• 2022年11月にリニューアルした Dynabook(シャープ/東芝)の15型ノートパソコン
  • 第12世代 Core 搭載でブルーレイディスクドライブを内蔵
  • とても美しい本体、高画質カメラとノイズキャンセラーを備えWeb会議にも向く
dynabook AZ/HV

こんな人にオススメ!

  • DVD / Blu-ray を使えるファミリー向けPCが欲しい方
  • 動画視聴や事務、オンライン会議など多用途に使いたい方
  • 安心と信頼のダイナブックを求めている方
このレビューは実機の貸出を受けて作成しており、リンクにはアフィリエイトが含まれています。
レビューは公正に、忖度なく行っております。

日本企業の日本向けパソコン

dynabook AZ シリーズは、Dynabook 社(旧 東芝)が「スタンダードPC」として開発しているモデルだ。

持ち出すには大きいが見やすくて扱いやすい15.6インチサイズのノートパソコンで、テンキーとDVD/ブルーレイドライブを備え、小型機より高い処理性能を持っている。
本機はキーボード抗菌も施されており、多人数で安心して使えるようになっている。

dynabook AZ シリーズ

カメラは200万画素の高画質なものを備え、雑音をシャットアウトする dynabook 自慢のAIノイズキャンセラーを搭載し、オンライン会議向けの機能も優れている。

これらは今の日本のノートPCに求められている機能であり、特に抗菌と光学ドライブを備えているのは日本らしい。
まさに「日本的なスタンダード」のノートパソコンだ。

価格は構成にもよるが約18万円~22万円。(価格は2022年11月時点)
だが、後述する特別プレミアムサイトなら約15~17万円で購入することができる。
以下、そのレビューをお届けしたい。

なお、本機は量販店モデル「dynabook T」シリーズのWeb販売用モデルである。
dynabook T9/V、T8/V、T7/V といったパソコンと同型なので、そのレビューとしても活用して欲しい。

外観

デザインとモバイル性能

カラーは「サテンゴールド」と称された、アイボリーのような落ち着いた色。
側面はホワイトで、天板にはかすれ模様のようなヘアライン加工がうすく施されており、その上にピアノの表面のような質感と光沢をもつ、透明のコーティングが施されている。

そのカラーと光沢は本当に美しく、最近見たノートPCの中ではNo.1のデザインだ。

表面の透明コーティングは滑りにくくて持ちやすく、色とヘアライン加工のおかげで指紋や手の跡も目立たない。

dynabook AZ/HV 天板

淡い色合いの上品な天板
画像の濃淡は周囲の景色の映り込み

dynabook AZ/HV 天板のアップ

ロゴ周辺。光沢の感じが解るだろうか?
薄いヘアライン加工は写真では見え辛い

中もサテンゴールドの本体に白いキーが並んでおり、モニターの外枠も白く、上品で清楚。
女性人気も高そうなカラーリングだ。

サイズは横36cm、縦24.4cmで、15.6型ノートとしては昨今の標準的なサイズ。
光学(DVD / ブルーレイ)ドライブが備わっているのが大きな特徴で、そのため厚さ2.4cmとちょっと厚めだが、光学ドライブ付きとしては薄い。
重さは1.98kgで、あまり軽い方ではないが、屋内の移動なら苦にならないだろう。

dynabook AZ/HV 外観

内部も白とアイボリー系の清楚な雰囲気
白いキーボードが映える

dynabook AZ/HV ブルーレイドライブ

ブルーレイドライブ搭載機が欲しいなら本機は有力な候補だ

ACアダプタは小型で260gの軽量。
dynabook の最新13型ノートには175gの超軽量アダプタが付いていて、そこまでは軽くはないが、他のメーカーと比較すれば十分に軽い。
また、dynabook の独自技術である「お急ぎ30分チャージ」により、30分で(空の状態から)約40%の充電を行える。

