- 2021年1月に登場したマウスコンピューターの一般向けノートパソコン
- 欠点のない標準的なスペックで扱いやすい
- アルミ素材を用い、15.6型ノートとしてはかなり軽量
こんな人にオススメ!
- 安くて使いやすい軽量薄型ノートが欲しい方に
- 持ち運ぶこともあるけど、自宅で使うのがメインの人に
- テレワークに使える贅沢すぎないノートPCが必要な方に
※2021年5月追記
CPUの供給不足と世代交代の影響か、mouse B5-i5 の生産は早期終了しました。
他のCPU「Ryzen」を使用した mouse B5-R5 の生産は続いています。
CPU以外は B5-i5 と同型です。
レビューは公正に、忖度なく行っております。
軽くて安くて不足のない標準機
マウスコンピューターのノートパソコンは用途に合わせたバリエーションが用意されている。
かなり小型の「C」、モバイル(持ち運び)重視の「X」、動画編集が可能な「K」、光学ドライブ(DVD/Blu-ray)を持つ「F」。
そして標準的なタイプである、ベーシックなノートの「B」だ。
今回ご紹介する「mouse B5-i5」は2021年1月末に発売された、この標準タイプにあたる。
マウスではこのBシリーズを在宅ワーク向けとしている。
例えば、マウスで一番人気の「mouse X4」は14型ノートで約1.2kgの軽量、17.5mmの薄さ、それでいて10時間以上の長時間駆動で顔認証機能を持つという優れた機種だが、頻繁に持ち出さないのであれば、ここまでのモバイル性能は必要ないだろう。
「mouse B5」は15型ノートで余裕のあるサイズのキーボードを持ち、高速な NVMe SSD を標準で搭載、価格もこちらの方が安い。
カスタマイズで内蔵 HDD の追加も可能で、自宅で使うならこちらの方が向いている。
1.59kgの軽さで、19.8mmの薄さ、公称7時間の駆動が可能であり、Xシリーズほどではないが、こちらも十分に軽量薄型だ。
価格も 74800 円(税別)で、税と送料を足しても9万円行かない。
新しい通信規格(Wi-Fi 6、Bluetooth 5)に対応し、CPU も新型、安くて標準的と言っても2021年2月時点の「最新の標準」だ。
今回、実機の貸し出しを受けさせて頂いたので、その特徴を紹介していきたい。
外観
デザインと側面端子
ブラストシルバーとブラストブラックの二色のカラーリング。
軽くて剛性に優れるアルミニウム素材が使われており、指紋が付かず、汚れや傷も目立ちにくいザラザラした加工(梨地仕上げ、ブラスト加工)が全面に施してある。
ツヤ消しではなく、鈍い光沢があり、金属感のある天板だ。
角張ったデザインのシンプルな外観だが、ブラスト加工が良い味を出していて、高級感がある。
ギラッとした光の反射が綺麗
アルミなのでひんやり触感
内部にもブラスト加工が施されている
樹脂よりしっかりした質感がある
15.6インチのモデルであるため、ノートとしてはやや大きめだが(横36cm x 縦24cm)、1.59kgの本体は軽くて持ちやすい。
厚さも最大で約2cmの薄型で、手軽に持ち運ぶことができる。
側面の端子は、右側に青のUSB(3.0)、HDMI、USB Type-C を備える。
この USB-C は「パソコン側を」充電できるタイプで、AC アダプタがなくても対応の携帯バッテリーから充電が可能だ。
左側面にはカードリーダー、USB(2.0)x2、イヤホンジャックと LAN 端子がある。
機器の追加に15000円かかるが、LTE通信(外出時の無線通信)に対応させることもできる。
(通信会社との契約と利用料が別途必要)
さらに本機の特徴として、180度の開閉が可能。
画面をパタンと水平まで倒して、周囲の人と一緒に見ることができる。
このパソコンは仕事や学習での使用を想定しているため、家族や仕事仲間と画面を共有しやすいようにしているようだ。
開きすぎを気にせず、自由な角度で使えるのも利点だろう。
モニターとカメラ
モニターには非光沢のフルHD液晶(1920x1080)が使われている。
15.6インチのノートとして標準的なものだが、安価なノートとしては発色は良いように感じた。
180度の開閉機能があるためか、横からでも画面を綺麗を見られる広視野角のモニターになっている。
モニターの外枠が小さい「ナロー(狭額)ベゼル」で、これにより15.6型ノートでありながら、一昔前の14型ノートくらいの本体サイズに収まっている。
目の疲れない非光沢のモニター
