• 12.5型のモバイルノートパソコン。2021年10月に新モデルが登場
  • 小型 軽量 セキュリティ 高耐久、ビジネスノートに必要な機能を追求した製品
  • ソニー時代の旧VAIOとは開発方針が異なる

こんな人にオススメ!

  • 頻繁にパソコンを持ち歩く方
  • 軽くて小さく、扱いやすいノートPCが欲しい方
  • 多少乱暴に扱っても壊れない、信頼性の高い製品を求めている方

現行VAIOのコンセプトとは

かつて「VAIO」は、ソニーが開発していたパソコンのブランドだった。
AV(オーディオ・ビジュアル)能力とデザインを重視し、独創的な機能を持つ高級パソコンとして1990年代後半から2000年代にかけて隆盛したが、信頼性の評価は低く、安価で高性能な専門メーカーのPCが普及すると苦戦。
2014年にソニーは事業の売却を決定した。

だが、VAIOはそれで終わらなかった。
VAIOの運営を受け継いだ「VAIO株式会社」はコンセプトを一新し、企業向けのノートPCとして再開発を行い、徐々に販路を広げていった。
順調な再出発ではなかったようだが、2017年頃から知名度が再拡大、2018年からは個人向けの製品も作り始めている。

そのコンセプトはビジネスや営業に必要とされる堅牢性と高いセキュリティ、持ち運びしやすい小型軽量化、そして長時間駆動だ。

以前のVAIOとは正反対で、目指すところはパナソニックの Let's note やシャープ(旧東芝)の Dynabook と同じ、高級ビジネスノートである。
ただ近年は、口コミで大学生にも人気が広がっているという。

以下、お借りした実機「VAIO SX12」を元に、その概要を紹介していきたい。

外観

本体と端子、充電と通信

2021年10月発売モデルのカラーはブラック、シルバー、ホワイト、ブラウン、ピンクの5色。
勝色(紺)やオールブラックといった特殊カラーのモデルもある。
天板の中央には鏡面に輝く「VAIO」のロゴがあり、表面は樹脂(プラスチック)のようだが、きめの細かい粒子加工が施されている。

側面にはシルバーやゴールドの金具のラインがあり、横から見ると台形になっている複雑な形状で、単純な四角形ではない。
VAIOらしいデザインセンスを感じる本体だ。

VAIO SX12 天板(ブラック)

VAIOの刻印がキラキラと輝く天板
銀の金具がアクセントになっている

VAIO SX12 2021年10月発売モデルの標準カラーバリエーション

カラーバリエーション
2021年モデルは通常カラーだけでも5色

本体は東レとの共同開発で作られた特殊素材「高弾性UDカーボン」を用いた「カーボンウォール構造」になっており、高い耐久性と剛性を保ちつつ軽量化を実現しているという。
このため、押すと中に芯が入っているような硬さがある。

重量は最軽量構成で887g。小型だからというのもあるが、この軽さは素晴らしい。
サイズもA4ノートより小さく、冊子や資料と一緒に片手で持ち歩け、鞄にも簡単に入る。
文字通りノートのように手軽に扱える。

内部の色は選択したカラーに準じるが、キーの色は黒。
ただし2021年10月モデルは、ホワイトとピンクのみ白いキーも選べるようだ。

VAIO SX12 外観

ブラックの VAIO SX12 の全景
(画像は2020年10月モデル)

VAIO SX12 ヒンジ拡大

ヒンジは立ち上がるタイプ
キーを打ちやすいよう傾斜が付く

VAIOの特徴のひとつは、端子の豊富さだ。
2021年10月モデルには右側面にUSB端子(3.0、5Gbps)、2つのUSB-C、有線LAN端子、さらに HDMI が用意されている。
左側面にもUSB3.0とイヤホン/マイクジャックがあり、このサイズと薄さのノートとしてはかなり多い。

そして2基の USB-C は Thunderbolt4 / USB4 に対応、40Gbps の超高速なデータ通信を行え、充電/給電が可能な PD(パワーデリバリー)と映像出力が可能な ALT(オルタネートモード)にも対応している。

本機のディスプレイと合わせて最大3画面のマルチモニター出力が可能で、VAIO独自の「5Vアシスト充電」によりモバイルバッテリー(24W)でも速く充電を行える。

バッテリーは公称30時間の超長時間駆動で、付属の AC アダプタを使えば1時間で約20時間分の急速充電が可能とのこと。

ただし2021年10月モデルには、2020年モデルにあったSDカードリーダーと、D-Sub 15pin の映像出力はない。
日本のオフィスにはまだ古い周辺機器が残っているからという理由で、VAIO には古いモニターに繋げられる D-Sub 15pin 端子も用意されていたのだが…… ついに撤去となった。

