• Dynabook(旧 東芝)の15.6型個人向けノートパソコン
  • 抗菌キーボードやオンライン会議用のノイズキャンセラーを持つコロナ時代の製品
  • 定評のある東芝の手厚いサポートは健在
dynabook PZ/HU

こんな人にオススメ!

  • これからパソコンを活用して行きたい初心者の方
  • 家族で共用できる多用途なパソコンを探している方
  • 事務やオンライン会議に向くホームワークPCが欲しい方
このレビューは実機の貸出を受けて作成しており、リンクにはアフィリエイトが含まれています。
レビューは公正に、忖度なく行っております。

ダイナブックの現行機を検証

東芝のノートパソコン「dynabook」を開発していた東芝クライアントソリューション社は、2018年にシャープに買収された。
シャープはすでに台湾の鴻海(ホンハイ)に買収されていたため、国産PCの代表格であるダイナブックが台湾企業の孫会社の製品になったと、一時は大きな話題となった。

だが、dynabook に大きな変化はない。
開発会社は Dynabook 株式会社に名を変えたが、東芝時代のコンセプトをそのまま引き継いでおり、サポートも変わらず東芝の系列(東芝コンシューママーケティング)で行われている。
定評のある信頼性の高さと、手厚いサポートはそのままだ。

今回ご紹介する「dynabook PZ/HU シリーズ」は、そんなダイナブックの2021年秋冬モデルの個人向けノートパソコンである。

dynabook PZ/HU

標準的なパソコンだが、後期型のノート用CPUと、CPU内蔵型としては高いグラフィック性能、それらを活かすための独自の冷却設計「エンパワーテクノロジー」を備えている。
さらにコロナ禍に適した抗菌キーボード、オンラインミーティングをサポートする「AIノイズキャンセラー」といった、時代に合わせた特徴を持つ。

CPUの種類、メモリやデータ記録装置の量、Office の有無が異なる様々なモデルがあるが、Core i7 搭載で 512GB NVMe SSD + 1TB HDD、メモリ16GBで Office 搭載という最上位モデルだと、定価は税別165,000円だ。

ただ、これを約12万円で購入可能、Core i5 の安価構成なら8万円台で買える特別販売サイトの案内を文末に掲載しているので、ぜひ確認して欲しい。

以下、お借りした実機(前述の最上位構成)のレビューを掲載していきたい。

外観

デザインとモバイル性能

今回扱う「dynabook PZシリーズ」はWeb販売モデルだ。
家電量販店などで扱われている店頭販売モデル「dynabook C シリーズ」と同等の製品であり、PZ と CZ の2種類があるが、PZ はブラック、CZ はサテンゴールド(薄黄)となっている。

店頭販売モデルには薄黄・白・紺の3色があるが、パーツ構成は変えられない。
Web販売モデルは構成の選択が可能で、CPUやメモリ、SSDやHDD、Officeの有無を選べる。

ともあれ、dynabook PZ はブラックのモデルなので、全体的に黒一色。
表面には細かい溝が彫られており、質感はプラスチックだが、指紋は付きにくくなっている。

dynabook PZ/HU 天板

渋いブラックの天板
表面加工の影響で遠めだと革っぽい

dynabook PZ/HU 表面の拡大

細かい溝が確認できる表面のアップ
暗めの室内ではもっと黒っぽい色

15.6インチのモデルであるため、ノートPCとしてはやや大きめ。
横幅は36.1cm、縦幅は24.4cmと、このサイズのパソコンとしては標準的だ。
厚さは約2cmで、それほど薄型という訳ではない。

重さは Core i7 搭載モデルは 1.94kg と公表されているが、そこまで重くない気がしたので量ってみると、実測 1.73kg だった。
SSD+HDD の最も重いと思われる構成だったので、検証機が特別軽いわけでもないだろう。
約1.7kg なら、15.6型としてはやや軽い方と言える。
ちなみに本機はACアダプタも小型で、コードとアダプタを含めて量っても 2kg しかなかった。

