- 2020年7月にリニューアルしたドスパラのゲーミングPC
- デスクトップ型、最新上位のCPUと改良型ビデオカードを搭載
- 新ケースは黒い箱形、のぞき窓と派手すぎないライトアップあり
こんな人にオススメ!
- 高価すぎない高性能マシン。PCゲームをがっつりやりたい人に
- 大きめのデスクトップで拡張性が高く、パーツ交換や増設を考えている人に
- 派手なデザインは嫌だけど、少しは装飾も欲しいという方に
レビューは公正に、忖度なく行っております。
新しくなったミドルタワーのガレリア
ゲーミングパソコンの定番であるドスパラ(サードウェーブ)の「GALLERIA(ガレリア)」は2020年7月にケースのリニューアルを実施。
このマシンはリニューアル後の、主力構成と言えるモデルのひとつだ。
最新第10世代の上位型CPU(Core i7-10700)を搭載する高い処理能力と、現行のゲームはすべて快適に動作するビデオカード「GeForce RTX 2070 SUPER」を搭載。
高速のデータ記録装置「NVMe SSD」の512GBを持ち、標準構成でメモリは16GB、これで価格149,980円(+税)という高性能とコストパフォーマンスを両立したモデルだ。
デスクトップなのでモニターが別途必要。 またデータ記録装置は512GBではやや少なく、1TBか2TBのHDDを追加したいところだが、長く使える不足のない性能だ。
BTO(パーツ選択)に対応し、選べるパーツも幅広いので、好みの構成にカスタマイズすることもできる。
以下で、項目別に実機の特徴を解説していこう。
ケースと外観
デザイン
リニューアルしたケースは2種類あるが、これは背の高い大きめのタイプ。
高さ480mm、幅220mm、奥行き440mm。
他社の同タイプ(ミドルタワー)のケースより高さと幅があり、一回り大きく感じるが、奥行きは短い。
ガレリアの新ケース
側面に窓、天井に通気穴
ドスパラらしい大きめの四角いケースだが、前面上部がナナメに面取りされていて、角には丸みが付いている。
前部はツヤ消しブラック、側面はメタリックグレーの2色。
工業デザインを行っているスタジオが設計したようで、確かに工業製品っぽい外観だが、ゲート型のライトアップが無骨さをやわらげている。
前面のUSB端子や電源ボタンは上部に配置されており、床置きを想定した設計。
端子がナナメ上向きになっていて、間隔も十分に空いているため、抜き差ししやすい。
また、前面上部に光学ドライブ(DVD/Blu-rayの読取機)を内蔵できる「5インチベイ」がひとつ用意されている。
ゲート型の LED ライト
ライトは色の変更が可能
前面のゲート型 LED ライトは、専用ソフトをインストールすることで色や光り方を変えることができ、光るのが嫌な人はオフにすることも可能。
側面にのぞき窓があるのもパソコン好きには嬉しい点だ。
エアフロー(通気性)
前部の左右にある穴から吸気を行い、後部と天井部から排気を行う構造。
本体が大きいおかげで内部の十分がスペースにあり、通気性(エアフロー)は良さそうだ。
前面と背面に加え、天井にもケースファンがあり、上部から排気を行うのが特徴的。
熱は上に昇るので理に適っているが、パソコンの上に物を置くと排気の妨げになる。
ヘッドフォンや小物を置く程度なら問題なく、ゴミが中に落ちないようメッシュ(網)も取り付けられているが、本のような平らなものは置かない方が良いだろう。
動作音は、このクラスのゲーミングモデルとしてはかなり小さい。
14cmの大型静音ファンが使用されており、ファンを大きくして回転数を抑えることで、風量を保ちつつ動作音を減らしている。
ケース幅が広めなのはファンが大きいためのようだが、そのメリットはしっかり感じられる。
CPUクーラーもかなり大きなものが付けられていて、ここも大型ケースの利点だろう。
CPUクーラーの後ろにも上にもファンが
底面の電源用吸気口。ホコリを防ぐ網がある
少し気付きにくいが、底面にも電源ユニット用の吸気口がある。
カーペットの上に置く場合は、板を敷くなどして、底面からの吸気を妨げないようにしたい。
底の吸気口のメッシュ(網)はワンタッチで外せるようになっていて、掃除しやすくなっている。
内部構造
内部はかなりスッキリしている。
マザーボードの裏側(右側面)にコードを回しているだけでなく、データ記録装置(HDDやSSD)などのパーツも、裏(右側面の下部)に配置するようになっているからだ。
よって、マザーボードの表側(左側面)はガランとしていて、見るからに通気が良い。
ファンの給電コードもしっかり束ねられている。
中央にあるビデオカード(VGA)の真横に吸気ファンがあり、ゲーミングモデルらしい、ビデオカードの冷却を優先した配置。
発熱しやすい M.2(NVMe)SSD にも、しっかり風がいくだろう。
下部の大きなボックスの中に電源ユニットがあるが、左側(表側)からは確認できない。
マザーボードの裏、右側面から見ると以下のようになっている。
マザーボードの下部の裏側にHDDやSSDの増設部(3.5インチスロット)がある。
電源ユニットも裏側(右側面)からアクセスする。
この二分割構造のおかげで、電源ユニットの熱はCPUやビデオカード、M.2 SSDには行かないようになっている。
このファンの配置だと、下部のカバー内部に風が行かないような気がして、HDDやSSDの冷却が気になったのだが、問い合わせたところ「前部からの吸気が従来の300%になっており、前部と後部のファンで空気を送ることで、増設HDD/SSDも冷却できる仕組みになっております」との回答を頂けた。
