• 2021年4月に登場したドスパラの一般向けデスクトップPC
  • 新型ビデオカード(GeForce 3060)搭載で実はゲーム向け
  • 一般用ケースと低発熱なCPUの組合わせで低コスト化

こんな人にオススメ!

  • 最新のPCゲームができる安めのマシンが欲しい方へ
  • 予算は少ないけど高いグラフィック性能が必要な方へ
  • 昔ながらのパソコンケースが良い人へ

安価な一般ケースという選択肢

2021年の春、最新ビデオカード GeForce 3000 シリーズの廉価モデル「GeForce RTX 3060」が発売された。
コストパフォーマンスが高く、最新ゲームも快適にプレイできるグラフィック性能を持ち、ミドルクラスのゲーミングモデルに一斉に採用されている。

ゲーミングパソコンの定番、ドスパラ(サードウェーブ)の「GALLERIA(ガレリア)」にも、GeForce RTX 3060 を搭載した新構成のマシン「GALLERIA RM5R-R36」などが登場しているのだが……
今回ここで紹介するのは、それではない。

一般向けのデスクトップパソコン(ミニタワー)のひとつ「AV5」(Lightning AV5)だ。

こちらも一般向けでありながら、GeForce RTX 3060 を搭載する。
やや発熱が低めのCPUを使っており、一般用のケースでも冷却の問題はない。
そしてCPUとケースのコストダウンにより、ゲーミングモデルよりも安い。

具体的には、前述の「GALLERIA RM5R-R36」が Ryzen 5 3600 の CPU を使用し、価格は税込 169,980円。
「Lightning AV5」は Ryzen 5 3500 を使用し、価格は税込 149,980円だ。('21年5月時点)
メモリ、データ記録装置(SSD)などは同じである。

どちらが良いかは一概には言えない。
だが、一般ケースの安価モデルがあるのは、ユーザーとしては選択肢が増えてありがたい。

今回は一般モデルとゲーミングモデルの違いなども含め、Lightning AV5 のレビューを進めていきたい。

ケースと外観

デザインと前面端子

本機は「ミニタワー」と呼ばれるタイプで、デスクトップの中では中型サイズとなる。

ドスパラの一般モデルには多くの名前があり、ややこしいのだが……
ミニタワーで、インテルのCPU搭載なら Magnate(マグネイト)、AMDのCPU搭載でビデオカード非搭載(グラフィック機能はCPU内蔵)なら Regulus(レグルス)、そしてAMDのCPUでビデオカードを搭載なら、今回扱う Lightning(ライトニング)になる。
これらは機種名が違っても、ケースに違いはないようだ。

高さ360mm、幅190mm、奥行き420mm で、ガレリア(ゲーミングモデル)のケースよりも一回り小さい。

Lightning AV5 外観

ドスパラの一般デスクトップケース

Lightning AV5 上部の外観

角張ったデザイン。DVDドライブ付属

以前からあるドスパラのケースであり、前部の角が大きくナナメにカットされている。
ツヤ消しブラック一色で、LED ライトのような装飾はない。
昔ながらの設計で派手さはないが、一般モデルとしてはやや特徴的な見た目だ。

旧来のケースらしく、上部には CD / DVD ドライブの収納部(5インチベイ)がふたつあり、その下にはSDカードリーダーや、かつてフロッピーディスクドライブをセットしていた収納部(3.5インチベイ)がふたつある。
これらは新しいケースでは省かれていることが多いが、まだ残っているところに昔なじみを感じる。

本機は標準で CD / DVD ドライブ(書き込み対応)を搭載しており、ブルーレイ対応ドライブに変えることもできる。
SDカードリーダーは標準では非搭載だが、カスタマイズで内蔵可能だ。
また、ドスパラは空いた5インチベイに小物入れを付けてもらうこともできる。

前部中央には2つのUSB(3.0)とイヤホン/マイクの端子があり、イヤホンジャックはUSB端子の間に配置されている。
これにより、USB機器をふたつ刺しても干渉しにくいようになっている。

Lightning AV5 前面端子
Lightning AV5 スイッチ部

電源ボタンの横にリセットボタンがあるのも特徴だろうか。
フリーズ(硬直)したときに再起動できるボタンで、いかにも一般向け、初心者向けと言える。
不用意に使うべきではないが、もちろん無いより便利だ。

