 や Zen3 ではなく、なかなかの性能を持つ。
ビデオカードの GeForce GTX 1650 も主流の中では最安だが、それでも現行型であり、最新のゲームもプレイ可能。
モニターも 144Hz のリフレッシュレートを持ち、ゲームに向いた高速描画を行える。
豊富な接続端子を備え、キーボードも大きくて扱いやすい。
特徴的な機能は備わっていないが、コストパフォーマンスに優れた作りで、ゲーミングモデルが欲しいけど予算がないという人には良い機種だ。
価格は(6月末時点で)税込104,980円。
発売当初よりちょっと値上がりしたが…… それでもゲーミングノートとしては最安級である。
※8月に値下がりし、税込99,980円と10万円を切る価格となった。
以下、外装はどうなのか、どの程度の性能を持つのか、レビューしていきたい。
外観
デザインとモバイル性能
天板は薄めのグレーで、ガレリアのロゴと鷹のエンブレムが刻印されている。
梨地加工が強めに施されており、樹脂素材だが若干の光沢があるため、シルバーに近い。
ザラザラした触感で、指紋はほとんど付かない。
内部はグレーと黒の配色だが、キーの側面が縁どりのように白くなっているのが特徴だ。
グレーの天板にガレリアのロゴがある
ブラック&グレーの本体全景
一見すると地味だが、キーボードに LED バックライトが備わっており、好きな色に光らせることができる。
時間と共に様々な色に変わっていく設定も可能で、ゲーミングPCらしい派手さも出せる。
サイズは横が約36cm、縦は約24.4cm、厚さは約22mm。
標準的な15.6インチのノートパソコンのサイズだ。
重量は約2.1kgで、ビデオカード内蔵ノートとしてはそれほど重い方ではないが、外に持ち出すのには向かない。
基本的には屋内で移動させて使うノートパソコンだ。
美しいLEDライトがゲーミングを主張
裏面の様子。ファンのところに網があるのでブラシと掃除機でホコリを取れそう
ACアダプタは大きめで高出力(120W)のものが備わっている。
コード込みで565g、ACアダプタは消費電力量に合わせる必要があるのでゲーミングノートだと大きくなるのは仕方がないが、頻繁な持ち運びには向かないサイズだ。
バッテリーの持続時間はゲーミングモデルとしては長めで、公称で8.9時間。
バッテリーのサイズは約47Whで、ゲーミングノートとしては大きい方ではないが、15.6インチのノートPCとしては標準的。
いずれにせよゲームをやっていると短時間でなくなるので、基本的にはコンセントに繋げて使用することになる。
A4とセミB5のノートとの大きさ比較
ノートPCとしては大きめだ
高出力のACアダプタはどうしても大型になる。充電は早い
インターフェイス(接続端子)は豊富に用意されている。
右側面には普通の USB(5Gbps)が2つと、SDカードリーダー。
左側面にも普通の USB(2.0)と、イヤホンジャック、マイクジャックがある。
両方に普通の USB があるので使い勝手が良い。
背面には USB-C(10Gbps)、HDMI、mini Display Port、有線LAN端子、電源端子がある。
背面の端子は使い辛いが、有線LANも含め、一通りそろっているのはありがたい。
なお、USB-C は映像出力には未対応だ。
通信は最新規格の Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.3 に対応している。
側面の接続端子。大きな排気口も特徴
背部の端子。本機の USB-C はここ
モニター / カメラ / サウンド
モニターは15.6インチ、フルHD解像度(1920x1080)の非光沢液晶。
中国の大手メーカー BOE 社の液晶パネルが使用されている。
発色の目安となるsRGB比は64%、Adobe RGB比は48%で、あまり高発色とは言えない。
視野角は全方位85度で狭くはないはずだが、横から見ると端の方が若干色あせて見える。
コントラストも 800:1 と、昨今の液晶パネルとしては低めだ。
だが、リフレッシュレートが144Hzもあり、ここに注力したモニターと言える。
100fps以上のゲームをとても滑らかに表示可能で、まさにゲームのための液晶だ。
特に銃で撃ち合う3D視点のゲーム(FPS/TPS)において、狙いを付けやすくなるだろう。
一般の作業においても、滑らかに動くカーソルの方が作業はしやすい。
できるだけ安く、でもゲーミング性能は落としたくないというコンセプトが感じられる。
やや低発色だが、十分綺麗なモニター。角度があると少し端が暗くなる
専用のソフトで表示の調整が可能
色合いはソフトウェアで強くできる
モニターの上部にはHD画質(約92万画素、720p)のカメラと2つのマイクが付いている。
