• 2021年12月にモデルチェンジしたHPの13型ノートパソコン
  • キーボードを360度折り返してタブレットのようにできるコンパーチブルノート
  • 薄型で長時間バッテリー、高耐久で携帯性に優れ、デザインも良い
HP ENVY x360 13-ay

こんな人にオススメ!

  • 処理性能と携帯性を両立したノートPCが欲しい方
  • タブレットのような使い方もできるパソコンが欲しい方
  • やはりモバイルノートはセンスが良くないと! という方

コンパーチブルという選択

HP の個人向けノートパソコンには、ひとつのコンセプトがある。
パソコンを時計やバッグのようなファッション雑貨として捉え、センスの良いデザインの、ライフスタイルに適合した、高級感のあるものを提供しようという考えだ。
「ENVY」はそうした HP のコンセプトの中核を成す、主力のブランドである。

ENVY x360 は優れたデザインに加え、キーボードをぐるっと360度、モニターの裏側まで回転させられるのが特徴だ。
このようなモニター着脱式でない 2in1(ノートとタブレットを兼用するパソコン)は昨今、コンパーチブル(折りたたみ)型と呼ばれている。

HP ENVY x360 13-ay

今回取り上げる「HP ENVY x360 13-ay」は13型のコンパクトなモデルで、約1.25kgの軽量、公称15時間のバッテリーも備えており、モバイルノートとして高い携帯性を持つ。
タブレットとして使うには重いが、板型にしてお絵描きタブレットとして使ったり、会議や講義で手書きメモとして使うなど、タッチパネルを活かした使い方ができる。

毎年リニューアルされているが、2021年12月発売のモデルは最新の AMD 社の CPU(Ryzen 5 5600U か Ryzen 7 5800U)を用いており、十分な処理能力がある。
美しいモニターと音響メーカー B&O の優れたサウンドを備えるのも特徴だ。
価格も約10万円から、Ryzen 7 搭載モデルでも約13万円とリーズナブル。

以下、そのレビューをお届けしたい。

外観

デザインとモバイル性能

やや丸みのある、薄型でブラックの本体となっている。
HP はナイトフォールブラックと称しており、やや薄い黒でありながらも深みのある色だ。

軽くて高耐久のアルミニウム素材が使われており、表面にはサラサラしたつや消しの梨地加工が施されているが、金属素材らしい鈍い光沢もある。
この加工によって手の跡や指紋は付きにくい。

天板の中央には鏡面仕上げの「hp」のロゴがあり、高級感を出している。

HP ENVY x360 13-ay 天板

シックだが少しソフトな印象の外観

HP ENVY x360 13-ay 刻印部の拡大

hp をデザイン化した鏡面仕上げのロゴ

内部もナイトフォールブラック一色のシンプルなデザイン。
タブレットとしての活用を考慮しているためか、モニターの枠には段差がない。

HP のモバイルノートは耐久性も重視しており、3万回以上の開閉テスト、1000万回の打鍵テストを実施、アルミボディも高圧力試験をパスした、たわみと傷に強いユニボディフレーム(つなぎ目のない単一パーツによる構成)となっている。
世界レベルの企業ならではで、実際にプラスチックとは違う質感がある。

そして360度回転するヒンジ(蝶番)により、通常のノートパソコンのスタイルの他に、タブレットや会議用など様々な形態で使うことができる。

HP ENVY x360 13-ay ノートPCスタイル

スタンダードなノートPCスタイル。
キーボードを使うならこれ。

HP ENVY x360 13-ay フラットスタイル

もちろんフラットにもできる。オフラインのミーティングに向く。

HP ENVY x360 13-ay テントスタイル

映画視聴向け。スピーカーが手前に向くので音響が広がる。

HP ENVY x360 13-ay タブレットスタイル

タブレットスタイル。ペンが使用可能でタッチ操作とイラスト制作に向く。

13.3インチの小型サイズなので、持ち運びはしやすい。
横幅30.6cm、縦幅19.4cmで、A4サイズに近く、よってA4ノートが入るバッグなら一緒に入れられる。
重さは前述したように約1.25kg、厚さも16.5mmで、モバイルノートらしい薄型軽量だ。
タブレットとしては重いが、机や床に置いて使うなら問題はない。