VAIO SX12 マルチディスプレイ

USB-C から Display Port に出力可能
5K画質にも対応している

VAIO SX12 大きさ比較

A4とセミB5ノートとの大きさ比較
A4ノートより小さいのが解るだろうか

無線通信は最新の Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)に対応。
アンテナをディスプレイ上端に設置し、優れた受信感度を維持できるという。
もちろん Bluetooth も内蔵している。

また、VAIO株式会社のストアでの購入で、LTEデータ通信(モバイル通信)のためのSIMカードが1年分無料、2年プランや3年プランも格安で購入できる。
(使用回線はドコモ、LTE通信モジュールの追加が必要)
モバイルノートは出先で使うのが前提だろうから、LTE通信を安く得られるのは嬉しい。

モニターとカメラ

画面には12.5インチでノングレア(非光沢)のフルHD液晶モニターが使われている。

表示はかなり綺麗で、肉眼での判断だが、発色もコントラスト(濃淡)も良く、輝度(明るさ)も最大にすると眩しいほど。
視野角も広めで、横から見ても色あせにくい。
発色について否定的なコメントも見られるが、私が見た限りでは十分に高品質という印象だ。

2021年10月モデルはヒンジも改善され、180度ぺたんと平らになるまで開くことができる。
さらに表示を上下逆にして、対面の側から見やすいようにすることも可能だ。

VAIO SX12 モニター

左右幅6mmの狭小ベゼル(外枠)
※画像は2020年10月モデル

VAIO SX12 側面から見たところ

このぐらいの角度なら色落ちは少ない
モニター上部にはカメラとマイクが

カメラの画質は一般的な100万画素よりも一回り良い、207万画素。
薄暗い部屋でもユーザーの顔を高精彩に撮影できる高感度カメラで、2021年モデルには盗撮を防ぐシャッターが付いている。
マイクは2つあり、ノイズキャンセリング機能で音声をクリアに集音できるという。

スピーカーはステレオだが、2020年モデルについては、音質は普通といった印象だ。
イコライザー(音質調整)ソフトもない。
悪いという程ではないが、音質に力を入れている機種とは思えないので、音楽を聴いたりするときはヘッドセットかワイヤレスイヤホンを使おう。

堅牢性とセキュリティ

PCの展示会でVAIO開発者の方が特にアピールされていたのは堅牢性だった。
そのため、ここでも個別に解説しておきたいと思う。

VAIOシリーズは90cmの落下試験や、150kgの加圧試験、5000回の角衝撃試験など、日本最高レベルの耐久試験を実施している。
その基準は高品質のビジネスノートとして知られるパナソニック社のレッツノートより厳しく、トップクラスの堅牢性を持つと主張されていた。

VAIO シリーズの耐久力試験
※VAIO株式会社公式サイト、品質試験ページより。

ソニー開発時代のVAIOは壊れやすいという風評があり、OS(Windows)に独自に手を入れていたためアップデートが遅く、動作不良も多いと言われていた。

ビジネスモデルに変えるにあたり、これらの悪評を払拭する必要があると考えたようで、過酷な試験を行っているという。
もちろん今は Windows を独自にカスタマイズしているということもない。

この堅牢性に自信があるためか、(VAIO社のWEBからの購入なら)3年間の上位保証(あんしんサポート)が無料で付き、落下や水ぬれ、火災などの事故故障にも無料で対応してくれる。
(VAIOはソニーのサイトiconでも販売されているが、こちらは通常サポートとなる)

ビジネスモデルにはセキュリティの高さも重要だ。
本機は指紋認証と顔認証の「ダブル生体認証」を備えており、マスクのせいで顔認証が使い辛いコロナ禍のご時世でも、指紋で手軽にログインできる。

また、データを暗号化して不正アクセスや盗難を防ぐ「TPMセキュリティチップ」の搭載が可能で、企業ニーズに応えている。
2021年10月モデルには着席オートログオンや離席オートロックなど、人感センサーを使った「VAIO User Sensing」という機能も備わった。

VAIO SX12 指紋センサー

2020年モデルは右下に指紋センサーが
2021年モデルは電源ボタンに統合

VAIO SX12 の顔認証の選択

本機は顔認証がオプション。3300円
もちろん付けるのをお勧めする

開発者の方によると、これらの強化によりビジネスモデルに必要な信頼性が回復したと共に、大学生からの人気も高まったとのこと。
学生さんは故障を心配する人が多いそうで、堅牢性と無料長期保証、LTE1年無料などが喜ばれているという。