必要外なものをできるだけ削った製品だが、カメラとマイクはちゃんと備わっていて、オンライン会議もできるのでご安心を。
ただ、顔認証などは備わっていない。
音響はサウンドブラスターのイコライザー(音響調整ソフト)が入っている。
PCサウンドの老舗だが、最近はあまり名前を聞かなくなったメーカーだ。
音質は正直、あまり良いとは言えない。
悪いという程ではないし、ノートPCにありがちな軽い音でもないが、スピーカーがそれなりなのか、イコライザーを利かせてもあまり深みが出ない。
それなりの高音と、ちょっと響く低音で、普通には聞ける、といったぐらいだ。
ただ、特定のゲームに合わせた設定があるのがユニークだ。
CoD、PUBG、オーバーウォッチ、カウンターストライクなどの定番 FPS に合わせたものが用意されている。
音を良くするというより、敵の接近や方向を判別しやすくする設定のようで、どこまでもゲーム向けという感じである。
※Sound Blaster で知られる Creative 社のイコライザー。見た目がポップ。
変わった設定が多いが、本機ではあまり大きな変化は感じられなかった。
キーボード
15.6インチのノートパソコンなのでキーボードは広く、横3桁のテンキーも付いている。
キーストローク(深さ)もノートパソコンとしてはあるほうだ。
ちょっと硬めのキーで、抵抗と反発が強いが、そのぶんしっかりした打鍵感を得られ、指に来る衝撃も強くはない。
使っていて違和感のないキータイプができた。
右シフトキーが短めで、テンキーの 0 が左下ではない点に違和感を感じる人もいると思うが、そのぶんカーソル(矢印)キーが小型ではなく、他のキーと同じ大きさになっている。
これは Photoshop や Illustrator など、カーソルキーを使うソフトの使用時にありがたい。
もちろんカーソルキーを使うゲームの操作性も上がる。
キーボード外観。黒いキーに白の縁取りがあり、ちょっとピアノ風
カーソルキーが大きいのは本機の長所
テンキーもあって数値入力しやすい
前述したようにキーの色は自由に変えられ、七色に変わっていく設定もある。
装飾としてはもちろん、暗所でのキーの確認にも役に立つ。
タッチパッドは大きめで、触感と操作性は良好。
パッドの左上には小さなランプが付いており、ここをポンポンと叩けば簡単にパッドの ON/OFF を行える。
OFF のときにはランプが付くので一目で判別できる。
キーやパッドの作りは上位のノートPCと同じであり、安物感はまったくない。
パッドは大きいほど操作性が良い
ボタンなしパッドの使い方は こちら を
見落としがちだが、このランプの部分をダブルタップすれば切り替えを行える
パーツ性能
処理性能(CPU)
本機が搭載する CPU は AMD の Ryzen 5 6600H。
2022年の秋から普及し始めたもので、Zen3 の後期型、いわゆる「Zen3+」の製品だ。
Ryzen 5 は中位クラスを意味するが、Ryzen 6000 シリーズは Ryzen 9、Ryzen 7、Ryzen 5 の3種類しかないため、その中では下位。
そのぶん価格は安く、コストパフォーマンスに優れる。
H は性能重視型を意味し、U や HS より処理能力に優れるが、TDP(電力と発熱)は多め。
6コア12スレッドのCPUで、TDPは45W。
共有キャッシュは 16MB で、ライバルの Core i5-1340P は 12MB なので、少し多い。
以下はベンチマークソフト Cinebench R23 による性能測定結果と、他のノート用主流CPUとの比較グラフだ。
・マルチコア性能(Cinebench R23)
Core i9-13900H:13700
Core i7-13700H:13500
Core i7-12700H:12500
Core i7-11800H:10800
Ryzen 5 6600H:9750
Core i7-1360P:9700
Core i5-1340P:9500
Core i7-1260P:8700
Core i5-1240P:8400
Core i5-11400H:8250
Ryzen 5 5625U:8050
Core i7-1165G7:5800
Core i3-1215U:5500
Ryzen 3 7330U:4950
Core i5-1135G7:3850
Core i3-1115G4:2600
Celeron N5100:1400
Celeron N4100:950
・シングルコア性能(Cinebench R23)
Core i9-13900H:1900
Core i7-13700H:1850
Core i7-1360P:1820
