- ドスパラのゲーミングPC「ガレリア」の、2021年1月時点で最安のデスクトップ
- Ryzen5のCPUとGTX1660の改良ビデオカードを持つコストパフォーマンス重視型
- 2020年にリニューアルしたガレリアの新ケース。派手すぎないライトアップあり
こんな人にオススメ!
- 最新ゲームを遊べるパソコンをできるだけ安く買いたい人
- あまり予算はないが、それなりの高性能が欲しい人
- 派手すぎず高すぎないゲーミングモデルを探している方
レビューは公正に、忖度なく行っております。
最新ゲームに耐えうる最安構成
ゲーミングパソコンの定番であるドスパラ(サードウェーブ)の「GALLERIA(ガレリア)」は2020年7月にリニューアルされている。
今回レビューするのは、その中でもっとも安いモデルだ。
お値段 79,980円(税別)で、ゲーミングモデルらしからぬ価格である。
※半導体やパーツの値上がりにより、価格が変わっています。
費用対性能の高いCPU「Ryzen」の最新中間型「Ryzen 5 3500」と、同じく費用対性能重視のビデオカード「GeForce GTX 1660 SUPER」を搭載した廉価型のマシン。
と言っても、あくまでゲーミングモデルとして見ればの話で、一般モデルのパソコンと比べれば十分に高性能である。
これより下位のパーツ構成だと「ゲーミングモデル」とは言えないが、逆に言うと、名乗れるだけの組み合わせだ。
メモリは 16GB、ビデオメモリ(VGA)も 6GB 搭載されており、むしろ多め。
データ記録装置には非常に高速な「NVMe SSD」を使用しており、一般の用途においても快適に利用できる。
このモデルを選ぶ人が気にするのは「この安価な構成でどれだけゲームが動くのか」ということだろう。
その点を含めて、実機の解説をしていきたい。
ケースと外観
デザイン
リニューアルしたガレリアのケースは2種類あり、これは背の低いタイプ。
高さ425mm、幅220mm、奥行き440mm。
「ミドルタワー」と呼ばれるケースに近い。
背の高いタイプより5.5cmほど低いが、幅と奥行きは変わらない。
ガレリア(低型)新ケース
前面上部の端子部と通気口
デザインは以前に取り上げた背の高いタイプ「GALLERIA XA7C-R70S」と共通だ。
ツヤ消しブラックとメタリックグレーのカラーリングで、前面の上部がナナメに面取りされており、そこにナナメ上向きにUSB端子が付いている。
工業製品のようなシックな外観だが、派手すぎないゲート型のライトアップがイメージをやわらげてくれる。
USB端子や電源ボタンが最上部にあり、床置きを想定した設計。
背が低めなので、棚の中にも置きやすいだろう。
思わず天井部に物を置きたくなる背丈と大きさだが、天井に排気口があるので、あまり物は乗せない方がいい。
本やファイルのような物で通気を塞いでしまうのは厳禁だ。
ライトは色の変更が可能
専用ソフトウェアで設定
光学ドライブ(DVD/Blu-ray読取機)を内蔵できる5インチベイもひとつ用意されている。
前面のゲート型 LED ライトは専用ソフトをインストールすることで色を変えられる。
光るのが嫌な人はオフにすることも可能だ。
側面には内部の様子を見ることができるのぞき窓があり、標準で付いているのは嬉しい。
エアフロー(通気性)
前部の左右にある穴から吸気を行い、後部と天井部から排気を行う構造。
内部のスペースは十分で、通気性(エアフロー)は良さそうだ。
GALLERIA エアフロー図解
CPUの後方と上部の排気ファンで気流を生成
背面に加え、CPUの真上にも排気ファンがある。
熱は上に昇るので理に適っているが、前述したようにパソコンの上に物を置きすぎると排気の妨げになるので注意。
排気口には中にゴミやホコリを防ぐメッシュ(網)が付いている。
ケースファンに大型の14cm静音ファンが採用されているのはガレリアのデスクトップモデルの特徴。
回転数を抑えた大きめのファンを使うことで、風量を保ちつつ動作音を減らしており、低負荷時は本当に静かだ。
サイドパネルの裏側。青い部分から吸気する
天井の網はかなり目が細かい。マグネット付
気付きにくいが、底面にも電源ユニット用の吸気口がある。
カーペットの上に直置きすると底からの吸気の妨げになるので、フローリングでない人は板を敷くなどして対処しよう。
底に付いているメッシュ(網)はワンタッチで外せるようになっていて掃除しやすい。
ただ、天井部のメッシュは後部のネジを取り、両側面のサイドパネルも外さないと掃除することが出来ない。
前部側面のメッシュはサイドパネルに張り付いている。