※なお、通常はフリーズしたときは「CTRL+ALT+DEL」のキーを押して、画面下部に表示される電源ボタンから再起動を行う。
それが効かないときは本体の電源ボタンを長押しすれば強制的に電源が切れるが、不具合が生じる可能性がある。

内部構造とエアフロー(通気性)

一般モデルである本機のケースと、ゲーミングモデルであるガレリアのケースの大きな違いは、このエアフロー(通気性)だ。
パソコンは高熱を持つため、通気による冷却が必要不可欠で、ゲームのような高負荷な動作を継続して行う場合はなおさらだ。

本機は前面下部のすき間と、側面の吸気口から空気を吸い込んで、後部から排気している。
ファン(送風機)は前面に吸気用、後部に排気用があり、電源部からも排気が行われているが、側面からの吸気は排気で生じる自然吸気である。

ドスパラの一般ケースのエアフロー

一般モデル(本機)のエアフロー

ドスパラのゲーミングモデル(ガレリア)のエアフロー

ゲーミングモデルのエアフロー

これがゲーミングモデル(ガレリア)だと、前面と背面のファンに加え、底面からも吸気を行い、さらに天井にも排気ファンがある。
ファン自体のサイズも大きい。(本機のファンも一般モデルとしては大型だが)

よって冷却能力で言えば、やはりゲーミングモデルの方が上位だが、そのぶん価格は高い。
従来型のケースでも冷却に問題がないなら、こちらの方がコストパフォーマンスは良くなるわけで、それが本機の長所と言える。

内部の構造は以下のようになっている。

Lightning AV5 内部構造

電源ユニットが上にあるスタイルだが、昔ながらの設計だ。
パーツの交換を考えている人には、なじみのある構造で扱いやすいだろう。

上部の電源が下から吸気を行っているため、電源ユニットがケース内の空気を吸い込む形になっている。
これだと他のパーツの熱を吸い込んでしまうため、電源自体の冷却効率は低くなる。
だが、電源ユニットの吸気をケース内のエアフロー(空気の流れ)に活用できる利点がある。
一長一短だが、本機は電源の上部配置で全体の通気を補っているようだ。

マザーボード(基板)が下部にあるため、ビデオカードはかなり下の方に付いているが、前面の吸気ファンも下部にあるため、ビデオカードに直接風が当たるようになっており、冷却性は良さそうだ。

前部には5インチベイや3.5インチベイ(収納部)があり、データ記録装置(HDD や SSD)は、この空いたベイに装着される。
そして前述したように、側面には大きな吸気口がある。

Lightning AV5 CPU周辺

電源が天井排気ファンを兼ねる構造

Lightning AV5 側面の通気口

側面の吸気口は結構大きい

CPUファンの吸気は側面からの方がメインだろう。
言うまでもないが、壁際に置くなどして吸気口を塞いだりしないように。
本機の吸気口にはメッシュ(網)が付いていないため、網の掃除をしなくて良いが、ホコリを吸い込みやすいので、たまには中の汚れを確認したい。

電源は出力 650W で、80PLUS BRONZE(ブロンズ)認証の製品が使われているが、カスタマイズで安定性や省エネ性能が高い 80PLUS GOLD(ゴールド)や、PLATINUM(プラチナ)の製品を選ぶこともできる。
標準でも問題ないが、電源ユニットは故障が多く経年劣化もあるため、長く使いたい人は高品質で出力に余裕があるものを選んだ方が無難だ。

パーツ性能

処理性能(CPU)

本機には「Ryzen 5 3500」のCPUが使われている。
AMD社のCPU「Ryzen」シリーズには Ryzen 3、Ryzen 5、Ryzen 7 があり、その中間型

2019年の夏に「Ryzen 5 3600」というCPUが発売されたが、2020年の春に、そのダウングレード版として登場したのが Ryzen 5 3500 だ。
具体的には、Ryzen 5 3600 が6コア12スレッド(6つの頭脳で12の作業を同時に行える)だったのに対し、Ryzen 5 3500 は6コア6スレッド、つまり1つのコアで1つの作業しか行えなくなっている。

ただ、1つのコアで2つの作業を行う機能(SMT機能。Core シリーズのハイパースレッディングに相当)はコアに高い負荷をかけるため、発熱と消費電力が高くなりやすい欠点がある。
Ryzen 5 3500 は無理に多くの作業をやらせないようにして、発熱と消費電力を下げたCPUとも言える。
もちろんダウングレード版なので価格も安い。