バッテリーは公称最大15時間。
HP 独自の機能であるファストチャージに対応しており、45分で50%の急速充電を行える。

HP ENVY x360 13-ay 大きさ比較

A4とセミB5ノートとの大きさ比較

HP ENVY x360 13-ay ACアダプタ

付属のACアダプタも約200gの軽量

インターフェイス(接続端子)は右側面に USB とmicro SD カードリーダーがひとつずつ。
左側面は USB と USB-C、イヤホン/マイク兼用ジャックが備わっている。

小型ノートなので少なめだが、性能で補っており、USB のデータ転送速度は 5Gbps(Gen1)。
USB-C は 10Gbps(Gen2)の速度があり、映像出力(USB-ALT)と高出力モバイルバッテリーでの充電(USB-PD)の双方に対応。

HDMI 端子はないが、USB-C でモニターに繋げられるし、後述する Duet for HP 機能によってタブレットを簡単に第2のモニターとして利用できる。

また、USB-C と右側面の USB は電源オフでも給電できるパワーシェアに対応している。
端子がすべて側面にあるため抜き差しもしやすい。

HP ENVY x360 13-ay 側面インターフェイス

ただ、本体が薄いため、USB が開閉式になっており、端子部を広げながら刺さなくてはならず、ちょっと刺しづらい。
また、USB メモリなどが本体より厚いと、付けたときに本体側が浮いてしまう。
薄さのため仕方ないのだが、やや気になる点だ。

無線通信は最新の Wi-Fi 6(ax)に対応しており、Bluetooth も内蔵。
しかもアンテナが2つあるため(2x2)、安定したデータ通信を行える。
有線 LAN 端子はないので、有線接続が必要なら USB-LAN アダプタ で対応しよう。

モニター / セキュリティ等

モニターには光沢のあるフルHD(解像度1920 x 1080)のタッチパネルディスプレイが採用されている。

発色はかなり良く、色彩の目安を示す sRGB カバー率は 100%、視野角もかなり広く、横から見ても色あせたりはしない。
最大輝度(明るさ)もかなり高く、室内では眩しいぐらいで、屋外使用も想定しているようだ。
HP はモニターの詳細データを公表していないが、高性能なことは肉眼で見てもわかる。

光沢(グレア)液晶は映り込みがあるため嫌う人もいるが、ノングレア液晶だと発色が落ちるため、イラスト制作も視野に入れている本機は美しさを優先しているようだ。

HP ENVY x360 13-ay モニター外観

明るく(高輝度)、美しく(高発色)、深い(高コントラスト)のモニター

HP ENVY x360 13-ay 映り込み

光沢液晶がその美しさを際立たせているが、映り込みが強いのは否めない

ペンは付属されていないが、4096段階の筆圧検知と傾きに対応した「HP MPP アクティブペン」を利用できる。
約1万円だがセット購入だと30%OFF。USB-C での充電式で、側面にマグネットで貼り付けることが可能。
また、MPP方式(マイクロソフトのペン規格)対応品なら、他の市販のペンも使用できる。

フェイスカメラは約100万画素で、一般的な画質だ。顔認証も備わっていない。
だが、キーボードに指紋認証が付いており、そちらで手軽にログインできる。
コロナ禍の昨今、顔認証はマスクを付けていると機能しない問題があるので、指紋センサーがあるのは嬉しい。

HP ENVY x360 13-ay 手書きシーン

Surface や Dell の MPP ペンも共用可

HP ENVY x360 13-ay 指紋センサー

コロナ時代は指紋センサーの方が便利

サウンドはかなり良い。
世界的な音響機器メーカー Bang & Olufsen(バング&オルフセン)のスピーカーを搭載しており、音に広がりがあってボーカルも明瞭に聞こえ、低音もはっきりトントンと響く。

また、搭載されているイコライザー「B&O Audio Control」が優秀で、かなり明確に、かつ自然に好みの音質に変えることができる。

B&O Audio Control
※見た目は地味だが性能の良いイコライザー。HP は B&O のスピーカーとサウンドシステムを「プレミアムサウンド」と呼んでいる。HP のノート全機に搭載されている訳ではない。

