- 2022年4月に登場した Dynabook(旧 東芝)の14型モバイルノートパソコン
- 最新の第12世代 Core CPUを搭載、約1kgの軽量で高い耐久性も備える
- 高画質モニターや 4ch スピーカーを持ち、東芝の手厚いサポートも健在
こんな人にオススメ!
- 信頼性の高いモバイルノートを求めている方
- 今の時代、持ち運ぶなら1kgまででしょ、という方
- 第12世代 Core のノートパソコンが欲しい方
レビューは公正に、忖度なく行っております。
国産モバイルノートの代表格
もう知る人は少ないが、軽量薄型ノートパソコンが「ウルトラブック」と呼ばれていた頃、真っ先にその規格に適合した製品を送り出したのは、東芝のダイナブックであった。
それは東芝の高い技術力の体現であり、以後、モバイルノートをけん引する存在となっていた。
現在の東芝のPC部門は、台湾の鴻海(ホンハイ)の傘下となったシャープに買収され、名も Dynabook 株式会社へと変わり、当時とは状況が様変わりしているが……
しかし、今でも dynabook は大きく変わっていない。
高い信頼性と手厚いサポート、軽量薄型で高機能なノートPCを主力としているのは、今も同じである。
今回ご紹介する「dynabook RZ/HV」は、そんなダイナブックの2022年春の軽量薄型モバイルノートパソコンだ。
本機(RZ/HV)はインテル社が認証する最新の「Intel Evo プラットフォーム」に適合している。
これは第12世代 Core の新型CPUを搭載し、Wi-Fi 6による高速通信が可能で、短時間での起動とスリープからの高速復帰を備え、急速充電と長時間バッテリー、最新インターフェイスとストレージ、さらに基準以上の画質や音質を持つ、インテルが次世代ノートPCに要求する高いハードウェア性能をすべて満たしていることの認定だ。
かなり厳しい規格なので、適合しているパソコンは多くないが、本機はそのひとつである。
まさに初期のウルトラブックを思わせる、高いハードルを越えた製品と言えるだろう。
さすがにお値段は安くはなく、定価で税込272,800円。
(Windows 11 Home、Core i7、1TB SSD、Office なしの場合)
「プレミアムモバイルノート」と題された dynabook の中でも最高級モデルの製品だが、それだけの総合性能を持つ。
なお、本機を定価より4万円ほど安く買える特別販売サイトの案内を文末に掲載しているので、そちらも確認して欲しい。
以下、実機でのレビューを掲載していきたい。
レビューには下位モデルとなる dynabook RZ/LV、及び店頭販売モデルの同型機 dynabook R シリーズとの違いも含めている。
外観
デザインとモバイル性能
2022年春の dynabook RZ(WEB販売モデル)、及び dynabook R(店頭販売モデル)は全て、紺色の外装となっている。
「ダークテックブルー」と呼称された落ち着いた深い紺色で、黒や灰色ほど地味ではないが、決して派手でもない、大人なブルーだ。
角や側面は丸みを帯びており、柔らかな印象がある。
本体には軽量高耐久のマグネシウム合金が使われており、製法の異なる2種類のものが用いられているという。
表面には粒子加工が施されておりサラサラの触り心地で、押せば凹むため金属のような硬い質感はない。
触感はプラスチックに近いが、MIL規格と呼ばれる厳しい品質基準を満たしており、強度と剛性を両立しているという。
ディープでダークなブルーの天板
dynabook のロゴが銀色に光る
内部も紺色でオシャレな感じ
最近のモバイルノートの流行の色?