Core i5 搭載モデルは 1.84kg、Core i3 搭載モデルは 1.69kg と公表されているが、これも実際はもっと軽いかもしれない。
少なくとも Core i5 搭載モデルは公表値より軽いようだ。

dynabook PZ/HU 全景

内部もキーと外周、共にブラック
やはり表面には溝加工が施されている

dynabook PZ/HU ACアダプタ

コード込みで300gを切るACアダプタ
リンゴ1個分ぐらいの重さ

インターフェイス(接続端子)は豊富で、合計3つのUSB(Gen1、5Gbps)と、1つのUSB-C(Gen2、10Gbps)、カードリーダー、HDMIなどを備える。
しかもすべての端子が側面にあるので、抜き差ししやすい。

USB-Cは映像出力(ALTモード)と高出力の充電/給電(USB-PD)の両方に対応している。

dynabook PZ/HU 側面とインターフェイス

無線通信は最新の Wi-Fi 6(ax)に対応、Bluetooth ももちろん内蔵している。
有線LAN端子は一般的な 1000BASE-T だ。

バッテリーは dynabook PZ/HU 全モデル共通で、公称10時間。
家庭向けとしては十分な長さと言える。
また「お急ぎ30分チャージ」という独自の充電技術に対応しており、30分で約40%の高速充電が可能とのことだ。

モニター / カメラ / サウンド

モニターには非光沢で高発色、高視野角のものが使用されている。
シャープの液晶パネルで、解像度は一般的なフルHD(1920x1080)。

詳細性能は、sRGBカバー率は100%、Adobe RGBカバー率は74%、輝度300cd/m²、視野角は全方向89度(178度)、コントラスト比 1000:1、リフレッシュレート60Hz、応答速度30ms。
(数値は こちら を参考。各項目の意味は こちら を)

応答速度がやや遅めだが、発色に関する数値は高い。
これなら写真や映像も美しく表示されるだろう。

dynabook PZ/HU モニター外観

シャープの高発色液晶搭載
左右の横枠の幅は実測で約8mm

dynabook PZ/HU カメラとマイク

200万画素のカメラは他より1ランク上
マイクは左右に2つ付いている

表示がぼやけているという意見があるようだが、標準の拡大率が150%になっているためだ。
これは Windows 側の設定なので、気に入らない人は手動で100%にしよう。

フェイスカメラは約200万画素で、多くのノートパソコンは約100万画素なので、高品質だと言える。
顔認証も搭載されており、マスクを外さないといけない難点はあるが、手軽にログインできてセキュリティも安心だ。

また、本機にはオンライン会議で活用できる、雑音を消す独自技術「AIノイズキャンセラー」が搭載されている。
これについては以下の dynabook 公式動画で詳しく紹介されている。

なかなか衝撃的な内容で、大手企業の技術力を実感できる。
5億のサンプルデータを学習したAIが環境ノイズを分析し、雑音だけを除去、声だけクリアに聞こえるようにする機能で、ドアの呼び鈴や車のクラクションなども消せるとのこと。
Zoom や LINE、Skype など、オンラインでの会話で役立つコロナ禍対応の機能だ。

ただし常に使えるわけではなく、前述したようなオンラインミーティング用のソフトウェアでしか利用できない。
ボイスレコーダーや実況配信などで活用できるものではないので、その点はご注意を。

サウンドは米DTS社のイコライザー(音質調整)ソフトが入っており、東芝自体も音響機器を開発しているため、悪くはない。
ステレオ(スピーカー2つ)のサウンドだが、音に広がりを感じられた。
ただ、家電メーカーのノートパソコンらしい、ちょっと軽めの印象もあった。

そこでイコライザーで調整しようとしたのだが、プリセット設定は大げさに変わりすぎで、細かい調整は効果を感じにくく、なかなか思うようにならない印象。
好みもあると思うが、総合すると「やや良い」ぐらいだろうか。

dts
※どこのイコライザーが入っているかはメーカーによって違う。Dynabook は dts と提携している。

とは言え、普通に使うのには十分な音質だ。
一般的な動画やネット会議、ゲームなどで活用するのに問題はないだろう。

キーボード

15.6インチのノートPCであるため、十分な大きさがあり、窮屈さはない。
キーの間隔は一般的な約19mm、キーの配列も標準的で、違和感や打ち辛さはなかった。

そして何より、ノートパソコンには珍しく4桁のテンキーが備わっている。
多くのノートパソコンのテンキーは3桁(横3列)で、+や-、Enter の位置が変わっていることが多いが、本機はデスクトップの大型キーボードと変わらない。
これは事務や学習で数値入力をよく行う人には大きなメリットだ。