CPU-Z, Ryzen 5 3500

クロック数(速度の目安)は3.6GHz、最大4.1GHz。
元となった Ryzen 5 3600 は3.6Hz、最大4.2GHzなので、ここはほとんど変わらない。

だが、スレッド数(同時作業数)が少ない以外に、共用キャッシュ(CPU内部のデータ保管庫。コアごとのキャッシュと、各コアで共用するキャッシュがある)が Ryzen 5 3600 の半分しかなく、高負荷な作業を苦手とする側面もある。

以下はCPUの性能測定ソフト「CINEBENCH R23」の結果だ。

Ryzen 5 3500, CINEBENCH R23
Ryzen 5 3500, CINEBENCH R23 比較グラフ

マルチスレッドの測定は同時作業数が大きく影響するため、スコアは約6000と、新型 Ryzen 5 としては低い。
Ryzen 5 3600 だとスコアは9000ほどになる。 Ryzen 5 2600 でも約7000。
とは言え、多くのノートパソコン用CPUや、2017年に発売された初代 Ryzen よりは上。
また、シングルスレッド(単一作業の測定、コアひとつの性能)は1200で、同世代の他のCPUと変わらない。

このCPUの評価は用途や見方によって変わるだろう。
マルチスレッド性能が低めと言うことは、スレッド数が物を言う作業、例えば動画の編集や写真のデジタル現像といったクリエイティブな作業、およびOfficeやPhotoshopと言った多スレッドに最適化されたソフトの使用で劣ることになる。
一方で、シングルスレッドで動作するゲームや一般のソフトウェアの使用では、それほど性能差は出ないはずだ。

キャッシュも少ないのでゲームを同じ速度で動かせるとは言えず、録画・配信・ゲーム動作を平行するゲーム実況なども厳しいと思われる。
だが、どちらかと言うとゲーム向けのコストパフォーマンス型CPUと言えるので、本機はCPUの面から見ても、一般モデルの皮を被ったゲーミングマシンと言える。

なお、Ryzen 5 3600を搭載したゲーミングモデルの「GALLERIA RM5R-R36」は大型の市販CPUクーラーを搭載しており、Ryzen 5 3600 の発熱はそれだけ高いと思われる。
(ゲーミングモデルなので安定動作を重視しているのもあるとは思うが)

本機のCPUクーラーは標準のもので、大型化するカスタマイズもないので、やはり発熱は低く、Ryzen 5 3500の方が、特に一般用ケースでは扱いやすいようだ。

グラフィック性能(VGA)

本機は「GeForce RTX 3060」のビデオカード(VGA、グラフィックボード)を搭載している。
GeForce 3000 シリーズの中では後発で、冒頭で述べたように、この春に登場したばかりだ。
ビデオメモリ(VRAM)は12GBと大容量だが、3060 はこれが標準。

GeForce 3000 シリーズには 3090、3080、3070、3060 があり、その下位にあたるが、3000 シリーズ自体が上位製品なので、ビデオカード全体としてはミドルクラスになる。

価格と性能のバランスの良いコストパフォーマンスに優れた製品で、現行のゲームはすべて快適にプレイ可能。
贅沢な要求をしない限り、性能の不足を感じることはないだろう。
もちろん3D CAD(設計ソフト)など、ゲーム以外の用途でも高い性能を発揮する。

ベンチマークソフト(性能測定ソフト)3D Mark:Time Spy の測定結果は以下の通り。

3D Mark TimeSpy, GeForce RTX 3060+Ryzen 5 3500

グラフィックスコアは約8400。 総合スコアは約7500だった。
グラフィックスコアは GeForce の GTX1660だと約5500、RTX2060だと約7300、RTX2070 SUPERだと約9700、RTX3070だと約13300になるので、下二桁が60のタイプのGeForce 3000としては順当な性能といったところだ。

最新の人気ゲーム「Apex Legends」を動作させたところ、すべてのグラフィック設定を最高にしても、120~170fps(秒間120~170コマ)をキープした。
ほぼ150~160fpsで動いており、これなら高画質でも120fpsでプレイ可能、標準的な画質なら144fps/144Hzでもプレイできるだろう。
十分プロレベルの描画速度と言える。