14インチの持ち運びやすい大きさで、横31.2cm、縦22.4cm。
そして重さは約1.05kgと、ほぼ1kgという軽量。(実測だと1.03kgだった)
最近の日本のモバイルノートは1kgが評価基準になりつつあるが、それに応える軽さだ。
厚さは約16mmで、薄型だが、極薄というほどでもない。
ただ、薄すぎるパソコンはインターフェイス(接続端子)が扱い辛かったりするので、ちょうど良いぐらいだろう。
そしてバッテリーは公称24時間という超長時間駆動。
しかも(0%の状態から)40%まで30分で急速充電できる「お急ぎ30分チャージ」という独自機能に対応している。
なお、下位モデルである dynabook RZ/LV(及び店頭販売モデルの R8/V、R6/V)は、バッテリーの駆動時間は20.5時間となっている。
その分、軽めのバッテリーを搭載しており、重量は 940g とさらに軽量だ。
最新の「Intel Evo プラットフォーム」の認定を受けるにはバッテリーが24時間でなければならないようで、dynabook RZ/HV(及び R9/V)はそれに合わせられているようだ。
それにこだわらず、少しでも軽い方が良いというのであれば、20.5時間でも十分に長いので RZ/LV を選ぶのも良いだろう。
(ただし RZ/LV はスピーカーが少ないなど、他にも違いはある)
約1kgの軽量なのに長時間駆動バッテリー
充電アダプタも約250gの軽量
A4とセミB5ノートとの大きさ比較
ほぼA4ノートと同じぐらい
最新の Intel Evo プラットフォームは接続端子も、第12世代 Core に合わせたものが要求される。
本機には USB4/Thunderblot4 の USB-C 端子(速度40Gbps)が2つ付いており、専用アダプタからの充電もこれで行う。
モニターへの接続、モバイルバッテリーでの充電も可能な、高速多機能端子だ。
普通のUSB(Gen1、速度5Gbps)も左右に1つずつ付いていて、HDMIや有線LAN端子も備わっている。
micro SDカードリーダーもあり、不足な点はない。
右側面の接続端子
左側面の接続端子
無線通信は最新の Wi-Fi 6(ax)に対応、Bluetooth ももちろん内蔵している。
ただ、本機はモバイルノートでありながら、モバイルデータ通信(5G/LTE)には対応していない。
最近は大手携帯電話会社の公衆 Wi-Fi スポットが各地にあり、長時間の通信でないならスマホとのテザリングでも良いので、LTEの利用は減っているとは思うが、すでに利用している人がそのまま移行することは出来ないので注意して欲しい。
モニター / カメラ / サウンド
本機のモニターは縦横比(アスペクト比)が 16:10 となっている。
一般のノートパソコンの 16:9 よりも、少し縦長だ。
16:9 は作業用としては横長すぎるため、ビジネスモデルを中心に 16:10 が増えているが、本機もそのひとつ。
液晶パネルは中国大手の BOE のもので、解像度は一般的なフルHDと同等(1920x1200)。
新型パネルのため詳細性能は不明だが、sRGBカバー率は約100%で高い発色を持ち、視野角もほぼ180度で、真横からでも画質の劣化は少ない。
リフレッシュレート(書き替え速度)は一般的な 60Hz だが、コントラスト比も高く、優れた色彩を持つパネルなのは肉眼でもわかる。
Intel Evo プラットフォームには画質に関する基準もあるようで、それを満たす性能が備わっているようだ。
また、本機のモニターのヒンジは180度、ペタンと平らになるまで開くことができ、画面の上下反転も可能。
ヒンジの可動範囲を気にせず使え、対面の相手へのプロモーションで相手側に画面を向けて説明をすることもできる。
作業向きな少し縦長の液晶パネルを採用
ベゼル(外枠)も小さく画面が広い
平らに出来てミーティングで使いやすい
画面反転は CTRL+ALT+上下 で行う
さらにブルーライト軽減液晶が採用されており、第三者機関が定めた目に優しいモニターであることを示す Eyesafe 認証も取得。
長時間使用しても目が疲れにくいとされている。
一方、フェイスカメラは約92万画素と標準的な品質で、顔認証も備わっていない。(代わりに指紋認証を搭載)
dynabook の他のモデルには200万画素のカメラを持つ機種もあるので、高機能・高品質の本機で、どうしてカメラだけ弱いのかは気になるが……
ともあれ、本機では重視されなかったようだ。
ただ、WEB ミーティング中に背景をぼかしたりできる「オンラインミーティングアシスト」、雑音などを消して音声だけ聞こえるようにする「