打鍵感は少しキーストローク(深さ)が浅い印象で、キーの反発は強めだが、やや板を打っているような感覚はある。
ただ、小気味良い反発はあるので悪くはない。
キーボードバットライトは備わっていないが、必須なものではないだろう。

dynabook PZ/HU キーボード

はっきりした印字のキーボード
丸みがあって柔らかい印象の見た目

dynabook PZ/HU テンキー周辺

4桁テンキーはノートPCでは少ない
ここはもっとアピールして良いと思う

本機のキーボードのもう一つの特徴は「抗菌キーボード」になっていることだ。
各キーに抗菌剤が練り込まれており、抗菌活性値2.0以上(99%以上の菌の死滅率)であるとのこと。

コロナ禍のご時世、キーボードやマウスの菌が気になっている人は少なくないと思うが、本機なら家族で使いまわしたり、高齢者やお子様が使う場合でも安心感がある。

タッチパッドはジェスチャー機能(マルチタッチ)対応で、扱いやすい。
表面がザラザラのプラスチックの触感で、触り心地は特に良くはないが、気になるところはなく、問題なく使っていける。

dynabook PZ/HU キーのアップ

キーボードもコロナと戦う時代……
キートップは平坦。カーソルキーは縦半分

dynabook PZ/HU タッチパッド

タッチパッドは、なんというか普通
特徴はないが欠点もない

ガイドソフトとサポート

本機には初心者向けの案内ソフトや、はがき印刷、独自の写真ビューアなど、多様なソフトが付いている。
東芝(dynabook)のパソコンと言えば、信頼性の高さと手厚いサポートもウリ。
その辺りも少し解説しておこう。

まず、本機には「おたすけナビ」というソフトウェアが付属している。
パソコンの活用方法、基本操作、付属ソフトウェア、サポートや問い合わせ窓口などを簡単に呼び出せるもので、日本の家電メーカーのパソコンならではと言える。

dynabook おたすけナビ
※丸っこいのはアザラシのマスコットキャラ「ぱらちゃん」。大福ではない。

はがき作成ソフトは「筆ぐるめ」が備わっており、また Office の利用を想定しているため、その活用案内や便利なテンプレート集が備わっている。
家庭向けであるためか、お子様用の危険サイトブロッカーなども用意されている。

PC引っ越しナビやクラウドバックアップ、データ消去など、上級者が活用できるソフトもある。
引っ越しやデータ消去のソフトがあるのは譲渡や中古市場のことも考えているのだろうか?
実際、信頼性の高い dynabook は中古でも人気がある。

独自ソフトの「思い出フォトビューア」は写真を自動で分類してくれるもので、人物を判別する顔検索機能も搭載。
スマホとは「dynabook スマートフォンリンク」で連携させることができる。

筆ぐるめ dynabook 版

解りやすいソフトで初心者への配慮を行っているのは家電PCならでは

思い出フォトビューア

独自のアルバムソフトは東芝PCの伝統
スマホの写真を無線で取り込める

特筆しておきたいこととして、東芝(dynabook)の電話サポートは5年間も無料で利用可能
また、サポートの担当者がネット経由でそのパソコンに接続し、画面上で案内を行ってくれる「遠隔支援サービス」も5年間無料で利用できる。

パソコンの初心者だと電話で応答しても、専門用語を理解できず、話が通じないことが多いが、遠隔サポートなら画面で「ここを押して」と教えてくれるので理解しやすい。
このサポートはずっと好評で、以前に展示会でお話した東芝の方も dynabook の大きなウリだとアピールされていた。
PC部門がシャープに買収されても、これらのサポートに変わりはない。

パーツ性能

処理性能(CPU)

dynabook PZ/HU には、上位型の「Core i7-1195G7」、中間型の「Core i5-1155G7」、廉価型の「Core i3-1115G4」を搭載したモデルがある。

どれも第11世代 Core シリーズのノートパソコン用 CPU「Tiger Lake」だが、Core i7-1195G7 と Core i5-1155G7 は2021年の夏ごろから普及し始めた後期型「Tiger Lake-UP3 Refresh」に相当する。