Core i7-12700H:1810
Core i7-1260P:1735
Core i5-1340P:1720
Core i5-1240P:1680
Core i3-1215U:1550
Core i7-11800H:1520
Core i7-1165G7:1500
Ryzen 5 6600H:1480
Core i5-11400H:1480
Ryzen 5 5625U:1400
Ryzen 3 7330U:1370
Core i5-1135G7:1350
Core i3-1115G4:1300
Celeron N5100:580
Celeron N4100:380
マルチコアの測定結果は約9750。第13世代 Core i7(標準型) と同格で、なかなか優秀。
しかしシングルコアは約1480と、第12世代 Core より下、第11世代 Core i7 と同じぐらい。
やや得手不得手がある印象で、マルチコアが影響する Windows の起動速度や Photoshop などの動作に優れるが、ゲームや一般ソフトの動作はやや劣る。
本機はゲーミングモデルであるため、シングルコア性能がもう少し欲しいところではあるが、コストパフォーマンスはかなり良いはずだ。
※パソコン測定ソフト PCMark10 の測定結果。起動速度やサイト閲覧などの軽作業は上限に近い。他の評価も一通り高く、一般用途で不得意な分野はない。
なお、本機には「ターボ」「スタンダード」「オフィス」の3つの動作モードがあり、ランプでモードの確認ができる動作切り替えボタンも用意されているのだが、切り替えても大きな変化がなかった。
ターボだと最大45W、4GHzで動作し、コア温度は75度前後。
スタンダードだと最大35W、3.7GHzで動作し、コア温度は65度前後。
しかしこのぐらいだとマルチコアのスコアが 9750 → 9400 になる程度で、シングルコアにはまったく変化なく、体感できる差はないだろう。
温度が下がれば動作音も減るので、スタンダードで常用する方が良いかもしれない。
そしてオフィスは、スタンダードとまったく同じだった。
マザーボード(BIOS)のミスなのだろうか? 本機の動作モードは実質2つだ。
グラフィック性能(GPU)
本機はビデオカード GeForce GTX 1650(ノートPC用)を搭載する。
現行のビデオカードの中では、補助的な製品を除くと、もっとも下位に位置するものである。
それでも現行のビデオカードなので、CPU内蔵グラフィック機能より性能は高い。
しかし「確かに安いけど、これで快適にゲームができるのだろうか?」と心配になる人も多いだろう。
以下はベンチマーク(性能計測)ソフト 3D Mark:TimeSpy の結果と、他のノートPC用ビデオカード、及び内蔵GPUとの比較グラフだ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
・3D Mark: TimeSpy(下位ノート用GPU)
GeForce RTX 4050 Laptop:8500
GeForce RTX 3060(note):8350
GeForce RTX 1660Ti(note):5550
GeForce RTX 1660:5400
GeForce RTX 3050(note):4850
GeForce GTX 1650Ti(note):3680
GeForce GTX 1650(note):3650(本機)
GeForce GTX MX550:2650
GeForce GTX 1050Ti:2200
Iris Xe(第13世代 Core 内蔵):1800
Iris Xe(第12世代 Core 内蔵):1700
Iris Xe(第11世代 Core 内蔵):1400
Ryzen 5 5700G(CPU内蔵、Vega 8):1350
Core i3-1115G4(CPU内蔵、Intel UHD):700
Ryzen 3 7330U(CPU内蔵、Vega 6):580
グラフィックスコアは約3650。
実はこれは、ノート用 GeForce GTX 1650 のスコアとしてはかなり良い成績だ。
通常のノート用 GeForce GTX 1650 は 3200~3500 のスコアになる。
本来、GeForce GTX 1650(note)の最大クロック数は 1560MHz なのだが、本機は 1785MHz で動いていたので、少しオーバークロックされた製品が使われているのかもしれない。
ビデオメモリは GDDR6 を 4GB 搭載している。TDP は 75W。
実際のゲームの動作だが、「モンスターハンターライズ」は高画質の戦闘中で 50~60fps。中画質だと 100~120fps で動く。