キーボード

12.5インチの小型ノートパソコンのため、キーボードが窮屈ではないかと考えている方もいると思うが、その心配はない。

VAIO SX12 は左右の端ギリギリまでキーを配置しており、キーピッチ(キーの間隔)は 19mm を確保、一般的なキーボードと変わらず、同じようにキータイプできる。
側面に多くの端子を配置し、しかも薄型なのに、キーボードを横いっぱいまで広げているのには技術力の高さを感じる。

2020年モデルはキーストローク(キーの深さ)が 1.2mm しかなく、反発も軽めのため、板を打っているような感覚があった。
だが、2021年10月モデルはキーストロークが 1.5mm に広げられており、以前よりは打鍵感は改善されていると思われる。

また、2021年モデルからはキーの表面を凹ませる「シリンドリカルキートップ」になっており、指にフィットするようになっている。
「フッ素含有UV硬化塗装」により汚れも付きにくくなったようだ。

VAIO SX12 キーボード

12.5型でもフルサイズのキーボード

VAIO SX12 のキーボードの左右のすき間

左右のすき間はなんと5mm!

耐久性・信頼性の改善はキーボードにも及んでおり、水をこぼしてもしばらく動作するようになっている。
防水仕様という訳ではないが、個人向けノートでキーボードに水をこぼす試験をしているのは、現時点(2021年)ではレッツノートと VAIO ぐらいだろう。

キーボードの静音性もアピールされていたが、これは2020年10月モデルを試用した限りでは、それほど感じなかった。
「静寂キーボード」と称していたが、タイプ中はそれなりにトントンという音はする。

キーボードの手前には手を置くための「パームレスト」があるが、小型モデルでありながら縦幅を広くし、ここを大きくしているのも特徴だ。
確かにこのサイズだと、縦幅が狭いと手がはみ出てしまうだろう。

ただ、2020年モデルの時に「無限パームレスト」と表現していたが、さすがに大げさだったか、2021年モデルではこの呼称は見られない。
また、パームレストや天板はちょっと手のあとが付きやすい印象で、拭くための布などを用意しておきたい。

VAIO SX12 キーボードバックライト

文字も一緒に光るバックライト
写真では強く見えるがほんのり光る

VAIO SX12(2020)のタッチパッドとパームレスト

タッチパッドの左右がパームレスト
ちょっとひんやりしている

キーボードバックライトも備わっており、暗所でもキーの文字を確認できる。

2020年モデルにはキーの文字が薄い「隠し刻印」があったが、2021年10月モデルでは廃止され、代わりに「かな文字なし」が用意された。
かな入力をしない人にはかな文字は不要で、見た目がすっきりするので良い選択肢だ。

タッチパッドはスライド部とボタンが分離しているタイプ。
人によると思うが、私的には分離している方が解りやすくて好みだ。
ボタンはちょっと硬めで、スライド部はプラスチックの触感だが、指の滑りは良い。

パーツ性能

今回は2021年10月発売の最新モデルをお借りすることはできなかった。
よって新型モデルに使われているパーツ(CPUやSSD)はどのようなものか、概要を述べるに留めたいと思う。

2021年10月モデルで選べる CPU は Celeron 6305、Core i3-1115G4、Core i5-1155G7、Core i7-1195G7 の4種類。
すべて第11世代 Core で、2021年の春から夏にかけて普及し始めた「Tiger Lake」と呼ばれるノートパソコン向けのタイプだ。

ただ、安価な Celeron や Core i3 を選択するのはお勧めしない。
VAIO は安いマシンではない。下位の Celeron や Core i3 では宝の持ち腐れであり、これらにするのであれば、他にもっと安くて見合った製品がある。
Celeron を基準に考えると Core i5 は約3万7千円、Core i7 は約6万円高くなるが、それでもこちらを選ぶべきだろう。
なお、Celeron を搭載する場合で全体の価格は約14万7千円だ。

Core i5-1155G7 と Core i7-1195G7 はどちらも4コア8スレッドのCPUで、4つの頭脳で8つの作業を同時に行える。
同時作業数が変わらないため、そこまで大きな性能差(マルチコアでの速度差)はないと思われるが、どうせなら高い性能にしたいのも本音だろう。
なお、第11世代 Core はシングルコア(ひとつの作業)の処理速度が、第10世代の Core よりもかなりアップした。

TDP(出力・発熱・消費電力の目安)は 12W~28W だが、Tiger Lake はメーカー側が決めることができる。
どういう設定なのか、性能重視なのかバッテリー持続重視なのかは、実機で確認してみないと解らない。
(仕様書には Core i7 と Core i5 は 28W、Core i3 と Celeron は 15W と書かれている)

