- マウスコンピューターの一般向け15.6型ノートパソコン
- 薄型ではないが、接続端子を豊富に備え、DVDドライブも標準搭載、HDDの追加も可能
- 価格が安く、標準的な性能で、使いやすいサイズ
こんな人にオススメ!
- 初心者でも困らないパソコンが欲しい方
- CD/DVDが使える安めの軽作業用パソコンが欲しい人
- あまり持ち出さないがノートPCの方が良いという方
レビューは公正に、忖度なく行っております。
薄さよりDVDという人へ
マウスコンピューターの「mouse F5」シリーズは、安くて標準的な、薄型ではない一般向けのノートパソコンだ。
今どきのノートパソコンは薄くて軽く、持ち運びに適したものが多いが、薄型軽量にするには色々なものを削らなければならない。
工費が掛かり、軽くて丈夫な素材が必要なため価格も高くなりがちだ。
mouse F5 はそれとは逆の、薄さを求めない代わりに、接続端子をたくさん用意して、DVDドライブも内蔵、価格も安くしたモデルである。
頻繁に持ち運ばない人や、CD/DVDがないと困る人には都合の良い機種だろう。
大きめの使いやすいサイズなので、パソコン初心者の方にも良い。
2021年夏時点の mouse F5 には
後者ほど処理が速いが、価格も高い。
人気なのはバランスの取れた Core i5 搭載型(mouse F5-i5)で、お借りした試用機もこれだ。
価格は(Core i5 搭載で)税込93,280円(税別84,800円)。
以下、そのレビューをお伝えしていきたい。
外観
デザインとインターフェイス
全面ブラックのシブい本体。
樹脂(プラスチック系)素材が使われており、表面にはうっすらとブラスト(粒子)加工が施されていて、サラサラした触感だ。
天板の端にはちょっと控えめにマウスのロゴがある。
漆黒の天板
ツヤ消しブラック一色の外観
マウスのロゴ周辺
表面の粒子加工がわかるだろうか
ノートPCとしてはやや大きめの15.6インチのモデルで、横36.1cm x 縦25.6cm。
横幅は昨今の15.6型ノートの標準だが、縦幅は2~3cmほど大きい。
ただ、光学(CD/DVD/ブルーレイ)ドライブ内蔵ノートPCとしては、標準的なサイズである。
厚みは2.4cmで、薄型ノートを見たあとだとドッシリした感じを受けるが、そこまで厚いという程でもない。
光学ドライブ内蔵ノートPCとしては、むしろ薄い方である。
重さも約2.1kgで、このサイズのノートPCとしては標準的だ。
バッテリーは公称7.5時間と、やや長め。持ち出して使う場合でも困ることはないだろう。
中もキーまで黒一色のデザイン
大人びた雰囲気である
この光学ドライブが大きな特徴
CD/DVDの読込と書込に対応
そして本機の大きな特徴は、豊富な接続端子。
まず、右側面には光学ドライブがあり、さらに2つのUSB端子(2.0)と、イヤホン/マイクのジャックがある。
普通、光学ドライブがある側にはスペースの都合で端子がないか、あっても最小限だが、本機にはUSBが複数あり、とても使い勝手が良い。
左側面にはデータ転送が高速な USB3.0(速度5Gbps)、USB-C(速度10Gbps)、さらにHDMI端子とLAN端子がある。
加えて、古いモニターの接続に使うD-Sub 15ピンの端子まである。
「今どきD-Sub 15ピンなんて使うの?」と思う人もいるかも知れないが、日本のオフィスではまだ一般的で、日本メーカーのビジネスモデルには付いている製品が多い。
CD/DVDドライブがある点も含めて、日本の家庭やビジネスシーンを考慮した、とても日本的なパソコンと言える。
また、CPUが Core i5 か Core i7 なら、USB-C は
モバイルバッテリー(40W以上)でパソコンを充電したり、パソコンのバッテリーでスマホを充電することが可能。
充電コードの差し込みも左側面にあって刺しやすい。
本体の手前にはSDカードリーダーもある。
また、別途契約が必要だが、必要ならモバイル通信モジュール(LTE)を追加して、外出先でのネット通信も可能だ。
カードリーダーは手前のここにある
A4、セミB5ノートとの大きさ比較
無線通信は Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)まで。
最新の Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応ではないが、標準的で、不足ない通信性能だ。
周辺機器との通信に使う Bluetooth も内蔵されている。
映像とサウンド
モニターは映り込みの少ない、非光沢のフルHD液晶(1920x1080)が使われている。
普段使いには問題ないが、発色や視野角(綺麗に見える角度)はやや劣る印象だ。