Apex Legends 動作画面, Lightning AV5
※fps上限を解除したうえでトレーニングステージをプレイして動作速度を確認。

「ファイナルファンタジー15」のベンチマークでも高画質の測定で「快適」の評価。
必要動作環境が同じの「モンスターハンターワールド」も同レベルで動作するはずだ。

Final Fantasy 15 ベンチマーク(GeForce RTX 3060+Ryzen 5 3500)

さすがに200fpsでのプレイは無理だが、そんな超高性能を求めない限り、十分な性能だ。
このマシンで動かせないゲームは、当分現れることはないだろう。

データ記録装置(HDD/SSD)

データ記録装置は標準で512GBの「NVMe SSD」が搭載されている。
M.2 と呼ばれる小型のスティック形状で、マザーボードに直接差し込むタイプの製品だ。
従来型の SSD よりかなり速いのが特徴で、SSD は元々速いが、その数倍高速。

ただ、今回お借りした実機には('21年5月時点の)標準構成とは異なる製品(Intel SSD 660p シリーズ)が搭載されていたため、測定結果は標準品とは違うものになっている。
あくまで参考表記と考えて欲しい。
※標準のパーツ構成は時期や在庫、市場価格等で変わる場合があります。

以下が Crystal Disk Mark(8.0)で測定した(レビュー機の)データ読み書き速度だ。

Intel NVMe SSD 660p, Crystal Disk Mark 8.0 測定結果

レビュー機に搭載されていた Intel SSD 660p は耐久性と安定性を重視した製品で、速度はNVMe SSDとしては控えめだ。
今回の計測では読み込みは 1825 、書き込みは 972 となった。
メーカー公称の性能は読み込み 1500、書き込みは 1000 なので、一応読み込みについては公称以上の速度が出ている。

本機の標準構成に搭載されるNVMe SSDはメーカー不明だが、読み込み 3200、書き込み 2000 の公称速度なので、そちらの方が速いのは留意して欲しい。

ただ、速度が控えめなのはNVMe SSDの難点である発熱の軽減のためのようで、安定性や寿命を重視するインテルのSSDらしいと言える。
巷の評価は、インテルや東芝(現キオクシア)の製品は安定性重視、サムスンやSKハイニックスなどの韓国勢は速度重視、WD(ウェスタンデジタル)などの欧米製は中間と言われている。

ともあれ、従来のSSD(SATA接続)だと読み込みは500前後、書き込みも200~500、HDDだとどちらも100~150程度なので、従来品と比べればかなり速い。
特にパソコンの起動の速さで、NVMe SSDらしい速度を体感できるだろう。

本機はカスタマイズで速度重視の製品や、今回のレビュー機に搭載されていたインテル製などに変えることができる。
上位製品は相応に高価だが、興味のある人は好みで選んでも良いだろう。大容量のものに変えることも可能。
内蔵ベイ(収納部)が多いため、従来型のHDDやSSDを2つまで追加することもできる。

標準容量の512GBはやや少なめなので、できれば1TB(1000GB)以上の容量は持たせておきたいところだ。

総評

GeForce RTX 3060 の登場に伴って、ガレリアの RTX3060 搭載機「GALLERIA RM5R-R36」と、一般デスクトップの RTX3060 搭載機「Lightning AV5」が同時に登場した。
見比べて個人的に面白いと思ったのは、どう見てもゲーミングな構成なのに、一般デスクトップとして売られている「Lightning AV5」の方だった。

ゲームはパソコンに高い負荷を長時間かけ続けるため、安定動作を考えると、ゲームをやるなら専用に設計されているゲーミングモデルを選ぶべきだ。

だが、そこまでヘビーゲーマーではなく、たまにゲームをするから必要な性能は備わっていて欲しいけど、専門じゃなくていいから安く買いたい、という人もいるだろう。
それなら、本機がピッタリだ。
仕事や趣味でグラフィック性能を必要とする人にも良い。

動画編集や実況配信になると、パワーのあるCPUを搭載したゲーミングモデルやクリエイターモデルを選んだ方が良いが、グラフィック重視のやや安めのモデルとして、選択肢になり得るマシンだろう。

Lightning AV5

ドスパラ Lightning AV5

ケース:デスクトップ(ミニタワー)
CPU:Ryzen 5 3500
グラフィックス:GeForce RTX 3060 12GB
メモリ:16GB(DDR4-2666)
ストレージ:512GB NVMe SSD
価格:149,980円(税込)

※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。

執筆:2021年5月18日