このイコライザーにはマイクのノイズキャンセラーも付いており、オンライン会議の時などに雑音を抑えることも可能だ。


なお、HP のパソコンには独自のセキュリティ機能やサポート用ソフトウェアが導入されており、いくつか便利なソフトも入っているのでご紹介しておきたい。

まず、スマホやタブレットをワイヤレス連携する「HP QuickDrop」。
他のパソコンでも iCloud という機能を導入したり、Windows の連携機能を使えば iPhone や Android との接続はできるが、少々ややこしい。
HP QuickDrop は QR コードを読み込むだけで簡単に連携できるうえに、Wi-Fi 通信で iPhone / Android を同一システム下で扱える。
写真の AI 顔検索などにも対応している。

また「Duet for HP」という機能でタブレットを2つ目のモニターとして利用できる。
これは映像出力端子で繋げるのではなく、普通の USB(もしくは USB-Lightning ケーブル)で繋げるだけで OK。
もちろん iPad でも Android タブレットでも利用できる。

HP Palette

HP の独自機能は HP Palette というソフトにまとめられている

Duet for HP

タブレットを USB でマルチモニター化。必要なときに簡単に繋げられて便利

OMEN Gaming Hub

OMEN Gaming Hub はシステムモニター兼ゲームランチャー。他社PCでも利用可

HP Enhanced Lighting

これは笑った。画面を白くして女優ミラーにする HP Enhanced Lighting

他に、HP のプリンターと連携する HP Smart や、複数の「動作モード」を切り替えられる HP Command Center などが導入されている。
特に性能をコントロールする動作モードは重要なので、CPU の性能解説で取りあげている。

キーボード

小型のノートパソコンであるため、テンキーはない。
ただ、キーピッチ(キーの間隔)は標準的な 19mm を確保しており、打ち辛さや窮屈さはなかった。
右端にエンターキーやバックスペースキーがないことを嫌う人もいるようだが、私的にはこの点に違和感はなく、問題なくキータイプを行えた。

ただ、本機はファンクションキー(F1 や F2 など)が最初から機能優先になっている。
多くのノートパソコンは Fn キーを押しながら F1 や F2 のキーを押すことで明るさや音量の調整などを行うが、本機は逆に普通に押すことで明るさや音量調整を行え、Fn キーを押しながらで本来の F1 や F2 のキーの扱いとなる。

これは良し悪しで、確かにファンクションキーを使う人は少ないと思うので機能優先でも良い気もするが、ウェブサイト閲覧時に F5 でリロードしたり、文字入力で F7 や F8 でカナ変換や半角変換を行っている人だと、Fn キーを押す手間が増えてしまう。
残念ながら現行モデルは、これを簡単に切り替えることはできないようだ。

※F10を押しながらパソコンを起動して BIOS を表示し、カーソルキーで Configuration タブを選んで Action Keys Mode を選択、Enabled を Disabled にして Save & Exit すれば普通のモードになる。が、変えたい場合はこのように BIOS を経由する必要がある。

HP ENVY x360 13-ay キーボード

黒いボタン型のキーボード
ポチポチという強めの反発がある

HP ENVY x360 13-ay ファンクションキー周辺

上部のファンクションキーに注目
f2 や f3 ではなく機能マークが前面に

キーボード右端には home や Page Up などのウェブサイト閲覧用のキーが並んでいる。
ここも賛否あるようだが、最上部に戻る home キーが上に、最下部に行く End キーが下にあって直感的にわかりやすく、私的には良い印象。
カーソルキーはノートPCによくある縦幅が短いタイプ。

注目はカメラとマイクの ON/OFF ボタンがあり、その状態を示すランプも付いていること。
オンライン会議に適した、現代のモバイルPCらしい機能だ。
指紋認証センサーもキーボードの右下に用意されている。

打鍵感は、薄型ノートなのでキーストローク(押し込みの深さ)の浅さは感じるが、強めの反発があって入力感はしっかりしている。
思ったほど指に来る衝撃は少なく、打ちやすい感触の印象だ。
2段階調光の LED バックライトも備わっており、暗がりでも作業しやすい。

HP ENVY x360 13-ay キーボード右端

右端にエンターがないのはキーボードを見ながら打ってる人だと違和感あるかも?