ナローベゼルはもはや常識
輝度の自動調整機能はないが
Fn+F8/F9で明るさを変えられる
モニターの上部には100万画素のフェイスカメラと「デュアルアレイマイク」が付いている。
どちらもこの価格帯のノートPCとしては良い方で、特にデュアルアレイマイクはマウスのノートPCの特徴だ。
左右2つのマイクで正面からの音声を正確に捉えるという。
Bluetooth を内蔵しているため、別途アダプタを用意しなくてもワイヤレスイヤホンなどを利用可能。
簡単にテレワーク、WEB会議を始められるのは、コロナ時代のノートしてありがたい。
ただし顔認証や指紋認証などは、本機には搭載されていない。
キーボード
15.6インチのノートであるため、キーボードの広さ、大きさ、キーの間隔などは十分だ。
テンキーも備わっており、データ入力や書類作成もしやすい。タッチパッドも大きめ。
キーの配列も標準的で、普段使っているデスクトップのパソコンと同じように、違和感なくキータイプを行えた。
キーサイズと間隔はデスクトップ用キーボードと同じだ
横3列だが、テンキーがあるのは15型ノートPCの利点
キーの深さは1.8mmあり、適度な反発もあって、しっかりした打鍵感がある。
カーソルキーはかなり小さいが、15.6インチのノートとしては一般的。
キーを光らせるバックライトはないが、無理に必要ではないだろう。
良い意味で標準的な、欠点のないキーボードだ。
パーツ性能
処理性能とグラフィック性能(CPU)
今回試用した「B5-i5」には、Intel社のCPU「
安心と実績のCPU「Core」シリーズの中間型「Core i5」の、ノート向けの最新型だ。
一般的な作業において、性能不足を感じることはないだろう。
Bシリーズの上位機種「B5-i7」には上位型の「Core i7-1065G7」が搭載されているので、高い処理速度が欲しい人はそちらを選ぶのも良い。
以下の話はやや難しくなるので、初心者の方は読み飛ばして欲しい。
最新のCoreシリーズ「第10世代Core」には「
Ice Lakeは最新の設計で、消費電力が低く、AIによる最適化機能も持つ新型なのだが、そのため発展途上なところもある。
Comet Lakeは従来型の設計だが、今のところ基本性能はこちらの方が高い。
ただ、2020年の主流であったComet Lakeのノート用CPU「Core i5-10210U」より、Ice Lakeの「Core i5-1035G1」の方が、実測値では処理速度や省エネ性能が上回っているようで、内蔵グラフィック機能も備わっている。
そのためか2021年春のマウスのノートではIce Lake「Core i5-1035G1」が採用されている。
クロック数(速度の目安)は1GHz、最大3.6GHz。
4コア8スレッドのCPUで、4つの頭脳で最大8つの作業を同時に行うことができる。
参考までに、上位機の「B5-i7」に使われている「Core i7-1065G7」は 1.3GHz / 3.9GHz。
クロック数なら Core i5-10210U(1.6GHz / 4.2GHz)の方が高いが、実測値ではもちろん Core i7 の方が勝る。
「B5-R5」に使われているAMD社の「Ryzen 5 4500U」は 2.3GHz / 4.1GHz、6コア6スレッドで、実測値は Core i7-1065G7 と同格のようだ。
なお、ノートパソコン向けのCPUなので、消費電力をあまり気にしなくてよいデスクトップ向けより性能が下位であることは留意して欲しい。
以下はCPUの測定測定ソフト「CINEBENCH R23」の結果だ。
マルチスレッド(同時並行作業)で約3500、シングルスレッド(コア1つの性能)で約1100となった。
ちなみに、以前の同型機で使われていた Core i5-10210U はマルチスレッドで 2850、上位型の Core i7-1065G7 は 4400 ほどになる。
なお、このパソコンには「ファン(送風機)の回転数やCPUパワーを調整できる。
」と呼ばれる動作モードの設定ソフトが入っていて、ベンチマーク(性能測定)は「パフォーマンス」設定で行ったが、やはりファンの動作音は大きくなった。
これを「省電力」にして測定したところ、スコアは 3500 から 1450 に下がったが、ファンの音は全くしなかった。
外出時、静かな場所で使いたいときやバッテリーを長持ちさせたいとき、動作モードを調整できるのはありがたい。