以下は Youtube で公開されているAIノイズキャンセラーの公式紹介動画で、dynabook 自慢の機能と言える。
サウンドも dynabook RZ/HV(及び R9/V)の大きな特徴のひとつ。
底面の左右に加え、キーボードの両側にもスピーカーが備わっている 2way 4ch のスピーカーで、立体音響技術の定番 )による臨場感のあるサウンドが再生される。
また、イコライザー(音質調整)ソフト「Dolby Access」によって、好みの音質に変えることもできる。
実際にサラウンド効果を十分に感じられる、周辺から一斉に音が聞こえてくるような、広がりのあるサウンドを聞くことができた。
ノートPCとしては低音も響く方で、以前の dynabook で感じた音の軽さは、本機にはない。
なお、底面のスピーカーは低音重視のウーハー、キーボード横のスピーカーは高音重視のツイーターのような役割となっている。
近年のモバイルPCはWEBミーティングのためスピーカーも重要視されている
ドルビー社の技術で側面や後ろなど、全方位から音が聞こえるように感じられる
Dolby Access によるチューニングは、あまり大きくは変えられない印象だが、どんな調整にしても違和感のない音を出してくれた。
また、無理に変えなくてもプリセットの「ダイナミック」の設定で、十分にダイナミックに聞ける。
音声を強調する機能もあり、ウェブ会議で相手の声をしっかり聞き取ることができるだろう。
ただし、スピーカーが4つあるのは上位モデルの dynabook RZ/HV(及び R9/V)だけだ。
軽量モデルの RZ/LV や R8/V、R6/V は、普通のステレオスピーカー(スピーカー2つ)となっている。
キーボード
14インチのノートパソコンであるため、テンキーは備わっていない。
しかしキーボードの広さは十分で、キーピッチ(キーの間隔)は19mmと広めに取られており、キーストローク(キーの深さ)もノートとしては標準的な1.5mmを確保。
ボタンを押しているような小気味良い反発もあり、打ちやすいキーボードの印象だ。
全角/半角ボタンは小さいが、使っていてそれが気になったことはなく、違和感なくタイピングできた。
ただ、拡張機能(Fnキーと一緒に押したときの機能。音量や明るさの調整等)の刻印が、部屋が暗めだとかなり見え辛いのは気になった。
3段階に明るさを調整できるキーボードバックライトが備わっており、暗がりでもキータイプしやすいのは、ブラインドタッチ(見ずに入力)できない初心者には助かるだろう。
丸みのあるボタン型のキー
中央がほんの少し凹んでいる
派手さのないキーボードバックライト
印字が綺麗に浮かび上がる
電源ボタンに指紋センサーを内蔵しているのも特徴で、電源を入れてそのまま指を乗せていれば認証までしてくれる。
コロナ禍の今、顔認証はマスクを外さないといけない難点があるので、指紋で手軽にログインできるのは嬉しい。
電源ボタンがわかりやすい位置にあるのも良い。
また、外観からはわからないが、キーボード内部に防水フィルムが備えられており、水をこぼしても破損やショートしにくい構造になっている。
(完全防水ではないので絶対壊れないわけではない)
タッチパッドはサイズが大きく、指の置き直しは少なくて済みそうだ。
最大4本のマルチタッチにも対応している。
クリックは下部だけでなく、どこを押しても良いタイプ。
ただ、ちょっと指の滑りが良くない印象で、使う前に指をよく拭いておいた方が良いだろう。
また、パームレスト(キーボード手前の手のひらを置く場所)は皮脂などの手の跡が付きやすいため、拭き取るための布を常備しておいた方が良さそうだ。
目立つ指紋認証付き電源ボタン
初心者を考慮した設計に日本らしさがある
もう少しツルツルが欲しいタッチパッド
パームレストも含め、広さは十分
ガイドソフトとサポート
dynabook には初心者向けのガイドソフトや、はがき印刷、写真アルバムなどが備わっている。
dynabook と言えば信頼性の高さと手厚いサポートがウリであり、そこは外せないと思うので、レビューとはちょっと違うが解説しておきたい。
まず、本機には「
パソコンの各種機能や付属ソフトウェアを簡単に呼び出せるもので、初心者にありがちな「パソコンを買ったけど何をすれば良いのかわからない」という疑問に答えてくれる。
また、このソフトからサポートへの連絡も可能だ。
はがき作成ソフトは「筆ぐるめ29」の dynabook 版が備わっていた。
PC引っ越しナビやクラウドバックアップ、データ消去機能があるのも特徴で、
移行や譲渡、売却などをしやすくなっている。
「dynabook スマートフォンリンク」で連携したスマホの写真を自動で分類し、顔検索機能が付いたアルバムに保存してくれる「思い出フォトビューア」も定番機能のひとつだ。
