- 2021年夏発売のドスパラのデスクトップ型ゲーミングパソコン
- 第11世代 Core i5 + GeForce 3060Ti という最新ミドルクラス構成
- ゲームPCとして価格と性能のバランスが良い
こんな人にオススメ!
- 高すぎない価格で出来るだけ高いゲーミング性能を求めたい方
- 最新性能のゲーミングモデルを20万円以下で欲しい方
- 今買うなら第11世代 Core(Rocket Lake)でしょ! という方
レビューは公正に、忖度なく行っております。
'21後期の定番構成のひとつ
購入しやすい価格で、出来るだけ高いゲーム性能を求めたい……
今回取り上げるドスパラの「GALLERIA RM5C-R36T」は、そんな願いにマッチしたゲーミングパソコンだ。
本機は CPU に Core i5 を使用、ビデオカードは GeForce の 3060Ti を搭載している。
どちらも「中の上」ぐらいの性能だが、この「Core i5+高すぎないビデオカード」というのは、ゲーミング性能とコストパフォーマンスを重視したパソコンの定番の組み合わせである。
Core i5 の性能は Core i7 に劣るが、ゲームに重要なシングルスレッド(単一作業)のスピードは大差なく、そもそも CPU の性能は(やるゲームにもよるが)グラフィック性能ほどゲームの動作への影響は大きくない。
そして GeForce RTX 3060Ti は、世界的なパーツ不足によりビデオカードの値段が高騰している昨今、もっとも価格とグラフィック性能のバランスが取れている製品だ。
さらに本機は Core i5 とは言え、最新の第11世代 Core のデスクトップ用CPU(Rocket Lake)を搭載しており、そのシングルスレッドの性能は従来モデルを超える。
ゲーミング性能なら第10世代の Core i7 より上であろう。
価格は2021年10月現在、税別で169,980円。
パソコン部品の値上がりが続く現状において、この構成でこの値段は間違いなく安い方だ。
以下、そのレビューをお伝えしていきたい。
ケースと外観
デザインと端子
ドスパラのゲーミングモデルは GALLERIA(ガレリア)と呼ばれており、一般モデルとはケースが異なる。
LEDライトによる装飾があり、やや大きめで、冷却のためのエアフロー(通気性)が重視されている。
内部のパーツ配置も一般のモデルとは異なっている。
中型と大型があるが、本機は中型で高さ425mm、幅220mm、奥行き440mm。
「ミドルタワー」と呼ばれるサイズで、他社の同クラスのケースより2cmほど幅がある。
メタリック&ブラックのガレリア外観
ゲート型のLEDライトが映える
USB端子は上部に縦向きに付いている
天井にもツブツブの通気口が並ぶ
ツヤ消しブラックとガンメタリックのデザインで、表面にはザラザラとした粒子加工が施されている。
天井や側面に排気穴が並んでいるのが特徴的で、工業製品のような印象を受けるが、ゲート型のLEDライトが無骨さを和らげており、ゲーミングモデルらしさも醸し出している。
前面上部がナナメに面取りされており、ボタンやUSB端子はナナメ上向きに配置されていて、床置きを想定しているデザインだ。
標準ケースでも側面にのぞき窓があり、中の様子を見られるのはパソコンファンには嬉しい。
標準ケースで窓があるのは珍しい
側面の穴は吸気口なのでたまに掃除を
本機はUSB2.0も3.0も黒いので注意
USB3.1のみ水色に塗られている
端子は前面にUSBが4つと、マイク&イヤホンのジャックがある。
前面USBは全て (USB3.2 Gen1、5Gbps)で、従来のUSB2.0よりデータ転送が速い。
また、背面にはUSB2.0が4つに加え、
USB3.1 と USB-C は10Gbpsの転送速度を持ち、外付けのSSDを高速に扱える。
ビデオカードの映像出力端子は HDMI が1つと、Display Port が3つ。
有線LAN端子は一般的な1Gb(1000BASE-T)だ。
無線LANの受信機やBluetoothは標準搭載されておらず、オプションとなっている。
エアフロー(通気性)と内部構造
前部の左右にある穴から吸気を行い、後部から排気を行う構造。
横幅が大きい分、大型(14cm)のケースファンが取り付けられており、強力なエアフロー(通気性)を持つ。
しかも標準で前後にケースファンが付いており、高い吸気力を持つ。
長時間、高負荷なゲームプレイを行っても安定して動作できるだろう。
複数の大型静音ファンを使って風量を保ちつつ、回転数を抑えているため、このクラスのゲーミングモデルとしてはファンの音も小さめだ。
ガレリアのデスクトップパソコンは天井にも排気ファンがあるものが多いが、本機はかなり大きなCPUクーラーが付いているため、スペースの都合上、天井の排気ファンはなくなっている。
その分、 はいかにも冷えそうだ。
中型のケースに大型のCPUクーラーとビデオカードを配置しているため、やや窮屈な印象もあるが、裏側にコードを回す
になっており、内部はスッキリしていて通気性は良い。Core i5 とは思えないデカさのクーラー
波形ヒートシンクですごく冷えそう
吸気ファンの風を直に当ててVGAを冷却
大きなファンもガレリアの長所
中の様子は以下のようになっている。