HP ENVY x360 13-ay タッチパッド

標準的なタッチパッド
マルチタッチ対応で操作性は良い

電源ボタンの位置なども含め、日本人としては少し違和感のあるキーボードだが、多機能でタイピングもしやすい。
タッチパッドの感触も悪くなく、ファンクションキーの部分で困らなければ、良い作りと言えるだろう。

パーツ性能

処理性能(CPU)

HP ENVY x360 13-ay の2021年12月発売モデルには、CPU にRyzen 7 5800URyzen 5 5600Uを搭載したモデルがある。
AMD 社の現行 CPU「Ryzen 5000 モバイル」シリーズであり、登場は2021年の春だ。

「U」は消費電力を軽減したタイプを意味し、TDP(電力と発熱の目安)は 10~25W と低め。
そのぶん性能も控えめだが、冷却の難しい軽量薄型ノートでは U が使われるのが一般的で、バッテリーの持続時間もそのぶん長くなる。

ライバルである Intel 社の第11世代 Core シリーズには「U」のタイプは存在しないが、Core i7-1165G7 などの「G」の付いたタイプがそれに相当する。
こちらは TDP 12W~28W。

なお、Ryzen 5000 の U タイプには旧設計の「Zen2」と現行設計の「Zen3」の製品があるが、本機に使われているのは Zen3 なのでご安心を。

Ryzen 7 5800U, CPU-Z
※CPU-Z による Ryzen 7 5800U の詳細情報。

Ryzen 7 5800U は8つの頭脳で16の作業を同時に行える8コア16スレッド。
Ryzen 5 は6コア12スレッドで、キャッシュの量(CPU内のデータ置き場)もやや少ないが、安価でコストパフォーマンスに優れる。

以下はベンチマーク(性能測定)ソフト Cinebench R23 で計測した Ryzen 7 5800U の結果と、他のノートパソコン用 CPU との性能比較グラフだ。

Ryzen 7 5800U, CINEBENCH R23, HP ENVY x360 13-ay

Ryzen 7 5800U の測定結果(R23)

HP ENVY x360 13-ay の Ryzen 7 5800U、Cinebench R23 測定中のCPU温度

測定中のCPU温度(電力は各コアの平均)

・マルチコア性能(CINEBENCH R23)

Ryzen 7 5800H:11000

Core i7-11800H:10800

Ryzen 7 5800U:9150

Ryzen 5 5600H:8650

Core i5-11400H:8250

Ryzen 5 5600U:7800

Core i7-1165G7:5800(28W)

Core i5-1135G7:3850

Core i7-1165G7:3600(15W)

Core i7-10510U:3250

Core i3-1115G4:2600

Celeron N4100:950

・シングルコア性能(CINEBENCH R23)

Core i7-11800H:1520

Core i7-1165G7:1500(28W)

Core i5-11400H:1480

Ryzen 7 5800U:1430

Ryzen 7 5800H:1430

Core i5-1135G7:1350

Ryzen 5 5600U:1350

Ryzen 5 5600H:1350

Core i7-1165G7:1300(15W)

Core i3-1115G4:1300

Core i7-10510U:1100

Celeron N4100:380

今回の検証機のCPUは赤字で表記している。
Ryzen 7 5800U は省電力型(25W)でありながら、高出力型(45W)の Ryzen 5 5600H をマルチコア性能で上回っており、電力効率はかなり優秀だ。
シングルコア性能は電力(TDP)に影響されないため Ryzen 7 5800H と同じとなっている。

Intel の Core と比べた場合、Ryzen はマルチコア性能で勝り、シングルコア性能で劣る
これは Windows の起動速度や創作作業の処理などに優れ、一般のソフトウェアやゲームの動作速度では劣ることを意味する。
(ただし Office や Photoshop などの大手ソフトは両方の性能が影響する)

ただ、シングルコアの性能差は大きくなく、実際の使用感にあまり差はないと思われる。
そして価格は安いため、コストパフォーマンスが高いことは間違いない。
(内蔵グラフィック機能については後述)


なお、本機には4つの動作モードがある。
前述の測定はパワーと冷却力が共に最大の「パフォーマンスモード」での計測だが、他に「最適モード」「冷却モード」「静音モード」が存在する。

モードの切り替えは HP Command Center というソフトウェアで行う。
ボタン一つで切り替えるといったことは出来ないが、キーボード上部にコマンドセンターを呼び出すためのボタンが用意されている。