一時的に性能を引き上げるターボブーストという機能が通常の Tiger Lake(UP3)より強化されており、特に Core i7-1195G7 は「ターボブースト マックステクノロジー3.0」と呼ばれる、コア単位で柔軟なブーストを行う新機能が搭載されている。

また、本機には「エンパワーテクノロジー」と呼ばれる、dynabook が蓄積してきた冷却・放熱技術を駆使した筐体設計が用いられており、従来より高い性能を持つ。

Tiger Lake は TDP(投入する電力)をメーカーが設定できる「cTDP」という機能を持つが、dynabook の従来機は 15W だったようだ。
本機はそれが 28W に引き上げられており、エンパワーテクノロジーは要するに、28W用の冷却設計であるようだ。

Core i7-1195G7, CPU-Z
※ Core i7-1195G7 の詳細データ

Core i7-1195G7 と Core i5-1155G7 はコア(頭脳)の数はどちらも4つで、8つの作業を同時に行える。
Core i7 の方がクロック数(基本速度)やキャッシュ(データ置き場)が多く、高負荷な作業を苦にしないが、Core i5 の方が性能に対して割安だ。
また、この2つは「Iris Xe」と呼ばれる高性能なCPU内蔵グラフィック機能を持つ。

Core i3-1115G4 は後期型ではなく従来型で、コアは2つ、同時作業数は4つ。
速度やキャッシュも劣るため性能は低めだが、価格と消費電力も低い。

以下は Core i7-1195G7 搭載機のベンチマーク(性能測定)の結果と、他のノートパソコン用CPUとの性能比較グラフだ。

Core i7-1195G7, CINEBENCH R23, dynabook PZ/HU

Core i7-1195G7 の測定結果(R23)

dynabook PZ/HU の Cinebench R23 測定中のCPU温度

左から測定開始直後、3分後、シングルコア測定時の CPU 温度

・マルチコア性能(CINEBENCH R23)

Core i7-11800H:10800

Core i5-11400H:8250

Core i7-1165G7:5800

Core i7-1195G7:5250(本機)

Core i7-1155G7:5000

Core i5-1135G7:3850

Core i7-1165G7:3600(15W)

Core i5-10210U:3100

Core i3-1115G4:2600

Celeron N4100:950

・シングルコア性能(CINEBENCH R23)

Core i7-1195G7:1540(本機)

Core i7-11800H:1520

Core i7-1165G7:1500

Core i5-11400H:1480

Core i5-1155G7:1450

Core i5-1135G7:1350

Core i7-1165G7:1300(15W)

Core i3-1115G4:1300

Core i5-10210U:1050

Celeron N4100:380

マルチコア性能は多くの作業を同時に行うときの速度で、Windows の起動時などに影響する。
シングルコア性能は作業を一つだけ行うときの速度で、一般のソフトやゲームなどの動作速度はこちらの方が影響する。
ただし Office や Photoshop といった大手のソフトは処理の分散化に対応しており、マルチとシングルの双方が関わる。

試用機のマルチコアのスコアは約5250で、低いわけではないが、思ったより伸びなかったかな、というのも本音だ。
また、測定開始時(一時的に性能を引き上げるターボブーストの発動中)には CPU 温度が一時的に100度近くまで上がり、少し心配になった。
ただ、ターボブーストは20秒ほどで終わり、以後は60度台の安全な温度に下がっていた。

シングルコアのスコアは約1540と、かなり優秀だ。
ただ、やはり使用中のコアの温度がぐんぐん上昇し、90度以上になって他のコアに交代するのを繰り返していたため、冷却ファンはずっと高速回転、シングルコアなのにマルチコアの測定よりファンの音が大きいという状況になっていた。

Core i7-1195G7 に備わっているターボブースト マックステクノロジー3.0 のせいかな? とも思ったが、それがない Core i5-1155G7 でもかなり高温になるようなので、本機の特徴なのだろう。
高温になるのは一時的で、dynabook なら十分なテストも行われているはずであり、普段はここまで高負荷をかけ続けることもないので、問題はないとは思われる。
なお、冷却ファンの回転音は他社のゲーミングモデルなどと比べると、かなり控えめだ。