コントラスト(色の強弱)が弱めで、きっちり正面からでないと色あせて見える。
画面の品質は値段相応、といったところだろうか。
暗い表示は濃淡が薄め
少し横から見ると色が落ちる
明るめの画像は綺麗に映る
モニター上部にはカメラとマイクが
ただ、前述したように映像端子は豊富で、HDMI端子は4K画質での出力にも対応している。
映像や画像の編集など、高画質を必要とする際には外部のモニターに繋げることも可能だ。
画面は合計で3つまで出力できる。
(ただし本機の USB-C 端子は映像出力には未対応)
モニターの上部には100万画素のフェイスカメラと
デュアルアレイマイクは2つのマイクで正面からの音声を正確に捉える機能で、マウスのノートPCの特徴のひとつだ。
集音が良く、WEB会議などに問題なく使っていけるだろう。
サウンドは底面左右のステレオスピーカーから発せられ、音質は何というか…… 普通。
悪くはないが、特別良いと思うほどでもない。
一昔前の軽い音ではなく、安価なノートPCであることを考えるとベターと言える。
高音質で音楽を楽しみたいならヘッドホンを使おう。
キーボードとタッチパッド
本機のキーボードはとても使いやすい。
15.6インチのノートパソコンであるため、キーボードの広さ、キーの大きさなどは十分で、キーの間隔もあってタイプミスし辛く、テンキーも備わっている。
キー配列も標準的で、カーソルキーは縦1行分の小さいものだが、他に気になる点はない。
厚みのあるノートPCであるため、キーストローク(キーの深さ)も1.8mmと十分に深く、適度な反発もあって、しっかりした打鍵感がある。
薄型ノートにありがちな板を叩いているような感覚は、本機には皆無だ。
テンキー完備のフルサイズキーボード
やはりキーの使用感は大きいほど勝る
キーを光らせるバックライトは備わっていないが、無理に必要ではないだろう。
そしてタッチパッドは、ボタン部分とスライド部分が別になっている。
おかげでボタンが非常に押しやすく、初心者でも扱いやすい。
公式サイトではこれを「ポジティブな先祖返り」と称している。
私的にもこの旧タイプへの回帰は、操作しやすくて歓迎だ。
最近は少ないボタン型タッチパッド
この方が使いやすくて解りやすい
同梱の画像編集ソフトウェア
ブログやSNSで使う写真の調整が可能
なお、光学ドライブを標準搭載しているためか、定番のDVD再生ソフト「Power DVD」や、DVD書き込みソフト「Power2Go」、他に画像や写真の編集、映像編集のソフトウェアが最初から備わっている。
DVD関連ソフトを作っているサイバーリンク社が、マウスコンピューター向けに用意したOEM版(パソコンに最初から入っているバージョン)を使うことができ、特に初心者がパソコンを活用する助けとなるだろう。
パーツ性能
処理性能(CPU)
2021年9月時点の「mouse F5」シリーズには、以下のものがある。
- CPU が Mouse F5-celeron の
- CPU が Mouse F5-i5 の
- CPU が Mouse F5-i7 の
これに、メモリが多い「H」バージョンと、セキュリティが高い代わりに機能が制限された「E」バージョンがある。
CPU の処理性能が高ければパソコンが全体的に高速化して、キビキビ動く。
ただし、お値段も高くなる。
以下は本機で選べる CPU の性能評価だ。
・マルチスレッド(CINEBENCH R23)
Celeron N4100:950
Core i5 10210U:3100
Core i7 10510U:4200
・シングルスレッド(CINEBENCH R23)
Celeron N4100:380
Core i5 10210U:1050
Core i7 10510U:1200
マルチスレッドはたくさんの作業を同時に行うときの速度、シングルスレッドは作業1つあたりの処理速度になる。
ただ、Office や Photoshop などの大手ソフトは分散作業に対応しており、どちらも関係する。
Celeron は安いが性能は低く、今どきのパソコンはそれでも相応に使っていけるのだが、ちょっと負荷の高い作業を行おうとすると動きが鈍くなる。
使いどころを解っている人向けの機種と言え、あまり初心者にはお勧めできない。
冒頭でも述べたが、バランスが良くてお勧めなのは Core i5-10210U 搭載の Mouse F5-i5 だ。
「U」が付いたCPUは性能を抑えた省電力タイプだが、それでも Core i5 なら普通に軽作業をこなせる。
表計算や書類の作成、ブログの更新など、一般的な用途で困ることはないだろう。
もちろんYoutube動画の再生など、インターネットの利用も普通に行える。