バッテリー持続時間は公称9.5時間で、15型ノートPCとしては、やや長め。
モバイル機ではないので10時間を超えるほどではなく、バッテリー容量も約38Whと小さめだが、屋内での使用ならいつでも充電できるので困ることはないだろう。

dynabook AZ/HV 大きさ比較

A4とセミB5ノートとの大きさ比較
15型なので持ち出すには少し大きい

dynabook AZ/HV ACアダプタ計量

小型軽量ACアダプタを開発できる技術力はさすが家電メーカーだ

接続端子は、左右の両方にUSB端子があり、USB-C や HDMI、有線LANなどは左側にまとめられている。
使いやすい配置となっており、ブルーレイドライブは右側に備わっている。

普通のUSB端子は全てUSB3.0(Gen1、速度5Gbps)。
USB-C は3.1(Gen2、速度10Gbps)で、USB-PD(パワーデリバリー)に対応しており、高出力のモバイルバッテリーでの充電が可能だ。

無線通信は最新の Wi-Fi 6(ax)に対応、Bluetooth ももちろん内蔵している。

dynabook AZ/HV 左側面

左側面の接続端子

dynabook AZ/HV 右側面

右側面の接続端子

念のため述べておくが、ブルーレイドライブは CD や DVD の読み書きも行える。
日本の書店では家計簿や事務、確定申告、書類や年賀状の作成ソフトが DVD で売られているので、ないと困る人も多いだろう。
もちろんブルーレイの映画や動画も楽しむことができる。

モニター / カメラ / サウンド

本機のモニターは15.6インチの非光沢液晶。
解像度は一般的なフルHD(1920x1080)だが、シャープの高性能液晶が使用されており、高い色彩を誇る。

発色を示す数値は、sRGBカバー率は約100%、Adobeカバー率は約74%と高い。
視野角はほぼ180度(全方位89度)で、輝度は一般的な 300nit、コントラストは 1000:1。
リフレッシュレート(描画速度)は一般的な60Hz(毎秒60コマ)だ。

高視野角で高発色の液晶というのは間違いなく、またモニターの性能ではないが、独自のアルゴリズムで映像を解析し、リアルかつシャープに表示できる超解像技術を備えていて、より美しい動画を楽しむことができる。

dynabook AZ/HV モニター外観

ブルーレイ搭載機のため画面も高品質
クリエイターPC並みの高発色を持つ

dynabook AZ/HV ヒンジ

ヒンジの最大角度はこのぐらい
およそ140度

※液晶ディスプレイは、液晶パネルの特性や製造工程により、各製品で色合いが異なる場合があります。

Webカメラも約200画素(フルHD)の高精細なものを装備。
最近は Zoom 等のオンライン会議用ソフトウェアが200万画素に対応しているので、HD(100万画素)のカメラより綺麗な映像を送ることができる。
(なお、Zoom や Skype は200万画素が上限なので、それ以上の画質にはあまり意味がない)

さらに雑音を消して音声だけ聞こえるようにする dynabook 自慢の「AIノイズキャンセラー」も備わっていて、クリアな対話が可能だ。
以下は Youtube で公開されている公式紹介動画だが、目覚まし時計の音など、かなり大きな雑音もカットしているなかなか衝撃的な内容だ。

赤外線カメラによる顔認証も備わっており、カメラ部分を見るだけで手軽にログインできる。
顔認証はマスクを着けていると認証されない難点があるが、家庭内なら問題ないだろう。

サウンドは、米DTS社のイコライザー(音質調整ソフト)が導入されている。

dynabook のサウンドと言うか、DTS のイコライザーは見るたびに良くなっていて、昨年見たときは音質がイマイチで調整しても不自然な感じだったのだが、今年に入って自然な調整ができるようになり、音質も向上した。
そして本機はもう、調整しなくても十分に良い音がする印象だ。

音楽、映画、ゲーム用の設定が用意されていて、それぞれはっきりとした違いがあるが、初期設定のままでも問題ないだろう。
もちろん低音を強くするなど、好みに合わせて変えることもできる。

DTS Audio Processing

dynabook は一般モデルには DTS を、上位モデルは Dolby Atmos を導入している

DTS グラフィックEQ

低音を響かせたいならこんな設定に
でも本機は細かい調整はいらないかも

キーボード

15.6インチのパソコンなので大きさに余裕があり、キーボードも十分な広さがある。
キーピッチ(キーの間隔)は18.7mmと、標準サイズの19mmと変わらない大きさがあり、何より横4桁のテンキーが備わっていて、数値入力を容易に行える。