28Wの Tiger Lake としてはマルチコアのスコアは低めだが、15Wだとスコアは3500ぐらいなので、5000以上なら28Wらしい性能で、従来機よりパワーアップしているのは間違いない。
また、細かいターボブーストで速度が補われるため、実際の使用感はベンチマークの数値より良いはずだ。

グラフィック性能(GPU)

本機に搭載されている Core i7-1195G7 や Core i5-1155G7 の「G7」は、CPU内蔵グラフィック機能の性能を表している。
G1、G4、G7 があり、G7 は最高位だ。

これらの CPU にはインテル社ご自慢の「Iris Xe グラフィックス」が搭載されており、さすがに新型のビデオカードには及ばないが、内蔵機能としては現行トップの性能を持つ。

以下は 3D Mark(Time Spy)で調べた Core i7-1195G7 の内蔵グラフィック機能の性能だ。

Core i7-1195G7, Iris Xe, 3Dmark TimeSpy
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。

グラフィックスコアは約1400
人気ゲーム「Apex Legends」を試してみたが、グラフィックの設定が低ければ快適に遊べる。
(Apex はマシンの性能を判別し、最適な設定が自動で行われる)

解像度が 1280x720 に下がり、各種の演出効果も「低」にされていたが、トレーニングステージなら 85~100 fps、平均 90 fps(秒間90コマ)で動いていた。
設定が低いといっても下の画像ぐらいのグラフィックは表示され、十分に美しい。

Apex Legends 低画質

なお、手動でグラフィック設定を最高に変えてみたが、それでも 25fps で動いており、普通に遊べそうだった。

「ファイナルファンタジー15」のベンチマークは軽量品質でも速度が安定せず、厳しかった。
ただ、画質をかなり下げれば Iris Xe で遊べるという報告はある。
動作環境が似ている「モンスターハンターライズ」も同様と思われ、同ゲームのプレゼントキャンペーンも行われている。

やや古いゲームの「ファイナルファンタジー14」なら高めの画質でも問題なく動作させられた。

FF15ベンチマーク, Core i7-1195G7, 軽量画質

FF15は軽量画質でも動きにムラがあった

FF14ベンチマーク, Core i7-1195G7, ノートPC用高画質

FF14ならノート用高画質測定でも快適

CPU内蔵グラフィック機能としては、やはり優秀だ。
ゲームをメインとするならビデオカードを搭載したゲーミングモデルを選ぶべきだが、動画の再生や一般用途の補助としては十分と言える。
ゲームも高負荷でないものや、少し前のものなら普通に遊べるだろう。

なお、同じ Iris Xe でも Core i7-1195G7 の方が、Core i5-1155G7 より性能が良い。
Core i5 だと上記のテスト結果は少し低くなると思って欲しい。
Core i3 はゲーム等は考えない方が良いだろう。

ストレージとメモリ(記録装置)

本機のストレージ(データ記録装置)には「NVMe SSD」が使用されている。
従来型の数倍高速なSSDで、近年のパソコンはこれが標準になりつつある。

容量はWEB販売モデルである dynabook PZ/HU なら 256GB と 512GB を選択可能で、さらに速度は遅いが安くて大容量の 1TB HDD を追加できる。
512GB SSD + 1TB HDD の組み合わせは、2021年秋冬モデルの中では最も大容量だ。

ちなみに、色違いの同等のモデル「dynabook CZ/MU」は 1TB の SSD が選べる代わりに、HDD を追加することはできない。

以下はベンチマーク(性能測定)ソフトで本機の NVMe SSD の速度を計測した結果だ。

dynabook PZ/HU, Crystal Disk Mark, default

標準設定での測定

dynabook PZ/HU, Crystal Disk Mark, NVMe SSD mode

NVMe SSD 設定の測定

搭載されていた NVMe SSD は東芝の記録装置メーカー「キオクシア」の こちら の製品。
読み込み速度は2380MB/s、書き込み速度は1550MB/sで、第3世代 PCIe の NVMe SSD としては標準的な速度。書き込みはやや遅めか。