下部にあるカバーの中には電源ユニットが入っており、裏側(右側面)からアクセスできる。
電源ユニットが隔離されているため、電源の熱は本体内に行きにくいようになっている。
電源は底から吸気を行い、背部から排気するようになっているため、ちょっと気付きにくいが、底にも吸気口がある。
カーペットの上などに置く場合は、板を敷くなどして吸気を妨げないようにしたい。
下部のケースの上にはHDDやSSDを設置できるマウンタ(固定器具)が付いている。
裏側(右側面)にもSSDを付けられる器具があり、これらの置き場所で困ることはないだろう。
ただ、NVMe SSDはビデオカードの裏側に付いているため、交換したい場合はビデオカードを外す必要がある。
ビデオカード下部のスペースは狭く、拡張スロット(PCI Express スロット)は使い辛い。
通気を考えると拡張カードの増設は考えない方が良いだろう。
昨今は拡張カードが使われることは減っているし、初心者の方は気にしなくていい。
底にある電源用の吸気口
外しやすいフィルターが付いている
拡張スロットとHDDマウンタ周辺
拡張カードを使うなら大型機にすべき
電源ユニットは標準構成だと650W、80PLUS BRONZEの製品が使われる。
これで問題ないと思うが、電源には経年劣化があり、出力不足になると故障原因となるため、少し高めの出力にすると安心だ。
80PLUS GOLD や PLATINUM の製品なら省エネ性能も高い。
パーツ性能
処理性能(CPU)
本機は「第11世代Core搭載」と名前にある通り、第11世代 Core の CPU「
2021年の春に登場した最新型で、俗に「 」と呼ばれる性能重視のタイプだ。
Core i5 は Core シリーズの中間型で、Core i7 より下位だがコストパフォーマンスに優れる。
以下は測定ソフト CINEBENCH R23 で処理性能を測った結果だ。
第11世代 Core はそれ以前のものより、シングルコア(単一作業)の速度が大幅にアップした。
本機の測定でも約1400のスコアが出ている。
第10世代 Core だと、Core i7 でもシングルコアのスコアは1200ぐらいだ。
そしてゲーム(及び大半のソフトウェア)はシングルコアの速度が影響するため、つまりゲーム向きと言える。
Core i5 は同時作業数が Core i7 より少ないため、マルチコアの評価はやや低めになる。
それでも測定スコアは10000を超えており、十分に速く、技術の進歩を感じられる。
第10世代と Core i7 も含めてまとめると、各CPUの処理性能は以下のようになる。
・シングルコア性能(Cinebench R23)
Core i5 10400(第10世代):1100
Core i5 11400(第11世代):1400
Core i7 10700(第10世代):1200
Core i7 11700(第11世代):1500
・マルチコア性能(Cinebench R23)
Core i5 10400(第10世代):7600
Core i5 11400(第11世代):10000
Core i7 10700(第10世代):12000
Core i7 11700(第11世代):13500
同世代の Core i7 搭載機は Core i5 より3万5千円~4万円ほど高くなるため、Core i7 のゲーミングモデルは20万円を超えてしまう。
10万円台で高い性能を求めるなら、本機に使われている Core i5-11400 が適格だ。
ゲーミング性能においては Core i7 と大差ないと言って良い。
ただ、ゲーム「だけ」にパソコンを使う人は少ないだろう。
各種の作業に使ったり、実況や配信をするというのであれば、同時作業数が多く、キャッシュ(CPU内のデータ置き場)も大きい Core i7 の方が良い。
この辺は用途と予算に合わせて選択しよう。
やや難しい話になるが、Core i5-11400 は6コア/12スレッドのCPUで、6つのコア(頭脳)で、最大12の作業を同時に行うことができる。
クロック数(速度の目安)は2.6GHz、最大4.4GHz。TDP(消費電力と発熱の目安)は65Wだ。
グラフィック性能(VGA)
本機はビデオカード「
中クラスの製品で「Ti」というのは強化型であることを表す。
GeForce 3000 シリーズの中では下位だが、半導体不足と仮想通貨ブームによる需要過多によりビデオカードの価格は高騰する一方で、もはや GeForce RTX 3070 以上は高級品だ。
「パソコンに25万や30万は出せない!」「できれば10万円台に抑えたい!」という人だと、GeForce RTX 3060Ti が手の届くビデオカードの最上位となる。
GeForce 3000 シリーズになって性能が大きく向上したため、3060Ti でも現行のゲームをやるには十分な性能だ。
むしろ今後数年先のゲームも快適に遊べるであろう高いスペックを持つ。
以下は性能測定ソフト 3DMark:TimeSpy の計測結果だ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
3D Mark:Time Spy のグラフィックスコアは約11000。
(CPUも含めた)総合スコアは10385だった。