ボタンのようなポチポチとした感触のあるキーボードは、硬すぎず柔らかすぎずの適度な硬度で、とても打ちやすい。
キーストローク(キーの深さ)は1.5mmで、ノートPCとしては深く、さらにそれ以上の深さが感じられる打ち応えもあって、しっかりした打鍵感だ。

何より真っ白なキーボードは、とても清潔感にあふれている。

そしてキーには抗菌剤が塗り込まれており、実際に清潔である。
dynabook SZ/MV のような全面抗菌仕様ではないが、もっとも手が触れるキーボードに抗菌処理が施されているため、家族にも安心して使わせられるだろう。

dynabook AZ/HV キーボード

広くて快適なキーボードは白くて抗菌
美しさと清潔さを併せ持つ

dynabook AZ/HV テンキー周辺

横4桁テンキーで事務作業も快適
配置も標準的で使いやすい

タッチパッドの位置は中央ではなく、左側に寄っている。
左手でタッチパッド、右手でテンキーを操作するのに適した、データ入力の使い勝手を考慮した配置だ。

dynabook のタッチパッドは表面がザラザラしていて、個人的にはしっとり系より好みではないのだが、指は良く滑り、操作性は良い。
もちろんマルチタッチ(ジェスチャ)のカスタマイズにも対応している。

dynabook AZ/HV タッチパッドの遠景

けっこう大胆に左によっているパッド
本体が大きいのでサイズは十分

dynabook AZ/HV タッチパッドの拡大

ザラザラ系タッチパッドの拡大
押し込みの硬さなどは適度で良い

ガイドソフトとサポート

dynabook には様々な実用ソフト(プリインストールソフト)が備わっている。
こうした初期ソフトを嫌う人も多いが、初心者にとってはパソコンの活用の助けとなるし、最近は上級者にとっても便利なものや、サポートの補助となるソフトも含まれている。
dynabook と言えば信頼性の高さと手厚いサポートがウリなので、少し述べておきたい。

本機には「おたすけナビ」というソフトが付属されており、パソコンの各種機能や、設定方法、活用例などを案内してくれる。
初心者にありがちな「パソコンを買ったけど何をすれば良いのかわからない」という疑問に答えてくれるもので、サポートへの案内も含んでいる。

dynabook おたすけナビ

本機にはブルーレイドライブが備わっているため、それに関連したソフトが豊富なのも特徴だ。
DVD やブルーレイディスクの映像を再生するもの、映像や画像を編集するソフトの体験版、ディスクへのファイル書き込みソフトなどが備わっている。

そして「TVコネクトスイート」という番組視聴ソフトがインストールされている。
ネットワーク機能のある外部レコーダーに簡単に接続でき、放送中のテレビ番組や録画した映像などを見られるもので、東芝&シャープ製以外のレコーダーにも対応している。

私は普段 nasne(バッファロー製)を愛用しているが、それにもボタン一つですぐ接続でき、テレビや録画を見ることができた。
しかも本機に備わっている超解像技術によって、映像はシャープに美しく表示される。

dynabook TVコネクトスイート

PC引っ越しナビやデータ消去機能があるのも特徴で、 安全に買い替えと、その後の譲渡や売却をできるようになっている。
定番のはがき作成ソフト(筆ぐるめ)もあり、スマホと手軽に連携できてリモコン代わりにもできるスマホコネクションも備わっている。

ただ、独自のアルバムソフト(思い出フォトビューア)や、背景をぼかしたりできるオンライン会議用の機能(オンラインミーティングアシスト)は上位機用のソフトのようで、本機には備わっていない。

筆ぐるめ dynabook 版

付属ソフトで年賀状の作成も可能
印刷には別途プリンターが必要です

PC引越ナビ

データの移行や削除ソフトは便利
おかげで売ったり譲ったりしやすい

そして特筆しておくべきこととして、dynabook の電話サポートは5年間無料で利用できる。

Dynabook 社はシャープに買収されたが、今も東芝のサービスステーションで手厚いサポートが行われており、年長者に好評の、担当者がネット経由でパソコンに接続して画面上で案内を行う「遠隔支援サービス」も5年間無料で利用できる。