しかしランダムアクセス(小さなバラバラのデータ)の読み込みに優れており、複数のデータを同時に読み込む測定(右の画像の3段目)で1300MB/sという優秀な数値が出ている。
実際の使用感に影響するのはランダムアクセスの方なので、ここが優れているのは嬉しい。
また、東芝のストレージは信頼性と寿命に定評がある。

一応、追加搭載されていた HDD の速度も計測してみた。結果は以下の通り。

dynabook PZ/HU, Crystal Disk Mark, 追加HDD

追加 HDD の測定

さすがに NVMe SSD と比べればかなり遅いが、HDD の速度は一般的にこのぐらいだ。
東芝製の こちら のものが使われており、HDD としてはランダムライト(ランダムアクセスの書き込み速度)に優れる。
速度はともかく、1TB の HDD を追加すれば余裕をもって使えるようになるのでお勧めだ。

メモリは 8GB と 16GB の2種類があり、WEB 販売モデルなら好きな方を、好みの CPU やストレージと組み合わせられる。

メモリの種類は DDR4-3200 で、現行の標準的かつ高性能なもの。
デュアルチャネル(メモリを2本使って処理を分散し、高速化させる技術)で動作しており、特に不満点はない。
ただ、Core i3+メモリ 8GB の最安構成のみ、メモリが1本のようなので注意してほしい。

総評

dynabook の公式サイトでは「ホームモバイルノート」と紹介されていて、写真や動画を楽しむのに向いているという説明だが、私的には事務向けかなと思う。
同社の従来機より処理能力に優れ、Office の活用サポートがあり、4桁のテンキーを持ち、画面が大きめでオンライン会議にも向く本機は、ホームワーキングにピッタリだ。

持ち出すには15.6型はかさばるが、公称10時間の長時間バッテリー+USB-PD(高出力モバイルバッテリーでの充電)に対応なので、出張などに持っていくには良いだろう。

「写真や動画向き」とされているのは CPU 内蔵グラフィック機能が優れているためだろうか。
Iris Xe 搭載機なので、それなりにゲームや CAD(設計)、映像編集を行うことも可能だ。

初心者案内やコロナ対策もあって、一通りのことを行える多用途マシンと言える。

なお、冒頭で述べたように「dynabook 特別プレミアムサイト」で割安で購入できる。
(2022年3月時点で)最上位の構成(Core i7+16GBメモリ+SSD512GB+HDD1TB+Office)のモデルは定価165,000円だが、プレミアムサイトでは税込120,780円で購入可能だ。

dynabook 特別プレミアムサイト

特別プレミアムサイトはこちら から入室できる。
ID には「dyna204cls」、パスワードには「T8Y7GRSV」と入力して欲しい。

他にも13.3型の軽量モデル(GZ/HU)や、光学ドライブ搭載(BZ/HU)の新製品がある。
家電メーカーのパソコンは総じて割高だが、このプレミアムサイトの価格なら、むしろ安い言って良いだろう。
こんなシークレットな特売をしている理由については、家電量販店とのしがらみなどが考えられるが…… あまり触れないでおきたい。

ともあれ dynabook PZ/HU は、良い意味で汎用的な、多くの人に勧められるパソコンだ。

dynabook PZ/HU

dynabook PZ/HU

形式:15.6インチ ノートパソコン
CPU:Core i7-1195G7、Core i5-1155G7、Core i3
※第11世代 Core、TDP 28W
グラフィックス:CPU内蔵(Core i3 以外は Iris Xe)
メモリ:8GB / 16GB(DDR4-3200)
ストレージ:256GB / 512GB NVMe SSD(Gen3)
追加ストレージ:1TB HDD 追加可能
モニター:解像度1920x1080、Adobe RGB比 約74%
通信:Wi-Fi 6、Bluetooth 5
モバイル性能:1.73kg(実測)、バッテリー公称10時間
※ Core i5、Core i3 機はもっと軽量
その他:Windows 11、初心者ガイド、抗菌キーボード、AIノイズキャンセラー
価格:Office 込み最上位構成で税込165,000円

※詳細は dynabook 公式の PZ/HU 案内をご覧下さい。
特別プレミアムサイトで値引き販売されています。
 ID:dyna204cls PASS:T8Y7GRSV
※プレミアムサイトは予告なく終了する可能性がありますのでご了承下さい。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。

執筆:2022年3月6日