※試用機 mouse F5-i5(Core i5-10210U)の測定結果
大きめのデータ処理や、本格的なウェブサイトの作成、動画編集などを行うなら、Core i7 を搭載した mouse F5-i7 をお勧めしたい。
以下は難しい話になるので、意味が解らない方は読み飛ばして欲しい。
省電力型とは言え、新設計の Ice Lake と同クラスの処理性能を持つ。
消費電力と発熱量の目安となる TDP は15Wと非常に低い。
どちらも4コア8スレッドのCPUで、4つの頭脳で8つの作業を同時に行える。
マルチスレッドのスコアに大きな差がないのは、コアとスレッド数が同じなためだ。
速度目安となるクロック数は、Core i5-10210U は基本1.6GHz、最大4.2GHz。
Core i7-10510U は基本1.8GHz、最大4.9GHz。
※ Core i5-10210U の基本仕様
内蔵グラフィック能力は Ice Lake より低く、最新ゲームを動かせるようなものではない。
2D(平面)の画像しか出て来ない負荷の低いものならその限りではないが、基本的にゲームや CAD(設計ソフト)を動かすパソコンではないと考えた方がいいだろう。
4コア4スレッド、基本クロック1.1GHz、最大2.4GHz。TDP はたったの6W。
現行のパソコン用CPUとしてはもっとも下位に位置するタイプで、映像補助機能により動画再生やインターネットの閲覧で困ることは少ないが、高負荷な作業は苦手とする。
データ記録装置(HDD/SSD)
Core i5 か Core i7 を搭載した mouse F5(2021年型)には「
非常に高速な新型の記録装置で、従来型と比べると段違いの保存・読み出しの速さを誇る。
以下は性能測定ソフト(Crystal Disk Mark 8.0.1)で性能を測った結果だ。
※試用機 mouse F5-i5 での計測(2021/8)。
SKハイニックス社のBC711(M.2 2280)256GB が使用されていた。
読み出し(1段目の左側)は 3400MB/s、書き込み(右側)は 2000MB/s。
これは NVMe SSD の中でも優秀な数値だ。
従来のSSD(SATA接続)だと読み出しは 500MB/s 前後、書き込みは 200~500MB/s ほどで、HDDだと 100~150MB/s 程度。
NVMe SSD がどれだけ高速かわかるだろう。
ただ、カスタマイズで2TB(2000GB)まで増やすことができ、さらに本体が大きいため 1TB か 2TB の HDD を追加することもできる。
NVMe SSD の容量アップはかなり高額になるが、HDD なら速度は劣るが、安い。
100g ほど重くなるが、余裕を持って使えるため、私的には 1TB HDD の追加をお勧めしたい。
なお、Celeron 搭載機(mouse F5-celeron)は 256GB の従来型(SATA接続)の SSD で、512GB にすることはできるが、HDD の追加はできない。
総評
安くてDVDドライブ付きのノートパソコンである本機は、かなり人気のようだ。
家計簿や年賀状、確定申告などのソフトの多くは、まだCDやDVDで提供されている。
以前から使っているDVDが使えないと困る人も多いだろう。
外付けの光学ドライブも売られているが、頻繁に使う場合は着脱や持ち運びが面倒だ。
家電メーカーのDVDドライブ付きのノートPCは15万や20万近くのものが多く、性能(CPU)が Core i5 や Core i7 になると尚更だ。
しかし本機なら10万円を切る。しかも端子が豊富で扱いやすい。
そして最新の機能と処理性能も備わっている。
キーボードの使いやすさもあって、オフィスワークでも便利であり、初心者でも困らずに活用できるパソコンだ。
・マウスコンピューター mouse F5
※mouse F5 は数タイプあるため、上記リンク先は15.6型ノートの一覧ページにしています。
※以下のスペックは mouse F5-i5 のものです。
形式:15.6インチ ノートパソコン
CPU:Core i5-10210U
グラフィックス:(CPU内蔵)
メモリ:8GB(8GBx1、DDR4-2666)
ストレージ:256GB NVMe SSD
通信:Wi-Fi 5、Bluetooth 5
モバイル性能:2.1kg、バッテリー公称7.5時間
その他:DVDドライブ標準搭載、USB計4つ
価格:税込 93,280円(税別 84,800円)
※詳細はマウスコンピューター公式サイトをご覧下さい。
※メモリ、ストレージ、光学ドライブはカスタマイズで変更できます。
※仕様・価格は時期により変わる可能性があります。
執筆:2021年9月5日