Ice LakeのCPUには内蔵グラフィック機能もあるが、最新のゲームが遊べるほどではなく、動画編集や写真現像の補助用だと思った方がいいだろう。
Core i5-1035G1 の「G1」が内蔵グラフィック機能の性能を示しており、G1・G3・G7 がある。G1 は一番下だが、ないよりは良い。
だが、この性能に期待するなら Core i7-1065G7 を搭載した「B5-i7」を選びたい。
以下は一応調べてみた、Core i5-1035G1 のグラフィック性能だ。
やはり新しいゲームは無理。
Core i7-1065G7 でも「ファイナルファンタジー15」は動作困難。
少し前の軽いゲームなら動き、「ドラクエX」の標準画質なら「Core i5-1035G1」で「快適」、「Core i7-1065G7」なら「とても快適」で動作するが、でもこのパソコンは一般ノート。
ゲームをやるならゲーミングモデルを選ぼう。
データ記録装置(HDD/SSD)
本機「B5-i5」のストレージ(データ記録装置)は「標準で」256GBの NVMe SSD を搭載している。
「NVMe SSD」は簡単に言うと「非常に高速な SSD」だ。
マウスコンピューターの他のノートパソコン、例えば「Xシリーズ」でもカスタマイズにより NVMe SSD を搭載することはできるのだが、表示価格を安く抑えたかったのか、標準の構成では従来(SATA)の SSD になっている。
B5-i5 は NVMe SSD でもそれより安いので、よりリーズナブルであるのがわかる。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフト Crystal Disk Mark(8.0)での測定結果だ。
1段目の左側(読み込み)は3000を越えており、かなり高速。
右側(書き込み)は1100ほどで、NVMe SSD としてはそれほどでもないが、従来の SSD と比べれば2倍は速い。
読み込み速度重視の製品が使われているようだ。
従来のSSD(SATA接続)だと読み込みは500前後、書き込みは200~500ほどになる。
HDDだとどちらも100~150程度だ。
NVMe SSD がどれだけ高速かがわかるだろう。おかげで起動は非常に早い。
さらに、カスタマイズで1TBか2TBのHDDを追加できる。
256GBではデータ保存量に不安があるが、容量の大きいNVMe SSDはかなり高額になるため、HDDで安価に補えるのはありがたい。
メインで使うなら1TBのHDDは追加したいところだろうか。
ただ、追加すれば100gほど重くなる。それでも約1.7kgなので、このクラスのノートPCとしてはまだ軽いのだが、用途を考慮して選びたい。
総評
Core i5 が使われた15.6型のスタンダードなノートパソコンとして、過不足なくまとまっている印象。
アルミ素材による高級感と軽さ、樹脂素材とは異なる質感は、この価格帯の他の製品にはないメリットだ。
カフェや学校などに持って行くには15.6型は少し大きいが、キーボードの使い勝手はやはり15型以上の方が良い。
慣れもあるが、長時間の作業はこのサイズの方がラクで、ミスも減る。
カスタマイズにも余裕があり、HDDやメモリを増設可能だが、安さも売りの製品なので、あまり付け加えて高くするのも本末転倒だろうか。
感想としては、改めてになるが、在宅ワーク向けのノートパソコンである。
自宅での書類作成やブログ更新、動画視聴等において、快適に使っていける性能であり、180度開くため子供の学習にも向く。
マウスは検品やサポートにも定評があり、クセのない安心して使える製品だ。
・マウスコンピューター mouse B5-i5
※Core搭載型は販売終了。
※Ryzen搭載型(mouse B5-R5)は こちら。
形式:15.6インチ ノートパソコン
CPU:Core i5-1035G1 Ryzen 5 4500U
グラフィックス:CPU 内蔵
メモリ:8GB(DDR4-2666)
ストレージ:256GB NVMe SSD
通信:Wi-Fi 6、Bluetooth 5
モバイル性能:約1.6kg、バッテリー公称7時間
価格:74,800円 84800円(税別)
※詳細はマウスコンピューター公式サイトをご覧下さい。
※CPUの供給不足により品薄のようです。Ryzen搭載モデル(mouse B5-R5)の販売は続いています。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。
執筆:2021年2月7日