内部構造
下部の電源ユニットの収納部がカバーでおおわれている、上下二分割の構造。
カバー内には右側面からアクセスする。
コードも裏側(右側面)に回されているため、左側面から見た内部の様子はスッキリしていて、いかにも通気が良い。
ビデオカードの真横に前面ファンがあり、直接風を当てて冷やす、ゲーミングモデルらしいビデオカードの冷却を重視した配置だ。
熱を持ちやすい NVMe SSD にもしっかり風が行くだろう。
下部のカバーの上には増設HDDを設置できるようになっており、カスタマイズでHDDを追加すると、ここに乗せられる。
右側面は以下のようになっている。
下部のカバー内には電源ユニットと、そこから延びるケーブルが収納されている。
この二分割構造のおかげで、電源ユニットの熱はCPUやビデオカード、NVMe SSDに行かないようになっている。
前述したように電源ユニットは底から吸気し、背面へ排気する。
増設SSDはマザーボードの裏に貼り付けるように設置される。
ちなみに、背の高いケース(GALLERIA XA7C-R70S など)には電源ユニットの近くに増設HDDを取り付けるスロット(装着部)があり、若干の違いがある。
電源は標準構成だと出力550W、80PLUS BRONZE(ブロンズ)の製品が使用される。
80PLUS とは省エネ性能や安定性の基準で、ブロンズが一般的。
他にシルバー、ゴールド、プラチナ、チタンがある。
カスタマイズで上位の製品に変えることも出来るが、安さがウリのモデルであるし、標準で問題ないだろう。
ただ、電源には経年劣化があるので、予算があって長く使いたいなら、出力に余裕があり、評価基準の高い物を選んだ方が安心だ。
パーツ性能
処理性能(CPU)
このパソコンにはAMD社のCPU「
Ryzenの一般型には3、5、7の三種類があり、3が安価、5が中間、7が上位だ。
Ryzen 3000シリーズは「第三世代 Ryzen」とも呼ばれ、2019年から普及しているタイプだ。
ただ、このマシンに搭載されている「Ryzen 5 3500」は2020年に登場した後発の特殊タイプで、以前からあった「Ryzen 5 3600」が6コア12スレッド、つまり6つの頭脳で12の同時作業を行えたのに対し、3500 は6コア6スレッド、つまり6つの頭脳だが6つの同時作業しか行えない。
その分、価格は安い。 Ryzenは元々、INTEL社の「Core」シリーズより安いのだが、その中でもさらに安い。
こう言うと性能が悪く思えるかもしれないが、同時作業数(マルチスレッド性能)はそれに最適化されているソフトウェアを使うときでない限り、速度に影響しにくい。
そんなに多くの作業を同時に行わせることは、一般用途だとパソコンの起動時ぐらいしかないからだ。
特にゲームはマルチスレッドに最適化されているものが少なく、シングルコア性能(頭脳1つあたりの性能)の方が重視される。
難しくなったが、要するに最新型(第三世代)Ryzenの中間型で、ゲーム向けのコストダウンが行われたCPUが使われていると思えば良いだろう。
クロック数(速度の目安)は3.6GHz、最大4.1GHz。
細かく言うと、Ryzen 5 3600 は最大4.2GHzなので、最高速度が若干低い。また、3600 よりキャッシュ(CPU内のデータ保管場所)がやや少ない。
ただ、値段は(ドスパラの2021年1月時点の価格で)Ryzen 5 3500は14680円、Ryzen 5 3600は23980円なので、大幅に安い。
以下はCPUの性能測定ソフト「CINEBENCH R23」の結果だ。
マルチスレッド(同時複数作業)の測定結果は 6612。
スレッド数が少ない分、デスクトップのCPUとしては控えめだ。
シングルスレッド(単一作業)も同世代のCPUと比べると、若干低め。
とは言え、INTEL社の「Core」シリーズの第七世代や第八世代の上位型(Core i7-7700K、Core i7-8700、共に2017年発売)と同レベルだ。
同価格のCPUとしては間違いなく上位で、何度も言うがコストパフォーマンスは良い。
ただし、スレッド数が重要になる創作作業は(AMD社のCPUとしては)不得意なのでご注意を。
動画編集(ビデオエンコード)や、カメラのデジタル現像(RAW現像)などが該当する。
グラフィック性能(VGA)
搭載するビデオカード(VGA)は「
2021年現在、一般的なゲーム向けビデオカードとしては下位にあたる。
ただ、GeForce RTX 2000 シリーズが普及し、3000 シリーズの話が出て来ている今になっても、GeForce GTX 1660 は人気の製品だ。