なお、VAIO には「VAIO TruePerformance」という独自の機能が備わっており、CPU の動作を最適化して高負荷時の作業速度を10~15%アップさせると同時に、低負荷時の消費電力をより軽減しているという。
2021年10月モデルのバッテリー公称30時間は、これにより実現しているとのことだ。


Core i5-1155G7 と Core i7-1195G7 の「G7」は内蔵グラフィック機能の性能を示しており、G7 は最上位となる。

これらの CPU にはインテル自慢の「Iris Xe」というグラフィック機能が備わっていて、ビデオカードには及ばないが、「低画質なら最新ゲームの Apex Legend やフォートナイト、FF15 なども遊べる!」と評判だ。

実機で検証しないと解らないところもあるし、そもそも VAIO はゲーミングモデルではないが、CPU 内蔵型としては高いグラフィック性能を持っていることは確かだろう。

動画の再生や編集、オンライン会議、設計ソフトの使用といった補助的な用途においては、十分な能力のはずだ。


ストレージ(データ記録装置)は「スタンダードSSD」と「第四世代ハイスピードSSD」を選ぶことができる。
抽象的な名前だが、どちらも小型で高速の記録装置「NVMe SSD」で、独自の暗号化機能も備わっているらしい。

第11世代 Core は「PCIe」というデータ転送規格の第四世代に対応しており、対応品なら超高速でデータの読み出しと書き込みを行える。
価格は高くなるが、どうせなら第四世代のものを使いたいところだ。

標準のSSDは 128GB しか容量がないので、どのみちカスタマイズで上位のものに変更したい。
512GB の第四世代ハイスピード SSD にすると、3万3千円高くなるが…… VAIO を選ぶのなら妥協したくないところだろう。


メモリ(一時的なデータ置き場)は「LPDDR4x」という最新型が使われている。
これも第11世代 Core の Tiger Lake で使用可能になったもので、従来のものより高速のデータ転送が可能、グラフィック能力も含め、全体の速度が少し底上げされる。

容量は8GBから32GBまで選べるが、もちろん増やすほど価格は高くなる。
VAIO を選ぶなら…… と言いたいところだが、大きなデータを頻繁に扱うのでない限り、8GBでも問題はないだろう。

総評

ビジネスモデルのモバイルノートPCとして再出発した新生VAIO。
別会社への移管で「名前だけ」になっている懸念もあったが、コンセプトは変わりつつも、しっかりソニー時代の国産技術は受け継がれている印象だ。

割高なのは否めないが、信頼性と耐久性への取り組みにはかなりの意気込みを感じる。
一方で、ライバル視しているパナソニック(レッツノート)が重視していない薄さやデザインへのこだわりがあり、独自の製品に仕上げたいという思いも受ける。

一般的と思われる構成(Core i7 か Core i5 + 第四世代 PCIe の SSD)だとやはり20万円を超えてしまうが、3年間の上位保証と、1年なら無料、2年でも格安になる LTE 通信の値段を割引くと、そこまで高額でもない印象もある。
少なくとも、他の国産高級ノートPCであるレッツノートや Dynabook より費用対性能は高い。

購入者は高齢者が中心のようだが、若手も増えているのは、豊富になったカラーバリエーションからも見て取れる。
丈夫で安心感のある国産ノートPCを求めているなら、有力な選択肢となるだろう。

VAIO SX12

VAIO SX12icon
※以下の仕様は2021年10月モデルのものです

形式:12.5 インチ ノートパソコン
CPU:Core i7-1195G7 / Core i5-1155G7 / Core i3 / Celeron
グラフィックス:CPU 内蔵(Iris Xe)
メモリ:8GB / 16GB / 32GB(LPDDR4x-4267)
ストレージ:第3 / 第4世代 NVMe SSD 128GB~2TB
モニター:1920x1080、180度開閉
カメラ:207万画素、顔認証追加可能
通信:Wi-Fi 6(ax)、Bluetooth 5
モバイル性能:重量887g、バッテリー公称30時間、指紋認証
その他:フェイスカメラ活用機能、TMP(暗号化)チップ追加可
価格:最安構成 税込147,400円
(Core i5、メモリ 8GB、第4世代 PCIe SSD 512GB、顔認証・LTE付きで 税込 247,600円

※詳細は VAIO 公式サイト をご覧下さい。
※価格は割引キャンペーン等を適用していない場合のものです。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。
Sony ストアicon、及び店頭購入の場合は無料上位保証とLTE割引はありません。

執筆:2021年10月18日