定番のはがき作成ソフトのひとつ
印刷にはプリンターが必要
東芝の電子アルバムは長い歴史を持つ
本機なら写真が増えても軽快に動くはず
宛名書きソフトや電子アルバム、データ移行ソフトなどは市販もされているし、最初からこれらのソフトが入っていることを嫌う人もいる。
しかし昨今のストレージ(データ記録装置)は大容量化が進んでおり、これらが多少入っていても容量が圧迫されるようなことはないし、今はデスクトップに不要なアイコンがズラッと並んでいたりすることもないので、その辺りは安心して欲しい。
特筆すべきこととして、dynabook の電話サポートは5年間も無料で利用可能。
今でも東芝のサービスステーションでのサポートが行われており、担当者がネット経由でパソコンに接続、画面上で案内を行ってくれる「 」も5年間無料で利用できる。
このサービスは電話で説明を聞いても理解が難しい初心者や高齢者に好評で、dynabook の長所となっている。
ホンハイ / シャープに買収された今でも、これらのサポートに変わりはない。
パーツ性能
処理性能(CPU)
dynabook RZ/HV の CPU は「
どちらも第12世代 Core「Alder Lake」のノートパソコン用で、Core i7 の方が高性能だ。
「P」というのは一般のノートパソコン用を表しており、他に性能重視で消費電力は多めの「H」と、消費電力の少ないタブレット用の「U」がある。
Core i7-1260P と Core i5-1240P、どちらも高性能なPコア4つと、高効率の(発熱や消費電力が低い)Eコア8つの複合12コア構成となっており、高負荷な作業はPコアが、軽い作業はEコアが担当することで、より能率的に動けるようになっている。
Pコアは同時に2つの作業を行えるため、同時作業数は 4x2+8 で16。
「12コア16スレッド」のCPUだ。
TDP(消費電力や発熱の目安)は 28W で、同じ 28W の第11世代 Core「Core i7-1165G7」や「Core i7-1195G7」(Tiger Lake UP3)の後継となる。
大雑把に言うと、中間クラスやバランスタイプと言える。
なお、2021年前期までの dynabook の CPU は TDP が 15W だったようで、28W への対応に伴って冷却設計が見直された。
この 28W 用の設計を dynabook では「 」と呼んでいて、従来機より高性能であることのアピールとしている。
以下は Core i7-1260P を搭載した dynabook RZ/HV のベンチマーク(性能測定)の結果と、他のノートパソコン用CPUとの性能比較グラフだ。
本機の Core i7-1260P の測定結果
測定中の CPU 温度
#0~#3 は Pコア、#4~#11 は Eコア
・マルチコア性能(CINEBENCH R23)
Core i7-11800H:10800
Core i7-1260P:8640(本機)
Core i5-11400H:8250
Core i7-1165G7:5800
Core i7-1195G7:5250(dynabook PZ/HU)
Core i5-1135G7:3850
Core i7-1165G7:3600(15W)
Core i5-10210U:3100
Core i3-1115G4:2600
Celeron N4100:950
・シングルコア性能(CINEBENCH R23)
Core i7-1260P:1540(本機)
Core i7-1195G7:1540(dynabook PZ/HU)
Core i7-11800H:1520
Core i7-1165G7:1500
Core i5-11400H:1480
Core i5-1135G7:1350
Core i7-1165G7:1300(15W)
Core i3-1115G4:1300
Core i5-10210U:1050
Celeron N4100:380
マルチコア性能(多くの作業を同時に行う速度、動画編集やOffice、Photoshop等に影響)は、さすがにコアが多いだけあって優秀だ。
8640と、前モデル Core i7-1165G7 や Core i7-1195G7 の約1.6倍のスコアとなった。
TDPが45Wの Core i7-11800H には及ばないが、TDP28Wであることを考えると高い数値だ。
一方で、シングルコア性能(作業1つあたりの速度。一般のソフトウェアやゲーム等に影響)は1540ほどで、第11世代 Core と差がなかった。