パーツ性能

処理性能(CPU)

dynabook AZ/HV のCPUは(Web販売なら)「Core i7-1260P」か「Core i5-1240P」を選ぶことができる。
(量販店モデルは Core i7 のみ)
Core i7 の方が上位だが、もちろん価格は高くなる。

どちらも最新のノートパソコン用 CPU「第12世代 Core」の標準型だ。
小型機によく使われる省電力型(末尾がU)よりも高い性能を持つ。

第12世代 Core は性能重視のPコアと、電力効率重視のEコアの複合構成だが、Core i7-1260P と Core i5-1240P、どちらもPコア4つ、Eコア8つ。
Pコアは同時に2つの作業を行えるため「12コア16スレッド」となっている。

以下はレビュー機に搭載されていた Core i7-1260P の概要だが……
本機の CPU は、一般の Core i7-1260P とは内蔵グラフィック機能が異なっていた。

Core i7-1260P, CPU-Z(dynabook AZ/HV)

グラフィック機能については後述するため、まずは CPU の処理性能について検証する。

Core i7-1260P の TDP(投入電力と発熱の目安)は 28W。
dynabook のパソコンは消費電力や発熱を抑えるため、これが少なく設定されている場合が多いのだが、本機はそのまま 28W が投入される。
つまり、本来のパワーで動く。

以下は本機のベンチマーク(性能測定)の結果と、他のノート用CPUとの性能比較グラフだ。

Core i7-1260P, CINEBENCH R23, dynabook AZ/HV

本機の Core i7-1260P(10分測定)

Core i7-1260P(dynabook AZ/HV)の Cinebench R23 動作再現GIF

測定中の動作再現(非ブースト時)

・マルチコア性能(Cinebench R23)

Core i7-12700H:12500

Core i7-11800H:10800

Core i7-1260P:9100(本機)

Core i5-11400H:8250

Core i7-1165G7:5800

Core i5-1235U:5000

Core i5-1135G7:3850

Core i7-1165G7:3600(15W)

Core i5-10210U:3100

Core i3-1115G4:2600

Celeron N4100:950

・シングルコア性能(Cinebench R23

Core i7-12700H:1810

Core i7-1260P:1810(本機)

Core i7-11800H:1520

Core i7-1165G7:1500

Core i5-11400H:1480

Core i5-1135G7:1350

Core i5-1235U:1340

Core i7-1165G7:1300(15W)

Core i3-1115G4:1300

Core i5-10210U:1050

Celeron N4100:380

マルチコア(複数同時処理)のスコアは約9100
ノートパソコン用の CPU としてはかなり高い数値であり、さすが第12世代 Core だ。
第11世代 Core と比べると1.6倍ほどの性能差があり、また dynabook の第11世代 Core 搭載機はパワー(TDP)を低めに抑えていたため、旧機種と比べるとさらに大きな差がある。

シングルコア性能(作業1つあたり処理速度)も約1800と優秀。
春にチェックした dynabook RZ/HV は1540だったので、かなりアップしている。

そして特筆すべきは、CPUの温度だ。
dynabook RZ/HV は同じ Core i7-1260P を使っていたが、CPU温度が100℃まで上がっていて心配になった。
サーマルスロットリング(過熱時の安全装置)が働いたのか、スコアも少し低かった。

一方、本機は高負荷なベンチマーク中でも、ブースト時(60W)で 70~75℃、それが20秒ほど続いた後の非ブースト時(28W)で 55~60℃ と、大幅に温度が下がっている。

dynabook の近年のパソコンには「エンパワーテクノロジー」という独自の冷却機構が備わっているが、秋モデルでそれが改良されたのかもしれない。
dynabook RZ/HV は14型、こちらは15.6型なので、サイズの違いもあるのだが、 高負荷時でもキーボード表面がほんのり温くなる程度で、かなり冷却力が高まったのがわかる。

ダイナブックはパワーが抑えられているのでピーク性能が…… という懸念は本機にはない。
そしてダイナブックらしい信頼性も備わっている。

グラフィック性能(GPU)