HP Command Center, System Control

CPUの電力とファンの回転数が変化する

HP ENVY x360 13-ay コマンドセンター呼び出しボタン

呼び出しは f12 キーを押すだけ

パフォーマンスモードと冷却モードはファン(送風機)を高速で回すため、負荷が高くなると相応にうるさい。
普段は最適モードか静音モードで使うことが多いだろう。

以下はこれらのモードでの性能測定結果と、測定中の CPU 温度だ。

HP ENVY x360 13-ay 最適モードでの Cinebench R23 結果とCPU温度

最適モードの測定結果と測定中CPU温度

HP ENVY x360 13-ay 静音モードでの Cinebench R23 結果とCPU温度

静音モードの測定結果と測定中CPU温度

最適モードはどうやら最適と言うより、高い性能を発揮しつつ、ファンの回転を抑えるモードのようだ。
「そんなことしたら爆熱になるんじゃないの?」と思うかもしれないが…… 爆熱だった。

CPU温度は1分半ほどで100度に達し、そこでサーマルスロットリング(高温時にパワーを抑える安全装置)が働いたのか、電力が 22W に低下。
以後は80度台で落ち着いたが、その分だけ測定スコアは下がった。

ただ、Ryzen は温度が許す限りパワーを出そうとする CPU のようで、他のマシンでもこのぐらいまで温度が上がることはある。
普段はここまで高負荷をかけ続けることはないし、ファンの回転が抑えられているのでこれだけ負荷があってもかなり静かに動作した。
スコアも大差ないので、何かの理由で高熱にしたくないとき以外は最適モードで良いだろう。

静音モードは本当に静かで、電力は 12W に下がったが、ほとんど無音。
冷却が低いため温度が80度近くになるコアもあったが、パワーが低いぶん高熱にはならない。
スコアはかなり下がったが、それでも普段使いには十分な数値なので、オフィスや学校ではこちらの方がお勧めだ。
消費電力が低いのでバッテリーも長持ちするだろう。

グラフィック性能(CPU内蔵)

本機のグラフィック機能は CPU に内蔵されたものを使用する。
Ryzen をはじめとする AMD 社の CPU は Intel 社のものより内蔵グラフィック機能で勝っていたのだが、Intel 社が第11世代 Core に搭載した「Iris Xe グラフィックス」は高性能で、これと比べると少し見劣りする。

以下はベンチマークソフト 3D Mark:TimeSpy の測定結果と、他の主流の CPU 内蔵グラフィック機能との比較だ。

HP ENVY x360 13-ay, Ryzen 7 5800U, 3Dmark TimeSpy
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。

・グラフィック性能(3D Mark: Time Spy)

Core i7-1195G7 (Iris Xe) : 1430

Core i7-1165G7 (Iris Xe) : 1400

Ryzen 7 5800U (AMD Radeon) : 1200

Core i5-1135G7 (Iris Xe) : 1200

Ryzen 5 5600U (AMD Radeon) : 800

Core i7-1065G7 (Iris Plus) : 650

Core i7-10510U (Intel UHD) : 350

Ryzen 7 5800U のグラフィックスコアは、かなり健闘している。Iris Xe に近い性能だ。
一方、Ryzen 5 5600U はゲーム等は厳しいと言わざるを得ない。
ただ、動画の再生や、一般のソフトウェアの補助としては十分だ。

これでどこまでゲームが動くかだが、Ryzen 7 5800U なら人気ゲーム Apex Legend40~50fps で動かせる。(標準的な画質、解像度 1920x1080)
解像度か画質を下げれば 60fps(秒間60コマ)で遊ぶことも可能だろう。

ファイナルファンタジー15 のベンチマークは軽量品質でも「重い」の評価。
ただ、こちらも画質をかなり下げれば遊べないことはなさそう。
モンスターハンター ライズ はグラフィック品質が高だと 20fps で無理だったが、中なら 40~50fps で、普通に遊べる。

FF15ベンチマーク, Ryzen 7 5800U

FF15はかなり軽画質にする必要あり

モンスターハンターライズ

モンハンライズは中画質で全然イケる

Ryzen 7 5800U なら、意外とゲームもいけそうだ。
本格的にゲームをやりたいならゲーミングモデルを買うのを勧めるが、軽いゲームなら本機でも遊ぶことはできるし、3D CAD(設計ソフト)なども無理なく動かせるだろう。