排気ファンでエアフロー(空気の流れ)を作ることで、カバー内にも風が行くようになっているようだ。
電源は 650W で「80PLUS BRONZE(ブロンズ)」の製品が使われていたが、カスタマイズで安定性や省エネ性能が高い 80PLUS GOLD(ゴールド)、PLATINUM(プラチナ)、TITANIUM(チタン)の製品を選ぶこともできる。(後者ほど上位)
標準で問題ないと思うが、電源ユニットは故障が多く経年劣化もあるので、長く無難に使いたい人は高品質のものを選ぶのも良いだろう。
使用されていたマザーボードは台湾のメーカー ASUS 製の こちら の製品のようだ。
パーツ性能
処理性能(CPU)
標準構成のCPUは「Core i7-10700」。 第10世代 Core の上位型だ。
2020年の一般価格のCPUの中で、もっとも最新、かつ高性能なものであり、性能に不足は全くない。
デスクトップ用のCPUなので、ノートパソコンのものより高速。
あらゆる動作がキビキビ動く。
8コア/16スレッドのCPUで、8つのコア(頭脳)で、最大16の作業を同時に行うことができる。
クロック数(速度の目安)は2.9GHz、最大4.8GHz。
上位版の「Core i7-10700K」も選択でき、こちらはクロック数が3.8GHz、最大5.1GHzと少し底上げされている。
グラフィック性能(VGA)
搭載するビデオカード(VGA)は「GeForce RTX 2070 SUPER」。
十分なグラフィック性能を持っており、現行のあらゆるゲームを快適に動作可能。
高解像度・高画質でのゲームプレイにも耐えうる処理能力を持つ。
現行の「GeForce」シリーズには中間クラスの1600シリーズと、上位クラスの2000シリーズ、最新型の3000シリーズがあるが、3000シリーズはまだ出たばかりで非常に高額。
2000シリーズには2060、2070、2080があり、2070はその中間モデルで、つまり上の中だ。
「SUPER」というのは後期改良型だと思えば良いだろう。
ベンチマークソフト(性能測定ソフト)「3D Mark(Time Spy)」の測定結果は以下の通り。
スコアは9776。
ちなみに、GeForce の GTX1660 だと約5500、GTX1080 だと約7000、RTX2060 SUPERだと約9000、SUPERじゃない RTX2070 だと約8500ほどになる。
この性能なら、今後2~3年先の高スペックが要求されるゲームでも、高画質で快適に動作させられるだろう。
データ記録装置(HDD/SSD)
データ記録装置は標準で512GBの「NVMe SSD」が搭載されている。
NVMe は SSD の新しい規格で、「M.2」と呼ばれる小型のスティック形状をしており、マザーボードに直接差し込むタイプなのだが…… この辺は初心者は気にしなくてもいい。
「すごく速いSSD」だと思えば良いだろう。
以下はベンチマークソフト(性能測定ソフト)「Crystal Disk Mark(8.0)」の結果だ。
1段目のスコアは左(読み込み)3000、右(書き込み)2000を越えている。
これが従来のSSD(SATA接続)だと左は500前後、右も200~500ぐらいとなる。
HDDだと、どちらも100~150ぐらいだ。
NVMe SSD がどれだけ圧倒的な速さかわかるだろう。
これによりパソコンの立ち上がりやソフトウェアの起動が早く、CPUの高速さと相まって、作業を快適に行える。
NVMe SSD は発熱が高いが、風が直接当たるよう配置されているため、冷却も問題なさそうだ。
ただ、容量512GBというのはやや少なめだ。
用途や使い方にもよるが、できれば1TB(1000GB)か2TBのHDDを追加しておきたい。
このモデルは4TBや8TBのHDD、2TBまでのSSD(SATA)もカスタマイズで追加できる。
お金に余裕があるなら、メインのNVMe SSDを1TBや2TBにすることも可能だ。
総評
ドスパラでデスクトップのゲーミングモデルを買おうとしている時点で、そのユーザーはゲームの動作を優先した、ハイスペックマシンを望んでいると思われる。
しかし「Core i9」や「GeForce 2080 / 3080」のような高すぎるものは手を出しにくい。
すると Core i7+GeForce 2070 という組合わせが常識的となる。
事実、ここ最近はこのマシンがガレリアの売上げ No.1 となっているようだ。
私も今ゲーミングモデルを買うなら、この構成を選ぶ。人気なのは当然だろう。
新ケースはCPUやビデオカードの冷却を優先しつつ、大きさに余裕があってパーツの着脱もしやすい、よく考えられたケースだと感じる。
LEDライトには賛否がありそうだが、このライトがないと無骨というか、男性的すぎる印象があり、ライトがそれをカバーしている。
デスクトップのゲーミングモデルとして、良い意味で無難に、幅広く勧められるパソコンだ。
ケース:デスクトップ(ミドルタワー)
CPU:Core i7-10700
グラフィックス:GeForce RTX 2070 SUPER 8GB
メモリ:16GB DDR4
ストレージ:512GB NVMe SSD
価格:149,980円(税別)
※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
執筆:2020年11月27日