他の現行ビデオカード(2021年10月時点でガレリアで選択可能なもの。全てデスクトップ用)との性能比較は以下のようになる。
・グラフィック性能(3DMark TimeSpy)
GeForce GTX 1660:5450
GeForce RTX 3060:8400
GeForce RTX 3060Ti:11000
Radeon RX6700XT:11800
GeForce RTX 3070:13400
この性能なら「Apex Legends」や「Fortnite」といった人気ゲームも快適に動作する。
144Hz / 144FPS 以上の高速描画でも問題ないだろう。
「ファイナルファンタジー15」のベンチマーク(動作測定)は高画質の測定で「とても快適」の評価、スコアは約10370。
動作環境が似ている「モンスターハンターワールド」も同じレベルで遊べるはずだ。
光の屈折と反射をリアルに表現する新技術「
ビデオカード「Radeon」はレイトレーシングをやや苦手としているが、GeForce ならその懸念は不要だ。
まだこの技術を活用できるソフトは多くないが、今後のゲームで恩恵を得られるだろう。
FF15 ベンチマーク 一般解像度測定
レイトレーシング(光の表現)測定
やや余談だが、GeForce RTX 3070Ti の評判が良くなく(消費電力の増加に見合う能力アップがなかった)、GeForce RTX 3070 の人気が高まって価格が高騰、かつ品薄となったため、割安で入手しやすい 3060Ti の存在感が増している。
しばらくは GeForce RTX 3060Ti がメインストリーム(主流)となる時期が続きそうだ。
データ記録装置(HDD/SSD)
メインのデータ記録装置(ストレージ)には 500GB の「 」が標準搭載されている。
小型スティック形状の新型SSDで、従来型のSSD(SATA接続)より大幅に高速だ。
ベンチマークソフト(Crystal Disk Mark)の速度測定結果は以下の通り。
試用機には台湾 PHISON エレクトロニクス社の製品が使われていた。
読み込み(1段目の左)は約3200MB/s、書き込み(1段目の右)は約2500MB/s。
これは NVMe SSD の中でも優秀な速度。
従来型のSSD(SATA)だと 500MB/s、HDDだと 150MB/s 程度のスコアなので、段違いなのがわかるだろう。
さらにランダムアクセス(3段目)も読み込み 830MB/s、書き込み 780MB/s とかなり速い。
ここは NVMe SSD でも 400MB/s が普通で、600MB/s なら速い方だが、大きく超える。
ランダムアクセスの方が実際の使用感に影響するため、これが標準搭載品であるなら嬉しい。
ただ、本機は第4世代(Gen4)の PCI Express(データ転送規格)に対応おり、対応品ならもっと速いのだが、(2021年10月時点で)カスタマイズで選べる中に対応品はなかった。
まだ価格が高く、本機は廉価モデルであるためだと思われるが、せっかく使えるのならカスタマイズには含めて欲しかったところだ。
NVMe SSD は発熱が大きく、10万円台のガレリアでも大型ケースなら選択可能なので、冷却の問題があるのかもしれないが……
注文時のカスタマイズでは、HDD や SSD(SATA接続)を2台まで追加可能だ。
メインの NVMe SSD も 1TB や 2TB のものに変更できる。
昨今の大型のゲームは HDD に入れると起動や表示にかなり遅延が生じるため、それを考慮した構成にしたい。
予算に余裕があるなら、OS(Windows)を入れる NVMe SSD と、ゲームを入れる SSD、その他のデータ保存用の HDD をそれぞれ分けるのを個人的には薦める。
メモリは標準で
2つの8GBメモリにデータを分散して高速化する「デュアルチャネル」で動作。
メモリの種類も という、Core i5 では第11世代から使用可能になった上位のものが使われており、不足な点はない。
総評
コストパフォーマンス重視のデスクトップ・ゲーミングモデルとして、文句の付けようがない構成だ。
第11世代の Core i5 は処理能力が飛躍的に上がり、Core i7 より割安感がある。
GeForce RTX 3060Ti のグラフィック能力もコストとのバランスが良く、最新ゲームのプレイに十二分に対応可能。
ケースも大型ファンによるトップクラスの冷却能力を持っており、端子の場所も扱いやすい。
消費電力も高すぎないため、ゲームだけでなく長時間負荷をかける作業にも良いパソコンだ。
終わりの見えないパーツの値上がりが続いているため、本機のようなコストパフォーマンス型マシンの需要は今後も高まり続けるだろう。
その2021年後期の定番と言える構成の本機は、人気になることは間違いない。
・ドスパラ GALLERIA RM5C-R36T 第11世代Core搭載
ケース:デスクトップ(ミドルタワー)
CPU:Core i5-11400
グラフィックス:GeForce RTX 3060Ti 8GB
メモリ:16GB(DDR4-3200)
ストレージ:500GB NVMe SSD
価格:税込169,980円
※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。
執筆:2021年10月6日