なお、測定はパフォーマンスモードで行っているが、他のモードでもあまり変化はない。
(パフォーマンスモードでモンスターハンターライズが平均49fpsの場合、最適モードで48fps、静音モードで42fpsだった)
動かすゲームやソフトウェアにもよるので、どのモードで使うかは速度と動作音に応じて決めると良いだろう。

ストレージとメモリ(記録装置)

2021年12月モデルの HP ENVY x360 は記録装置に「NVMe SSD」が使われている。
PCI Express 3.0(PCIe Gen3x4)による高速なデータ通信を行え、従来型の SSD(SATA)より数倍速い。
さらに小型で軽く、昨今はこれがメインのストレージとなっている。

記録容量は Ryzen 7 を搭載するパフォーマンスモデルは 1TB(1000GB)。ノートPCでこの量を標準搭載しているのは嬉しい。
Ryen 5 のスタンダードモデルは 256GB か 512GB。
256GB だと心もとないので、スタンダードモデルを選ぶなら 512GB にしておきたい。

以下は検証機に搭載されていた NVMe SSD の速度測定結果だ。

HP ENVY x360 13-ay, Crystal Disk Mark, default

標準設定での測定

HP ENVY x360 13-ay, Crystal Disk Mark, NVMe SSD mode

NVMe SSD 用 の測定

読み込み速度 3500MB/s、書き込み速度 3000 MB/S で、第3世代 PCIe の NVMe SSD としてはかなり速い方だ。
特に書き込みが 3000 を越えているのは優秀。
ランダムアクセス(小さなバラバラのデータを処理する速度)も良いスコアが出ている。

ちなみに、搭載されていたのは韓国サムスン社の企業納入向け SSD だったが、970 EVO と呼ばれる個人向けの人気製品に近い。
なお、本機の CPU は第4世代 PCIe には対応していない。

メモリはパフォーマンスモデル(Ryzen 7 搭載機)は 16GB、スタンダードモデル(Ryzen 5 搭載機)は 8GB 積まれている。
どちらも2本のメモリにデータを分散して処理するデュアルチャネルに対応しており、種類も現在の標準かつ高性能な DDR4-3200 で、特に問題はない。

総評

価格やデザインも含め、非常に高い総合力を持つモバイルノートPCだ。

新型 Ryzen 5 / 7 の処理能力だけ、1.25kg の重量だけ、コンパーチブルである点や長時間バッテリーだけなど、個々の性能だけで見ると突出しているわけではない。
だが、これらが全部一通りそろっている機種となると、そうそうない。
それでデザインも良いものをとなると、なおさらだ。

法人向けの軽量モデル HP Elite Dragonfly G2icon は約1kgのコンパーチブル13型ノートなので、そちらの下位モデルという印象もあるのだが、Dragonfly G2 は('22年春時点で)15万円以上、Core i7 モデルになると 20万円近いので、今度は価格が厳しい。
本機は約10万円からで、Ryzen 7 モデルでも約13万円なので、コストパフォーマンスで勝る。

新生活でモバイルノートを必要としている方にとっては、魅力的な製品のひとつだろう。

HP ENVY x360 13-ay(AMD)

HP ENVY x360 13-ayicon

形式:13.3インチ ノートパソコン
CPU:Ryzen 5 5600U / Ryzen 7 5800U(Zen3)
グラフィックス:CPU内蔵
メモリ:8GB / 16GB(DDR4-3200)
ストレージ:256GB~1TB NVMe SSD(Gen3)
モニタ:解像度1920x1080、タッチパネル(4096段階筆圧検知対応)、光沢液晶、sRGB カバー率100%
通信:Wi-Fi 6、Bluetooth 5
モバイル性能:1.25kg、バッテリー公称15時間、指紋認証
その他:360度折り返し型の 2in1(コンパーチブル)、4つの動作モード、タブレットのマルチモニタ化などHP独自機能、B&Oスピーカー
価格:Ryzen 5 税込103,000円、Ryzen 7 税込132,000円

※詳細はHP公式ストア(HP Directplus)をご覧ください。
※上記スペックは2021年12月発売モデル(ay1000シリーズ)のものです。
※価格はウェブ販売モデルです。店頭販売モデルは高くなります。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。

※以下のリンクからHP公式ストアに移動し、個人向けは税込13.2万円以上、法人向けは税込7.7万円以上の購入を行うと、個人向け7%、法人向け4%の特別値引きを受けられます。
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執筆:2022年4月9日