ノートパソコン用の第12世代 Core には、本来なら「Iris Xe グラフィックス」というインテル自慢の内蔵のグラフィック機能が搭載されている。

だが本機の Core i7-1260P には Iris Xe ではなく、それより下位の Intel UHD グラフィックスが内蔵されていた。

そんな話は聞いたことがなく、他にも同様のケースがあるか調べてみたが、見当たらなかった。
しかしシステム表示を何度見ても、ハードウェアの確認ソフトで調べてみても、本機のCPU内蔵グラフィック機能は Iris Xe ではなかった。

インテルグラフィックコマンドセンターでもUHD Graphics

これは特注品を使っているということなのだろうか?
春にチェックした dynabook RZ/HV はグラフィックのベンチマーク中にGPU温度が100℃に達していたため、その対策だろうか?
BIOS で切り替えられないか調べてみたが、そういう設定はなかった。

ともかく、本機は一般の Core i7-1260P より内蔵グラフィック機能の性能は落ちる。
以下は 3D Mark(Time Spy)で調べた、そのグラフィック性能だ。

dynabook AZ/HV, Core i7-1260P, Intel UHD, 3Dmark TimeSpy
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。

本機のグラフィックスコアは約1300
Iris Xe 搭載の Core i7(dynabook RZ/HV 等)だと1700、Core i5 だと1400。
第11世代の Core i7 も1400ほどだ。
ただ、Iris Xe でも省電力型のCPU(dynabook SZ の Core i7-1255U 等)だと1150ぐらい。

1300だと、普通の Iris Xe より低いが、 省電力CPUよりは高い、といったところか。
CPU性能を含む総合スコアは約1500となった。

近年のゲームは、グラフィックの質を下げれば行けないことはない。
人気ゲームの「エーペックス」や「フォートナイト」は画質を下げれば 45fps(秒間45コマ)ほどで動く。

「ファイナルファンタジー15」は軽量画質でも「重い」の評価となったが、動作不能ではない。
「モンスターハンターライズ」はエラーで検証できなかったが、「龍が如く」は低画質なら 45fps で動作する。

FF15ベンチマーク, dynabook AZ/HV

FF15は厳しいが、省電力CPUよりマシ

キムタクが如く, 低画質, dynabook AZ/HV

龍が如くシリーズは低画質ならOK

もちろん 2D(平面)画像のゲームなら、CPUの処理能力は良いので普通にプレイできる。
冷却もしっかり効いており、高負荷時でも温度は常に65℃以下。
dynabook らしい安定性を重視した動作で、冷却ファンの音もそれほど大きくならない。

動画視聴の補助としては問題ない能力で、一般の用途で困ることはないだろう。
ただし、他の Core i7-1260P 搭載機ほどの3D描画性能がないことは留意すべきだ。

ストレージとメモリ(記録装置)

ストレージ(データ記録装置)には今の主流である「NVMe SSD」が使用されている。
ノートパソコンに向いた小さなスティック型のSSDで、従来のものより数倍高速だ。

データ容量は(Web販売モデルなら)512GB か 1TB(1000GB)を選ぶことができる。

搭載されていたのはサムスンの「PM9A1」という第4世代 PCIe(Gen4)の製品。
速度性能に優れた最新型で、以下はその性能の測定結果だ。

dynabook AZ/HV, Crystal Disk Mark, default

標準設定での測定

dynabook AZ/HV, Crystal Disk Mark, NVMe SSD mode

NVMe SSD 設定の測定

読み込み 6500MB/s、書き込みも 4950MB/s と、かなり優秀な性能。
ただ、測定するたびに読み込み速度が変わる不安定さがあり、測るたびに 1000~6500 の間で変化した。
上記画像は一番良かったときの結果で、ダメなときは読み込みが 1200MB/s ぐらいに落ちる。(書き込み速度は安定している)

ランダムアクセス(小さなデータの処理速度、3段目)は読み込み 1250MB/s で、悪くはないのだが、すごく良いという程ではない。
また、書き込み(ランダムライト)は 500MB/s と、Gen4 としては低め。
得手不得手のある印象で、総合すると中間ぐらいの評価と言えるだろうか。
しかし Gen4(第4世代)なので、遅いか早いかで言えば、十分速い。