高画質でも 60fps に近い数値が出るため、快適にプレイ可能。
「エルデンリング」も最高画質で 40fps、高画質で 50fps、中画質なら 60fps で動作する。
こちらも高画質で快適に遊ぶことができる。
「ディアブロ4」も高画質で 50~70fps。
60fps 前後で動いていたので、まったく問題ない。中画質なら 80fps で動く。
このように、GeForce GTX 1650 でも(解像度1920x1080で)遊ぶだけなら何も問題はない。
高画質で 100fps 出したいとか、高解像度でプレイしたいとか、実況配信したいとか、そういう話になると別だが、一般的なプレイでは最新のゲームを快適に遊べるレベルだ。
なお、FF15 のベンチマークは軽量画質なら快適(スコア7450)、標準画質でもやや快適(スコア5700)、高品質だと普通(スコア4000)の評価となった。
FF14は最高品質で快適の評価が出る
ストリートファイター6は NORMAL なら60fpsでのバトルが可能
ただ、ゲームプレイ中の動作音は結構大きい。
GPU温度は65℃辺りまでしか上がらなかったが、しっかり冷却するのを優先しているのか、ファンの音は大きめだ。
プレイ時にはイヤホンかヘッドホンを付けるのをお勧めする。
ストレージ(記録装置)とメモリ
ストレージ(データ記録装置)には が使用されている。
スティック型の小さく高速なSSDで、しかも第4世代 PCIe に対応。
容量は 500GB で、ゲーミングモデルとしてはちょっと少なめだが、標準的な量ではある。
価格を考えるとあまり贅沢は言えないだろう。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフト Crystal Disk Mark で測った NVMe SSD の性能だ。
標準設定での測定
NVMe SSD 設定の測定
使用されていたのはサムスンの PM9B1 というOEM(企業納入用)製品。
PM9A1(SSD 980 PRO)の下位モデルと思われる。
読み込み 3600MB/s、書き込み 2500MB/s という数値はほぼ公称通りだ。
第4世代の NVMe SSD としては高性能とは言えないが、ゲームに影響しやすいランダムアクセスの読み込み(3段目、約900MB/s)も含め、及第点と言える数値が出ている。
これもコストパフォーマンス重視の製品と言えるだろう。
メモリは最新の DDR5(DDR5-4800 / PC5-38400)が搭載されている。
8GBが2本の 16GB 構成で、2本のメモリにデータを分散し高速化するデュアルチャネルで動作。
意外にもちょっとお高いメモリが使われているのは、Ryzen 5 6600H が DDR5 しか対応していないためだ。
性能としては文句の付けようがない、高性能メモリである。
総評
いま最安ゲーミングノートを作るなら、この組み合わせが良いだろうな、という納得の構成だ。
安価とは言え
CPU が Zen3+ の Ryzen なので処理能力で妥協がなく、汎用のノートPCとしても使用可能、CPU 負荷が高いゲームも快適だ。
GeForce GTX 1650 の性能も、贅沢を言わなければ十分に最新ゲームを楽しめる。
元々ドスパラはゲーミングノートが割安で、とてもコストパフォーマンスに優れている。
すべてに秀でたモデルではないが、パソコンのゲームをやりたい、でも10万円ぐらいしか出せない、という方にとっては、現時点で最良かつ数少ない選択肢の一つといって良いだろう。
形式:15.6インチ ノートパソコン
CPU:Ryzen 5 6600H(Zen3+、6コア12スレッド)
グラフィックス:GeForce GTX 1650 4GB(GDDR6)
メモリ:16GB(DDR5-4800、8GBx2)
ストレージ:500GB NVMe SSD(Gen4)
モニター:解像度1920x1080、リフレッシュレート144Hz
サウンド:サウンドブラスターのイコライザー
通信:Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
モバイル性能:約2.1kg、バッテリー公称8.9時間
その他:LEDキーボードライト、2つの動作モード
価格:税込104,980円 99,800円
※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
※リンクはマインクラフトと Xbox Game パス同梱版です。価格は未同梱版と変わりません。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。