デスクトップ用の第12世代 Core はシングルコア性能も大きく伸びていたが、本機の場合、そうでもないようだ。
正直に言うと、ノートパソコン用の第12世代 Core は思ったほどのインパクトではなかった。
しかし第11世代の Core i7-1165G7 と比べてパワーアップしているのは間違いなく、いま選ぶなら第12世代という結論は変わらない。
なお、本機はマルチコア測定の開始時(一時的に性能を引き上げるターボブーストの発動中)にCPU温度が100度近くまで上がる。
グラフィック機能の測定中にも、GPU(内蔵のグラフィックコア)が100度に達していた。
高熱すぎて少し心配になるが、20秒ほどでターボブーストは終わるし、以前にチェックした dynabook PZ/HU でも同じだったので、特に問題はないと思われる。
ファンの騒音もそれほど大きくはない。
また、以前はシングルコア測定でも90度以上の高温になっていたが、こちらは80度台で収まっていた。
冷却の改善なのか、CPUの差かはわからないが、温度が下がったことでファンの騒音も以前より静かになった。
グラフィック性能(GPU)
ノートパソコン用の第12世代 Core には「
現行のCPU内蔵のグラフィック機能としてはトップの性能を持つ、インテルご自慢の機能だ。
Iris Xe は第11世代 Core の頃から用いられており、G5 や G7 といったそれを示す表記が名前についていたのだが、第12世代 Core にはそうした表記は特にない。
以下は 3D Mark(Time Spy)で調べた Core i7-1260P の内蔵グラフィック機能の性能だ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
グラフィックスコアは約1700。
第11世代の Iris Xe のグラフィックスコアは約1400だったので、300ほどアップしている。
強化されたという発表は特にないが、誤差とは思えないほどの差があり、第12世代で改善されているのは間違いないようだ。
人気ゲーム「Apex Legends」と「Fortnite」の評価は 35+ FPS となっているが、これは最高画質の場合。
Apex Legends は第11世代の Iris Xe でも解像度と画質を下げれば 60fps 以上で遊べたので、本機でも大丈夫だろう。
「ファイナルファンタジー15」のベンチマークは軽量品質でスコア3094、評価は「
「モンスターハンターライズ」は で動作していた。
ただ、モンスターハンターライズは起動に5分ぐらいの待ち時間がある。
CPU内蔵のグラフィック機能は専用の VRAM(グラフィック用メモリ)を持たず、メインメモリの一部を借用するため、大型のゲームだとその準備に時間がかかる場合があるようだ。
CPU内蔵機能でも「普通」になる時代に
モンハンライズは起動時の準備が長い
それでも5分ほど待てば、モンハンライズも普通に動く。
最新のモンスターハンターが内蔵グラフィック機能で、標準的な画質で動いている様子には、技術の進歩を感じられる。
本機はゲーミングモデルではないが、グラフィック性能の向上に加えて、かなり長時間駆動のバッテリーも備わっている。
出先で息抜きにゲームを遊ぶことが可能で、動画再生や 3D CAD(設計ソフト)の補助としても十分な能力を持つ。
ストレージとメモリ(記録装置)
本機のストレージ(データ記録装置)には「
従来型(SATA)よりも数倍高速なSSDで、近年のパソコンはこれが標準になっている。
データ量はモデルによって違うが、dynabook PZ/HV は「Core i7+1TB SSD」か「Core i5+512GB SSD」のどちらかを選べる。
オススメは Core i7+1TB SSD の方だ。
なお、電気店で売られている店頭販売モデルは 1TB SSD を選択できず、上位モデル(R9/V、R8/V)でも 512GB、下位モデル(R6/V)だと 256GB となる。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフトで本機の NVMe SSD の速度を計測した結果だ。
標準設定での測定
NVMe SSD 設定の測定
今回の検証機には第4世代(Gen4、PCIe 4.0)の NVMe SSD が用いられており、かなりの速度が出た。
読み込み 6500MB/s、書き込みも 4900MB/s と、第4世代 PCIe 対応 NVMe SSD であることを考えても優秀だ。
ただ、実際の使用感に影響しやすいランダムアクセス(3段目)の速度が低く、得手不得手のある製品の印象。
総合すると中間ぐらいと言えるだろうか?