なぜなら RTX 2000 シリーズに安価モデルと言えるものがなく、購入しやすいビデオカードは GTX 1600 シリーズがまだ担っているからだ。
「SUPER」というのは後期改良型だと思えば良いだろう。
これでどこまでの性能を期待できるのか……
ベンチマーク(性能測定)ソフト「3D Mark(Time Spy)」の測定結果は以下の通りだ。
グラフィックスコアは 6155。 CPU性能込みのスコアで 5875。
ちなみにグラフィックスコアは、GeForce GTX 1650 SUPER だと約4500、GTX1080 だと約7000、RTX2060 SUPERだと約9000ほどになる。
これだけのスコアがあれば、近年のゲームはすべて動作可能だ。
例えば「フォートナイト」だと、高画質設定でも120FPS(1秒あたり120コマの動作速度)を維持できる。
「Apex Legends」のようなやや重いゲームだと、高画質での120FPSは厳しいが、60FPSでの動作は安定して可能、標準画質なら120FPS以上で動作する。
以下は「ファイナルファンタジー15」のベンチマークの結果だ。
高画質設定で評価「快適」。
「モンスターハンターワールド」もFF15と似た必要環境なので、同じような評価となる。
「ドラゴンクエスト10」のような軽いゲームなら、非常に快適に動作する。
ゲーミングモデルとしては、安価な構成とは言え、十分に遊べると言って良いだろう。
4K画質とか、240FPSの超高速描画といった、高性能モニターの性能をフル活用するような環境で遊ぼうとすると辛くなる。
しかし一般的なゲームプレイにおいては、このマシンでも十分に実用レベルだ。
データ記録装置(HDD/SSD)
データ記録装置は 512 GBの「NVMe SSD」を搭載している。
NVMe は SSD の新しい規格で、M.2 と呼ばれる小型のスティック形状をしており、マザーボードに直接差し込むのだが……
とりあえず初心者は「すごく速いSSD」だと思っておけば良いだろう。
以下はベンチマークソフト(性能測定ソフト)「Crystal Disk Mark(8.0)」の結果だ。
1段目のスコアは左(読み込み)3400、右(書き込み)2400を越えている。
これが従来のSSD(SATA接続)だと左は500前後、右も200~500ぐらい。HDDだと、どちらも100~150ぐらいになる。
NVMe SSD がどれだけ圧倒的な速さかわかるだろう。
おかげでパソコンの起動が早く、重いゲームもすぐに立ち上がる。
NVMe SSD は発熱が高いが、風が直接当たるよう配置されており、冷却も問題ない。
ただ、デスクトップPCとしては、容量512GBは少なめだ。
用途や使い方にもよるが、できれば1TB(1000GB)か2TBのHDDをカスタマイズで追加したいところだ。
総評
安価構成のこのパソコンで満足なゲームプレイは可能なのか?
結論としては、プロゲーマーを目指しているわけではない一般の人が、一般的な環境でゲームを遊ぶのにおいては、十分な性能である。
定番のゲーミングモデル「ガレリア」のひとつであり、そこは心配ない。
2~3年後になると、辛いゲームが出て来るかもしれない。
しかし近年のソフトウェアの進化は緩やかで、2000年代のようにハイスペックが求められる作品が次々と出ていた時代とは違うので、このマシンでも長く戦うことができるだろう。
ただ、CPUが動画編集向きではないので、最近流行りのゲーム実況や生放送をやりたいと思っている人は、もっと上位のパソコンを選んだ方がいい。
ともあれ、この価格でこの性能は魅力だ。
もろもろ合わせて何とか10万円以下に抑えたい、予算はないがスペックアップしたい、DDR5(次期新型メモリ)の普及前に使う当面のゲーミングマシンが欲しい、と言った要望に応えてくれるモデルだ。
ケース:デスクトップ(ミドルタワー)
CPU:Ryzen 5 3500
グラフィックス:GeForce GTX 1660 SUPER 6GB
メモリ:16GB(DDR4-2666)
ストレージ:500GB NVMe SSD
価格:109,980円(税込)
※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
※価格は半導体不足の影響で値上がりしています。
※ビデオカードが下位型の後継機に移行していたのですが、また元に戻りました。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。
執筆:2021年1月16日