メモリは(Web販売モデルは)8GB、16GB、32GB から選ぶことができる。
種類は一般的かつ主流の「DDR4-3200」が使用されている。

ただ、試用機のメモリは 16GB だったのだが、1本しか搭載されておらず、2本のメモリにデータを分散して高速化するデュアルチャネルで動作していなった。
注文ページでも「16GBx1」や「8GBx1」の表記があるので、Web販売モデルはこれが仕様のようだ。
(32GBモデルは16GBが2本。量販店モデルはどの容量でも2本)

dynabook AZ/HV の裏面のフタの中にあるメモリスロット
※メモリ収納部。SODIMM(小型のメモリ)を使用する。

本機は裏側にフタがあり、これを開くとメモリの着脱部に簡単にアクセスできる。
Web販売モデルが8GBと16GBの1本なのは、あとから自分で増設できるようにしているようだ。
だが、できれば32GB以外でも最初からデュアルチャネルにする選択は欲しかった。

とは言え、シングルチャネルでもそこまで大きな速度差はない。
一般の人が気にするレベルの話ではないので、16GB 1本でも大きな問題はないだろう。

総評

本機は「プレミアム オールインワン ノート」と題されているが、確かにそんな印象だ。

使いやすいサイズ、動画や画像の編集もできる処理性能、事務作業を行いやすい4桁テンキー、家族で使いまわせる抗菌、動画や映画を楽しめる高性能モニターとブルーレイドライブと超解像技術、オンライン会議のための強力なノイズキャンセラーもある。

内蔵グラフィック機能が弱めでゲームや設計には向かないので、何でもできる万能機とまでは言えないが、大手家電メーカーにしかできない技術が多く盛り込まれた製品だ。

個人的には、秋モデルになって冷却性能が向上、第12世代 Core の性能を遜色なく発揮できるようになっている点に注目したい。
「エンパワーテクノロジー」が、ようやく名前にふさわしい能力を発揮し始めている。

もちろん dynabook、すなわちシャープと東芝という信頼性とサポートもある。
そして何度も述べたように、デザインが上品で美しい。

なお、本機は「dynabook 特別プレミアムサイト」で割安で購入できる。
例えば、レビュー機の構成である Core i7、メモリ16GB、512GB SSD、Offce なしの場合、通常価格は税込178,200円だが、プレミアムサイトでは税込156,750円で購入できる。

dynabook 特別プレミアムサイト

特別プレミアムサイトはこちら から入室できる。
ID には「dyna204cls」、パスワードには「T8Y7GRSV」と入力して欲しい。

持ち出さないホームノートPCとしては非常にレベルの高い、マウスコンピューターやドスパラのノートPCとは方向性が異なる、ダイナブックらしいお勧めできる製品だ。

dynabook AZ/HV

dynabook AZ/HVicon

形式:15.6インチ ノートパソコン
CPU:Core i7-1260P、Core i5-1240P
グラフィックス:CPU内蔵(Intel UHD)
メモリ:32GB / 16GB / 8GB(DDR4-3200)
ストレージ:1TB / 512GB NVMe SSD(Gen4)
モニター:解像度1920x1080、sRGBカバー率100%
サウンド:DTS
通信:Wi-Fi 6、Bluetooth 5
モバイル性能:1.98kg、バッテリー公称9.5時間、顔認証
その他:ブルーレイドライブ内蔵、高速充電、カメラ200万画素、AIノイズキャンセラー、抗菌キーボード、超解像技術、プリインストールソフトウェア
価格:Core i7、メモリ16GB、512GB SSDで税込178,200円
(特別プレミアムサイトで税込156,750円

※詳細は dynabook 公式AZ/HV 案内icon をご覧下さい。
特別プレミアムサイトで値引き販売されています。
 ID:dyna204cls PASS:T8Y7GRSV
※プレミアムサイトは予告なく終了する可能性があります。
※量販店モデルである dynabook T シリーズの同型機です。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。

執筆:2022年12月12日