なお、使われていたのはサムスン社の こちら の製品だった。
思わず「dynabook なのにキオクシア(東芝)じゃないんかい」と心の中でつぶやいてしまったが、本機の仕様書には「PCIe の SSD を搭載」と記されているのみで、世代もメーカーも記載されていない。
使用される SSD は入荷状況などにより変わると思われるので、今回のデータはあくまで「この検証機の場合」だと思って欲しい。
※どうやらキオクシアの第4世代 PCIe 対応 NVMe SSD は量産段階ではなく、しかし Intel Evo プラットフォームの認定を受けるには第4世代である必要があって、それで今はサムスンの製品を搭載している模様。Evo プラットフォームに縛られていない下位モデルは別の SSD のようだ。
メモリは第12世代 Core から対応した「
「LP」はノートパソコン用に独自の進化をしている省電力型のメモリで、一般のメモリより性能も高いが、価格も高い。
ともあれ、能力的には申し分ないものだ。
搭載量は dynabook PZ/HV、PZ/LV、共に16GB。十分な量と言えるだろう。
店頭販売向けは、P9/V はなぜか32GBの大容量(店頭で買う人はメモリを過剰に気にする人が多いからか?)、R8/V は16GB、R6/V は8GBとなっている。
総評
非常に総合能力に優れたモバイルノートだ。
約1kgの軽量と20時間を超えるバッテリー、高機能で信頼性の高い本体に、第12世代 Core のCPUが搭載されている。
接続端子や液晶画面も優れており、さらに高音質も備える。
初心者の方にとっては、東芝のサポートと安心感も大きなポイントだろう。
短所としては、LTEがないことと、カメラは普通、そして高価なことだろうか。
LTEは利用しない人なら問題とはならないが、価格は他の安価なモバイルノートが2つ買える。
ただ、良いものは安くないし、そもそも半導体不足のこのご時世に第12世代 Core の最新ノートを買おうと思ったら、相応の出費は必要だ。
また、高いといっても、同じ高級国産ビジネスノートであるレッツノートや VAIO の同クラスのものと比べれば、むしろ安い方だ。
なお、冒頭で述べたように「dynabook 特別プレミアムサイト」で割安で購入できる。
2022年6月時点で、Core i7-1260P と 1TB SSD のモデルは定価272,800円だが、プレミアムサイトでは税込234,740円で購入できる。
特別プレミアムサイトはこちら から入室できる。
ID には「dyna204cls」、パスワードには「T8Y7GRSV」と入力して欲しい。
いよいよ登場し始めた第12世代 Core のノートパソコン。
その国産メーカーの先駆けとなる一品だ。
Intel Evo プラットフォームの認定も受けた品質保証の製品で、信頼できる国産モバイルノートを探しているなら、要チェックのパソコンだろう。
形式:14インチ ノートパソコン
CPU:Core i7-1260P、Core i5-1240P
※第12世代 Core、TDP 28W
グラフィックス:CPU内蔵(Iris Xe)
メモリ:16GB(LPDDR5-4800)
ストレージ:1TB / 512GB NVMe SSD
モニター:解像度1920x1200、アスペクト比 16:10、ブルーライト軽減
通信:Wi-Fi 6、Bluetooth 5
モバイル性能:1.05kg、バッテリー公称24時間、指紋認証
その他:4chスピーカー、防滴キーボード、高速充電、USB4/Thunderbolt4 x2、AIノイズキャンセラー
価格:Core i7+1TB SSD で税込272,800円
※詳細は dynabook 公式の RZ/HV 案内をご覧下さい。
※特別プレミアムサイトで値引き販売されています。
ID:dyna204cls PASS:T8Y7GRSV
※プレミアムサイトは予告なく終了する可能性があります。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。
※dynabook RZ/LV はバッテリー公称20.5時間、重量940g、スピーカーは2つです。
※RZ/LU は RZ/LV の Windows 11 Pro モデルです。
執筆:2022年6月4日